オギャばぶ・くえすと!   作:胡椒こしょこしょ

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オギャりからは逃れられない(絶望)

『異世界に送るんだったら楽に滅茶苦茶無双できて、何もせずとも持ち上げられる感じの特典をお願いします!』

 

俺はこの世界に送られる前に、神のおっさんにそう頼んだ。

そりゃそうだ。

転生とかならまだしも、俺はおっさんの手違いでそのままの体のまま何の後ろ盾もなく世界に送られるのだから。

 

そして、奴はそれを了承して誓ったはずだ。

だから...。

 

「こんな..の、ありえ...ねぇだろ....うぞづぎ...がぁ....!!」

 

今血を流しながら、息も絶え絶えになっているのは何かの間違いだ。

腕からはだらだら血が出てて、感覚がない。

後ろを振り向かずに、ただ足を動かす。

 

今更見たところで恐怖感を煽るだけだ。

転移先は人の気配がない洞窟...多分ダンジョンの中。

戸惑う暇もなく、魔物の襲撃を受けたのだ。

 

命からがら攻撃を受けながらも必死に逃げた。

今も、奴の息遣いが背中に当たっているように思える。

事実、奴らの唸り声が聞こえる。

 

下手に無双できると勘違いしていたせいで、なんか色々試そうとしている間に利き腕がっつり噛まれた。

クソ...畜生!なんで、俺がこんな目に.....!

無双できると言われたのに、今はあんな魔物にも逃げ出している。

このままじゃ、殺される....。

そう考えると、目の前が涙で見えなくなる。

死に物狂いで足だけ動かす。

 

光が見える。

出口が近づく。

そして、そこには複数の人影も。

俺は声を絞り出す。

 

「だづげ...だづげぐだざい!!たづげてぇ!!!」

 

声を上げる。

しかし近づいていく度に逆光ではっきりと見えなかった人影たちの詳細が見えてくる。

こちらを目を見張りながら見てくる小学生くらいの歳の見た目の女の子が三人。

 

あっ....終わった。

 

こんな時に限って、なんで子供が....!!

くそっ、くそっ、くそっぉ!!!

 

その瞬間、後ろから足を礫が打つ。

痛みと共に足がもつれて転ぶ。

後ろを見る。

 

「「「「「ギャッギャッギャッ!!!」」」」」

 

こちらを愉快そうに見て、笑っている奴ら。

あっ...マジで終わりやんコレ。

諦めの境地に至り、せめて最後の瞬間は恐れを抱くまいと目を閉じる。

衝撃と痛みに備える。

 

しかし、そんなものは来ずに頬に少しのビリッとした感覚が走る。

その直後に爆音。

目を開ける。

すると、後ろから迫っていた魔物たちは這いつくばって身体から煙を発している。

なんともなってない奴らも怯えたように一歩後退している。

な、なにが.....?

 

魔物とは反対側を見る。

そこには杖を構えて、連中を睨みつけるようにして対峙している青い髪の少女。

そして、茶髪の少女と桃色の髪の少女がこちらに駆け寄ってくる。

 

「この人、酷い怪我....このままじゃ....」

 

「早く街の方に....こば..きゃ.....。」

 

あれ....声が途切れて聞こえてくる。

その内、視界もぼやけて....。

あぁ、そうか。

そりゃこんだけ出血してたら、意識も...途切れる...わな.....。

 

そんな小学生並みの感想を抱きながらも最後に瞳に収めたのは.....。

 

「奔流よ....眼前を浄化せよ....スパイラルスプラッシュ!!!」

 

杖からすさまじい勢いの水の渦を魔物たち目掛けて打ち出す彼女の姿だった。

 

それが、俺がこの世界で初めて目にした魔法であった。

 

 

 

 

 

「...はぁ....。」

 

あれから数週間。

それなりにこちらでの生活に慣れてきた頃だ。

俺は食材など頼まれていた物を紙袋で抱えて歩いている。

しかし、その心持はあまり良いとは言えなかった。

 

俺が今居る街はソルヴィッド。

あの日、冒険者である少女たちに助けてもらって連れて来られた街がこの街だ。

多くの冒険者が多く、ギルドや武器屋など多くの施設が揃っていてそれなりに栄えている街らしい。

少なくともギルドがあることから周辺の村落から人が集まるくらいには主要な街だろう、受け売りだけど。

 

