下手の横好きが書いたので非常に拙い文であり、誤字脱字矛盾その他諸々があるかと思われます。それを踏まえた上で、読んでいただけると幸いです。
「■■■■◾︎◾︎◾︎…」
折り畳んでいた巨大な四脚を伸ばし地へと向け、轟音を連れて降り立った、宇宙を連想させる青と紫の混色を纏うそれは、形容し難く、しかし聞き惚れるような。不可思議な音声で歌う。
「■■■■◾︎◾︎◾︎…」
果たしてその歌は、再度踏みしめた星に住まう遍く生命体への、二度目の死の宣告か。無窮なる藍の世界を、長きに渡って共に旅した同胞達へ捧ぐ、始まりの祝福か。
「■■◾︎◾︎■■■◾︎…」
要塞の如きそれの上部から湧き出てくる、無数のピットが飛翔する。空を隠す黒雲の下で、同じく生産された機衣人達と足並みを揃えて、紙に落ちた水滴のように、じわじわと彼等の領土を広げて征く。
かつて勃発した、第三次宇宙文明侵攻の跡地、「墓標並び立つ黒土」を覆う、夢見る機械達の洪水。圧倒的な質量と物量を併せ持った、無機物の行進には、最早人の力では抗う事は叶わず…
「———私を見下ろすなんて、良い度胸じゃない」
故にこそ四機は、モノアイの
「不遜な奴だねぇ…どうする大将、ぶっ壊すかい?ぶっ潰すかい?」
二本の大剣を背に、紺碧のラインが走る大型の鎚を片手で軽々と肩に乗せた、近接戦特化の大型機衣人が、敵を鋭く睨みつけながら、荒々しい口調で問う。
「選択肢が少なすぎやしませんかね…まぁぶっ壊すのには賛成だけど」
腕部よりも太い機器で繋がれたバックパックのようなものを背負い、右手に槍を握る騎士然とした外見の機衣人が、槌使いに賛同する。その後、黒い台形の中に灯る光を左にずらし、もう一機に視線を向けた。
「…姫の命に従うのみ」
肩部の八連装誘導型ミサイルと対機衣人用バズーカ、腰部の機関銃に、脚部の無誘導ミサイルをシンメトリーに配置。更に右腕部に長方盾と対大型機衣人用狙撃銃、左腕部には対機衣人用鎖鋸と散弾銃を装備する、槌使いよりも更に巨躯な機衣人は、外見にそぐわぬ落ち着きのある声で応え、沈黙した。
「そう。なら、命ずるわ」
前述した三機の正面で、威風堂々と仁王立ちする機衣人が、改めて口を開く。
「壊しなさい。破壊しなさい。目障りなあのガラクタを、私を見下すガラクタを、許しを請う咎人のように、惨めに地に這いつくばらせなさい」
「仰せのままに」
上に立つ者として、確かな
「…前置きはこのぐらいでいいかしら?」
「十分かと」
「録画もバッチリです」
「ならさっさと始めようぜ大将。アタシゃもう我慢できないよ」
「少しは待ちなさい。“
今にも飛び出していきそうな家来を静止し、軽く深呼吸をする。そして、上辺だけでなく、内面まで
「“
戦いの幕を。
「別称、『Consultare Cometa作戦』」
凛々しく、切り落とした。
「開始!!」
「「了解!!」」
「了解」
一番槍を戴いたのは、ラインが薄く発光し、玄能に青色の電気を纏い出した槌を構える超越者。改良型噴脚と、大剣を挟むようにして装着された、背部の三機の大型推進機によって侵攻の名残である
「おっと、流石最高難易度。狙いも正確で弾数も多いねぇ!」
武器を持ち、猪突猛進してくる超越者とその仲間達の接近を察知したモノが、塔のような四つの脚部が支える胴部分から、固定粒子砲や粒子機銃を撃ち始めたのを皮切りに、母体であるモノを守るべく、飛行していたピットが空から各々の適正射程での射撃を始め、陸を制圧していた機衣人が、それぞれの武装と脚部を活かして射撃、又は接近を試みる。
放たれた粒子砲を改良型噴脚で瞬時に左に飛ぶ事で回避しつつ、敵方の熱い歓迎に喜色に満ちた声を上げる超越者は、時折脚部や腰部の推進機も使用し、必要最低限の動きで被弾を避けながらぐんぐんと前へ進んでいく。
「“transcendere・confine”、あんま先走らないようにしてくれよ?俺と“
「分かってるって、“
