ウマ娘の速さに憧れた生意気な天才少年がどんな手段を使ってでも彼女たちに勝とうとするお話。

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オレはウマ娘よりも速くなる!

 

 

 

 その日のことを、オレは今でも鮮明に覚えている。

 

 両親に連れられて初めてやってきたレース場。親戚のお姉さんが『走る』のを見に来たオレは、そこで初めて『ウマ娘』の速さを知った。

 

 いつも顔を合わせる度に浮かべていた優しい笑顔は見る影もなく、その優しい目を見開き歯を食いしばり、お姉さんは俺の目の前を駆け抜けていった。

 

 それは余りにも一瞬すぎる出来事。文字通り一瞬で過ぎ去ってしまった光景。しかしそれは鮮烈な閃光の輝きのようにオレの網膜を焼き焦がした。

 

 気が付けば、オレは繋いでいた両親の手を離して駆け出していた。

 

 両親の引き留める声も耳にせず、周りの人たちに体をぶつけながら、オレは必死に彼女たちを追いかけた。

 

 お姉さんは、ゴールの先で泣いていた。

 

 天を仰ぎ、その場にへたり込み、顔をグシャグシャにしながらボロボロと涙を流し、そしてその場にいる誰もがお姉さんを『讃えていた』。

 

 

 

 お姉さんは、誰よりも速くゴールを駆け抜けたのだ。

 

 

 

 そのお姉さんの姿を、オレは今でも鮮明に覚えている。

 

 

 

 それが、オレの『ウマ娘』たちへの挑戦の始まり。

 

 

 

 それが、オレの『ウマ娘』の先の速さを目指すという夢の始まり。

 

 

 

 

 

 

「たのもぉぉぉ!」

 

 放課後。今日も無事にトレセン学園への侵入に成功したオレは、今日も座学の授業を終えてトレーニングのためにウマ娘たちが集まったグラウンドへとやって来た。最近はだいぶセキュリティ面が強化されているみたいだけど、この程度でオレを阻めるわけがない。どうせこの後システムが更新されるんだろうけど、既に時限式の解除プログラムを忍ばせてあるので次回の侵入も容易いだろう。

 

 さて、オレが声を張り上げたことでウマ娘たちの視線が集まる。そしてオレという強敵が現れたことにより、彼女たちの緊張感が一気に高まり――。

 

 

 

「おっ、今日も来たな」

 

「相変わらず元気ねぇ」

 

「いらっしゃ~い」

 

 

 

「緊張感を持てぇぇぇ!?」

 

 笑顔で手を振るな! 知り合いの子どもが遊びに来たんじゃないんだぞ!

 

「実際子どもじゃない」

 

「うるせぇ! そんなこと言って侮ってられるのも今のうちだ! 今日こそお前らをぶっちぎってやるから覚悟しろよ!」

 

「ってことは、今日もやるのね」

 

「当たり前だ! 今日こそ()()()()()()()()()ゴールしてやる!」

 

 というわけで、早速今日の()()()のお披露目だ!

 

 

 

「バックパック型高出力ブースター『ダブルジェットくん』だ!」

 

 

 

「……ツインターボ?」

 

「『ダブルジェットくん』!」

 

 以前の『スーパージェットくん』はブースターが一つだから出力が足りずに最後に伸びなかった。今回のコイツはそれを補うために倍のブースターを積んできたのだ!

 

「……アンタ頭いい癖に基本的にはバカよね」

 

 さっきからちょいちょいうるせぇダイワスカーレット!

 

「それで? 今日は誰に相手してもらいたいわけ? 距離は?」

 

「ふふん、短距離じゃお前らがトップスピードに乗る前に俺がゴールしちまうからな! 特別にマイルにしてやるよ!」

 

「中距離と長距離は?」

 

「……連続稼働時間が持たない」

 

「さっきまでの威勢の良さは何処に行ったのよ」

 

 天才にだって出来ないことはある。

 

「それで、マイルね? 丁度いいわ、アップも兼ねてアタシが相手してあげる」

 

 そう言いつつ、ダイワスカーレットがジャージの上を脱いでグッグッとストレッチを始めた。

 

「……というわけで、勝負だウオッカ!」

 

「はぁ!?」

 

「なんでだよ!?」

 

 俺がビシッと指を突きたてて宣戦布告すると、何故か不服そうな顔を浮かべるウオッカ。ふふん、俺に負けるのが怖いんだな!

 

「いや今スカーレットが相手するって言ったじゃねぇかよ!?」

 

「アンタ、アタシの言葉聞こえてないの!?」

 

 二人がかりで詰め寄られ、思わず一歩後ろに下がってしまう。

 

「それとも何? アタシと勝負出来ない理由でもあるわけ?」

 

「……べ、別にそんなことあるわけねぇだろ」

 

「だったらなんで……ん? ……はっは~ん?」

 

 突然ニヤニヤと笑い出したダイワスカーレット。

 

「なるほどね~? もしかして~? アタシが隣を走ると()()が揺れて気になっちゃうんでしょ~?」

 

「っ!!??」

 

 くぁwせdrftgyふじこlp!?

 

「そそそそそんなわけ何が証拠だっていう理由だよ!?」

 

「うわ、わっかりやす~。色々生意気言ってる癖に、アンタもやっぱり男の子ってことね~」

 

「ち、ちがっ!?」

 

 たたた確かに気になることは気になるが別にそれは知的な好奇心的な意味でなんでそんな邪魔そうなものをぶら下げたままそんなに速く走れるのか気になってるだけでもしかしてそこにスピードの秘密があるんじゃないかとかちょっと思っただけでそれ以外の理由もないしクラスの男子がこっそり見てた雑誌とか別に関係ないし!?

 

「まぁ、そういうことならしょうがないわね~? 今日のところは大人しく引き下がってあげようかしら~?」

 

 まるで鬼の首を取ったかのようにダイワスカーレットはニヤニヤ笑いを止めようとしない。違うって言ってるのに……!

 

「……それで? 俺と勝負したいんだったな?」

 

「っ、そ、そうだウオッカ! お前の得意なマイルで、オレの『ダブルジェットくん』がぶっちぎって――」

 

 

 

「叩 き の め し て や る よ」

 

 

 

「――ひっ」

 

 

 

 

 

 

「……ふーん、やっぱりまた負けたんだ」

 

「やっぱりって言うんじゃねぇキタサンブラック! 今回も勝ちを譲ってやったんだよ!」

 

「はいはい譲った譲った。……で? レース内容は?」

 

「……なんか滅茶苦茶禍々しいオーラ放ちながら最終コーナーでぶっちぎられて十バ身差付けられた」

 

「ねぇねぇ! 今度行くときは私も連れていって! マックイーンさんに会いたい!」

 

「あっ、私もテイオーさんに会いたい!」

 

「うるせぇ! 俺は遊びに行ってるんじゃない――」

 

 

 

 ――絶対にウマ娘に勝つんだよ!

 

 

 

 

 

 

「くくく……次はこのアグネスタキオンと共同開発した薬を試して……!」

 

「「その七色に光ってる液体は飲まない方がいいんじゃない!?」」

 

 

 




ウマ娘のおねショタものも見ないなぁって思って書いた。やっぱり自分では続き書かないから誰かよろしく。

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