そこで、俺は色々成り行きや不条理があったものの生活場所を見つけて生活していてギルドにも一応登録している。

しかし、その成り行きが問題なのであって....。

 

「あっ、兄ちゃん!えいっ!!」

 

快活な少女の声が背後から聞こえる。

その声に聞き覚えがあるので、振り返ろうとする。

すると、急に背中に何かがぶつかってきて前のめりに倒れそうになった。

痛ってぇ....。

だが、今ので背後に居るのは誰か確証を持つことが出来た。

 

「前も言ったけど、いきなり背後から飛び掛かるのはやめてくれ....リオン。」

 

後ろを見ると、茶髪の小学生くらいの体躯の女の子がヘヘッと悪戯な笑みを浮かべている。

 

「え~、だってぇ兄ちゃんなんか背中曲がっててつまらなさそうだったしぃ楽しくしようかなっ~って!」

 

「リオンちゃ~ん!いきなりぶつかるとぉ、お兄ちゃん背中痛くなっちゃうからダメだよぉ~!お兄ちゃん大丈夫ぅ?」

 

悪びれる様子もないリオンとは対照的にふわふわとした雰囲気の桃色の髪の少女がこちらに駆け寄ってくる。

そして、俺の身体をぺたぺたと触り始めた。

彼女はモモ。

あの日、魔物にぼろ雑巾のように殺されかけた俺に駆け寄ってくれた二人の少女だ。

 

「フッ、問題ない。俺はこれでも頑丈なんだ!大人だからな....。」

 

「もぉ~、お兄ちゃんはか弱いんだからそんなことしたらお兄ちゃん可哀想でしょ?リオンちゃん、謝らないとだめだよぉ!」

 

「ぶ~、...ごめんなさぁ~い。」

 

「か弱い....?」

 

自分よりも一回りの女の子にノータイムでか弱い判定されていた。

しかし、別段的外れでも何でもない。

うっ....ギルドでのトラウマが.....!!

思い出したくない....。

それはさっきまでの憂鬱に直結する出来事なのだから。

 

『なっ、この数値は....!?こんなステータス、おかしいです!!見たことがない!!!』

 

あの日、初めてギルドに来てギルドカードを作る際に受付嬢が驚愕していた。

俺はそれを見て、確かに神による特典の恵みだと思ったのだ。

俺は神に無双できるように頼んだのだから。

だからこそ、典型的なセリフを言って気持ちよくなろうとしたのだ。

 

『今言っている俺のステータスの数値がおかしいって...弱すぎるって意味だよな?』

 

そう言うと、受付嬢は目を伏せる。

その様を見て、したり顔をしていたのが懐かしい。

受付嬢はおずおずと俺にギルドカードを返す

そして言いずらそうに言葉を紡いだ。

 

『えっと...はい。その...気にしないでくださいね?その...ステータスはちゃんと上昇していきますので....』

 

『...え?マジで?マジで折れの言う通りなの??えっ、実は強いとかなく?マジで!!?』

 

『どれどれ....えっ、に...兄ちゃん。これ全部ほぼほぼ地を這うがごとくじゃん。』

 

隣で勝手に俺のステータスを見たリオンがドン引きしていた。

そう、俺はリオン達子供よりも低い。

というより、彼女たちはどうやら才能があるらしいからまだ余地はあるが全体の平均よりも下で見たこともないほどの低いステータスであると言われている時点でよっぽどだろう。

では、神は俺の望みを無視したのか。

...そういうわけでも断じてないのだが、そのやり方が俺の望む物と反しているためになんというかすごく言及しづらい。

一つ言えることは、俺は神様を好きになれそうにないということである。

 

「まぁでも?兄ちゃんのことはリオンが守るっていうか?そんな感じだからぁ、多少の無茶は許されるんじゃないかなーって。ねっ、兄ちゃん♪」

 

「えっ、あ、...あぁ....。」

 

急に俺の身体をよじ登っておんぶの形で背中にへばりつくリオン。

トラウマがフラッシュバックしていたばっかりに話が聞けてなくて生返事になってしまう。

なんだ...すげぇ体幹だな。

傍から見たらセミそのものだろ。

 

「も~、リオンちゃんったら~。」

 

笑顔で纏わりついてくるリオン。

そんな彼女を呆れた様子で見つめるモモ。

活発で元気溌剌な茶髪少女と柔和でほんわかした桃色少女。

しかし、そんな二人を見ていてどこか欠けている印象を受ける。

実際、一人足りないからそれも当然なのだが。

 

