無個性でアーマー纏ってヒーローしてもいいですか? 作:サイリウム(夕宙リウム)
「それで、完成したから見てほしいというのは……。」
場所は事務所の地下トレーニング場。私の機械化、体を機械化することで増強型のように身体能力を上げる異形型の個性の性質上必要になった場所なんだが。
「はい。見た目が見た目ですし、威力もどこでセーブしたらいいのかわからないので。実験できそうなのが父様の事務所ぐらいしか思いつかず……。」
「うん。いやそれは別にいいんだよ? ケド正直ヒーローとしても父としても何作ってるの!?、というのは言わせてほしい。うん。」
自作したサポートアイテムを使ってみたいから、ということで事務所の下まで来てもらったわけだけど……、かなり仰々しい入れ物から出てきたのは二丁の銃器のようなもの。先端が細くなっているようなものでなく、全体的に直方体のタイプ。
「いや、正直お父さんなんて顔したらいいのかホントに解らなかったからね!? いや急にそんなもの小学一年生が持ち出すものじゃないからね!?」
「ごめんなさい。ですがさすがに人目のある野外で実験するのは駄目だと思いまして。」
「確かにそうだし、ちゃんとわかってるのはいいことなんだけど……、ちなみに母さんはなんて言ってたの?」
「とてもいい笑顔で『うわぁ! こんなもの作れるなんてやっぱりイスズちゃんは賢い! すごい!』だそうです。絶賛してくれました。」
「確かに作れること自体ホントにすごいんだけど……、説明してもらってもいい?」
「モチロンです。」
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あれから少し過ぎ、世間は夏休みとなりました。
気温は暑く、過ごしづらくなってきましたが、父は肝が冷えたようです。
ども、イスズです。
今日は父様の地下トレーニング場で試作した兵器の試射会をしております。ヒーローの子供と言ってもお外で銃器乱射してたら捕まるし、迷惑かけるのでわざわざこちらのほうお借りしてやってます。ちなみにこの銃器のもとになったのはモデルガンやスタンガンなどの護身武器ですが性能はモノホンに劣らないイスズちゃん印なのでピカイチです。
では紹介していきましょう。
一つ目はエネルギーガン。大目標のアイアンスーツ、そのメイン攻撃になるだろうリパルサー・ビーム、ユニ・ビームなどのリアクターのエネルギーを放出して攻撃する。それを実現するために作成した発射機能の試作品になります。
元がモデルガンなので連射性や冷却時間の長さが問題ですが、結構いい線行っているかと思います。
「……思ったよりすごいの出てきたなぁ。」
「現状、大きなエネルギーを生成する、分けて貯めるというのが難しく、弾丸は一発ずつリロードするタイプで、その弾丸、エネルギーパックも一度使用すると6時間ほどの充電が必要になります。」
二つ目は特殊弾を発射する銃。銃器自体に特殊なところはありませんが特筆すべきはその銃弾。今回用意したのは三種類、スタンブレット、スパイダーブレッド、ホークブレッドです。
「スタンはそのまま。当たった対象に高圧電流を流して気絶させる。スパイダーは対象者に弾丸が当たる瞬間に弾丸に仕込まれている網が起動、対象者を捕縛します。一番の自信作であるホークは銃のほうでターゲッティングした対象をホーミングする機能があります。小型化が難しく、どれも3㎝ほどの弾丸になってしまったのが欠点ですね。今後はこれの小型化と一つの弾丸にすべての機能が追加できるようにするつもりです。」
「……これ市場に出回るとホントにヒーローの仕事なくなりそうなんだけど。」
「自分で使うだけなので公にはしませんよ。データはできる限り厳重に守ってますし、弾丸も今回試射用に用意したものだけです。」
「家に入り込んで手に入れようとしてもプロヒーローの母さんがいるから大丈夫ということか。」
「そういうことになりますね。」
