暦
「あ、いた」
ガウマ
「お!暦じゃねえか。こんなところで何してんだ?」
暦
「いや、ガウマさんがどんな快適な空間で過ごしてるか様子を見に…」
ガウマ
「揶揄ってんのか?1人寂しく、寒い師走を過ごす俺を揶揄いにきたのか!?」
暦
「冗談ですよ。ガウマさん卑屈になりすぎ」
ガウマ
「だってよ!ここ冬になるとめっちゃくちゃ寒くて死にそうになるんだよ!」
暦
「そりゃあ、橋の下ですからね」
ガウマ
「だから、なんとかしようと街に出ると、カップル達がイチャコライチャコラしてて…こちとら、姫一筋だから誰にもなびかねえんだよ!なびかねえんだよ…なびかないけど…寒くて…」
暦
「それでイライラしてるんですね」
ガウマ
「ああ…蓬と夢芽が寝袋とカイロをくれたのはありがたかったんだけど、それでもまだな…」
暦
「そうなんですね」
ガウマ
「そうなんだよ!暦!一生の頼みだ!一晩だけでいいから泊めてくれ!このままじゃ、また死んじまう!」
暦
「いいですよ」
ガウマ
「そうだよな…やっぱ、ダメだよな…っていいのかよ!!」
暦
「だから、そう言ったじゃないですか。こんなところで友達に、野垂れ死なれたら、嫌ですよ。法事が増えますから」
ガウマ
「暦〜!ありがとうな!流石俺のダチだ!」
暦
「俺今一人暮らしなんで、ガウマさんの持ち物何持ち込んでもいいですから。全部持って俺ん家行きましょう」
ガウマ
「暦…!いや!暦様!恩に着るぜ!でも、一晩以上厄介になるわけには…」
暦
「明日から東京は雪が降るらしいですよ。多分外は氷点下です」
ガウマ
「……やっぱり、しばらくお願いしますっす!」
暦
「はい。じゃあ、持っていきますよ。荷物。夕飯の買い出しもありますから」
ガウマ
「おお!!夕飯か!何にするんだ!」
暦
「うーん。普通に鍋ですかね」
ガウマ
「おお!じゃあ、蟹鍋にしようぜ!」
暦
「ガウマさん。流石にそこらへんの沢蟹はダメですよ?」
ガウマ
「ちげえよ!蓬の母ちゃんから、蟹の切り身を分けてもらったんだよ。この前の北海道物産展のお礼だとよ」
暦
「なんで家ないのに、普通の家より良いもの食べてんですか??」
ガウマ
「しょうがねえだろ!くれるんだからいただかなきゃ勿体ないし!」
暦
「そういうところは律儀なんだよなぁ…。早くマスクしてください。行きますよ」
〜〜暦の家〜〜
ガウマ
「おおおー!ここが暦の家か!割と普通だな」
暦
「文句言うならつまみ出しますよ」
ガウマ
「あっいや、そう言うのじゃなくてだな?なんか普通の家で、落ち着くって言うか…なんと言うか」
暦
「その言い方誤解を生むからやめたほうがいいですよ。まぁ…ガウマさんなんで信じますけど」
ガウマ
「悪いな。上手い表現思いつかなくてよ。なんて言うか蓬ん家と似てんだよ」
暦
「蓬くんの家と?」
ガウマ
「ああ…あいつのうち、普通の家だけど、風呂も温かいし、飯も美味くて、母ちゃんや婆ちゃんも優しくて、勿論蓬も。そう言う家。良いなって思うんだよ」
暦
「まぁ…確かに落ち着く部屋って言うのは同意しますかね。これから多少煩くなるかもしれないですけど」
ガウマ
「誰見て言ってんだよ!」
暦
「1人しかいないでしょ」
ガウマ
「暦!てめえ!このやろう!」
暦
「はいはい。鍋の用意しますよ」
ガウマ
「よっし!バリバリやる気出てきたわ!」
暦
「空回りしないでくださいよ?」
ガウマ
「わかってるって!」
〜〜鍋の支度終了〜〜
ガウマ
「おおー!鍋できたな!」
暦
「ですね。でも意外でした。ガウマさん料理できたんですね」
ガウマ
「暦は俺のことなんだと思ってんだよ。料理くらいは普通にできるわ!5000年前も自炊くらいしてたし」
暦
「久しぶりに聞きました。5000年前」
ガウマ
「あ?そういや最近は言ってなかったな…結構この時代に馴染んでたからな」
暦
「もしも…ガウマさんが蘇らなかったら、多分俺しばらく無職続けてたかもしれませんね」
ガウマ
「いや、それはねえだろ。暦は暦だ。髪型は変わったかもしれねえけど、目つきも、顔つきも、出会った頃と一緒だ」
暦
「それは一緒じゃないと困るんじゃ?」
ガウマ
「後、蓬や夢芽、ちせをちゃんと見てる優しいところも、心の内に熱い気持ちがあるところも、変わってねえ。俺が出会った時と変わらない『山中暦』だ」
暦
「…そういうもんですかね」
ガウマ
「おう。そういうもんだ。さて!鍋食うか!!」
暦
「ポン酢はお好みで使ってください」
ガウマ
「何から何まで悪いな。この借りは必ず返す!」
暦
「はいはい。期待しないで待っておきますね。さて、食べますか」
ガウマ
「おう!いただきます!」
暦
「…いただきます」