あなたはウマ娘である。   作:サイリウム(夕宙リウム)

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あなたちゃんの秘密③

実はニャル様と一緒に千葉ネズミ―ランドに行ったことがある。



夜はあったかくして寝るんだぞ! あなたちゃんとの約束だ!






※落差で風邪を引いても私は知りません

 

 

皆さん、バクという存在はご存じでしょうか?

 

 

たぶん今皆さんの頭の中にパリをよく燃やしている金髪のウマ娘の存在が新宝島を踊っているでしょうがそいつのことはほっておいてください。どうしようもないので。

 

さて、話を戻してバクのお話ですが、もちろんウマ娘の世界に存在します。まぁ主な原因があなたちゃんの後始末に追われて過労死寸前になってしまった三女神様のせいなのですが……

 

 

ほら、例えばそこの壁。ちょうど角になってるでしょ? そこに体を押し付けてぐりぐりしてみてください。

 

 

そうすればあら不思議。真っ黒な虚空空間に初めまして、です。

 

 

ちょっと歩けば何らかの建造物にぶち当たると思うのですが……、おっと!

 

 

今回出てきた先は運がいいのか悪いのかあなたちゃん製造工場のようです。ちょうどいいですし少し工場長にインタビューしていきましょう。

 

 

どうも初めまして工場長。ここではあなたちゃんを製造しているようですが……、安全面とかは大丈夫なのでしょうか? あのあなたちゃんを作っているというとても危険なお仕事かと思いますが。

 

 

「えぇ、確かに危険なお仕事です。気が付けば作業員があなたちゃんになってしまうこともしばしば……、でもまぁ彼女になった時点でそれはウマ娘にTSと言うことですので幸せ、つまり労災ではないのです。しかもあなたちゃんになった瞬間にSCPオブジェクトじみた破壊耐性が付くのでさらに労災が起きません。そうしてほっておいたらみんなあなたちゃんになってしまいました。」

 

 

なるほど、もうどうしようもないほどに手遅れなのですね。ご冥福をお祈りいたします。

 

 

「これはこれはご丁寧にありがとうございます。……あ、そうだ! どうです? 今からご家庭でもできるあなたちゃんの作り方を実践しようかと思うのですが?」

 

 

ほほう。これはまた狂気的ですね。でも拒否権はなさそうなので取材させていただきます。

 

 

 

 

 

〇あなたちゃんの作り方〇

 

 

あなたちゃんの作り方はとっても簡単です。オリジナルの競走馬アナタから生まれたウマ娘のあなたの方は一人しかいませんが、量産型のあなたであれば皆さんお家でも栽培が可能です。まぁしっかりとした設備がなければ食べられてしまいますが。

 

 

まず、徳の高いお坊さんか、格式のある神社で高級な和紙にスピリチュアルパワーを込めてもらいましょう。こうしておくことで、あなたちゃんが発生した時にマヒ状態にすることができます。

 

そこに同じくスピリチュアルパワーが込められた炭ででかでかと“あなた”と書きましょう。習字がお上手ならなおよいです。あとは数秒ほど待てばあなたちゃんが自然発生してくるでしょう。ここで安物を使ってしまうとあなたちゃんが自分を呼び出すのに安物を使ったとキレて襲い掛かってくるので注意が必要です。出来るだけお高いものを選びましょう。

 

通常なら発生した瞬間に近くいる人間やウマ娘に襲い掛かったり、ゲートを破壊しに行ったり、冷蔵庫にある甘そうなものを片っ端から口にする彼女ですが、今回ははスピリチュアルパワーがあります。

 

徳の高さや格式高さがあると邪神の分霊あなたちゃんはマヒ状態になります。そうすると簡単に確保することが可能。だからスピリチュアルパワーが必要だったんですねぇ~。

 

 

あとは確保したあなたちゃんのお口に近場のファミリーマートから購入した切り口にテープが張ってあるファミチキを袋ごと放り込めばマヒ状態を含めて30秒ほどの猶予が生まれます。

 

この隙に1ガロンのガラス容器の中にあなたちゃんを詰め込み、上から白砂糖を200gほど振りかけたのちに封を閉めれば観賞用のあなたちゃんが完成します。これでいつでもあなたちゃんを観察できるね!

