あなたはウマ娘である。   作:サイリウム(夕宙リウム)

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お待たせしました。


曲がらぬなら 曲がってしまおう ホトトギス<後編>

 

 

世界一決定戦、ジャパンワールドカップ

 

選び抜かれた9頭による頂上決戦がついに出走を迎えます。

 

世界で最も強い馬はどの馬なのか

 

ここ東京競馬場には史上最多の20万人が詰めかけ

 

その歴史的瞬間を固唾をのんで待っています。

 

 

 

さぁ、ファンファーレ。

 

今回JRA初めての試みとしてURAから送り出された謎の刺客、“あなた”が9番“あなた”の騎手を務めます。大外枠で騎手経験全くなしというなぜ彼女が鞍上を任されたのかよく解りませんが、無勝利でGⅠに出走出来ているハリボテエレジーがいるので気にしないことにします。

 

 

さぁ、気を取り直して各馬見ていきましょう。

 

一番人気は一番、日本の誇り、ギンシャリボーイ。二番人気アメリカ最強馬、ハリウッドリムジン。イギリスのジラフも注目されています。

 

 

大外最後の“あなた”が最後にゲート……、インしません。

 

 

先ほどパドックで行われていた喧嘩は職員の尽力によって何とか収まり、人間態の“あなた”が鞍上に収まっていますが、やはりゲート難。簡単に収まりそうにありません。

 

 

 

おっと……? 人間態である“あなた”の方が鞍上から降りてUMAである“あなた”に話しかけていますね。何をして居るんでしょうか? 厩務員の方々も集まって円陣を組んで会談が始まりました。まるで9回裏、一点差で1,2塁、2アウトの守備側甲子園、相手は一体誰なのか。

 

 

 

……お、厩務員の方々が離れていきますね。話し合いが終わったようです。どうやら馬役と騎手役を交換してレースに挑むことが決定したようです。人間態の“あなた”が馬の“あなた”を背負って嫌々ゲートに収まりました。

 

 

 

全馬ゲートイン、体勢完了。

 

 

 

 

 

スタートしました世界最強決戦。

 

 

まず飛び出したのは一番人気、無敗の三冠馬1番ギンシャリボーイ、松岡正海。

 

 

続いて3番チョクセンバンチョー、今日も輝くリーゼント。

 

 

さらにフランス最強牝馬2番ピンクフェロモン、女性ジョッキー紅一点、中央いい位置。

 

 

アメリカからの刺客ハリウッドリムジン二人乗り、重心がどこか全くわかりません。

 

 

2馬身離れて6番サバンナストライプ、ただのシマウマ。

 

 

その後ろ5番バーニングビーフ、これは馬なのか。

 

 

やや首が長いサラブレッドが7番ジラフ、いつの間にかに動物園。

 

 

その後ろに顔を真っ赤にしながらどかどか走る9番あなた。さすがに鞍上500㎏は重かった。

 

 

おおきく遅れて最後尾、8番ハリボテエレジーから空き箱を叩くような音がしている。

 

 

 

 

 

さぁ混戦模様のジャパンワールドカップ各馬第三コーナーを迎えます! 観客席から聞こえる嘆願の声! 行けるか! 行けるか! どうだ!?

 

 

 

 

 

 

     曲がれ~~~~!!!

              まがれ!

 曲がれ~~!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

あぁっと~~!!! ココでハリボテ壊れたぁ! ガムテープのはがれる音ォ!

 

 

 

 

さぁ、順位そのままで大欅を抜けて最終コーナーへとなだれ込んでいきます。

 

先頭依然ギンシャリボーイ日本。内からピンクフェロモンが上がってきている。

 

さぁ最後の直線400m、ここから誰が躍り出るのか!

 

 

 

ここ先頭ギンシャリボーイ! ギンシャリボーイ直立!

 

18番の寿司ウォーク炸裂! シャリが立ったぁ!

 

 

 

負けずに先頭ピンクフェロモンいつの間にかにキャストオフ! ターフに寝転ぶ誰かのお洋服。

 

いつもよりムチの回転が速い! むんむん来ている! 腐ったバナナのニオイ! 

 

同じ“むん”のマチカネタンホイザが拒否反応ォ!

 

 

 

バリバリと泣き叫ぶような暴音! チョクセンバンチョーエンジン点火ァ!

 

チョクセンバンチョー、我が物顔で参上! そこんとこよろしく!

 

 

 

防弾ガラスのハリウッドリムジンも物理的に伸びてきた! 伸びる! 伸びる!

 

ハリウッドリムジンストウレェッチィ! ハリウッドのお餅は伊達じゃない!

 

 

 

ムワイ・サンコン雨乞いの儀式から、ナメクジ運動! サバンナストライプに羽が生えたぁ!

 

なんでそれで加速するのか、誰も解らずスピードアップ。そしてここから首飾り回転スタートォ!

 

無駄に回転しております! ターフの削れる音ォ!

 

 

 

大外ジラフが興奮している! 興奮している! 高速ヘッドバンド! 舌も出しているぅ!

 

凱旋門馬は伊達じゃない。キリンの長い首で遠心力がMAXハート!

 

 

 

バーニングビーフの鞍上、ペドロ・バンでラスが取り出したるは……、秘密道具赤い布ォ!