「本当に分かってるなら、もうちょい息を合わせて進んでくれ…姫」
「見えてるわ、離しなさい」
「はっ」
先行していた超越者に追いついたベティヴィエールが、片腕で抱えていた四機のシールドピットを宙へ優しく放る。すると、超越者の周囲へとシールドピットが移動し邪魔にならない距離で三機は衛星のように回り出し、一機は頭上へと移動した。
ネフホロのプレイヤーの中でも、最高峰のピット操作数を誇る指揮官機の援護を受けた超越者は、その勢いのままに、滑走輪脚で不規則に揺れながら迫る粒子剣持ちの敵機衣人に向かって槌を振りかぶる、が。
「さっすがウチの大将!これならアタシも、気兼ねなく武器を振るえるって」
殴りかかる寸前に粒子剣持ちの機衣人の胴部。それも、
「指定の座標まで援護する」
「エネルギーの消費は避けていきなさい」
原動力がなくなり、崩れるようにして倒れていく機衣人を踏破し、超越者が先陣を行く。
万能の砲手は、上空から降り注ぐ弾を盾で受けながら、指揮官機とつかず離れずの距離を保って噴脚で前進し、狙撃銃を前衛の二機に襲いかかる標的へ向けて発砲する。
「…分かってるってぇ。そんなにアタシが考えなしに見えるかい?」
「「「…」」」
「…見えるみたいだねぇ。まったく」
各機
その隙を敵方が見逃す筈もなく、三機の機衣人が、モノの粒子砲による援護射撃の波に乗って、左右正面から肉薄する。
しかし、超越者は慌てる素振りを見せない。むしろ、それを待っていたと言わんばかりに砂色の瞳を爛々とさせ、勇猛果敢に迎え撃つ。
「…なら」
改良型噴脚の機能を切り一度地面に着地し、機体正面に集ったシールドピットによって一発目の粒子砲を躱すのに併せて右機衣人の方向へ跳躍。一際強い光を放った増大槌を右殴りの姿勢で構えながら、再度改良型噴脚で前方へブーストし、粒子剣を振り上げようとする機衣人に衝突する寸前、前に向けた左脚の全力噴射で前へのベクトルを殺して、右脚の噴射と起動した背部の推進機で車に撥ねられたかのように左へと急転進する。
ドウンドウンドウンッ!と小刻みに噴射と推進機の起動をする事で、瞬間的に加速した超越者が、中央側にいた機衣人の粒子剣による薙ぎ払いを紙一重で飛び越え、左側の機衣人に接近。油断はしておらずとも、あまりの速度に対応が遅れたそれが剣で斬りつけるよりも速く、大槌を左方向から振るい。
「汚名挽回と行くかねぇ!!」
機衣人用武器の生産企業。その一社に属する
「危ねぇ!?FFには気を付けろって!後挽回してどうする!返上しろ返上!!」
「ニュアンスが伝われば問題ないのさ!」
直前に危険を察知し、高跳びしていたシールドピットとベディヴィエールが、超越者の元へと戻る。
大槌に吹き飛ばされた機衣人達の直線上。そこに他の二機がいた不幸も相まり、積み重なり物言わぬ残骸と化した機衣人を越え、両者はモノとの距離を詰めて行く。
「所で、そろそろかい大将?」
「ええ、予想が正しければ、もう直ぐ例のエリアに入るわ。二人共、作戦内容は覚えているわね?」
改良型噴脚を休める目的で、地に足をつけて走る超越者の抽象的な言葉に、指揮官機が主語を付け加えて返す。
「応さ!」
後退すると共に粒子機銃の弾をばら撒く機衣人に、ベディヴィエールは左手に持っていた物を横へと投擲。ヨーヨーに類似した形状の武装が、内に収納していた合金の鉄線を残らず吐き出させると、左手に残る機器のボタンを押して鉄線を赤熱させ、引き撃ちの体勢を取る機衣人へと振るい、鋼鉄の体躯を上下に容易く溶断した。
矢継ぎ早に来る敵に備え、ベティヴィエールは素早く鉄線車を巻き上げる。そして、指揮官機に随伴する万能の砲手へ、信頼せているが故の語気の荒い冗句を飛ばした。
「そらよっ、と。はい、大丈夫です。“Leonardo ・artigliere”!姫に傷一つでも付けたら、これで串刺しだからな!!」
「ああ。重々承知している」
