なおあなたちゃんはいつも通りの模様。
と、言うわけでスぺちゃん転入おめでとうございます。
「あ、はい。ありがとうございます。」
わたくし『あなたはウマ娘である。』のナレーターを務めさせていただいております謎のお姉さんです。今後会うかもしれない高身長イケメン美少女顔がイイランキング三年連続制覇の葦毛のウマ娘とちょっとだけ声が似ていますが気にしないでくださいね。
「は、はぁ……。」
時間は巻き戻りまして、まぁ正確に言うと前回はあなたちゃんの誕生日ということで時系列がいつものようにごっちゃになっていただけなのですが、今回からもとに戻ってスぺちゃん学園生活編でございます。ちょうど先ほど授業が終わりまして、本来なら昨日行かなければならなかった生徒会室の方へむかうスぺちゃんでございます。なんでかって言うと初日に門限というか約束の時間を忘れてウマ娘さんのライブ見に行ってたからなんですよね。
「う! 言わないでくださいよ~。」
まぁまぁ、そのライブのセンターで『あんな人になりたい!』って思った人が同室だったんですからいいじゃないですか。あ、あと私の声スぺちゃんともう一人ぐらいしか聞こえてませんので基本無視するほうがいいですよ? わたくしとしましても返事帰ってこなくても関係なく話しますし、心の声も部分的に聞こえますから。
(あ、そうなんですね。解りました。)
と、言うわけでやってきました生徒会。ここには世界でも数少ないクラシック級三冠の栄光を持つ二人、ティアラ三冠は落としたものの成績を見ればそれに匹敵する栄光を手に入れた一人が主に生息している場所です。まぁでもここよりも合計成績がヤバい場所もありますし、ビーム練習場や舞空術練習所に比べれば命の危険性は全くありません。むしろ学園で一番まともで安全かもしれません。
「え、何ですかその施設。というか学園で命の危険性って……。もしかしてヤバイ学校に来ちゃった?」
いえいえ、“一般的な”トレセン学園ですとも。ただレースにおけるケガや死亡事故が0になった代わりに全く別の生物になってしまったりするだけです。それに訓練されたウマ娘ともなると片手からビームを撃てるようになったり空を飛べるなんて片手間でできるようになりますよ?
「いや明らかに一般的じゃないですよそれ! なんですか! 学園は軍の秘密研究所だったりするんですか!?」
そんなことはあり得ませんとも。ほら、今日のお昼ご飯の時に話しかけてきてくれたマルゼンスキーっていう優しそうな先輩がいらしたでしょ?
「あぁ、あの零しちゃった水を華麗によけてキャッチしてくれた……。」
彼女普通に空飛べますし、ビームも打てますよ? 学園有数の実力者ですしレースでの実力も五指に入ります。実際の戦闘力とレースでのスピードは比例するという研究結果ののよい例ですね。あ! ちなみにもし学園から逃げようとしても“正規”の手段じゃないと“例のあの人”に呼び戻されて寮から逃げ出したはずが朝起きたら寮のベッドで目覚めるなんてざらですから。スぺちゃん気を付けてくださいね?
「ひ、ひぇ。」
あ、そんなこんなで生徒会室つきましたし、そろそろお時間です。中に入りましょうスぺちゃん?
「し、失礼します!」
「あぁ、開いているよ。入り給え。」
◇◆◇◆◇
スぺちゃんが会長さんから学園についてのお話や「エクリプスとってもはやいのね!」というお話、その後ロリっ子テイオーからの学園紹介を受けている間。
我らがあなたちゃんはタイムスリップをしていた。
そう! 戦国時代に! しかもウマ娘がいない我々の世界の過去に!
