あなたはウマ娘である。   作:サイリウム(夕宙リウム)

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ファンファーレともに<前編>

 

 

「ふぃ~~。やっぱこれおいしいなぁ……。」

 

 

放課後、校外に最近できたはちみつドリンク屋さんことはちみーを片手に空を見上げる。11月の下旬、日が沈む時間もだんだん早くなってきたし、上着を着ないと寒くてたまらなくなってきた。

 

 

「冬、だなぁ……。」

 

 

菊花賞の勝利後、それまでの自身の体を極限まで追い込むようなトレーニングのせいで疲れがたまっていた。このままジャパンカップに直行すればケガをしてしまうと考えたトレーナーさんと私は12月に入るまでは調子を保つだけのトレーニングに収めておくようにした。

 

 

まぁそのせいで最近ヒマ。放課後呑気にはちみーを啜れる時間が出来てしまったわけである。

 

 

シリウスが有馬に合わせて帰ってくるみたいだし、問題児のあいつも私ら二人が出ると知れば出走してくるだろう。同世代三強で誰がホントに強いのかを決めるレースなので、心に燃える火が消えないうちに練習しておきたいんだけどなぁ……。

 

 

 

「心ここにあらず、といった感じだねミホ。」

 

 

「………ふぁ! シンザン会長!?」

 

 

 

はちみーのスタンド近くにあるベンチに腰掛けてぼーっとしていたらシンザン会長がそこにいた。うわ、いつもならすぐに気が付くのにそんなに私放心してたの!?

 

 

 

「ははは、まぁ大レースのあと、力を出し切ってしまった後にそうなってしまうのは仕方がないのかもね。……横、座ってもいいかい?」

 

 

「は、はい! どうぞ!」

 

 

 

最近ゴシップ系の雑誌で自身のトレーナーさんとの熱愛報道が話題になっているシンザン会長。私と同じはちみードリンクをここに来る前に買っていたのか、私の横に座るとおいしそうにストローを啜る。

 

 

 

「ん~~♪ 思ったよりおいしいんだねコレ。あの子が暴れるまで欲しがる気も解る。」

 

 

「え? ……もしかしてアイツですか?」

 

 

「はは、もう名前を言わずとも解る感じだね、そうだとも。どこから聞きつけたのかここのはちみースタンドの開店日に彼女が襲来したらしくてね。手持ちの現金全部支払って5L近く飲んだらしい。濃いめ硬め甘さマシマシだったかな?」

 

 

「…………は? 5L?」

 

 

「うん。甘くておいしすぎて飲み過ぎたらしい。………まぁその後飲みすぎがヤバかったらしく救急車で搬送されたらしいんだけどね。ふふ、正直笑ってしまったよ。」

 

 

「は、はぁ……。」

 

 

「確か……、ボツリヌス菌だったか? ミホも気を付けるといい。」

 

 

え、アイツ何してんの……。というかシンザン先輩ボツリヌス菌って一歳児未満の乳幼児が駄目な奴ですよそれ、私もう中学生なんですけど……。え? 私もアイツもシンザン先輩から赤ちゃんみたいに思われているってこと? えぇ? しかも私も食べすぎる前提?

 

 

 

「……あ、でもでも赤ちゃん扱いもいいかも……、ばぶ。」

 

 

「ん? どうかしたのかねミホ? ……あ、そういえば彼女、ジャパンカップに出るみたいだね。私の時は世界の強豪たちがやってくるレースなんて全くなかったし、海外遠征もできるような環境が整っていなかったからねぇ……、少しだけうらやましいかなぁ……。」

 

 

「そうなんですか……、うん? でもアイツジャパンカップ出ないって言ってましたよ?」

 

 

「そうなのかい? 確か届け出では……そう、ジャパンワールドカップに出走すると書いてあったよ? 今の子はみんなジャパンカップというし、マルゼンも『今どきの子は省略するのよ!』と言っていたのだが……、もしかして違うレースなのかい?」

 

 

 

 

 ーーーーーーーーー

 

 

 

 

全世界の競馬ファンが待ちに待った真の世界一決定戦、ジャパンワールドカップ。

 

選び抜かれた9頭による頂上決戦がついに出走を迎えます。

 

