転生者とは、転生する前の記憶を持って転生するのがよくある。
そう、記憶を持って転生するのだ。
逆に言えば、いままでの記憶を全て持って生きてゆくのだ。
黒乃の場合、約96000年の記憶を持って生きている。
その一分一秒を全て記憶して生きている。
つまり、黒乃は長い時の中でこの世に存在するほぼ全ての刺激を体験した。
飽きているのだ。
今、この瞬間に飽きている。
だから彼は、刺激を求めて各地を回る。
最初の転生を終えた後、黒乃は黒乃を転生させた者に話を聞かされた。
その内容は、【転生者がハッピーエンド以外の結末で人生を終えた時、再度転生しなくてはいけない。なお、ハッピーエンドの基準は天上界によって決められている】というものだ。
それから数十回の転生は、死ぬ気でハッピーエンドを目指したが、転生を終えることは出来なかった。
世界中を幸せにしても駄目、悪の化身を倒しても駄目、魔王を倒しても駄目、ヒロインと結婚し幸せな家庭を築いても駄目。
黒乃は思いつく限りのハッピーエンドで人生を終えたが、転生を終える事は今だにできていない。
そんな時黒乃は思いつく。
誰も死ななかった世界がハッピーエンドではないのか、と。
黒乃は次の転生先で実行したが、失敗に終わる。
黒乃は再度思いつく。
誰も死ななかった世界。
黒乃がオギャーと生まれたその瞬間から、黒乃が寿命を終える迄、誰も死なない事がハッピーエンドの条件なのでは?
絶望的な答えだ。
無理に決まっている。
これが転生の正体。
転生は救いなどではなく、地獄なのだ。
永遠に人生をやり直させ続ける。
だから黒乃は諦めた。
永遠に絶望し、有限の美しさを追い求める。
寿命以外で死ねない人生を、充実した人生にしようと決めた。
約90000年前の事だ。
勿論、直ぐに飽きてしまい。
今となってはほぼ世捨て人だ。
だから黒乃は電話をかける。
相手はスコール・ミューゼル。
新たな刺激を求めて、あるはずのない刺激を求めて、黒乃は電話をかける。
数年後、ドイツのとある森の中。
「…………着いた」
『着いたのね。それじゃ、任務開始よ』
「りょー…………かいー」
黒乃は亡霊企業にはいり、スコールの元で働いていた。
『今回の目的は、廃棄予定の遺伝子強化素体の回収よ。一人でもいいから、必ず連れて帰って来なさい』
「…………むっ…わかった」
『最近出来たドイツ軍のIS部隊の隊長も、遺伝子強化素体という話よ。必ず役に立つわ』
「…………私は…………四人で…………十分だけど」
スコールの部隊はスコール、オータム、マドカ、クロノの四人だ。
黒乃自身は嫌がっているが、統一する為にカタカナで登録してある。
しかし問題がある。
オータムとスコールはカップルで、イチャラブしている率が非常に高い。
マドカは家事も何も出来ない為、任務以外の時はゴロゴロしている。
そう、家事全般は黒乃の仕事なのだ。
女が三人もいるのに、誰一人として家事をしようとしない。
マドカなんて、着れたらいいとか言って服を洗おうともしない。
黒乃は改善しようと頑張ったが、直ぐに諦めた。
それぐらい酷いのだ。
ここへ一人追加されたら、流石に黒乃も怒るしかない。
しかし任務は任務。
連れて帰らない訳にはいかない。
そんな事を考えながら、黒乃は最後の研究員を刻んだ。
「(カタカタカタカタ…………)んっ…………発見」
全ての研究員が死に、静まり返っている研究所の中で、黒乃はコンピュータを調べていた。
「…………惨い…………鬼畜の…所業」
そんな中、実験記録を見つけた。
どうやらこの場に残っている遺伝子強化素体は、一人しかいない。
そしてその一人を、研究員全員で改造していたみたいだ。
「スコール…………こいつで…………いいよね?」
『一人しかいないのなら、その子で決定よ。それだけ改造してあるなら即戦力ね』
「…………とりあえず…………最初に家事を…………覚えさせる」
『…………そうね』
黒乃はその場を後にし、連れて帰る予定の子がいる所へ移動する。
場所は地下。
真っ白な部屋の中に、その子はいた。
ほぼ裸同然の姿で、部屋の隅で体育座りをしている。
実際の年齢は分からないが、見た目は10歳ぐらいだろう。
「…………助けに…………来た」
「…………」
「…………出来れば…………反応が…………ほすぃ」
「………………………………zzZ」
「…あっ…………寝てる」
反応が無かったのは寝ているからだろう。
そう思い、黒乃はその子の元へと近づく。
「…………女…………か」
体育座りをしている子は女だった。
実験記録は文章だけだったから、気づかなかった。
自分が着ていた返り血で真っ赤に染まったローブで女を包み、ISを展開する。
次の瞬間、研究所は跡形もなく消え去る。
爆発などの類ではない。
まるで灰になったかのように、その場から消え去った。
そして黒乃は帰路に着く。
「…………おにーさん、何者ですか?」
「…………私は…………黒乃」
「クロノさんですかー」
「…………あなた…………は?」
「自分ですか?名前は考えた事無かったですね」
「…………なら…スコールに…付けてもらうといい」
そんな雑談を繰り広げながら、クロノは隠れ家へと帰宅した。
駄文です。
さて、この女ですが名前が決まってません。
考えるのもだるいです。
ですが、この女は重要人物。
重要な役割を担っている訳です。
さて、名前はどうしようかな?
あっ、黒乃は強さの次元が違います。
片手で千冬を圧倒出来るレベルだと思ってください。