あなたはウマ娘である。   作:サイリウム(夕宙リウム)

62 / 89



【挿絵表示】



かなか様(Twitter @rice_ssss)に「あなたはウマ娘である。」の表紙を書いていただきました。

可愛すぎて川になっちゃった。これで私も日本三大河川だな。
ヤベェーイ! スゲェーイ! カワエェーイ! です。
ぜひ見てください、というか見ろ。




天に召されるあなたちゃん

 

 

「そうそうあなたちゃん!」

 

 

「ん? どうしたのマミー!」

 

 

 

トレセン学園のどこか、先日どこか危なっかしい雰囲気を醸し出していたチヨノオーが無事皐月賞を勝利したので、ウキウキのスキップでターフを走り回っていたマルゼンママとあなたちゃん。

 

二人ともスキップで走ってるのに並みのウマ娘よりも速いですし、3000近く走ってるのに息が全く切れていません。その上その速度を保ったまま楽しそうに談笑を始めるので、『あぁ、ついにお母さんの方までUMAになってしまわれたか……。』『いや後輩、マルゼン現役のころから速すぎてUMAだったぞ? つまりいつも通りだ。』という会話がモブウマ娘たちによってなされていました。

 

 

 

 

……あれ? マルゼンお母さん適性はどうしたんですか???

 

 

 

 

「トレセンの最寄駅から二駅行ったところにね! ドイツからやってきたすごいパティシエのお菓子屋さんが出来たんですって! あなたちゃん甘いの好きでしょ? 今度行ってみたらと思って!」

 

 

「お菓子!!!」

 

 

 

あなたちゃん、惑星一つを砂糖プランテーションで埋め尽くして文明を破壊するぐらいには甘党の邪神です。おいしそうなお菓子には目がありません。トレセン付近のケーキ屋さんやハチミーの屋台、グランマのクッキーまで捕捉していたあなたちゃん。しかしながらそのお話は初耳、これは心がウキウキし始めてタキオン氏のお薬を飲んでないのに全身が七色に発光し始めます。

 

 

「う~ん! パァリナイ! って感じね! ……練習投げ出して食べに行かなくなった辺りは成長したのかしら?」

 

 

マルゼンスキーも彼女との付き合いはもう4年目に突入済み、発光し始めた彼女に合わせてふわふわしたピンクの扇子を取り出して踊るぐらい訳ありません(※走りながらです)。

 

 

「あ! そうだ! チヨにもなんか買ってやろ! 皐月賞のお祝いお祝い!」

 

 

「あら、いいわね! ……あれからちゃんと顔を合わせて話せてないし、お茶会みたいにゴルシちゃんも呼んで四人で集まればちゃんと話せるかしら……。」

 

 

「そうと決まれば早速買いに行ってきまぁ~す!!!」

 

 

 

その言葉と一緒にガチョンガチョンと意味不明な機械音を体から発し始めたあなたちゃん。

 

 

脇のところから謎の細長い穴が開き、戦闘機についてそうな羽が飛び出ます。そして元々ついていた腕は体内に収納されました。脚部は人体が普通曲がらないはずの方向、前方向に向かって折れ曲がり、これまた体内に収納。足の折れ目からは何故かジェットエンジンが飛び出てきました。

 

 

「アムロ、行っきまぁ~す!!!」

 

 

そしてお胸のところから滑走路を走るためのタイヤが出現。芝だらけのターフをそのまま滑走路にして、頭部だけそのままの戦闘機あなたちゃんがお空に飛び出していきました。

 

 

 

さすがのマルゼンさんもこれにはビックリ。

 

近くで見ていたモブウマ娘ちゃんもびっくり、というか驚きすぎて口から泡吹いて倒れています。

 

 

 

 

うん! 今日もいいペンキ☆

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

「おぉ! ココがママが教えてくれたお店か! ガラス張りでオシャンティ!」

 

 

 

 