「うん、知らないうちにすごく置いてかれた気分だよ、いや喜ばしいことなんだけどね。………このサポートアイテムを使ってヒーローを目指すのかい?」
「はい、と言ってもこれはまだ試作品。私が作りたいものの一部分にすらなりません。ですのでまだまだ、ですね。」
そう、まだまだ。肝心のアークリアクターの作成はパラジウムなしで設計だけしようとしているが失敗続き、大型のリアクターの作成だってシミュレーションで失敗している。私の動きに合わせて動くアーマーの作成だってまだだし、積み込む武装は全然できてない。
「まぁこのまだまだ、ってのが楽しいんですけどね。」
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「さて、わが友梅雨ちゃんよ。用意はできているか?」
「ケロ、急に呼び出されてんだから何を用意すればいいかわからないわ。」
「うむうむ、それは大丈夫だとも、身一つあれば何もいらないのでな。あ、それと金のことは気にするな。わが母様より資金援助の方を受けておるゆえ(ほんとは勝手に株で稼いだ金)。」
「ならこんどお礼言わなくちゃ。……あと今日はすごくウキウキしてるのね。それと喋り方も変。」
「……失礼、少々はしゃぎ過ぎた。まぁなんで今日呼んだかというと梅雨ちゃんのお母さん、臨月……、赤ちゃん生むので大変なんでしょう? 梅雨ちゃん家で一人って聞いたから気分転換に遊びに行こうかな、と思いまして。」
「……ありがとう。」
「まぁ行先は私の趣味なんですか。」
と、言うことでやってきました近所のジャンク屋! 何でも取り扱ってるお店だぞ! 店主は女性でイスズちゃんと仲がいい姉御肌だ! ちなみにだいぶ前に破壊したPCの生きている基盤はここで売却したみたいだぞ!
「やほ~、姉貴おる~?」
少し暗い店内から赤髪の女性が手をふきながら出てくる。
「あ~~!? また来たのかよクソガキ。もうエアガンとスタンガンはあれで全部だよ! 欲しかったらもっとちゃんとしたおもちゃ屋行きな!」
「今日は別件だぁ~い! 中はいるね~!」
「あ、ちょ、おま! 気を付けるんだよ!」
「お邪魔しますケロ。」
「ん? あぁ、梅雨も来てたのか。お前さんも災難だねぇ。」
「ううん、大丈夫。おうちにいても一人だから連れて来てもらったの。」
「そうかい、まぁ外熱いだろうし中入りな。飲み物はカルピスでいいかい? どうせあいつ持ちだろ。」
「姉貴~! このパソコンばらしていい~?」
「あホンダラ! 売り物に手ぇ出すんじゃねぇ! やるなら金払いな! ……ったくもう。もう少しは親の前の時ぐらいにお淑やかにしろってんだ。」
「ホイ、これオカネ。あとそいつは無理な相談だぜぇ、姉貴。尊敬度MAXな親の前でこんな醜態見せれるわけないもんね! あと単純にハズイ!」
「あの溺愛夫婦は普通に受け入れそうだがねぇ? あとお待ちどうさま、カルピスここ置いとくよ。」
「ケロ、ありがとう。あと私もそう思う、もう少し素直になってもいいんじゃない?」
「Oh、四面楚歌じゃん。」
あとがき
主人公:重威イスズ
一年生、夏休みの自由研究に銃器を作っていた奴。なお彼女にとって近所のジャンク屋は比較的安価に何でも手に入るのでお気に入りの場所。あと何やっても比較的怒られないし。
父:重威工事
愛娘が銃器取り出した時、武器商人ヴィランを思い出してかなりびっくりした。まぁ確かに小1が銃器取り出したら誰でもビビるよね。
友人:蛙吸梅雨
母親が二人目を生むために入院中らしい。ちょうど時期的に『梅雨ちゃんの夏休み』ですね! となるとイスズはオラ夏の博士枠? 全くの別の話だけどオラ夏はもうちょっとボリューム欲しかった。でも名作だと思う。
姉貴;姉山幸(オリ)
姉じゃないのに姉貴呼ばわりされている人。見た目はぼさぼさの赤髪長髪にバンダナ、タンクトップになんかごちゃごちゃしたズボン。イスズは基本的にここから資材調達を行ってる模様。店内に一応飲食スペースがあるのでカフェみたいに利用もできる。