世界で最も強い馬はどの馬なのか

 

ここ、東京競馬場には史上最多の20万人が詰めかけ

 

その歴史的瞬間を固唾を呑んで待っています。

 

 

それでは、ジャパンワールドカップ出走馬の紹介です。

 

 

 

 

 

 

1番、ギンシャリボーイ。日本

 

無敗で皐月賞、ダービー、菊花賞の三冠を達成した歴史的名馬。

 

必殺のスシウォークで世界制覇を狙います。

 

騎手は若手のホープ松岡正海、アマイマスクも魅力です。

 

 

単勝オッズは2.1となっております。

 

 

 

2番、ピンクフェロモン。フランス

 

フランスの牝馬クラシック三冠を達成している当代最強牝馬。

 

赤いガーターベルトを装着し得意のフェロモン攻撃で牡馬を誘惑します。

 

騎手は女性、ソニア・ゾラ、モデルとしても活躍しています。

 

 

単勝オッズは4.2となっております。

 

 

 

3番、チョクセンバンチョー。日本

 

独自のリーゼントスタイルとハンドル型手綱が特徴の暴れ馬。

 

ハマったときの末脚は国内最強馬ギンシャリボーイをもしのぎます。

 

騎手は反川キメジ、元暴走族総長デス。

 

 

単勝オッズは8.3となっております。

 

 

 

4番、ハリウッドリムジン。アメリカ

 

ケンタッキーダービーを制したアメリカからの最強刺客。

 

大変珍しいリムジン種、胴体が非常に長く二人乗りが可能です。

 

騎手は双子のチキン兄弟、ロブチキン、ウィリアムチキン。

 

 

単勝オッズは3.5となっております。

 

 

 

5番、バーニングビーフ。スペイン

 

角の生えた珍しいタイプの馬。強いフィジカルで興奮したら誰も手が付けられません。

 

モウモウと鳴きます。

 

騎手はペドロ・バンデラス、豊かな胸毛の持ち主です。

 

 

単勝オッズは16.1となっております。

 

 

 

6番、サバンナストライプ。ケニア

 

ヨーロッパのGⅠレースで好成績を残しているシマウマタイプのサラブレッド。

 

ダイナミックな騎乗スタイルにも注目です。

 

騎手はムワイ・サンコン。ナイロビ生まれです。

 

 

単勝オッズは13.5となっております。

 

 

 

7番、ジラフ。イギリス

 

凱旋門賞をはじめ数々のビッグレースを制している世界のエース。

 

通常のサラブレッドよりやや首の長いハイネック種。

 

近づくとペンキのニオイがします。

 

騎手はエドワード・エリス、由緒ある名家の出身です。

 

 

単勝オッズは4.8となっております。

 

 

 

8番、ハリボテエレジー。日本

 

未だ未勝利で何故GⅠレースに出られるかは不明。

 

その必死な走りはマニアの間ではひそかな人気ですが今日も勝てそうにありません。

 

騎手は手作好太郎、チューリップハットの好青年です。

 

 

単勝オッズは125.0となっております。

 

 

 

9番、あなた。日本

 

日本唯一の凱旋門勝利馬。

 

気性の荒さから不安定さが目立ちますが、その強さは確かです。

 

本来の主戦騎手は落馬後の入院中、そのためURAから派遣されたウマ娘であるあなたが騎手を務めます。

 

先ほどから馬のあなたとウマ娘のあなたがポコスカと音を出しながら喧嘩しております。

 

 

 

 

(おい! わたしからおりろ! てめーがのるんじゃねぇ!)

 

 

「はぁ!? 私人間態なんだが!? ウマ娘と言っても人間なんだが!? 人間様が上は確定だろJK!」

 

 

(おいおい版権元はわたしだろうが! 創作してる側がその敬意を忘れるとか片腹痛いですねぇ!)

 

 

「おいおい! 馬は財産だぞ? 馬にそんな権利もクソもないんですよねぇ!」

 

 

 

……仲良くしてくださいね。

 

 

 

単勝オッズは89.6となっております。

 

 

 

 

 

 

 

以上、9頭立てのレースとなります。

 

 

 

 

 







と、言うことでやります。

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