自称ヤニカスはアストルフォの容姿でガラルを舞う 作:賽振り狂
side さる少年
「いらっしゃいチャレンジャー君。君は3つのジムを突破して意気揚々とここにきたわけだ」
少年はゴクリと息を呑む。ここの主であるかの男性……女性?はかのチャンピオンですら喰らうような強者である。
しかし、今まで3つのチャレンジを攻略してきたわけだ。少年はそんな挑発をするおじさん……クサギを鋭い眼で見た。
「ははは、威勢がいいじゃないか…………では、これを。使い方はわかるかい?もし、自らが危険だと判断すれば、すぐ鳴らすんだよ」
少年は頷く。流石に防犯ブザーの使い方くらいはわかる。だが、防犯……ブザー?
何に使うのだろう。
ー・ー・ー・ー・ー
「マジかマジかマジか!正気じゃねぇぞ!」
少年は叫ぶ。ただでさえ、ワイルドエリアの中でチャレンジを行うというのに、
───『あ、アストルフォ君が何処にいるのか誰も知らないから気をつけてね!』
「じゃねぇんだよオイ!」
相棒であるエーフィがなんとかしてくれるが、流石にこれは……最初は1匹でなんとかなりそうだったのに、2,3匹と増えていくうちに怪しく感じて逃げたのが正解だった。
後ろを振り返れば大量のピカチュウ達が追いかけてくる。………って、よく見ればミミッキュいない?うわぁ、怖い。確かミミッキュってピカチュウのこと嫌ってなかった筈……では?
「エーフィ頼む!」
その言葉だけで相棒は「サイコキネシス」を地面に撃ってくれる。その衝撃で地面が抉れ、ピカチュウ達が追ってくるのを阻害……
「ピッカ!」「キュキュ!」
しかし、ピカチュウとミミッキュの連携攻撃によって壊される。これでもう3度目だ。
なんとかエーフィのお陰で生き残れているが……追いつかれたら踏み潰され、引き摺られ、電気攻撃で最悪死ぬだろう。エーフィまで巻き込むのは御免だ。
うん、これもう無理だ。
「あーーー、無理!助けてください!」
防犯ブザーを少年は鳴らした。すると、何処からともなく黒い風が吹く。
思わず顔を手で覆ってしまう。その手をずらした先には……
「ストップ〜!終了だよ!」
そこにはラスボスとも、漆黒の魔王と呼ばれるかの黒いオノノクス、そしてそれに跨るアストルフォがいた。
アストルフォはピカチュウ達に手を振って行進を止めさせた。そして、こちらを見る。
「やぁ、チャレンジャー君。大丈夫だったかい?」
少年はピカチュウに追われた恐怖で身体を倒した。
「大丈夫……じゃないですよ。エーフィ、大丈夫だった?」
それにエーフィは短く鳴く。なんとなく、大丈夫だと言っているみたいだった。
それを見てアストルフォは笑って、口笛を吹いた。
「じゃあ行こっか!」
「………何処にですか?」
アストルフォはこちらに来る……あれは色違いのボーマンダ!?を、手を振って迎えながら答えた。
「そりゃ、スタジアムにさ!」
ー・ー・ー・ー・ー
「………アストルフォさん、僕は助けを呼んだんですが………」
少年はずっと考えていた。何故自分がここまできて、今からバトルすることになってるのだろう。それにアストルフォの代わりに、最初のおじさんが喋る。
「君はもうワイルドエリアに入ったかい?」
「ええ、今日初めて」
皮肉気味に言ってみたが、2人は笑った。
「ああ、そうかい。じゃあ、危険性はわかったかい?」
それにハッとする。そうか、
「うん、ワイルドエリアの危険性をわかってもらうのが目的なんだよね」
「まぁ、マセガキはもう入ってる例が多いんだけどね〜、えっと……マクワ君だったけな。うん、彼は捻くれてたねぇ。でも、心は確かに強かった。そして……君もだ」
………自分は黙っていた。
今まで自分がトレーナーとして誇れるものなんて
「誇っていい。君はワイルドエリアで確実に生き残れる。あの量のピカチュウ達を相手するのはよっぽど相性の良いポケモン以外じゃ無理だ。逃げて正解なの」
アストルフォはマントを翻す。そして不敵に笑った。
「さぁ、時間だ。いくぞチャレンジャー………ここが大きな壁だぜ?」
「……エーフィ、いこう!」
いつのまにかおじさんは審判の立ち位置にいた。
そして両者構える。
「頼んだ、フシギソウ!」
「さて、楽しく行こうか!行け、モノズ!」
ー・ー・ー・ー・ー
少年はエーフィと共にスタジアムを後にする。
「エーフィ、なんだか自信が湧いてきたよ。自分には何もないと思ったけど………そっか、逃げることも大事か……」
エーフィに目を向ける。相棒は頷く。
「さあ行こうか!
リベンジするためにィ!畜生!」
少年は負けた。そりゃもう盛大に。
>マクワ
→おやおやおや?