最終回、相変わらずの駄文です。
意識が遠のいてゆくのが分かる。
血を欲し続けた私が、出血多量で死にかけているなんて、何て皮肉なのでしょう。
別にライトの能力を使わなくても勝てた。
それでもライトの能力を使ってしまったのは、私の中にいるライトの精神が、私の深層意識に訴えかけていたからかもしれません。
「………………フフッ」
敗因は、仲間を想い続けた仲間の意思かもしれません。
既に鍵であったライトは死んでいる。
後は彼処へ辿り着くだけだったのに………。
何故負けたのに此処まで清々しいのか。
もしかしたら、私も本当は、
この地獄を終わらせてもらいたかったのかもしれませんね。
納得のいく結末ではありませんが、死人に口無し、この事実を真摯に受け止め、此処でこの長い人生の終わりを受け入れましょう。
願わくば………………来…世は
幸………せな……人…生………を
身体から少しづつ力が、抜けていくのが分かる。
少しづつ、この身体から魂が抜けていくのが分かる。
この死にかけの身体を、現世に繋ぎ止める為に、私の中にいる数万の魂が犠牲になってゆく。
その事実が辛くて、悲しくて、足が止まりそうになる。
だけど、止まるわけにはいかない。
彼らは、私を前に進める為に犠牲になっているのだ。
私に願いを託しているからこそ、彼らはその魂を犠牲にしてくれるのだ。
『………………桜』
右手と左足を失った、一人の武士の成れの果てがそこにいた。
『………………すまない』
何に謝っているのか、分からない。
だが、謝らなければいけない気がした。
スパロウを………………兄さんを前に進ませる為に、その身を犠牲にして、彼女を足止めしてくれていた。
歩を進める足に、力が入る。
止まってなどいられない。
扉の前に着く。
壁一面に飛び散った血が、乾くことなく、少しづつ垂れていく。
いくら見渡しても、人らしき物は何処にも無い。
爆発によって、完全に焼けてしまったのかもしれない。
兄さんには感謝している。
騙していた事に心が痛む。
兄さんの本当の妹は、既にこの身体から消えてなくなっている事を黙っているのは辛かった。
彼だけにでも、真実を伝えるべきだったかもしれない。
だが、もう遅い。
私に出来るのは、彼の精神が崩壊する前に、全てを終わらせる事だけだ。
目の前にある扉に手を掛け、最後の力を振り絞る。
扉の先に有ったのは、一本の樹。
何と無く光っている様な気がする、とてもとても大きな樹。
周りを見渡すが、あの樹に水を与えている様子はない。
水を与えていない筈なのに、その樹はまるで水源に立っているかの様に、猛々しく、神々しく、その場に佇んでいた。
私はその樹に、両手を付け、樹にアクセスする。
触れると同時に、様々なデータが、記憶が、思いが、私の頭の中に流れ込んでいく。
膨大なデータの量に頭の中がパンクしそうになるが、何とか耐え、アクセスに成功する。
後は、願いを書き込むだけ。
涙が流れる。
やっと此処まで来ることが出来た。
やっと終わらせる事が出来る。
数多の死体を乗り越え、気が遠くなる様な時間を超えて、数え切れない程犠牲を出して、
それも、やっと終わる。
この世界も、別の世界も、苦しんでいる人も、幸せな人も、全て終わる。
願いを書き込む。
数秒のラグが発生した後に、世界は崩れ始める。
まるで子供が、数千ピースのジグソーパズルをひっくり返す様に。
世界はどんどん崩れ始める。
それと同時に、私の身体も崩壊し始める。
痛みはない。
だが、この身体とお別れするということは、悲しかった。
視界が黒くなる。
感覚がどんどん消えていく。
これが死なのだと、実感して分かる。
世界が終わる。
私も終わる。
全てが消えてなくなる。
全てが、生まれ変わる。
「………………」
視界の端に、スズメが飛んでいる。
「………」
今日も一日、とても平和で、とても楽しくて、とても美しい日だった。
「………」
学校は楽しい。
素直にそんな事が言える今が、とても尊いのだと分かっている。
「………おい、黒乃。私の話を聞いているのか?」
「………あっゴメン。聞いてなかった」
「………………相変わらずだな。その性格を直さないと人生損するぞ」
「………………うん、わかってる。ゴメンね桜、話を聞いてなくて」
「わかればいいんだ。早く帰るぞ、私は腹が減った」
桜の言葉に笑みを浮かべ、帰路に着く。
「………良いね」
「ん?何がいいんだ」
「限りある今を、楽しく過ごせる今が、とっても素晴らしいな…って」
「………たまにお前の言っていることが私には分からなくなる」
「分からなくても良いと思うよ?
だってこの答えは、多分世界で私しか出せないから」
「この世界が、この時間が、この生活が、二度と体験出来ない今を作ってくれているんだ」
「限られているからこそ、今が美しいんだ」
IS〜有限に憧れし者〜
最終話 有限 終
完結
to be continued………
この作品は前作努力チートが納得いかない結果だった為書き始めた、所謂ファンディスク的な立ち位置です。
一つ謝らなければいけない事は、ISなのにISの要素が殆どないという事です。
元々この作品はオリジナルとして出そうとしていましたが、キャラ設定を考えている時に、やっぱり黒乃のストーリーを終わらせてあげたいという思いが生まれ、ISでやることにしました。
本当に申し訳ありません。
IS自体は大好きです。
ですが、この終わりに持っていく為には、どうしてもISの要素を無くす必要がありました。
本当に申し訳ありません。
これからはポケモンの方をメインに更新し、既に構成は完成している新作を投稿する予定です。
それでは皆様、今まで読んでいただきありがとうございました。