ダービーに勝てなかった? なら新しいダービーに出ればいいじゃない!
あなたは、ウマ娘である。
それも顔がものすごく青くなっていて、冷や汗だらだらのウマ娘である。
通りすがりの江戸っ子が『お! 今日からアオハル杯でぃ!? 粋だねぇ!』というぐらい真っ青であり、その冷や汗の量で流しそうめんができるぐらいである。せっかく最近マルゼンお母さんが洗濯してくれた制服がぐっしゃぐっしゃの濡れ雑巾だ。
それもそのはずである。
先日のダービー、二着と素晴らしい結果を残したあなたであったがそのパドックがまずかった。あなたは何故か記憶喪失になってしまったが、後から放送された映像を見て理解してしまった。
おそらくだが溜まり過ぎたストレスがあなたの魂であるUMAを呼び出してしまい、前世のあなたになってしまっていたのだ! 幼少期にあなたが受けた厳しく、理不尽な訓練(あなた目線)によって何とか封じることのできていた野生が一時的に復活を遂げていたのだ!
ま、一応あなたも誰かの娘であるわけで、親御さんは勿論愛娘の晴れ舞台ですから直接応援に行けなくてもテレビで中継ぐらいは見ますよね……。
バレないわけないんですよねぇ……。
あなたの手元に握られるのはご家族からのお手紙。手汗でもうぐちゃぐちゃになりかけているが、封筒の中身はこうだ。
『 かえっておいで 』
おそらくボールペンで書いたのだろうが、ペンを強く握りすぎたせいで手から血が流れ、血文字みたいになっている。しかも抑えきれない衝動がたった7文字からあふれんばかりにあなたを包み込む。さっきからあなたの第六感がビンビン反応してますねぇ!
あなたの愛すべき、そして恐怖の対象であるお母上は、超スーパーウマ娘人となって、緑色の気を高めながら玄関の前で仁王立ちしているに違いない。
ははは、あ、脚がさっきから震えてどうしようもねぇ! これが恐怖! どうやったら逃げられるんでしょう! たしゅけてマイフレンズ!
「いや、当たり前でしょ。」(一般通過ダービー娘)
「やねぇ。」(現在シルバーコレクターの似非関西弁)
っく! こんな時のために集めた同志たちが役に立たないとは! 呪ってやるぞディケイドォ!
「いやほんと。あの時パドックにいた他の子たちの気持ちも考えてよ、匍匐前進してると思ったら服脱ぎだすし……。職員さんとかものすごく慌ててたよ?」
「寮のみんなと見とったけどすごかったねぇ。騒いでたはずのみんなが一瞬で黙っておもいっきし困惑。そのあと映し出された花畑の映像とアナウンサーの人のどうつなげたらいいのか解らない感じのトーク。ある意味伝説やねぇ……、あとお前さん私のことバカにしなかった?」
ぬぅ! かといってあの時の私は 前世の私であって今の私じゃないのだ! 関係ないのだ! ……どうにかして逃げる方法ない? 陸軍大臣のシリウスシンボリ君! 意見プリーズ!
「陸軍といたしましては無条件降伏がよろしいかと。早急に帰って怒られてきてくださりやがれ。」
か、海軍大臣のミホシンザン君! 君は!?
「海軍といたしましても陸軍の意見と一致しております。どうせレースとかの予定もないだろうし帰るがよし。さっさと岩盤プレスされてくるがいい。」
に、逃げるんだァ! 勝てるわけがない! ……ん? レース?
「ねぇシリウス。私なんかいらん事しゃべっちゃった? あの子猛ダッシュでどっか行っちゃったけど?」
「やっちまいましたねぇ、ミホ。………あ、そうそう。私海外行ってくるよ。」
「え! そうなの!」
「うん。もとから海外に挑戦したかったこともあるけど、本家さんの方針的にもそろそろ外に出たい感じなんだって。なんで私菊花賞でないわ。」
「そっか……、シンボリ本家の方は大丈夫って聞くし、シリウスにとっても悪いことじゃないんだろうけど……。う~ん、二人纏めてぶちかましてやろうと思ってたけどダメか! ……ま、それなら外から私の雄姿を指くわえて見とけば?」
「あはは! 言うねぇ! 有馬出れるように帰ってくる予定だし、その時までちっちゃくまとまっとけばいいさ! そっちこそまとめて倒されなければいいね!」
「……あんさ、言っといてなんだけど私らキャラ崩壊ひどくない?」
「それな。」
ーーーーーーーーー
チームスピカ:一名
ウチの名簿を何回見直してもそこに載っている名前は一つだけ。
「はぁ……、いいところまで行ってたんだけどなぁ……。」
チームを維持するのに必要なこと、『5人以上のメンバー』or『重賞勝利者1名以上』の二つ。これはアイツのおかげでクリアしてるし、“チーム崩壊の危機”ってわけじゃねぇ。だが……
Q:『なぁ、練習メニュー考えたんだが……』
山に遊びに行ってくるからやりませんぜよ! 今日は日本の夜明けゼよゼよゼよ!