時折上空から突撃してくるコマンドピットを、誘導ミサイルや散弾銃で迎撃するのと並行し、支援攻撃を行う万能の砲手。その、指揮官機には傷一つ付けさせないと言外に仄めかすような、返答に満足したのか、ベディヴィエールは他に何も語らず、ただ横に伸ばした左手でサムズアップした。
「そう、なら良いわ。頑張りなさい」
「健闘を祈る」
ベディヴィエールはともかく、問題の超越者も記憶している。それに安心したのか、若干柔らかい声で指揮官機は、万能の砲手と、前衛の二機に向けて激励の言葉を送る。
後方の二機の言葉を背に受け、超越者とベディヴィエールは例のエリアと称した、モノの引き起こす通信妨害圏へと突入する。
綿密に練った作戦通り、戦局を二分化させていった。
side【“
ズィミウルギア・モノは、自機の一定範囲内に機衣人が侵入すると、通信機器をジャックして、強制的に自分の歌を流す。私と
「厄介なギミックね」
初見攻略の都合上、ストーリー中に散りばめられたヒントを頼りにして、作戦を立てるしかなかったけれど、今の所大きな誤差、誤差を引き起こしかねないものは見当たらない。心の中でガッツポーズを取るも、思考は休まず、ビームガンナーピットとシールドピットを動かし続ける。
「しかし、この程度の障害。姫が立案された作戦通りに行けば、問題ではないと」
背部に搭載する巨大な長方体のとある武装の裏側から、戦車の上半分をそのままとって付けたかのような榴弾砲を起動。人間で言うなら、肩甲骨の下辺りにあるサブアームに散弾銃を仕舞わせ、空いた手で左側面を覆うように展開した榴弾砲の
狙撃用視覚カメラでない、汎用的な視覚カメラから繰り出す砲撃を、機体名に恥じない精度で、前の二機に近づく機衣人に命中させる。そんな芸当を淡々と繰り返すfoolが、私の独り言に反応した。
最古参にして、頼れる右腕の持ち上げる台詞は、とても心地良い。けれど私は、それに浸るのは悪い結末を招く事を、何度も身をもって体感している。
「過信するのはやめなさい。所詮は藁を編んで作った家。青天霹靂の前には、無常に吹き飛ぶ他ない、軟弱な建物擬きのものよ。出撃前にも言ったけれど、作戦は若干歩きやすいと思うくらいの獣道。無理に通って蛇に噛まれる必要はないのだから、ある程度の事象なら貴方自身で考えて、回り道をするなり、最善と判断した行動を取りなさい」
戦況は流動するものであり、予期せぬ出来事だって起こり得る以上、作戦の力を過信し、何とかしてでも筋書き通りにしようとするのは愚の骨頂。いくら家臣のFoolや◼️◼️、クトゥルンがその予期せぬ出来事にも柔軟に対応できるだけの力量があったとしても、そんな状態では勝利は叶わない。
だからこそ縛るのではなく、ある程度は各々の判断に任せる。家来達は力を十全に発揮でき、私は一部の思考に割くリソースを別に回せるから、一石二鳥というもの。
「了解しました。では…失礼」
前衛二機。特に、クトゥルンの駆る超越者の動きに注意しつつ、モノが此方にも機衣人を送り込んで来るのを確認して、戦闘の激化に備え右腕を外に出しピットを隊列に加える。すると、レーダーマップ上の点、foolを示すものが、私の隣に移動してくるのを視界の端に捉えた。
「…何のつもり?」
「姫の守護こそ、最善であると判断しました。無頼漢共の相手は私が務めるので、どうかご安心してピットの操作を」
聞くに堪えない嘘に、つい口から溢れそうになった溜息を何とか飲み込む。
今回の戦場で、私の生存は重要でないのは理解しているでしょうに…私情込み込みじゃない。
「好きになさい。ただし、エネルギーの残量に、は…」
乱れた思考を整えようと、会話を早々に切ろうとした直後、モノの異変に気づく。
聳え立つ塔のような四つの脚に支えられた、甲板と言うべき場所の中心。そこで、半透明の膜に包まれたまま、今の今まで微動だにしていなかったモノの上半身に当たる部分が、休息を終えた鳥が翼を開くように、畳んでいた左右の腕部を展開している事に。