「そういえば、今日はシズクは一緒じゃないのか?...装備付けてるからクエスト帰りだと思ってたんだけど。俺を除け者にしてクエストに行ってるもんだと思ってたんだけど。」

 

少し恨みがましくしながらも二人に尋ねる。

リオンは軽装の鎧ダガーを腰に下げている所謂シーフ。

そしてモモはなんかモコモコしたフードに杖を持ったプリースト。

あの時、魔物を蹴散らしていたウィザードの少女がこの場には居ない。

 

「あ、シズクなら.....。」

 

「私がなんですか。」

 

声がしたので、顔を上げる。

彼女たちが来た方向の少し先。

ムスッとした表情の蒼髪の少女が腕を組んで立っていた。

肩が微かに上下に動いているのでここまで走ってきたのだろうか?

 

「こんにちわ。貴方は....イロカ先生のおつかれですか?....ちゃんと、買えましたか?商品名はちゃんと読めました?」

 

シズクは俺の手の中の紙袋を見て、質問してくる。

俺は今小学生くらいの歳の子にお使いがしっかりできたか心配されていた。

やれやれ....舐めてもらっては困る。

 

「この前食品の名前はちゃんと読み書きできるようになったんだ。大丈夫さ。」

 

俺は、この世界の文字を読めない。

言うならば、転生転移物でありがちな言語を読めるように神様が取り計らっていることもないのだ。

だからこそ孤児院でこの世界の文字の読み書きを教えてもらっている。

今でも長い文章を見ると疑問符を浮かべるが、単語くらいなら何個か分かるようになっていた。

 

「え、お兄ちゃんもう読めるようになったんだ!凄いねぇ~、えらいねぇ。」

 

なんか文字読めたことをめっちゃ感心されている。

するとシズクは顔を背ける。

 

「そのくらい、イロカ先生に教えてもらっているんだから出来てもらわないと困ります。...でも、頑張ったって褒めてはあげますよ。」

 

「私はシズクとは違ってちゃんと褒めてあげるよ?えらいえらい、兄ちゃんはえらいなぁー!」

 

「ちょっ、頭掻き回すな....持っている荷物を落としそうになるから!!」

 

頭を揺らされてなんとか荷物のバランスを取る。

自分よりも一回りの下のロリに褒められている。

状況としては異常の一言に尽きるだろう。

 

なぜこんな状況になっているのか。

子供にまるで子供扱いをされているのか。

それは、一重に神の仕業によるものである。

 

ギルドでギルドカードが作られた時、当然この世界の文字が完全に読めなかった俺はほとんど読むことが出来なかった。

しかし、とある部分だけは読むことが出来た。

その部分だけは俺が元居た世界の日本語だったから。

 

スキルが表示される欄。

そこに書かれていた二つのスキル。

受付嬢はバグか何かだとその瞬間は思っていたらしいが、何度か更新してもなくならない事から最早修正を諦めてしまった物。

それは....。

 

“スキル

*特典

1;オギャばぶ体質:人から母性父性を向けられやすくなるスキル。あなたは人間から敵意を向けられにくく、また他者から庇護対象と見られる。このスキルの所持者はバブみを感じるような状況、仕草に晒された際に強制的に赤子のようにオギャってしまい、また赤子の名にふさわしくステータスも貧弱な物となる。

2:赤子の観察眼:対象が自分を保護してくれる大人か見極めるスキル。心の中で対象に対してオギャライズと念じることで対象の情報を自分の視界に映し出すことが出来る。”

 

上に特典と書いてある通り、これが神が俺に渡した特典スキルである。

下は普通に分析スキル系で有能だ。

しかし、一番の問題は上のスキルである。

”オギャばぶ体質”

その内容を見た時に、神は俺の望みを叶えるつもりでこれを選んだということが分かったのだ。

 

俺の望みは『楽に滅茶苦茶無双できて、何もせずとも持ち上げられる感じの特典』。

つまりは神は俺に対して周りの強い奴みんなにオギャらせてもらって、まるで神輿に担がれて他人の力で無双しろという意図なのだろう。

そりゃ確か周りの人間に赤ちゃん扱いされてオギャるなんて持ち上げの究極系と言っても過言ではないだろう。

他人任せに無双したらそりゃ楽に決まっている。

 

