あなたはウマ娘である。   作:サイリウム(夕宙リウム)

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今日は描写が足りなかったミホシンザンの皐月賞からです。
イベントは楽しいものになりそうですね。

タイトルつけ忘れた愚か者は浜で死にました。


「お屋敷はどうしたの?」 「放してやった」

『今、スタートです。』

 

 

あの子は……、出遅れた! 逃げで来られたら今の脚じゃ太刀打ちできなかった可能性が大きい! まだ可能性はある!

 

 

『おっと! やっぱりまた出遅れましたね。6番を最後に全ウマ娘が霧の中に消えました。約1分半ほどの空白時間。こちらからは見えませんがどんな苛烈なレースが繰り広げられるのでしょうか!』

 

 

霧の中のレース。右足に爆弾を抱えたままのレース。初めてのことだけどここの2000m。どこでどう走ればいいのかは頭に入っている。あとは走行妨害にならないように周りに気を付ければいいだけだ。

 

比較的いい位置につけた私はレース前にトレーナーから伝えられたことを反芻する。

 

 

 

 

「いいか。まずその足をかばいながらのレースになることは解っているよな。……よし。その右足首をどうやって守っていくかだが、一番負担になるコーナーは流していこう。」

 

 

「流す、ですか。」

 

 

「あぁ。勝負を仕掛け始める最終コーナーは別だが、それ以外は速度を落として負担を減らせ。もう言ってしまえば最後まで脚を休ませてもいい。」

 

 

「でもそれじゃあ!」

 

 

「あの変人には勝てないよな。解ってる。……聞いた話なんだが奴さんURAの方から警告くらってるらしくてな、あの縛られたくない性格ならば今日は絶対に出遅れる。これを利用しよう。これまでのレースを見た感じ出遅れた場合、あいつはもう前に行こうとする意思はない。ゆっくりと周りを見渡して道を探しているように見えた。」

 

「ケガなしの今のミホなら逃げているアイツとも十分勝負できただろうが……、まぁとりあえず追い込み策で来ることを逆手に取ろう。」

 

「霧の中で危険だが最終コーナーあたりで仕掛ける。外を回るのではなく他の子たちをすり抜けるように前に行く。」

 

「そうなると、周りは抜かれたスキマを埋めようとして最後尾から上がってくるアイツをブロックできる。」

 

「ミホは2000。奴さんは+大外。視界が悪い霧のレースだから出走者全員が手探りの状態。接触などを考えればわざわざ狭いところよりも外に出始める。」

 

 

 

「……つまり最終コーナーまでペース遅めで脚を溜める。コーナーに入ったところで内側を通って全力疾走。彼女は大外を通るのでロスになるということ。でも追込で来ることが前提なんじゃ……?」

 

 

「賭け、だな。」

 

 

 

 

 

 

賭けに、勝った! 視界が悪くてよく解らないけどアイツは最後尾! 霧のせいか全体のペースも遅め! 足に負担がかからなくて済む! これなら……!

 

 

 

 

(うし! そろそろ最終コーナー入ったあたりだろうし! イクゾー!)

 

 

先頭が見えないけど標識で見た感じちょうど今先頭が最終コーナーに入った! 全容は解らないけど前は開いてる! ココだ!

 

 

 

『あ! 見えてきました見えてきました! 先頭はミホシンザン! ミホシンザンです。 最終コーナーを抜けたあたりで先頭に立っているのはミホシンザン!』

 

 

足が痛い、うまくすり抜けて前に出れたけどコーナーで脚を使いすぎた。 でも、でも! あとちょっとだけの直線! 痛みなんか気にしない! 考えない! ただ、前に!

 

 

『大外から回ってきました6番! 大外からやってきたのは出遅れ娘!』

 

 

 

くッ! 後ろにいる! 思ってたより来るのが早い! 大外に回ってこなかった? 私みたいに間を抜けてきた?

 

 

 

 

足の痛み、上がってきたライバル。

 

 

「ッ! 負けるかァ!!! 負けてたまるもんか!!!!!」

 

 

 

『ミホシンザン先頭! ミホシンザン先頭! 後ろから6番、差は3馬身、2馬身、どんどん迫っていく!』

 

 

 

私は! シンザン先輩みたいになるんだ! 三冠になるんだ! 憧れたあの人に追いつくって決めたんだ!

 

 

 

『迫る迫る! 追いつくか! 追いつくか! 並んだ並んだ!』

 

 

 

こんなところで! 最初の一歩で! 躓くわけにはいかないんだ!