「…!」
悪感が、脳裏をよぎる。
大地に水平に伸びていく腕部は、仮に伸ばし切ろうとまだ前衛の二機には届かず、掌から射撃でもするのかと思えば、その様子もない。頭部の表情は以前変わりなく、ただ私を嘲笑うように胸元のアメジストに似たコアを、妖しげに光らせる。
何を為そうとしているのか。意図は果たしてなんなのか。分からない。分からないけれど、その行動は私達に害を与えるものだと、根拠はないが確信めいたものを抱いた刹那、私は叫び。
「総員!!」
あたかも、自らの歌を賛美するように広げる両腕の側面が放つ、数十の眩い
「回避きゃ!?」
「っ!!」
戦火に晒され、焼け焦げた大地を、幾つもの紫苑色に輝く粒子照射砲が鋤いていく。
強烈な速度で迫り来る、極太の光柱。私はそれを避けようとし、推進機を吹かす直前、foolの駆る噴脚を最大稼働した“Leonardo ・artigliere”に抱き抱えられ、非常に不本意な体勢で危険領域を離脱する。
「っ、mineとクトゥルンは!?」
焦りで決まり(出撃中は余裕の無い状況と私に対して以外、機体名で呼ぶというもの。前衛二人は長続きしない)を忘れ、二人の名を呼ぶ。当然、返事は返ってこないが、操縦の手が止まり、一時的に静止状態になっているシールドピットを発見して、更にその先に無事照射砲を回避したらしい二人の機衣人を見つけ、胸を撫で下ろした。
なんとか無事ね…でも、通信妨害圏外の私達にすら、攻撃が余裕で届いているのを踏まえると、今のはMAP兵器かしら?照射砲直径は大体二十五から三十。照射跡に持続判定は…無さそう。直線に撃つだけはあまりに単調だから、照射パターンは他にも幾つかあると考えておいた方が賢明ね。
「…」
「…ご無礼、申し訳ありません。罰はこの戦の後、謹んでお受けします」
事前情報にない攻撃についてつい熟考していた私を、怒っていると勘違いしたのか、foolが本当に申し訳なさそうな声色で謝罪してきた。
大型犬が私を見上げる姿を想像して、もう少しこのままでいて困らせてやろうかしら、と悪戯心が芽生えるが、今はそんなことをする暇はない。照射パターンの考察は一旦止め、ビームガンナーピットとシールドピットの操作を再開し、前者は私の周りに、後者は超越者の周りへと向かわせる。
「別に、気にしてないわ。けど、エネルギーの残量には留意しておきなさい?道は一つではないとはいえ、いくら進んでも望んだ結末を得られないのなら、結局はみんな同じなんだから」
「銘肝します」
「分かったなら、早く下ろしなさい。視界がブレて操作がやりにくいのよ」
「はっ…っ!」
「ひゃっ!?もう少し丁寧に…っ!」
後ろに投げられるようにして下され、あまりにも雑な扱いに文句を吐こうとfoolの方へと向き直る。でも、敵機衣人の鉄剣を長方盾で防いだまま取っ組み合う、foolの“Leonardo ・artigliere”を確認し、文句ではなく、ピットによる粒子弾の雨を、無防備な敵へと降らせた。
「照射砲は時間稼ぎにもなるってわけね…!」
「ふん。如何致しましょうか、姫」
ボロボロの機衣人の胴部を、唸りを上げる鎖鋸で突き破り処理したfoolが、私に命令を求める。
レーダーマップには、あのMAP兵器を隠れ蓑に接近したと思わしき敵影が複数。敵機衣人の耐久力は紙なので、一体を倒すのにそう時間はかからないけど、射撃タイプと格闘タイプに分かれている上、そこにモノと空のピットの横槍も入る。きつくはないが時間はかかるし、実質的に拘束されているから、援護もできない。
数瞬考えを巡らせ、結論に至り行動を起こす。
「援護は一旦中止。プロットCまでに周囲の敵機衣人を迅速に殲滅」
「了解しました」
「はぁ…自分で判断なさいと言った側から、命令を下すなんて」
「やむを得ない状況故、無理もないかと」
