村人達の弔いを終え、ヴァイス達の後始末をした後、俺達は直ぐに村と町から離れた。
行く当ては傭兵都市スガリアだ。傭兵都市の名前の通り、多くの傭兵団や傭兵ギルドがごった返すこの都市は様々な人間がやって来る。兵士を欲する貴族や護衛を求める
俺はそんな現実を傭兵になって僅か一週間で理解した。幸いにも大手のギルドに所属でき、少し飢えるくらいの仕事を毎日回してもらっている。だが、決して充実しているとか、満たされているとか言う幸福とはかけ離れた生活をしている。報酬は満額払われたことがないし、何ならギルド加入の際に田舎の村人だからと馬鹿にされ奴隷契約書にサインをさせようとしてきたこともある。
……『神の反逆者』よりもこの都市を滅ぼした方が良い気がしてきたな。
「やれやれ、もう少しどっしりと構えていたらどうだ? 英雄殿?」
仕事を終えて、酒場で鬱憤晴らしをしていると前に座っている魔女がニヤニヤと厭らしい笑みを浮かべながら上品に酒を飲んでいる。俺と同じでラガーをジョッキで飲んでいるというのに上品さを出すとはどういう教育を受けてきたんだ?
「おい、魔女。俺を英雄殿なんて呼ぶのを止めろ。」
「何、気にするな。
「お前のせいでもうそれはされているんだよ……! というか何で俺の仕事先にいるんだよ! お前はこのギルドのお気に入りだろうが!!」
「―――さあ、何でだろうな?」
意味深に魔女は微笑む。こいつの持つ美貌もあり、一瞬息を飲むが直ぐに冷静になる。
付き合いは短いが魔女の人となりは理解した。
――有体に言うとコイツはカスだ。屑ではなく、カス。
人が苦しむ様を遠くから眺めて悦に浸るどうしようもない奴だ。
だが、同時に不思議な奴でもある。この傭兵都市に行こうと行ったのはこの女だ。
……本当に何を考えているのか…。
△▼△
リュート達が酒場で束の間の休息を取っているとき、一人の男が都市へ向かっていた。
馬に乗っているためかなり早い。時間が夜ということもあり、周りに人はおらずフルスピードで駆けている。
その甲斐もあってか城門まで直ぐに到着した。
「……着いたか。ったく、ギルマスの命令が無ければこんな場所には来る気はなかったんだがな。」
暗緑色の軍服を着た傭兵――《逆襲者》シーザーは一人呟く。
――『神の反逆者』それも最高幹部たる『ベストナイン』がやって来た。
――複雑に絡みついた運命が今、彼らを襲う。
――それが悪とは、今だけは言えなかった。
ここまで読んで下りありがとうございます
今回から新章ということで物語が本格的に動き始めます
次回の更新がいつになるか分かりませんが来月までにはできるようにしたいです…!