 

 

なお、この時に袋から取り出したファミチキや切り口にテープが張ってないファミチキ、上から振りかけるのが黒砂糖だったりすると私みたいに頭からそのまま噛み千切られた後に頭部をあなたちゃんに挿し替えられるので注意してくださいね!

 

 

お手軽お家にたくさんあなたちゃん! 皆様もぜひお試しくださいね!

 

 

 

※あなたちゃんが引き起こした問題すべてにおいてわたくし作者は責任を負いかねますので、そこのところご理解の方よろしくお願いいたします。現在十数人の方が被害に会い、あなたちゃんになってしまいましたが私は知りません。だって私も“あなた”ですから。

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

さて、もうあなたちゃんが登場しない方が平和的で面白いと思い出した感じではありますが頑張ってお話を進めていくことにいたしましょう。一応前回のシーズンであなたちゃんが別世界大破壊旅行から帰ってくるのが四月ぐらいと決めているので、頑張ってあなたちゃんのいないウマ娘世界について描写していくことにいたしましょう。

 

 

 

…………え? 前回日本とか侵略してなかったかだって?

 

 

 

いやはや、面白いことをおっしゃいますね。アレの話はウマ娘世界ではなくこちらの現実世界での話ですよ? ほら嘘だというならテレビでもつけてみてください。あなたちゃんが全世界を侵略し終わったと演説してるでしょう。お家のタンスでも開けてみればお洋服の代わりに小さいあなたちゃんが入っているでしょうし、お車の助手席には読者様が座る前にあなたちゃんが腰かけているでしょう。

 

大丈夫ですよ。彼女の目の前にゲートや門という名前の付いたものを近づけなければ暴れることもないでしょうし、ポケットにアメちゃんでも用意して定期的に摂取させてあげればあなた様の言うことを喜んで聞いてくれるでしょう。

 

 

 

 

さ、そんなことは置いておいて我らが主人公であるサクラチヨノオーちゃんの様子でも見に行きましょう!

 

あ。そういえば感想欄で『チヨノオーちゃんビーム打ててるからそれもう個性じゃん……』というご意見がありましたが諸悪の根源ちゃんのせいでチヨノ世代には『ビームが打てないとメイクデビューできない』だとか『ビームが打てて一人前』という謎の誤解が広まっています。なんでチヨノオーちゃんからすればやっとスタートラインに立てた、という感じなんですよね。

 

彼女の脳内ではヤエノムテキとかメジロアルダンとかスーパークリークとか、最近転入してきたオグリキャップとか普通にビーム打てると思ってます。それを聞けばみんな首を横に振るでしょうが。

 

 

「マルゼンスキー先輩!」

 

 

「ん? あらチヨちゃん。どうしたのそんな真剣な顔して? なにか相談事?」

 

 

おっと。いつの間にかにチヨノオーちゃんがマルゼンママのところまで来ていたようです。教室で級友とお話していたようでしたが、空気を呼んだご友人たちがそっとその場から離れたので広い教室で二人のようですね。

 

 

「私に、『領域』を教えてくれませんか!」

 

 

「あら……。」

 

 

あなたちゃんのせいでまだ高校生? なのにお母さんが板についてきたマルゼンスキー。てっきり恋やら愛やらの浮ついた相談かと思っていた彼女ですがどうやら違ったようです。

 

 

「そう、ねぇ。」

 

 

そんな言葉をこぼしながら『領域』について思いを馳せる二児のシングルマザー。教えて、と言われても彼女は感覚派でチヨノオーはどちらかと言うと理論派。『バーッとやってカーッとぶっ飛ばすの!』と言ってもあなたちゃんのように理解してもらうのは難しそうです。

 

しかも『領域』というモノは個々人によって効果もつながるものも、広がる精神世界も全部違います。シンザンとミホシンザンのように“親子+受け継ぐ者”のダブル関係性があればまた話は変わってくるかもしれませんが、マルゼンママからすれば『自分の子供たちは自身を軽く飛び越してほしい』という気持ちの方が強いため少々難しい。