 

 

 

「あぁぁあああああああああああああああ!!!!!」

 

 

 

両足が痛い、肺もつらい、全身が燃えるように熱い。

 

でも負けたくない。夢を否定したくない。

 

 

ただ、前へ。

 

 

 

 

 

 

隣に感じる息遣い、痛くて、辛くて、でも諦めたくなくて。

 

ちゃんと前を見据えてた、それなのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんで私はアイツの影を踏んでるんだ。

 

 

 

 

『抜いた! 抜かした! 6番前に出た! そのままゴールイン! 一着となりましたのは6番! ホープフルに続き皐月賞も制しました!』

 

 

 

 

通り過ぎるゲート。一番は、私じゃなかった。

 

 

 

なんだか、張り詰めていた気持ちが全部なくなってしまった感じで。足の痛みもひどくって、うまく減速できずにそのまま飛び込みようにターフに寝転がる。仰向けになって息を整える。

 

 

「……負けた。」

 

 

 

負けた。ケガが理由じゃない。気持ちで負けた。

 

全力で、ただ前を見て走れば影なんて見えない。地面なんて見ない。

 

 

痛くって、夢が壊れるのが怖くって、不安になった。勝ちたい気持ちにヒビが入った。

 

気持ちで、負けちゃった。

 

 

「……負けちゃった、なぁ。」

 

 

 

 

 

 

「ミホ。はい!」

 

 

アイツが、寝転がった私に手を差し伸べる。

 

足が痛くて立てないとかじゃない。立つ気力が出てこない。

 

 

 

「よい、しょっ、と!」

 

 

手をつかまれ、無理やり起こされる。そのまま腕を自身の肩に回される。

 

 

 

「ミホ、ケガしてたでしょ? わたくしそんな方と勝負して勝ったとしても嬉しくもなんともないですわ! ま、さっさと治して次勝負しよ? 皐月賞はこの大怪盗が預かっといてあげるからちゃんと取り返しにきなよ、刑事さん?」

 

 

…………そう、だね。

 

 

「………ははっ、なら次こそ豚箱に叩き込んでやるから覚悟していてよね。」

 

 

 

皐月賞で勝てなくても、シンザン先輩と同じになれなくても。私がここで終わる理由にはならない……、預かってるからちゃんと取り返しに来い。ふふ、なんでこんなこと言えるのに、いつもアレなんだろ。こんなのあるから嫌いになれないんだよね。

 

 

 

「それとミホ、また関西弁外れてるよ? 最近ガチのなにわ人来たからそのキャラ付けやめたら?」

 

 

 

訂正、やっぱコイツ嫌い。

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーー

 

 

 

 

「敵襲! 敵襲ーーーーーー!」

 

 

「だ、誰か警察呼んで!」

 

 

「ダメです! 電話線が切られてて外部に連絡できません! 電波も妨害されてるのか無理です!」

 

 

「に、逃げるんだぁ。勝てるわけがない!」

 

 

「死にたくないぃ! 死にたくないぃ!」

 

 

 

 

 

ロケランに自動小銃。ミサイル片手にお腹に手榴弾とゴム弾&ペイント弾。

 

顔には迷彩のフェイスペイントをしているムキムキマッチョマンの変態!

 

 

 

 

そうコマンドー!

 

 

 

 

 

ではなく、あなたである。

 

 

 

タタタタタタ! と軽快な音を小銃で響かせながら護衛の黒服を無力化しているのはもうコマンド-であるが、あなたである。一応ゴム弾なので安心だがやってることは単なるカチコミだ。

 

 

いくらあなたと言っても理由もなく襲撃してくることなんて……、いや否定できないですね、やりそう。ま、まぁ? 今回はちゃんと理由があるので大丈夫なはずです。

 

お家のゴタゴタのせいで皐月賞に出れなかったシリウスシンボリちゃんの仇討ちというか、反省を促す襲撃というか、まぁそんなわけで。友を悲しませた悪い大人はあなたにとって粛清対象である。おとなしく大規模イタズラの餌食になるといい、ってわけですね。

 

一応、あなた。こういったカチコミに礼儀があることを知っていたのでシンボリ分家の方に『反省を促す例のダンス、ロング版』をわざわざカボチャと全身黒タイツで撮影して送っている。分家のお偉いさん方は単なる迷惑行為、イタズラと判断したようだが、シリウスちゃんは『あ、アイツガチでなんかやらかす気やん。はよ逃げな』という感じで逃走。襲撃されてるのはちょうどお偉いさん方と護衛とか使用人の方々だけである。

 

 

 

襲撃しているあなたからすればもっと手厚い警備が施されている……、って思ってたので拍子抜け。お屋敷から逃げ出されないようにバリケードを張ったり、車からガソリンを抜いておいたりと色々したのに台無しである。途中から護衛さんの数が少なすぎて退屈になってきたので、恐怖で気絶したお偉いさんの額に『肉』って書いたり、壁にペンキで落書きしたりして遊び始めている。目的忘れてません?