“transcendere・confine”の周囲に配置していたシールドピット四機をオート操作に切り替え、代わりに背部のソードピットを同数起動する。
脳への負担がギリギリ掛からない、ビームガンナーピット三機。ソードピット一機の四隊形成し、一隊を自衛用に追従させ、他の三隊で応戦した。
「私は操作に集中したいの、よ!」
噴脚による飛行で、上方から撃ち下ろす機衣人の脚部を一隊の集中砲火で溶解。推進力を失い、地に堕ちる最中で更に視覚カメラにソードピットを突き立て無力化し、他の二隊で肉薄してくる近接型機衣人をセルフ挟撃する。
近接型六、射撃型九。コマンドピットの突撃、及びモノによる粒子砲発射兆候確認…駄目ね、一々言語化していたら他が処理できなくなる。多少の粗さには目を瞑ってでも、敵の行動は感覚で把握した方が良さそう。今優先すべきは、ピットの操作と囲まれない事。向かい合ってドンパチやる分にはあまり苦労しないけれど、包囲されたら消耗が加速する。だから。
「右の敵は私がやるわ。貴方は」
「左の敵の相手は私が務めます。危機が迫れば、存分にこの身を盾にお使いください」
「…分かってるじゃない」
「姫に仕える者として、この程度は必須の技能ですので。では」
さっきのは分からなかった事も知らず、間抜けにもfoolは誇らしげに言って、その場から離れる。
…ちょっと生意気ね。でも、会った時に比べれば、こっちの方が頼りがいがあるかしら。
「…ふふっ」
過去の記憶を想起して、つい戦場に立っているのを忘れ笑いを零す。
辛酸を何度も舐めさせられて、恥ずかしい失敗を繰り返して。それでも諦めないで戦って、泥を被りながらも手に入れた、勝利の美酒を分かち合って。思えばもう四年近く、姫プを続けてきたのね。未だに私が憧れるあの理想の姫には、遠く届かないけれど。
「あら?」
後で一人反省会ね、と思い出を懐かしむ緩み切った己を自戒して前を向く。すると、死に体の機体でも健気に私に剣を振るおうと肉薄する、機衣人の姿が瞳に映った。
s字の軌跡を描き、けたたましくも美しい戦争音楽を置き去りにせんと疾走する機衣人に、三隊を他の敵の攻撃に当たらせている私は、何もしない。
残していた一隊で、しつこく突っ込んでくるコマンドピットを迎撃するだけで、何も。
「!」
大気を裂き、轟々と差し迫った機衣人。首を求め彷徨う死の妖精の如く、粒子剣を振り上げたゲームオーバー。
その間合いに入る寸前に、私は優しく助言をした。
「こんな初見殺しにも引っ掛かったら、孤島では生きていけないわよ?」
「…!?」
赤子のように持ち上げられ、車輪の空回る音が虚しく響き、剣の柄から放出される粒子と共に、消える。
敵機衣人の視覚カメラが消灯し、その背でモノの粒子砲を受けてもらったのを確認して、胸部に突き刺した二本の赤熱した剣。平均の凡そ
「まぁ、貴方に二度目はないのだけど」
機能を停止させた剣から、高温発光がなくなるのを見届け、認識阻害外套の下から外に出した部分を内へと戻す。
腕か脚、若しくはその両方が、タコの触手のように自由自在に動かせる、多関節型機衣人。操作難度や、動作中の燃料の消費が多いなどのデメリットを持つ。けれど、動かさなければ少し多いぐらいの燃費で済みむし、外套の中に仕舞い込めば、相手にタイミングや仕方を悟らせずに攻撃ができる。デメリットも気にならない性能を秘めた型。
と、ここまで熱弁したはいいものの、相手にもよるけど、まず近づかれないようにするのが一番。私の“plotone・comandante”は、多関節型の中でも屈指の長腕を持つ為に、インファイトは苦手中の苦手。NPC相手ならまだしも、プレイヤーに対してこれを使う状況は、危機と同義だもの。これも反省ね。
「さ、他も片付けましょうか」
これ以上、一人反省会の議題を増やすのは流石に許容できない。
致命的なミスの防止も兼ねて切り替えた私は、眼前の敵を一掃する為、一層ピットの操作に神経を注いだ。