目標のお店にたどり着いたあなたちゃん。トランスフォーマーよろしく空中で戦闘機フォームからウマ娘フォームに変形した彼女はお店の真ん前で降り立ちます。

 

 

いくら前世お馬さんで寮内では裸族と言ってもここはお外、しかもちょっとお高めのお店。マルゼンお母さんと本物のお母さんに叩き込まれた一般常識がやっと役に立ち、あなたちゃんのお洋服はオシャレさん。お耳としっぽを帽子と長めのスカートで隠し、白と薄茶色のコーデになっています。見た目だけなら金髪の美人さんですね。…………あれ? 変形前ジャージじゃありませんでした?

 

 

「? 何言ってんの? 体内にオシャレ着収納しとくとか当たり前じゃん?」

 

 

さすがのあなた、もう生物ではないのかもしれません。

 

あなたちゃんの狂気的変形シーンを見てしまった一般通行人がSAN値チェックに失敗しているのをよそに、意気揚々と入店します。

 

 

 

「「いらっしゃいませ~。」」

 

 

 

「おぉ!」

 

 

 

お店の中に入ってみれば外からは解らなかったオシャレな音楽と雰囲気、人のよさそうな店員さん。そして何よりもショーケースの中に所狭しと並べられたお菓子たち。

 

チョコレート系のケーキは勿論、食べるのがもったいないマカロン。わざわざ日本に来たのなら抹茶や餡子を使わねば! というパティシエの意気込みが感じられる和洋折衷のスイーツ。極度の甘党と名高いあなたちゃんのお眼鏡にかなうどころか想像の三倍以上美味しそうです。赤くはありませんが。

 

 

「わぁあ! どうしよ。いっぱいあるなぁ……。」

 

 

年齢通りのかわいいはしゃぎ方をするあなたちゃん、今までの悪行や先ほどの変形に目を瞑れば見てくれだけはいいので絵にはなりますね。

 

 

「よろしければ少しお高くなってしまいますが店主のおすすめがすべてご用意できるプレートなどもございますが、どういたしましょう?」

 

 

「あ、そっか! ここお店の中で食べれるんだね! ……あ、確かに結構なお値段。」

 

 

マルゼンママに言われたこと、店内で少しゆっくりできるスペースがあるのを思い出したあなたちゃん。運よくお客さんは彼女しかいませんのでかなりゆっくりお菓子を堪能できるでしょう。

 

そう思いウキウキでそのプレートとやらを注文しようと思ったあなたちゃんでしたが……、確かにいいお値段。お皿一つに10個以上のお菓子が並んでおりお目目もお口も幸せになりそうなプレートですがそれ一つでホテルでご機嫌なお昼が楽しめるぐらいです。

 

 

「でもこれは買いだね! 気に入ったの買って帰れるし!」

 

 

と言うことで早速注文。……お金の心配? 大丈夫、少し前に手乗りあなたちゃんの自身人身売買で手に入れたお金がまだあります。ここで舌鼓を打った後にお土産に4人分のお菓子を買うぐらいなんてことはありません。

 

 

 

 

案内された椅子に座り、ガラス越しに外を眺める。あなたちゃんの目の前を通っていった通行人の中で手乗りあなたちゃんを肩に乗せている人が5人に行くか行かないかという時に、店員さんがプレートを持ってきてくれました。サービスのお紅茶も一緒です。

 

 

「お待たせいたしました。ご注文の品はこちらで大丈夫でしょうか?」

 

 

「大丈夫!」

 

 

 

眼の間に置かれるのはあなたちゃんにとっては同じ重さの金よりも価値があるスイーツたち。正直見ているだけで楽しいですが、さすがに食べないのはもったいないし作ってくれた人に失礼です。

 

 

「じゃ! 早速このチョコのケーキから……、7層構造のチョコケーキ。凝ってる……。」

 

 

コーティングのチョコレートから始まり生クリームが入ったチョコレートにチョコレートのムース。チョコレートだらけでゲシュタルト崩壊しそうですがとにかく美味しそうです。

 

 

 

「ごくり、いただきます……!」

 

 

 

意を決して口に放り込みます。

 

 

 

「あぁ…………む。 ッ!!!」

 

 

 

その瞬間、口に広がるは楽園!