もうそれだけでマルチバースの番人とかタイムパトロールとか正義側の女神サマとかが出張してきそうな案件ではございますが、残念こちとらあなたちゃん。“あなた”という三文字が一人歩きしすぎて作者と読者の皆様から『スパロボとかのたくさんの力を合わせないと勝てないタイプのラスボス』みたいな扱いを受けている彼女です、そんな奴らに負けるはずがありません。つまり戦国時代はあなたちゃんの遊び場になってしまわれたのです。おいたわしや……
ま、あなたちゃんにはそんなこと関係ありません。海道一の弓取りとして名高い今川義元、信長にやられちゃったせいでなんかすごく過小評価されてるけどすんごい人だった今川当主の長女として生まれたあなたちゃん。
本来でしたら北条とか武田とかそこら辺との婚姻同盟を結ぶために使われるのがオチでしたが相手はあなたちゃんです。そんなことできるわけがありませんね。
義元様がブチギレて愛用の弓をもって、
「こんのバカ娘~~! 少しぐらいでいいからいうこと聞けぇ!」
と矢を放ちながらお叱りの言葉を投げかけたとしても、
「あなたちゃんは自然増殖だからそんなのいらないのだ! にゃははははは!」
と反復横跳びをしながら避ける始末。
しかもこの娘知略や政略は全くできませんが、求心力と武力がものすごく秀でておりました。
具体的にはある村へ行くと、
「あぁ、今川の姫様じゃ! あなた様じゃ! 皆の物、なにか甘いものを持ち寄るのじゃ!」
「なんだって! 姫様がこの辺りに来る!? 今すぐ荷物をまとめろ! あの姫様とこに仕官させてもらえればくいっぱぐれねぇって噂だぞ!」
との具合。見てくれだけはよろしいですし、あなたちゃんは自分の星を所有しております。その気になれば今川一国ぐらい余裕で食べさせることができる食料を懐から出すことができるのでご飯の心配は全くないわけですね。人気も出るはずです。
しかもウマ娘としての身体能力とあなたちゃんとしての意味不明さも持っていますからひとりだけ戦国無双状態。強い武に惹かれる兵士たちも一定数いましたのであなたちゃんはいっぱしの勢力を勝手に作り上げて今うのでした。
これに困るのは今川義元様、御当主様です。あなたちゃんが勝手に産まれた来ただけなので本来産まれるべきだった長女、次女たちは生まれてくれたため甲相駿三国同盟、武田と北条との同盟は何とか結べました。しかしながらそこに現るウチのバカ娘、交渉の場に連れて行けばどんなにうまくいっていた話も全部泡に帰すと有名なあなたちゃんです。
当然大事な交渉中は野に放たれていたのですが……、それがあだになりました。数にして5000の足軽を集めてしまったあなたちゃん。決して多くはありませんが無視できない数です。一介の城主が保有する戦力と言えばわかりやすいでしょうか。
そうなんです、気が付いたら一城分の兵力を率いて、個人だけでも一騎当千のあなたちゃんが「パパ上ただいま~、あなたちゃんが帰ってきたぞ~!」と帰宅してしまったのです。
お城の兵士たちが「すわどこかが裏切ったか!? 松平か!?」と勘違いしてしまうぐらいの出来事です。まぁあなたちゃんの家紋は今川の家紋の下に自分の顔が書いてある奴なので間違いようがないですが。……あれ? お前勝手に独立してね?
「で、バカ娘よ。あの5000の兵はどうした。しかもあ奴らある程度訓練されてるであろう。」
「あなたちゃんがしたぞ!」
「……俸禄はどうするのだ。」
「あなたちゃんが出すぞ!」
「……家はどうする。」
「あなたちゃ……、どっかいい場所ない?」
大きなため息を吐くパパ上こと義元。初めて授かった子であるため少々自由にさせ過ぎたせいかとんでもないものに育ってしまった。嫁がせようにも相手の家、この場合は城だがそれを壊滅させて帰ってくるし、寺に入れようにも仏像が急に動き出して『お願いですから帰ってください』と言い始める始末。最初はなんの法螺話かと疑ったが実際に娘と共に寺に向かえばホントに仏が動いていた。
しかも「義元くんが死後極楽浄土に行けるように便宜測るから絶対にその子をウチに預けないで」と頼まれた。まぁ受け入れたが「一族全員」という契約にしてもらった。まぁバカ娘は例外らしいが。
まぁそんなこんなで、バカ娘を単身で敵陣に送りだしたら全員無力化して帰ってきたのを見ていたら(正確には義元もたくさん頑張った)戦国大名に。……娘も昔ほど若くはないしそろそろ独り立ちさせる時期か。
「よし、ならば自分で土地を取って見せよ。」
「お? どっか攻めんの?」
「あぁ、尾張だ。朝比奈、井伊。あぁあと松平もつけてやろう。その者たちを率いて織田を攻めてくるといい、勝てば尾張国主だ。まぁウチの配下、尾張今川家ってとこか。」
「おぉ!」
脳内で“尾張あなた今川家”の結成を夢見るあなたちゃん。今川家家臣団からも『そういえば一番上の姫様どうするんだろう、嫁入りは無理だし婿は名乗り出る奴いないし……?』と影口を叩かれる心配もなくなりますね!
