あなたはウマ娘である。   作:サイリウム(夕宙リウム)

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年単位で更新が無かった作品を投稿し、読者も作者も怖がらせましょう!

 

 

 

「あ、あの。師匠さ?」

 

「んー?」

 

「何してんの?」

 

「縫物」

 

 

ここはトレセン学園に存在する寮の一室。

 

本来二人部屋のはずが、あまりにも化け物なため誰も住みつかず実質的な一人部屋。そこでは、二人のウマ娘が言葉を交わしておりました。

 

一人はゴールドシップ。

 

言わずと知れた破天荒ウマ娘であり、『ウマ娘』というコンテンツを支え続けた功労者。超人気YOUTUBERでありながら、レースでも結果を残し続ける凄い奴です。

 

そしてもう一人が……、本作の主人公にして大邪神。ゲートという存在自体が許せずただひたすらに破壊し、凱旋門も物理的に破壊。ついでにレコードも破壊した後は三女神と日常的に喧嘩し続けるという化け物。『あなたちゃん』です。

 

そんな彼女が縫物なんて、怖いですね。

 

明日はついに人類が滅亡するのかもしれません。……あ、何度かもうしてましたっけ?

 

 

「地球数回爆発してるからなぁ。三女神様が時間巻き戻してないとマジでこの世界終わってる奴。……師匠さ、控えたりしないの?」

 

「すると思う?」

 

「まぁないよなぁ。んで? 結局なに縫ってんだ?」

 

「枕カバー。」

 

 

どうやらあなたちゃん、今日は比較的真面な存在らしく……。穴の開いた枕カバーを修繕しているご様子。

 

毎年恒例で行われるトレセン学園の夏の風物詩、『ドキドキ☆枕を投げ合って相手をノックアウトした瞬間に担当トレーナーをお持ち帰りしましょう!』の会にて破損した自分の枕を直しているみたいです。

 

 

「あぁ、アレか。普段ふざけてるアタシらが事態の鎮火に動かなきゃいけなかった奴。」

 

「なんかあなたちゃんの『ゲート爆殺』が霞むくらいバラエティ豊かになって来たよね、トレセン。」

 

「確かに……、って思ったけど師匠の器物損壊は唯一無二だぞ? 普通に犯罪。」

 

「あなたちゃん邪神だから人の法律適応されませーん。」

 

 

ちなみにこの企画、現在学園で生徒会長を務めているシンボリルドルフ。そんな彼女の先代である『シンザン会長』が考案し、自分のトレーナーを誰にも渡さないようにと当時のウマ娘たちを全員保健室に叩き込むんだという悪魔の所業が何故か伝統になってしまったものです。

 

普通に危険なので開催は見送られていたのですが……。

 

昨今のウマ娘業界における『トレーナーさんラブ勢』の増加により勝手に復活。『3年終わった後に他の泥棒猫に取られるなら心中してやる!』とか『チーム契約とかふざけたこと抜かすやつを全員叩きのめす!』とか、『国外拉致』とか『ダーリン』とか。様々な思惑が入り乱れヤバいことになっていたのです。

 

このままではトレセン学園が婚活会場どころか、もっとヤバ気な何かになってしまうのは必須。コンプラや本家の規約を守るためにも、普段競い合う生徒会とあなたちゃん達がチームを組み、枕で生徒たちを鎮圧する、といったことを行っていたみたいですね。

 

 

「ま、あなたちゃん最近邪神だけじゃなくて普通の創造神とかもやってるからな。コレぐらいヨユーヨユー。あ、ちなみにあなたちゃんが神してる世界な『ダチョウ獣人のはちゃめちゃ無双』と『TS剣闘士は異世界で何を見るか。』は書籍化&発売されてるから買えよな読者。ダチョウの方はコミカライズもされてるから読め。」

 

「……こういうダイマすると読者って離れね? 冷めるし。」

 

「もう離れる様な人数残ってないでしょ。前回投稿2年前だぞ。冷めるどころか虚無になってるだろ。私のキャラもなんかふわっふわになって来てるし。」

 

「呼んだかしら?」

 

「「呼んでないから帰ってアヤベ。」」

 

 

急にドアを叩き破りながら登場するアドマイヤベガさん。

 

しかし周囲を見渡してもモフモフふわふわは存在しません。とても残念そうにテクテクと帰っていきます。……今あの人ふわふわって単語だけに反応「やっぱり呼んだわよね?」……呼んでないのでおかえりください。

 

とまぁそんなやり取りを繰り返しながら、自分の枕カバーを修繕していくあなたちゃん。

 

普段はバケモノみたいと言うか、真なるバケモノの言動や行動をする彼女ですが、人間としての振る舞いが出来ないわけではありません。元々馬からのウマ娘、という変異を辿った彼女であれど、最近は人間の擬態も上手くなってきました。昔みたいに狂気と破壊を司る大邪神、という感じでもなくなりましたし……。丸くなりましたねぇ。

 

 

「うし、できた。」

 

「おつおつ。……んでさ師匠。最近実装されたさ、スティルってやついるじゃん。」

 

「あー、あの紅の。」

 

「そうそう、本家ゲームの方で色々被害者? 出しちゃってる奴。ストーリーが心にぶっ刺さって帰って来れない奴何人かいるんだけどさ……。こっちではどんな感じなんかね?」

 

 

単純な疑問から、そう口にするゴルシ。

 

この世界ですが、あなたちゃんという平気で別世界や本家世界の内容を持ち込む存在がいるため、一部の人間が『あ、大本の世界の私ってあんな感じなのか。』という認識を持っていたりしています。

 