しかし、違うのだ。

俺が求めているものとは徹底的に乖離している。

俺が求めていたのは典型的なぶっ壊れ特典というか、聖剣とかスマホとか最初から持ってる力で努力せずに滅茶苦茶俺が活躍することを想定したのであって、手柄を他人任せにすることなんて毛ほども考えていなかったのだ。

俺はなんというか同じ持ち上げでも『すっ、凄い!こんな力見たことない!!』とか『一人で敵を倒すなんて...流石勇者様ですわ!!』みたいな感じの持ち上げであって今みたいな赤ちゃん扱いではないのだ。

 

「じゃあお兄ちゃんが道に迷わないように手を繋いでお家に帰ろうねぇ!」

 

「まったく...今、お兄さんは手が塞がっているでしょ?こういう時は、こうするんです。」

 

シズクは俺の裾を握る。

すると、モモももう片方の俺の裾を握っていた。

そして誘導するかのように歩き始める。

 

「い、いや....一人でも迷わないしそんなの要らないから....。」

 

子供扱いはもう沢山だ。

こんな小さな女の子が俺に対してまるで年下の幼子に対してかのように過保護に振舞う。

こんなのおかしいと思わないか?

足を止めると、シズクは振り返って溜息を吐く。

 

「なに意地張ってるんですか。一人で歩かせるなんていつ転ぶか分かりません。それにステータスが低いんだから怖い人に絡まれたら危ないですよ?そんなあぶなっかしい子のお手々はギュッて握っておかないとダメなんです!ほごしゃとして!!」

 

「保護者ぁ!?」

 

俺、今ちっちゃい子に保護者面されている?

するとモモは柔和な笑顔を浮かべて俺を見上げる。

 

「お兄ちゃん、お裾ギュッギュッやーなの?でもね、お兄ちゃんは重たい荷物さん持ってるんだからあぶないあぶない...だよっ?だから我慢して裾ギュッギュッってしてね?」

 

「えぇ....。」

 

最早年上に話す言葉とは思えない。

こんな子供までもが俺に対してバブみを発揮しているのだ。

頭が痛くなる光景である。

そして、周りはそれを咎めるどころか疑問にすら感じない。

 

俺の望みに最も近くて、致命的なまでに食い違っているのだ。

こんなのは望んでいない。

そもそもバブみを感じてオギャるとかそういうの、俺嫌いだしな。

男だったら、女に飼いならされるんじゃなくて支配する勢いで行かんかい!!!

だから、圧倒的な武力の特典を望んだのになぁ.....。

 

「もぉ~、何がそんなに気に食わないの兄ちゃん。...良いじゃん、兄ちゃんはぁなぁんにも考えずにリオン達に手を引かれていれば良いんだよ?」

 

俺の様子を見兼ねたのかリオンが頭をさっきとは違って優しい手つきで撫で始める。

まずい!!

さっきならまだしもこんなことやられたら....!!

 

身体の力が段々抜けていくのを感じる。

顔の表情筋が緩んでいるのを痛感する。

まずい....【オギャばぶ体質】に引きずられて身体が勝手に....!!

なんとか早く引き剥がさないと....

 

「ちょっ、離....ちてくだちゃい❤ほぎゃぁぁ、このままじゃおかしくなっちゃいまちゅ❤おんぎゃぁ❤え、えへ、えへへ...はぶぅぅ❤」

 

「えへへ、口ではイヤイヤ言いながら嬉しそうじゃ~ん!帰ったらお菓子食べて一緒に遊ぼうよ、兄ちゃん!」

 

言おうとしていることが全部赤ちゃん言葉になったわ。

ほらねっと言わんばかりの表情でリオンは笑う。

もうね、地獄絵図なんですわ。

小学生女児に対してエへエへ笑いながら赤ちゃん言葉使っている男子高校生。

きっっっっっしょ!!!

気持ち悪すぎて鳥肌立ったわ。

自分が嫌いになりそう。

 

身体は最早彼女たちに対しての抵抗の意思を見せない。

マジで赤ちゃん扱いされるどころか発言や身振りまでもが全て赤ちゃんになっていた。

どんなに俺の趣味に合わなかろうが、バブみを感じるとオギャってしまう。

俺はオギャりを強いられているんだッ!!

