アリーナで突如始まる黒乃による殺戮。
あまりにも唐突に始まったそれにより、その場にいた観客全員は戦慄。
そして、観客は数秒経ったあと一斉に悲鳴を上げ、逃げ惑う。
「…………うるさいなぁ」
百人以上の女が、一斉に甲高い悲鳴を上げる。
それはとてもうるさい。
「………………………………がっかり、代表候補生も、さほど強くない」
目の前で血に沈むは、既に息も絶え絶えな代表候補生二人。
「…………あーあ、期待して損した。私、別に来る必要なかったかもね」
黒乃は呟く。
まるで目の前の光景が、ずっとその場にあったかのように。
「…………で、君は何をしに来たのかな?
織斑一夏」
背後に立つのは、専用機白式を纏った織斑一夏。
「…………勝ち目なんかないだろう?はっきり言って、無駄だ」
「最初から戦いに来たわけじゃない。二人を助けに来たんだ」
「…………どうやって助けるんだ?私の目を盗めるとでも?」
「…………やってみなきゃ、わからないだろ」
時間は数分前に巻き戻る
「…………星の樹を渡さなければ、二人は死ぬだろうな。確実に」
「…渡さないんじゃない、渡せないんだ」
「…………ん?どういう意味だ?」
スパロウの意識は千冬の方に集中する。
「…………星の樹を動かすには、鍵がいる。それがどんなものか、私は知らないし、だから探したくても探せなかった」
「…………動かそうとはしていたのか」
「動かせば、あいつ…………クロノの居場所を見つけれると思った」
「…………まぁ、あいつは神出鬼没だしな。俺の前にもいきなり現れて一言「私に手を貸してくれ」だからな」
「……………………お前達は出会って間も無い訳か」
「いや、数年前 俺がもっと小さかった時に一度だけあった」
千冬とスパロウは、周りを気にしないかのように、二人だけで会話をしている。
だからこそ、スパロウと千冬は気づいていない。
一夏、箒、山田教諭の三人がいなくなっていることに…………
いや、気付けよ。
三人いなくなってるんだぞ。
勿論、セシリア達を瞬殺した黒乃に一夏が勝てるはずは無い。
そして、考える。
答えは案外簡単にでた。
セシリア達を救出出来れはそれでいい、と。
今一夏達が居るのは、さっきまでいたピットとはまた別のピット。
今から一夏を囮として戦わせ、セシリア達から黒乃を離す。
そして、そこへ最大出力でISを射出し、一気に回収する。
なんとも抽象的な作戦だが、今の状況を考えれば妥当かもしれない。
回収役は山田教諭、一応元代表候補生なのでこの役には最適だ。
囮役は勿論一夏、実力は専用機持ち(笑)程度だが、IS自体のスペックは高い為囮役としてはまあまあ使える筈。
箒は、射出させるだけ。
いや、だってそれ以外役目無いし、結局メインヒロイン(笑)ぐらいの実力だもの。しょうがない。
そして、冒頭に戻る。
「…………理解に苦しむ。お前如きじゃ、囮役にもならないじゃないか」
黒乃は両手に持っていた、血の滴る二対の剣をしまう。
「……………………スパロウ、情報は入手出来た?」
『一応な。現時点で、星の樹を奪う事が出来ないと判断した』
「りょーかい」
「おい、織斑一夏」
「なんだよ」
「私はもう帰る」
「はぁ⁉︎」
「結構強力な霊薬わたしてやるから、あとでそこの二人に飲ませてやれ」
「敵から渡された物なんか使うかよ!」
「素直に受け取れ、時価数億円はくだらないんだから」
「はっ、えっ?」
「じゃあね。また会おう」
シュンッと黒乃はいなくなる。
そこに残されたのは、呆然な表情をした一夏と、血塗れのセシリア達、そして
明らかにやばい容器に入った霊薬だけだった。
今日も延期
桜「質問、まってる」