例えばあなたちゃんの同期であるシリウスシンボリあたりですと、彼女を本作で書き始めた時期が実装よりも以前だったということもあり、本家の登場によりキャラ設定が爆発四散。自分のトレーナーをパピー扱い出来る様な性格ではなかったりします。ルドルフとの関係も……、そこまで悪い感じではないみたいですしね。

 

 

「アレ最終的にさ、メリーバッドエンドみたいになるじゃん。いやそういうのが好きな人もいるんだろうけどさ……。ゴルシちゃん的にはハッピーエンドの方が良いわけ。本人たちの幸せもいいけどさ、折角なら周りもみんなバカやりながら笑い合える方がいいわけじゃん?」

 

「そりゃぁそう。」

 

 

折角ウマ娘にとって楽園みたいな世界がここに在るのです。

 

本来出会うことの無かった血族たちと交流が深められたり、史実ではできなかった互いを高め合うレースが出来たり、ケガや事故で途絶え消えゆくはずだった道筋をもう一度走り始めたり。色んな事が出来るのがこの世界。

 

“以前”を知る者たちからすればせっかくの二周目の世界なのです。楽しみ抜くために友達は多い方がいいですし、その友達が困ったりしそうな障害は早いとこ解決しておいた方がいいはず。ゴルシちゃんはそう言いたいみたいですね。

 

さ、あなたちゃん。出番みたいですよ?

 

 

「まぁそう言うと思ってあなたちゃん、動いておきました。」

 

「お、流石師匠。仕事が早い。」

 

「めっちゃ簡単な話。スティルちゃんの“闘争本能”とも呼べる『紅』を何とかしながら、同時に彼女のトレーナーを滅茶苦茶強化してすべての影響を飲み干してなお健在! みたいな感じにしたらええんじゃろ? ほいこれ。」

 

 

そう言いながら彼女が取り出すのは、まばゆい光を放ち続ける金色のチケットと、この世のものとは思えない激臭を放つ液体。

 

そうですね、 『JAPAN WORLD ANATATYAN CUP』の無期限参加チケットと、タキオン製薬によって魔改造された『ウルトラスーパーエアライダー発売とっても嬉しいデラックスロイヤルビタージュース』です。

 

いつでもどこでもどんな時でも異次元空間にご招待され、ハリボテの名を冠する超名馬たちと自由にバトルできる素敵なチケットと、飲み干した瞬間320万色に光り輝く代わりに骨密度と筋肉密度は約5000兆倍に成るという魅惑のドリンクです。あ、前者はウマ娘よりヤバいと有名な桐生院葵トレーナーが実際にレースに出て確認し、後者はタキオンのトレーナーが飲み干し無事だったことから両者ともに全く問題はありません。

 

つまりトンチキとも呼べるヤバい名馬たちと走り合ってたらどれだけ強い闘争本能でも満足するだろうし、トレーナーをハイパー無敵にしてしまえば飲み込まれても乗りこなしちゃうだろう、という寸法みたいです。

 

 

「これを昨日勝手に投与して来たから……。まぁ何とかなるやろ。」

 

「……密度5000兆倍ってもうそれ人間なのか?」

 

「試験したタキオントレが何とかなってたしいけるでしょ。」

 

 

うんうん、これで一件落着ですね。

 

けれどあなたちゃん、どこか浮かない顔。

 

何かあったのでしょうか?

 

 

「いやさ。別に先回りして問題を解決するのは良いんだけどさ……。こう、あなたちゃんじゃないよね。」

 

「と、いうと?」

 

「カオスが足りない。あなたちゃんはもっとこう、無邪気で人の言葉が解らなくて周囲の存在に迷惑かけまくりながら常に破天荒じゃないといけないの。」

 

 

まぁ確かに……、以前の行いを見てるとそうですね。

 

 

「というわけで。こちらにスイッチがございます。」

 

「赤い起爆スイッチみたいなやつだな。」

 

「これを押すと……、全世界の門及びゲート。ついでにまだあなたちゃんがスイッチ2を入手出来てないのが凄くムカつくので、保有者のお家が爆散するボタンです。というわけでぽちー。」

 

 

その瞬間、巻き起こる大爆発。

 

フランスが誇る凱旋門は勿論、日本の雷門、そしてアメリカのゴールデンゲートブリッジまで一斉に爆発四散。そのほか各地の門やゲート、無論レースで使用するゲートも粉砕玉砕大喝采。ついでに苗字に「門」や「ゲート」が付いた人の表札も吹き飛び、スイッチ2を持っているお家も吹き飛びます。

 

どうやらトレセン学園にも当選者がいたようで……。あなたちゃんのお隣のお部屋が綺麗に吹き飛んでしまいました。うんうん、匠のリノベーション工事が捗りますねぇ。解放感アップです。

 

まぁそんな『この世界にとっていつものこと』が起きれば、それにブチ切れた人が飛んでくるわけで……。

 

 

 

「こんのぉ! たわけどもがァァァ!!!!!」

 

「あ、エアグル閣下じゃん。おひさおひさ。」

 

「毎日貴様のせいで顔を合わしているだろうがたわけッ! またゲート諸共各地の重要文化財どころか寮まで破壊しおったなッ! きょ、今日という今日は許せん! あなたッ! 貴様用に新調した戦車で踏みつぶしてくれるわッ!!!!!」

 

「うけけけけけ! あなたちゃん戦車如きじゃやられないよッ! と言わけで逃げまーす! 帝王に逃走はないことはないのだー!!! うけけけけけ!!!!!」

 

「逃がさん! 機関全速前進! パンツァーフォー!!!!!」

 

 

……うん、今日もトレセン学園は平和ですね!

 

 

 






※あなたちゃんが破壊した色々は三女神が修復し、凱旋門に関しては『エトワール凱旋門を守るパリ市民の会』が元通り修復し、その費用をあなたちゃんに請求しました。

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