「戦力差は多く見積もっても5倍は下らんだろう、尾張の虎と言われていた信秀と違って息子の信長はうつけと聞く。まぁ策の一つかもしれんが……、お前なら滅多なことにはならんだろう。」
「うつけ! ねぇねぇパパ上! すぐ行ってもいい! あなたちゃんお家立てるの!そのまま二乗御所まで攻め込んじゃうから!」
「……ホントにやるなよ? やるときは声かけろよ? 直線で京まで突っ切ろうとするなよ?」
「解ってるって! 泰朝のおっちゃんに直盛のおっちゃんお出かけするぞ! あと元康はどこ行った? 私が攻めてきたせいで反乱疑われてストレスで腹壊したのか!? にゃははははは!!」
笑いながらそのまま走り去るあなたちゃん。
こうしてあなたちゃんの織田家征伐の旅が始まったのである!
なお、いくら天運が信長に味方したとしてもあなたちゃんはあなたちゃんであるため勝てない模様。
織田家の明日はどっちだ!
◇◆◇◆◇
「え、今なんかすごく織田家の皆様の悲鳴が聞こえた気が……。」
時代は戻ってきましてトレセン学園。あなたちゃんが『あなたちゃんの野望』をしている間に学校見学もリギルの選抜レースも済ましちゃったスペシャルウィーク。
なおこの世界におけるリギルは“最強チーム”ではなく“強豪チーム”です。なんか余った強いウマ娘全部ここにいれ解きゃ問題ないデショ、という安易な決定で強すぎるウマ娘たちが集められたリギルですがそれでも“強豪”どまり、万年2位でございます。
ま、このお話をお読みの方は知っているとは思いますが最強チームはスピカです。リギルは一応定期的に選抜レースを行ってくれますが、スピカは基本的に所属しているウマ娘が勝手にメンバーを集めてきます。つまり縁故入社しかできないチームなのです。なので皆さんリギルに入りたがるんですねぇ……!
スピカがアレ過ぎるって理由もありそうですが。
あ、ちなみにスぺちゃんの隣にあるその看板『おいしいお米、育ててます。』って書いてあるの。すっごく死んだ目で虚空を見つめる農家姿のチヨノオーちゃんの後ろにウマ娘たちが4人埋まってる看板あるでしょ。それスピカの部員募集の看板です。
「……えぇ。」
いいデザインでしょ?
「いやどう頑張ってもこんなとこ行きたくないで……うぐぅ!」
看板から目を外し前に歩こうとした瞬間、スぺの鼻に柔らかいものが当たる。むむッ! これは!
上を見上げるスぺ。マスクにサングラスが三つ。明らかに不審者のウマ娘が三人。来るぞ遊馬! 来ないぞ遊馬! ジェットストリームアタックだ!
「スカーレットッ! ウオッカッ! やぁ~っておしまい!」
「ふぇ?」
瞬間被せられる麻袋、やったねスぺちゃん! トレセン学園最強チームからのスカウトだよ!
スピカ在籍メンバー所持称号(予定含む)
凱旋門制覇、速過ぎて制度を変えさせた女、三冠、グランプリ二連覇、異次元の逃亡者、日本総大将、緋色の女王、型破りの女帝