異世界転生者殺し 改良版   作:青色のラピス

5 / 7
第五話

村人達の弔いを終え、ヴァイス達の後始末をした後、俺達は直ぐに村と町から離れた。

行く当ては傭兵都市スガリアだ。傭兵都市の名前の通り、多くの傭兵団や傭兵ギルドがごった返すこの都市は様々な人間がやって来る。兵士を欲する貴族や護衛を求める商隊(キャラバン)、はたまた傭兵志望の流れ者達。そして俺達はこの中で傭兵志望に分類される。傭兵の社会的地位は低い。傭兵志望の人間が没落貴族や貧乏貴族の余り者、貧民や流民、果てはお尋ね者や前科者といった底辺層であることも理由の一つだが、それ以上にならず者の吹き溜まりであることが大きいだろう。

俺はそんな現実を傭兵になって僅か一週間で理解した。幸いにも大手のギルドに所属でき、少し飢えるくらいの仕事を毎日回してもらっている。だが、決して充実しているとか、満たされているとか言う幸福とはかけ離れた生活をしている。報酬は満額払われたことがないし、何ならギルド加入の際に田舎の村人だからと馬鹿にされ奴隷契約書にサインをさせようとしてきたこともある。

……『神の反逆者』よりもこの都市を滅ぼした方が良い気がしてきたな。

 

「やれやれ、もう少しどっしりと構えていたらどうだ? 英雄殿?」

 

仕事を終えて、酒場で鬱憤晴らしをしていると前に座っている魔女がニヤニヤと厭らしい笑みを浮かべながら上品に酒を飲んでいる。俺と同じでラガーをジョッキで飲んでいるというのに上品さを出すとはどういう教育を受けてきたんだ?

 

「おい、魔女。俺を英雄殿なんて呼ぶのを止めろ。」

 

「何、気にするな。傭兵都市(ここ)なんて犯罪者や無学の馬鹿がゴロゴロしている。身に合わないことをほざく若造と馬鹿にされるだけさ。」

 

「お前のせいでもうそれはされているんだよ……! というか何で俺の仕事先にいるんだよ! お前はこのギルドのお気に入りだろうが!!」

 

「―――さあ、何でだろうな?」

 

意味深に魔女は微笑む。こいつの持つ美貌もあり、一瞬息を飲むが直ぐに冷静になる。

付き合いは短いが魔女の人となりは理解した。

――有体に言うとコイツはカスだ。屑ではなく、カス。

人が苦しむ様を遠くから眺めて悦に浸るどうしようもない奴だ。

だが、同時に不思議な奴でもある。この傭兵都市に行こうと行ったのはこの女だ。

……本当に何を考えているのか…。

 

 △▼△

 

リュート達が酒場で束の間の休息を取っているとき、一人の男が都市へ向かっていた。

馬に乗っているためかなり早い。時間が夜ということもあり、周りに人はおらずフルスピードで駆けている。

その甲斐もあってか城門まで直ぐに到着した。

 

「……着いたか。ったく、ギルマスの命令が無ければこんな場所には来る気はなかったんだがな。」

 

暗緑色の軍服を着た傭兵――《逆襲者》シーザーは一人呟く。

 

――『神の反逆者』それも最高幹部たる『ベストナイン』がやって来た。

 

――複雑に絡みついた運命が今、彼らを襲う。

 

――それが悪とは、今だけは言えなかった。




ここまで読んで下りありがとうございます

今回から新章ということで物語が本格的に動き始めます
次回の更新がいつになるか分かりませんが来月までにはできるようにしたいです…!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。