次はちゃんとホープフルS書くから……、インタビューもちゃんとやり直すから……
ゆるちて
あなたはインタビューウマ娘である。
本日はじゅにあきゅうなるものの最終盤、ホープフルSの枠番抽選とその意気込みに対してのインタビューがある日であり、あなたとトレーナーは会場に来ていた。
なお抽選はトレセンの制服で行い、インタビューは勝負服で行うらしく服自体が苦手なあなたにとっては二度手間で面倒なのは周知の事実であるが規則なので仕方ないとトレーナーに説得された。
まぁそんな風に不満をぶー垂れていたのを三女神様に見られていたのか、それとも単純にあなたの運が腐っていたのかは解らないが8枠16番の大外。大外れである。
あなたは絶望のあまり包丁をぶちぎれた相手に向ける板前の物まねをしながら「私は今、冷静さを欠こうとしています。」という一発芸を披露してしまったが、「それどこから持ってきた、危ないからしまえ」と小道具の包丁について怒られてしまった。
ちなみにその包丁は気が付いたら手に握られていたものであるため誰のものか不明である。あなたはネタにした当人でありながらちょっとだけ怖くなったのでURAの職員の方に危険物として引き取ってもらった。
ま、そんなわけで大外なわけで、枠番の順にインタビューが行われることもあり、あなたは一番最後。それまで用意していただいた控室の方で待っておけとトレーナーに指示されたわけだが当然暇である。
もちろん現在トレセンで一番人気の問題児として有名になってきたあなたである。控室でおとなしく待機なんてしているわけもなく……、先日のレースの賞金で購入した女性用のスーツを着、変装用のマスクと眼鏡を付けて記者に扮したあなたはインタビューをする側に回っている。
一応声も割れていることも考え、自分から質問することはないが、ちゃんと手帳にメモを取って記者みたいにしているのでうまく溶け込めていると思う。
「では、お次は一番人気に推されていますミホシンザンさんです。」
おや、あなたが紛れているうちにミホシンザンの番に回ってきた様子である。そういえば何故か彼女がもうすでにデビューしていることに違和感を覚えたあなたであったが、特に問題なかろうと判断して違和感を無視し続けている。そんな注目の的であるミホシンザンのインタビューが始まった。
「ミホシンザンさん! 今回のレースについての意気込みを!」
「やっぱり、いつもの自分を出し切ることちゃうかな? あ、すまんな、面白いこと言えんで。」
「今回他の出走者のかたで特にマークしている方はいらっしゃいますか!」
「ま、やっぱり2番人気と3番人気の二人やね。三人とも後ろからやし楽しそうやん?」
と、そんな感じで彼女は淡々と受け答えしている。あなたは受け答えするときに若干にゃ、揺れるミホシンザンの胸部装甲をこれでもか! というほど確認した後、自分の真っ平な胸部装甲を確認。
その後手元のメモ帳に「おっぱい」と書き込んだ。
あなたとしては以上である。
「次は2番人気に押されましたシリウスシンボリさんです。」
「ど~も!」
なんだかくるくると回るヘンテコダンスを踊りながら次にシリウスシンボリが出てきた。
あなたとしては「変なダンス」とメモ帳に書き込み終了。メモ帳パタンである。
隣にいた本物の記者であるおじさんが「え、早くない?」と思いながらもインタビューはつつがなく進む。
シリウスシンボリ、受け答え自体は普通なのだが何故か質問を答えるたびに変なダンスを回転しながら披露している。背後にいるおハナさんが呆れた顔をしているが、まぁそのまま進む。
ちなみにあなたの隣にいた記者のおじさんも手元のメモに「変なダンス」と書き込んだのをあなたは見逃さなかった。
さて、その後もインタビューは進み。あなたの番である。本来ならあなたは控室で勝負服に着替えていなければならないが……、今あなたは勝負服ではなくリクルートスーツ。しかも先ほどから記者の真似事も面倒になってきたので、手元のメモ帳に落書きをしている最中である。
なお、あなたのメモ帳には
「おっぱい」
「変なダンス」
しか書いておらず、後はよく解らない四足歩行の生き物の落書きをしている。
それと隣にいた記者おじさんは「この子後で上司に怒られないか心配だなぁ」と思いながら後で資料を分けてあげようか思案していた。いい人である。
ま、そんなわけで遊んでいたら司会進行のお姉さんが慌てだした。あなたのウマ娘基本スペックである優れた耳には、最後の一人が控室にいない、職員全員で探しているけど見つからない、と報告を受けどうしたらいいかわからず慌てている。
ここにいるのだが。
「あ、あの。大変申し訳ありません。次の方が現在立て込んでいるそうなので、もう少しお待ちください。」
記者の方々からすれば、おそらく初のGⅠ、初めての勝負服ということで色々戸惑っているのだろうとちょっとにこやかな雰囲気に包まれる。
まぁここにいるのだが。
「おう、お嬢ちゃん? ちょっと芸術の最中悪いけど仕事の方は大丈夫なのか? 見た感じ新人っぽいけど先輩は?」
あなたが職員の慌て具合を知らんぷりしながら前世の自分をスケッチしていたところ。隣の記者おじさんが話しかけて来てくれた、多分あなたのスーツがぴちぴちの新品なので新人と思われたのだろう。あなたは一人で来たと答える。
「あ~、それでか。まぁ初めてだろうし色々と勝手がわからないんだろうけど……、ま、これ貸してやるよ。一応こんな風にメモ取るんだ、ってことで。」
あなたは今回のインタビューについて詳しくまとめられた資料を頂いた。
「ま、新人なんてみんなそんなもんよ。お前さんに後輩が出来たら、ちゃんと教えてやれるように頑張んな。……にしても最後の子遅いねぇ。やっぱり初めての勝負服だろうし戸惑ってんのかな?」
何だろう、そんなやさしくされるととても申し訳なってくるんですけど……。
「すいません、ちょっとトイレに……。」
「お、まぁちょうどいいかもな。途中で来てもメモ取っといてやるからゆっくりいってき。」
……だからやさしさで殴らないでください。
あなたはとても申し訳ない気持ちになった。
と、そんなわけで息もゼぇゼぇ言いながら控室に急行。職員やトレーナーが警察に誘拐されたかも、と通報される直前で到着、まぁとりあえず記者さん待たせてるからということで急いで着替えてインタビューを受けた。
インタビュー後にトレーナーさんと一緒に職員の皆様に頭を下げに行ったが、まぁ皆さんやさしく「迷ちゃったんでしょ?」「ここ広いもんねぇ」などと言いながら普通に許してくれた。
……だからやさしさで殴らないでくださぃ。
あなたはちょっとだけ、真面目になった。
没になった理由、あなたが少しでも真面目になったこと。