 

青い狸ならぬ赤い闘牛! 暴走開始ィ!

 

 

一番近いジラフが吹っ飛ばされた! シマウマさん逃げて逃げて、って間に合わないー!

 

リムジンも突き飛ばされてターフに突き刺さる! 飛んだぁ!

 

今日のビーフは焦げている、先頭のギンシャリも吹っ飛ばされて残り100m!

 

 

 

 

っと! 後ろから足音ォ! あなたちゃんだ! あなたちゃんが後ろから猛追! 500㎏のおもりを担いでハムタロさん。

 

バーニングビーフに並んで並んで……、逆に蹴飛ばしたァ!

 

 

 

そのままゴールイ……、って何故かゴール前で止まった? 止まった? 

 

ここでポケットからオシャレな机と椅子を取り出しまして……

 

 

 

 ☆紅茶ターーーイム☆

 

 

 

 

別次元の可能性をいつ見たのか、牛がおやつなら人間の私は優雅にティータイム。

 

ストゼロ片手にパクパクですわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後ろからなんか来たぞ?

 

 

来たぞ来たぞハリボテエレジー! 壊れた体を三人で取り合って追いついてきた!

 

 

“あなた”ちゃんそれを優雅に見物! 走らない!

 

 

 

そのままそのまま壊れたハリボテエレジー今ゴールイン!

 

 

 

勝ちましたぁ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

手作りサラブレッドまさかの初勝利。

 

強くて軽い段ボール。箱の中身はなんじゃろな。

 

 

確定しました一着8番ハリボテエレジー、二着優雅に“あなた”コンビ。

 

 

 

以上ジャパンワールドカップ、またお会いしましょう。

 

 

おやつタイムはほどほどに。

 





〇あなた(ウマ)が凱旋門賞馬なのに大穴枠の理由


あなた(ウマ)は言わずと知れた気性難のワガママ馬。自分の決めた走り方(先頭の逃げor最後方からの追込)しか受け入れず、違う戦法を取ろうとすればやる気をなくして競走停止、ターフの芝をむしゃむしゃしだすURAである。

彼(彼女?)の逸話として、主戦騎手で数少ない女性騎手でもあるの竹 林(たけ りん)騎手がパドックにて『お願いします! 走ってください! 何でもしますから!』と土下座しながら叫び、レース後のご褒美についてホワイトボードなどを用いて懇切丁寧に説明しないとと全く走らないというものがある。

これを怠るとゲートに入らない上に体当たりし始める、柵を飛び越えて『俺今日ここで観戦するわ』と観客側に回る、不思議なステップで遊びだす、競走中わざわざ嫌いな馬群に降りてきて隣にいる騎手の帽子を取ろうとする、などの問題行為を繰り返すためJRAもしぶしぶ許可している。


竹林騎手はその名前から話題というかネタ枠だったが、あなたのせいで苦労人属性もついてしまった悲しい人。一応日本人騎手で初めて、女性騎手としても初めて、日本産駒、日本調教馬の鞍上で凱旋門制覇というとんでもない記録と肩書をお持ちなのだが……、毎レースの儀式というか『お願い』のせいで全部台無しなんだ。


なお、あなたはこの竹林さんを気に入っているらしく、他の騎手が同じことをしても無視するし、またがろうとするとブチギレて騎手にダイレクトアタック、競争中止のコンボをプレゼントするため彼女しか乗れない。

一応竹林騎手以外に何故か乗ることを許された失地王 ジョン騎手という方がいるのだが、運悪く彼が“あなた”の性格を知らなかったせいでスタート直後に先行位置に移動。それにキレたあなたはジョン騎手を振り落としてそのまま爆走、60㎏近い重りを振り払ったおかげでタイムだけはレコードを大幅に縮めた。

この自分の走り方と強さを表す大脱走劇がなければ、あなた陣営は騙馬にしようと思っていたらしいので一安心である。よかったねあなた。



まぁそんなわけでおそらく乗れるはずのないだろう無名騎手(なぜか同名)が鞍上だし……、絶対レース始まる前に競走停止だし……、ということで大穴枠になったわけです。


〇違う馬に乗っている時落馬してしまい入院中の女性騎手

「あの子むちゃくちゃ強いんですけど……、とんでもなく賢い上に気性難なので……。たぶん人間の言葉理解しててその上に人間をかなり下に見てるんでしょうね。トレセンで彼を見に行くときもお土産としてフルーツ類もっていかないと鞍上許されている私でも蹴られますもんね~。……マジでケガしない程度で最大限の痛みを与えるように蹴るんですよ、クッソ痛いです……」


「あ! あと面白いんですけど彼の攻略法みたいなのがありまして! 彼の馬体の美しさとか強さとかを褒めながら体さすってあげたり、ブラッシングしてあげるとすごく喜ぶんですよ! これしてあげれば基本的に誰でも心許してくれるから面白いんです! 厩務員の方々はいつもそうやって機嫌取ってるみたいですよ。……ま、絶対背に乗せてくれませんけど……。」


「え? なんで私だけ許してくれるかですか? う~ん……、多分メイドかなにかと思ってるんじゃないですかね? 仕方ないから許してやるぞ! って感じで。ジョン騎手は……、やっぱ名前かな?」

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