 

また、彼女の伝手を使ってシンザン会長の領域世界で練習と言うこともやろうと思えばできそうなのだが、現在シンザン元会長は新居にてお取込み中なので難しそうではある。だってシンザン会長のトレーナーが新年から行方不明&シンザン会長が新年から新居で缶詰していると聞けばご自宅に電話することすら憚られる。だれも湿度の海に沈みたくはないのだ。

 

 

よい案が浮かばないまま開かれない口。それに耐えきれなくなったのか次女が声をあげる。

 

 

「……や、やっぱり私には無理なんですか!」

 

 

顔を曇らせ、でもそんな顔を見せないように下を向く。『領域』の練習は彼女のトレーナーの定めた予定に存在していない。日々の生活に支障が出るほどに時間を抽出し、彼女が目指す一つ上のステージへ挑む。

 

けれども依然としてそのきっかけすら手に入れることができない。そして迫るタイムリミット。クラシック路線のレースが本格的に始めるまで残り一か月。始まってしまえばこれまでみたいに身を削って練習なんてできない。

 

 

 

「無理じゃないわ。『領域』は誰にでも存在する。……ただそこに至れる人がとんでもなく少ないだけ。『領域の使い手は時代を作る』、そんな言葉が作られるぐらいに難しいことだって言うのはわかる?」

 

 

「……はい。」

 

 

「あのおチビちゃんだってクラシックの間は使えなかった、……いや無意識にセーブしてたって言うのが正しいかも。ま、まぁミホちゃんやシリウスちゃんができるようになったのも同じぐらい。まだチヨノオーちゃんがそれに挑むのは難しいかもしれないわ。」

 

 

「だから今は基礎をしっかり固めれば大丈夫なんじゃないかしら? それに十分チヨちゃんだって強いから安心安全よ!」

 

 

 

 

 

 

 

焦燥、焦燥、焦燥。

 

母は常勝無敗。出走すれば周りが心を守るために逃げる相手。速すぎた怪物。

 

姉は凱旋門馬。狂気に身を落しながらも、その強さはただ蹂躙する化け物。

 

 

 

自分もそれに続かなければならない。血統を証明しないといけない。

 

この世界において流れる血は誰も一致しない。

 

しかしながら魂が叫んでいる。

 

 

 

偉大なる父はそこにいる。偉大なる兄がそこにいる。

 

 

見えないバトンはもうこの手の中に。

 

 

渡すべき相手は未だ見えず、ただ前に向かって走らないといけない。

 

 

私には母のような速さはない、姉のように狂えるほど心は強くない。

 

 

そして、現実は何もない私が勝利を掴めるほどやさしくない。

 

 

 

「ッ! すみません、失礼します!」

 

 

 

「チ、チヨノオーちゃん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんだか何も持っていない自分がとても、惨めで。

 

口の中はとても鉄っぽくて。

 

空を見上げられるほど、私の心は晴れてない。

 

 

 

 

 

桜景色は、はるか遠く。

 

 

 






次回はオグリキャップについて少し描写していきます。

あなたちゃんから主人公のバトンを渡されたチヨノオーちゃんの活躍にご期待ください。





〇NGシーン集


「そういえばおチビちゃんがこれがいいかもって……。」


懐から紙切れを取り出すマルゼン。折りたたまれたそれを開くと……




I am the bone of you.
――― 体はあなたで出来ている。

You is my body, and you is my blood.
血潮はあなたで 心はあなた。

I have created over a thousand madness.
幾たびの狂気を越えてその先へ。

Unknown to Sane.
ただの一度も正気はなく、

Nor known to Life.
ただの一度も理解されない。

Have withstood pain to create many you.
孤独すら超えて世を埋め尽くすのは彼女。

Yet, those hands will never hold anything.
故に、ただそれを受け入ればいい。

So as I pray, UNLIMITED YOU WORKS.
その体は、きっとあなたで出来ていた。




「うん。これでどうしたらいいの。」


「マルゼン先輩! なんか床からあなた先輩が生えてきました! なんかぐちょぐちょしてます!」


「…………お母さん意味わかんない☆」

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