あなたはウマ娘である。   作:サイリウム(夕宙リウム)

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ゲート死すべし慈悲はない

あなたは、一勝ウマ娘である。

 

 

無事、デビュー戦を勝利し、ウイニングライブとして世界にマフティー性を拡散しようとかぼちゃをかぶろうとしたところ、トレーナーに止められてしまったウマ娘である。あなたはしぶしぶ授業で習った曲を歌い切った。

 

あなたとしては自分の好きにできないライブはストレスしかたまらないため、いつか自分の好きにできるライブを開催することが目標である。

 

 

あなたが将来ライブで歌うであろうR18ゲームのオープニングや空耳ワードばかりの曲。明らかなネタ曲をチームルームでリストアップしているとトレーナーが話しかけてきた。

 

 

「おう! 元気そうだな!」

 

 

あなたはいつでも元気である。記憶にある限りカゼを引いたことはないし、いつでもフルマラソンを走れるぐらいには元気が有り余っている。

 

 

「そりゃよかった。そんなお前さんに朗報! なんと今日はとあるチームが予約していた施設が急に空いてな! 今からそこで練習だ!」

 

 

「おぉ!」と久しぶりに歓喜の声を上げたあなた。実は入学してからこの三か月、ずっと山道を走りまくっていたので日帰りで行ける山はすべて登り切ってしまった。

 

あなたとしては二周目、交通機関を使う、などして新たな散策場所を見つけてもよかったが、正直言ってしまうと飽きかけていた。そんなあなたにとって渡りに船である。

 

あなたは、トレーナーに教えられた場所に全速力で向かった。

 

もちろん決闘者のようにカーブで異様なほど重心を傾けるのを忘れずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

よくよく考えてみればデビュー戦後にわざわざ練習を入れるのはその反省点を直すためであり、人数不足でチーム解散がまことしやかにささやかれているスピカがわざわざ練習施設を借りたということはまぁそういうわけであって。

 

 

あなたが辿り着いた場所はゲート練習場。まぁ言ってみればゲートが置いてある場所である。

 

 

「まぁ、なんだ? 苦手だとは思うけど……、頑張ろうな。」

 

 

ポン、と肩を叩かれ振り返ってみるとあなたのトレーナーだった。

 

 

あなたとしてはようやくターフで練習できる。もしくはトレセンの誇るなんかよさげなトレーニング機器を使って劇的に成長できる、まぁ簡単に言えば期待していたわけであるが目の前にあったのはゲートである。

 

今日の夕飯はハンバーグよ、と言われウキウキで帰宅すれば肉詰めピーマンどころか生のピーマンが食卓に上がったレベルである。

 

しかもあなたの嫌いなピーマンの上を行くゲートである。

 

 

何度も言うようだがあなたはゲートに親を殺されたのかと錯覚するぐらいゲートが嫌いである。天に召されるか、それともゲートに入るかと言われれば前者を速攻で選んでしまうぐらいゲートが嫌いである。

 

 

とにかく、ゲートが嫌いである。

 

 

ゆえに問おう、トレーナー。なぜここにゲートがあり。今から練習しなければならないのだ。

 

 

「えっと……デビュー戦も模擬レースも出遅れで逃げのはずが追い込みになってたよな?」

 

 

当たり前である。あんな悪魔のような空間に入らねばならない時、現実逃避するしか方法は無かろう。「くうきおいしい」「いきするのたのちい」「あ、ちょうちょ」ぐらい知能指数を落とさないとあなたはストレスで現世からマーベラス空間に精神がPASSAWAYしてしまうだろう。あ、スペルあってます?

 

 

「そ、そんなに嫌なの……??? まぁでもレースに出る限り入らないといけないし、そのせいでレースに出れないとかお前さんもいやだろ?」

 

 

それはそうなのだが……

 

まぁとにかく嫌なものは嫌である。あなたは断固として拒否するために戦闘態勢を取った。

 

 

 ーーーーーーーー

 

 

「ねぇねぇ、なんであそこに人刺さってんの?」

 

 

「ん? ……あぁ、あれね。きれいに首だけ突き刺さってるよねぇ。まさに現代芸術。」

 

 

「いやだからなんでゲート練のところで人刺さってんの? しかもゲート壊れてるし……、もしかしてあれ直すの次使う私ら?」

 

 

「さすがに違うでしょ。学園の人が何とかしてくれるんじゃない? なんでもあのボッチの子いるでしょ、スピカに入った変人の子。」

 

 

「あぁ、Cクラスのあいつね。……ということはあの突き刺さってんのスピカのトレーナー?」

 

 

「みたい。なんでもゲート嫌い過ぎて備品のゲート破壊した挙句にゲート練習させようとしたトレーナー突き刺したんだって。頭から地面に。」

 

 

「おぉ~。やるねぇ。今度私もウチのトレーナーにやってみよ。」

 

 

「え?」

 

 

「え?」

 

 

 

その後、トレセン学園で自身のトレーナーを地面に頭から突き刺すという凶行が一部のウマ娘の間で熱狂的に流行り始め、どれだけ深く突き刺したかで自身の愛を表現するとか意味わからんことがトレンドになった。

 

理事長が原因不明の頭痛と胃痛に悩まされながらもトレセン学園の校則に「トレーナーを地面に突き刺してはならない」という意味がわからないものが出来上がったのは、また別のお話。

 

なお、元凶であるあなたはゲートを破壊したことに対する反省文を作成していた。一度すべて「ゲート殺すべし」で埋め尽くして再提出を食らったため二度目である。

 




あなた

普通にゲートを壊したので支払いがあなたのもとに。とりあえずデビュー戦での賞金はゲートの修理代で消えた。トレーナーの財布からも消えた。あとあなたはピーマンが嫌いだったようだ。

トレーナー

まだ他の問題児が来ていないのにもかかわらず沖野氏の財布はピンチである。なお頭から地面に埋められたが次の日には普通に顔を出してきたので驚かれた。同僚のおハナさんからはもう違う生物じゃないかと疑われ始めている。
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