「ふふ…………ふふふふ…………」
突如現れた黒乃。
千冬と束は身動きが出来ないでいた。
「…………束、ここのセキュリティは?」
「…………ホワイトハウスと同じぐらいだよ。どうやってここまで気付かれずに入ってこれたのか、束さんも分からないよ」
「…………空間…飛んで来ました」
「「⁉︎」」
目の前にいた黒乃は、いつの間にか後ろにいた。
「一つ、聞きたいことがある」
「何?」
「秋十を殺したのはお前か?」
「…………そうだよ」
「やっぱりそうなのか‼︎」
その言葉を発しながら、千冬は黒乃目掛けて裏拳を放つ。
しかし、その裏拳は空を切った。
「…………話は…最後まで聞きなよ」
「何が言いたい‼︎」
「彼は…生きてるよ…………最も…あれを生きていると…………言えるのか分からないけど」
「「⁉︎」」
「おい…………生きているとはどういう意味だ⁉︎」
「ちょっと待って…………」
そういうと、黒乃は深呼吸をし、言葉を紡ぐ。
「彼の脳を培養液の中にいれて、保管してある」
「「えっ…………」」
「常に脳に刺激を送り続けて、死にたくても死ねない。そんな状態になっているよ」
「そんな…………酷すぎる」
「貴様、本当に人なのか⁉︎やっている事が外道すぎる…」
千冬の言葉を、黒乃はふっ、と鼻で笑う。
「…………永遠ともいえる時間を生きれば、心も壊れるよ」
「どういう意味だ?」
「さぁね。で、どうするの?私を倒すの?」
「…………束、武器はあるか」
「ちーちゃん⁉︎逃げようよ‼︎」
「…………あいつは私の弟を酷い目にあわせ、更には人権を無視するかのような行動をしているのだ。倒さなくては」
「…………勝てると…………思ってるの?」
「思ってないさ、だが…………」
千冬は束から受けとった日本刀を構える。
「一夏と秋十の分、二太刀ぐらいは当てて見せる‼︎」
黒乃は思った。
織斑千冬の思いは本物だ。例え死んだとしても、必ず二太刀は決めてくるだろう。
だからこそ、黒乃はめんどくさく思う。
「私は…………依頼以外は…………殺さないん…………だけどね」
黒乃も構える。
「ここじゃ…狭いよね」
黒乃の手が、ピカッと光る。
すると、研究所に居たはずが周りは一面の草原。
「…………北海道の…………辺境だよ」
「成る程、一夏達を誘拐したのはこの方法か」
「…………右手…中指…………だけ使う」
黒乃の発言に、千冬は激怒する。
「貴様ァ‼︎私を愚弄する気かァ‼︎」
「違う…………殺したく…………ないだけ」
二人の間に、ただならぬ空気が流れる。
その二人を束は見守るしか出来ない。
「…………ハァッ‼︎」
千冬が日本刀を振り下ろす。
それを黒乃は避ける事無く、身体で受け止める。
血が吹き出るが、直ぐに血は止まり、傷も塞がる。
「貴様、その身体…」
「細胞…………活動が…激しいんだ…………傷も…即完治」
「…………それが、死なない理由か」
「悲しいけどね…………」
黒乃は暗い表情を浮かべ、笑みを浮かべる。
「何故笑える…………お前は、何故そんな身体でありながら‼︎笑うことが出来るんだ‼︎」
千冬には理解出来ない。
永遠ともいえる時間を生きるという事の意味は、分からないが、あの身体で生きているのであれば、心が崩壊しても可笑しく無いかもしれない。
「何でだろうね……………………心が、壊れちゃってるのかな?」
笑みを絶やさず、黒乃は一瞬で距離を詰め。
鳩尾を中指で軽く突く。
ただそれだけ、たったそれだけ。
それだけで、千冬は数メートル吹っ飛ぶ。
「ちーちゃん⁉︎」
束が駆け寄り、千冬を抱かえる。
「終わり…だね」
黒乃の手が、再び光り始める。
そんな時、
「ねぇ、君の名前…………本当に黒乃なの」
束が話し始める。
「そうだよ…………僕は黒乃…それ以外の名は…無い」
「違う…………違うでしょ。
だって君は…………
いや、くーちゃんの本名は…………
財前…………黒乃でしょ?」
黒乃の手が光り、二人を返還する。
「何故…………その名を」
この世界に来てから、一度も語ったこともない。
国籍を持たない黒乃の本名を知ることは、黒乃に聞くことしかない。
スコールにも、マドカにも、オータムにも、ライトにも話したことのない本名。
大きな風が吹き、黒乃の姿が消える。
数年後、原作開始
「織斑一夏ねぇ」
「スコール様ー、本当に私なんですかー?」
「ええそうよ。ライト、貴女にはIS学園に潜入してもらうわ」
「うえー、マジですかー。あと、クロノさんはー?」
「長期の依頼が入ったとか言ってたわ」
進み出す。
原作が開始します。
何故束は本名を知っていたのか、黒乃の行方とは。