Q:『模擬レースとか出て見ません? 経験になると思いますよ?』
マルゼン姉貴とドライブしてきま~す! いろは坂だぁ!
Q:『あの……、せめて苦手なゲート練習だけでも……?』
ふっ! 情報が遅い! 学園のゲートはこの破壊者たるミーがすべて破壊させていただいた! ……あ、領収書ですか。はい。……あの口座から引いといてもらえますか?
という感じでまったくトレーナーらしいことしてないんです。なんかレース出るためだけの道具になってない、俺? 結構有能なのよ? なんで?
まぁそんなわけで色々とトレーナーとして消化不良なわけで、チームとしてもアイツの成長のためにも新入生の確保は絶対に必要だと張り切ってスカウトしてたんだけど、ね?
『え、スピカ? ……あの先輩居るとこやろ? 申し訳ないけど他当たってくれへん? ちょっとあの人の後輩としてやっていける自信ないわ……。』
『スカウトしてくれるのはありがたいけど無理。』
『ヒ、ヒェェええええ! ご、ごめんなさい~~~~!』
ってな感じで全く以て人が集まらん! それも全部アイツの悪評のおかげで! いや正当な評価か……。一応皐月賞取らせたトレーナー、っていうわけで二人ほどいい雰囲気の子たちがいたんだ。ダービー終わりに体験入部して、そのまま入ってもらう予定だったんだけど、なぁ。
『か、カメラ止めてくださいぃ! ………えぇ、現在流れております映像は、皐月賞娘ちゃんのこの実家の近くに在る牧場の映像だそうです。一面に広がるチューリップ畑。なんでこんな映像と資料が用意されているのか解りませんが、彼女は幼少期によく遊びに来ていた場所でそうで、ハナを食べようとする一番とそれを止めようとする職員の方の大レースが毎日行われていたそうです。……すいません、なんでこんな資料あるんですか?…… おっと映像が戻りました。』
ダービーのパドックで何を狂ったか、急にあいつが脱ぎだすもんだから『すいません、やっぱスピカ入るの無理です。』と振られちまったわけだ。
入ってくれそうだった二人の感触が良かったもんだから途中から新入生たちの調査とかやめちまったし、今スカウトされてない子を探そうにもなぁ……、アイツのせいで絶対無理だろうしなぁ。同じぐらい狂ってるかマルゼンスキーみたいに許容できる子がいればいいんだけど。
そもそもあいつがもうちょっとマシならこんなこと考えずに済むんだけどなぁ……。
ド ド ド ド ド ド ド ド ド !
お、噂をすればものすごい音出しながら来たな。
「トレーナー!」
「お? どうしたそんなに急いで?」
「私ジャパンダートダービー出るから!」
え?
URA「あ、いいっすよ~、交流枠空いてるんで入れときますねぇ~。」
え??
「4番! 素晴らしい走りでした! 公式戦初のダートとなりましたが圧勝! 中央の強さを見せつけました! ジャパンダートダービー、クラシックのダート王者が誕生です!」
え???
「おう、トレーナー! あたしダービー娘だぞ! 崇めろ!」
えぇ????????
勝っちゃったよコイツ。えぇ……
あなた
なお、話を聞きつけたマルゼン姉貴に『じゃあダービーのお祝いしないとね!』と車に乗せられた。もちろんそのまま実家行きである。私たちには手を合わせることぐらいしかできなさそうだ、南無南無。あ、ジャパンダートダービーの描写いります?
ミホシンザン
キャラ崩壊してきた一号。ケガ治りかけなのでリハビリとか頑張ってます。シリウスに逃げられそうなんで菊花賞であなたに勝って、その後有馬でシリウスのダービー頂こうとしてます。あれ、そういえばこの年の有馬って……
シリウスシンボリ
キャラ崩壊してきた二号。シリウス、海外行くってよ。ちょっとここら辺は次回の頭でやるのでお待ちくだされ。
沖野トレーナー
急にジャパンダートダービーに出走しろって言われたのでURAに打診。そしたら何故か快い受諾。そして走らせてみれば勝っちゃった。なんだこのウマ娘?
いつものウインディちゃんなのだ。最近ハムタロと間違えられて悲しいのだ。ヘケッ! それはそうとして次回はシリウス先輩とお待ちかねのあいつとの絡みなのだ。面白くかけるように頑張るのだ。次回も見てくれるとありがたいなのだ。とっても感謝してるのだ。