 

 

 

 

おっと、通信が来たようだ。

 

 

 

 

「中央トレセンには2000人ものウマ娘が住んでいるのよ。URAたちはそれを観客席から見下げて! 解ってるつもりで! その方がおかしいのよ!」

 

 

「この分家シンボリを、私が襲撃するのを阻止できなかったとは!?」

 

 

「なんでゲートをここ(お屋敷)に落とす!? これではシンボリ分家のお財布が寒くなって人が住めなくなる! この世の冬が来るぞ!」

 

 

「この屋敷に住む者は! 自分たちのことしか考えていない! だから抹殺すると宣言したのだ!」

 

 

「ウマ娘が人に罰を与えるなど!」

 

 

「この私がわざわざ粛清してやろうと言ってるのだ! それがなぜわからん! ミホ!」

 

 

「エゴだよそれはァ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……え? ミホ? いやアイツは解るけどなんで?」

 

 

「あら! シリウスお帰りなさい! ごめんなさいね、お家襲撃している途中なの。」

 

 

 

あなたがお屋敷を襲撃しているちょうどその時。やっぱりなんか心配になってきた心優しきシリウスシンボリはそろ~っと、分家のお屋敷に戻ってきていた。

 

そしたら玄関口に車いす止めて、トランシーバーに向かって熱演しているミホシンザンがいたからビックリである。足大丈夫なの? 確か皐月賞後に右足首の骨膜炎の悪化、左足の骨折で入院してるって聞いたんだけど……。

 

 

 

「足の方はまぁうん。でもちゃんと治るから安心していいよ。病院は病室で退屈してたところをあの子が連れ出してくれたから脱走中。」

 

 

「あぁ、ならよかったんだけど……? いや良くないが? 私、もっとミホ大人しいと思ってたよ。……んでさっきの台詞なに?」

 

 

「逆シャアごっこ! 彼女と無線で色々やってるけど楽しいわよ! ……それにシリウスのお家について何も思わなかった訳ないからね。私も怒ってたんだよ。足のせいでちょっとストレスたまってたし、いい発散になるしね。……あ! シリウスもやりたかったんでしょ! ちょうど艦長役空いてるしやろうよ!」

 

 

 

『あ、ミホ~~。制圧終わったし、目標地点から人離したから落としていいよ。』

 

 

 

 

「りょ!」

 

 

トランシーバーからあなたの声が届き、ミホシンザンも車いすから真っ赤なボタンの付いたリモコンを取り出す。

 

 

「………い、一応聞いていい? な、何落とすの?」

 

 

 

「『そりゃゲートでしょ。』」

 

 

 

 

 

 






あなた(シャア)

……あれ? いい子(前半)?

(後半)ごめん忘れて。


コロニー落としならぬゲート落とし。死傷者は0でしたが一部の方々のお財布は浜で死にました。お屋敷を崩壊させた後残ったペイント弾でスプラトゥーンしてましたよコイツ。
なお、世間を騒がせたお仕置きとして学園側から二か月のトイレ掃除を言い渡された。URAからは書類で注意しただけの模様。ちょっとURAも思うとこあったのかもね。



ミホシンザン(アムロ)

史実通りにケガしちゃった。でも絶対リベンジする。
シリウスが出れないことに彼女も、もちろん怒ってた。嬉々としてボタンを押しました。


シリウスシンボリ

怒らせてはいけない、というかハジケ出したら止まらない二人を見てちょっとだけ怖かった。でもすっきりした。


シンボリ分家のお財布

空っぽ。




あとがきウインディちゃんなのだ。ネタは感想欄から頂いたのだ。ありがとうなのだ。そんなことよりもハロウィンガチャの出走者たちエチチ過ぎるのだ。よく審査通ったのだ。あとタマモ貯金は全部デジたんに吸われたから引けないのだ。ごめんなのだ。ハムタロじゃないのだ。


追記
またやり過ぎちゃったのだ。反省するのだ。後始末もするのだ。
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