泣きそうだ。

めっちゃ恥ずかしいし、これ受け入れられていること自体が怖い。

頭がおかしくなりそう。

 

「ま、待ってぇぇ...今日、ぼきゅおつかいしたらくえちゅとに行くちゅもりで....❤」

 

「えっ!?だ、ダメだよぅ!!こんな時間から出たら暗くなっちゃうよ?そしたらこわいこわい魔物さん達が沢山出てきてきっとお兄ちゃん虐められちゃう....、今日は一緒に寝よ、ね?いつも通りぎゅっーってして匂いクンクンしてねむねむだよ?」

 

その話し方やめてくんない?

モモは俺に対して甘ったるい声音でそう言ってくる。

そんなことになったら終わりだ。

添い寝なんかされようものなら休息の時間のはずの睡眠時間に体の自由を失って醜態を晒す羽目になる。

精神的苦痛でまったく休まらない。

なんとか...なんとか断れ...気を強く持ってバブみを跳ね除けろ....っ!!

 

「そーそー。そんなに冒険したいならベッドの中でも出来るって!とにかく一緒に遊ぼうよ兄ちゃん!!今日も魔物兄ちゃんの締め上げちゃうよ~」

 

「や、やぁ...❤そ、そんなのいらないぃ~、今日こそとうばちゅクエストに行くんでちゅ❤」

 

リオンが背中越しにキャッキャッ言ってる。

もうマジでしゃべりたくないんだけど、本当に口調キモイ。

しかし、その瞬間ケツの肉を後ろから服越しに摘ままれた。

 

「オギャッッ!?!?」

 

振り返ると、それはシズク。

シズクはムスッと怒った表情で俺の目を見つめていた。

 

「今日のお兄さんはさっきから我儘ばっかり....前々から明るい時に私達と一緒じゃないとクエストなんか行っちゃダメだって前から言ってましたよね!?自分の脆さが分かっているんですか!?も~、見逃せません。帰ったらまずおしおきです!!」

 

お仕置き。

その言葉を聞いた瞬間、身体が震える。

身体に刻まれた体験。

それは、バブみを感じたらオギャってしまう俺にとっては痛烈な罰であった。

 

「あーあ。シズク怒らせちゃったね兄ちゃん。最初から言いつけ守っておけばこんなことにはならなかったんだよ?ほら、何か言うことあるんじゃない?」

 

「ご、ごめんなちゃい.....❤」

 

「にひひ...だぁめ。おしおき決定だよ?面白そうだからリオンもお尻ぶっ叩くからね?ぜ・ん・りょ・く・で♪」

 

「しょ、しょんな.....。」

 

その罰とはお尻を叩くことであった。

たかが尻叩きと侮ることなかれ。

彼女たちと俺では普通にステータス差があるので滅茶苦茶痛いのだ。

しかも俺はオギャばぶ体質。

幼い子供を叱る際によく用いられる罰であるお尻叩きをやられてしまうと体質が発動して、無条件で屈服してしまうのだ。

今では罰を示唆されただけで生まれたての小鹿のように膝が震えて、口からは恐れるような言葉が出てくる。

情けないことこの上ない。

 

「大丈夫だよぉ?お尻まっかっかになっても私は回復魔法かけて撫でてあげるから!」

 

何が大丈夫なの?

そう思いながらも、首はこくこくと勝手に頷きだす。

 

「そうと決まれば早く帰りますよ。...何プルプルしてるんですか。そんなことしてもお仕置きはやめませんからね!ほら、ちゃっちゃっと歩いて!」

 

「ひゃ、ひゃい...ママぁ....」

 

ヴォェェ!!

極め付き来たわ。

遂にママ言い出したわ俺。

もう...もう勘弁してくれ....こんなの生き恥だ....!

誰か...殺して...殺してくれ......!!

クエスト行こうと思って早めに御使い終わらせようとしたのに、こんなの...あんまりだろっ!!

 

内心でそう思っていても、身体は俺の意思からは乖離して彼女たちに促されるままに袖を引かれていく。

神が与えし恵みは、俺の冒険を妨害する。

そして、それどころか断頭台に続く道を歩かされるが如き絶望が俺の心中に叩きつけていた。




神様に否応なしに赤ちゃんお兄さんにされてしまった主人公。
無許可母性発揮した恩人ロリに調教バブちゃんにされていて可哀想.....
周りの人が自分に過保護になってママみを発揮してきたら、人によりますが恐怖を感じるでしょう。
一番の恐怖はこんな頭の悪い話を衝動のままに書きなぐった人間が居るという事実ですが。
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