ヒトの世を脅かす醜悪な見た目をした悪鬼
悪鬼が蔓延る世界で
ヒトとウマ娘は手を取り合い共存を契約し、ウマ娘達は悪鬼を討伐していった
ヒトは技術を
ウマ娘は討伐を
朝
霧のかかる廃墟になった商店街に、1人の黒い革ジャケットに黒のショートパンツのウマ娘は、シャッターの前で黒紙で巻かれている煙草を咥える
大型魔動力自動二輪に腰を下ろし、鹿毛のウマ耳を揺らしながらライターを取りだし息を吸い、タバコに火をつけると、煙を燻らす
携帯灰皿に灰を落としながら、そのウマ娘は待った
ヒトでなく
ウマ娘でもない
ふと、商店街のタイルの剥がれた地面から黒い水が湧き出ると、水たまりになる
《ウオッカさん!悪鬼出現!ランクはA!至急応援に向かわせます!》
大型魔動力自動二輪のハンドルを回し、大きめのエンジンから音を響かせるウオッカと呼ばれたウマ娘は、吸いきったシケモクを携帯灰皿に入れ、ポケットに忍ばせる
黒い水たまりから出てきたのは、全身を黒の布切れで覆い、辛うじてヒトの頭だとわかる黒いモヤをフードで隠していた
稲刈りで使うような鎌を、黒いモヤがそれを持っているかのように手を擬人している
ヒトに恐怖と敗戦を刻み込んできた悪鬼
しかして、そんな存在を前にしても鹿毛のウマ娘はグローブをキツく上げる
それはいつもの仕事だと言わんばかりに、恐怖や敗戦云々を他所にバイクに跨る
『……ォォォ……!』
鎌を持つ擬人した黒モヤの手を鹿毛のウマ娘に向けると、商店街の影という影から黒色の犬がとび出てくる
犬には目がなく、鼻もない、口もなければ耳すらない
辛うじてそれが犬だとわかる造形をしているだけだった
鹿毛のウマ娘は犬が近づくタイミングに合わせ、アクセルターンの要領でバイクを宙に浮かせた
『……ッ!』
ぐるりと廻るバイクが犬に当たり、雲散していくのを見た
体勢を低くしてバイクの側面を背中に乗せ、回転させる
片手でハンドルをグルンと回し、後輪タイヤを地面と接地させ、ウィリーの形を保ちながら鹿毛のウマ娘が乗ると、一気に加速した
『…………』
バイクが進んでいく先にいる悪鬼は、上段に鎌を構えると一気に振り下ろした
鎌の切れ味がいいのか、悪鬼の特殊能力なのか
判断できないものの鹿毛のウマ娘が握っていたハンドルが2つに割れた
バイクを両断したのだ
咄嗟に身を引き、鎌からの一刀両断を避けたものの、『不愉快だ』そんな顔をしながら鹿毛のウマ娘は口元を歪ませる
悪鬼の背後で両断されたバイクが爆発したのを見ると、鹿毛のウマ娘は直進した
狙うは[[rb:核 > コア]]のあるモヤの中心部
布切れで隠れてはいるものの、そこを完全に潰せば消滅させることが可能だ
握り拳からギチリと音を響かせ、空気の破裂音と共に拳を突き出すが
空を切った
勿論モヤということもあり手応えなんてのは皆無だが、それとは違う空振り
《ウオッカさん!核が動いてます!》
成程と、合点がつくと同時に肘と膝をぶつけ、悪鬼の繰り出した鎌の刃を止めた
『……ゥォォッ!』
ならば単純な事だ
核が移動する前に、壊せばいい
それに、[[rb:零距離格闘戦 > インファイト]]は得意だ
連続する空気の破裂音と拳の連打で、モヤの中を高速で移動する核
悪鬼は段々と鹿毛のウマ娘の繰り出される拳パターンを理解し始め、対処していった
核を高速移動しながら鎌による攻撃で、鹿毛のウマ娘は素肌から血を垂らしていく
急所は辛うじて避け、深い傷跡はない
だが、悪鬼に対処された時点で零距離格闘戦は通用しない
他の手を使うか──……
そう思えた時だった
眼前の光景を見て【固有技】を繰り出した
「────【cutting Drive】」
拳をカットするように横に薙ぎ払うと、モヤが布ごと拳によって切断された
切り離されたモヤに核がないのを見て、悪鬼の後ろにいた存在に全てを委ねた
「スカーレット!!」
「うるさいわよ!!」
鹿毛のウマ娘の目の前、悪鬼の背後にいたのは深紅の目を持つ栗毛のウマ娘
胸周りを白に、青を基調とした服装は
両手で持った深紅の大槍で、正確にモヤの中の核を貫き
黒い液体で染めあげた
今回はキャラの掛け合いを極端に少なく、オリジナル的に出したオペレーターや悪鬼の声を多くし、わかりやすさを目指しましたが、読みやすさとしては欠点だと思ってます
読んでいただきありがとうございました