 

 

濃厚なチョコソースの風味、上品すぎてもはや王室のごとし! 生地は口内の熱によってすぐに解けて消えるもの! しかしながらそこに存在していたことをくっきりと残す!

 

 

 

「ほ、ほわぁぁぁあああああ………。」

 

 

 

ほら、もうあなたちゃん美味しすぎて魂とか抜け出て……、ん? あなたちゃんの魂人間じゃなくて前世のお馬さんみたいな形してますけど……

 

 

 

「お、おいちい……。」

 

 

 

ちょ! まっ! 魂抜け出てますって! そのままどこかに行きそうですって! あなたちゃん!?

 

 

 

「ウマヒヒィ~~~ン………。」

 

 

 

あぁ、そのままお空に魂上って行ってしまいました……、朗らかに笑うウマのあなたちゃんが空に浮かんでいますね……。

 

 

 

(ぬにゅるぴ!)

 

「よし! ここは本能ちゃんに変わり理性ちゃんがこのスイーツを頂くとしよう! ふふ! 本能とは違って私には理性があるからな! いくら美味しくても浄化されることはない! では!(ぱく!)」

 

 

 

な、なんですか今のぬにゅるぴ!って変な音ォ! そんな音で人格切り替えないでくださいィ! ……あ、それと理性ちゃんお久しぶりです。前シーズンぶりですね。

 

 

「あ、ウマ(すぅ~~)」

 

 

あ、こっちも魂抜けた。あ、でも理性ちゃんの方はちゃんと人間の魂なんですね。

 

 

 

(ぬにゅるぴ!)

 

「……ふむ、では僭越ながらあなたちゃんの精神世界にて生活させていただいているダークライが代わりに頂くとしよう。もったいないしね。では……!」

 

 

あ! ダークライさん! あなたちゃんに刺身にされそうになって捕獲されたダークライさんじゃないですか! こちらも前シーズンぶりですね!

 

 

「…………(すぅ~~~)」

 

 

あぁ! もう! ダークライさんも口入れた瞬間魂出て入ったぁ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………、あれ? もしかして今あなたちゃんの体の中にある人格って私(ナレーターさん)だけ?

 

 

 

あ、じゃあ残すのもったいないですし、魂抜けるぐらい美味しいのって気になりますし……。

 

 

い、いただきます。

 

 

 

パクッ。

 

 

 

 

………(すぅ~~~)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇねぇお母さん! あのお星さまってなぁに! 他のお星さまと違ってお顔になってるよ!」

 

 

「あぁ、あれはね。右からあなたちゃん(本体)、あなたちゃん(理性)、ダークライさん、ナレーターさんよ?」

 

 

「わぁすごい! お名前付いてるんだね!」

 

 

「そうねぇ、みんな朗らかな笑顔を浮かべてお空で輝いてるねぇ。」

 

 

 

 




あなた

昇天してしまったせいでウマ娘世界に存在するはずのないウマ顔の星座が出来てしまった。なお体は体だけでスイーツを完食した後にお土産を買って帰った。もちろん中に魂は入っていませんよ?


あなた(理性)

久しぶりに出て来たあなたちゃんの一人。いつものあなたちゃんが本能で動くならばこのあなたちゃんは理性で動いている。理性を司るあなたちゃん。でもあなたちゃんなので常識は知ってるけど守らない。


ダークライ

第一シーズンであなたちゃんに刺身にされそうだったポケモン。あなたちゃんの精神世界で居候をしている。急に出てきて急に消えた。


ナレーターさん

いつもこちら側に対して話している人。あなたちゃんの精神世界からお話している。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。