BLEACH 〜Donnerblut〜   作:チュロッシー

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現世

 

とある廃ビルの屋上で一人の男が月を見ながら寝ていた。

珍しく雲も無く大きな三日月が辺りを照らしている。

男は、白いシャツに黒いパンツを履き、隣には長さの違う刀が二振り置いてある。

 

「そろそろか。」

 

男がそう呟きゆっくりと体を起こそうとする。

 

「行くんか…。」

 

それまで男しかいなかった屋上に男とは別の声が響く。

振り返りながら立ち上がり男は口を開く。

 

「そうだな。そろそろ姉貴の顔も見てぇしな。」

 

「けっ、相変わらずのシスコンが。」

 

もう一人の男が悪態を吐く。

男は自他共に認めるシスコンであり、その姉に少なからず百年近く会えていないのだ。

歳を重ねるにつれて大人しくなって来ているとはいえ、百年近く姉と離れた事は未だかつて男には経験がなかった。

 

「たった一人の家族だからな。まぁ、向こうがひと段落したらまた戻ってくるさ。俺も追放中の身だからな。」

 

そうこの男、自分でも言っている様に本来元いた場所から追放中の身である。その為、普通であれば元の場所へ帰る事は出来ないはずなのだが、何か手段があるのか平然と行き来が出来る様な事を口にする。

 

「普通は追放されたらこっちからは行けへんねん。喜助やあんたが異常なんや。…手に負えんのか?藍染は…。」

 

もう一人の男はため息を吐きながら話を進める。

 

「まぁ、真子も警戒してた様にあいつ頭キレるからな。隠し玉の三つや四つはあるだろうな。」

 

「…せやろな。(その言い方、隠し玉も粗方検討ついてるっちゅう事かいな。)」

 

「それでも一心の倅は助けねぇとだからな。ちっと行ってくるわ。」

 

男、卯ノ花刀璽はもう一人の男、平子真子の肩に手を置きすれ違いながら辺りに自身の霊力を展開し始める。

徐々に刀璽の前の空間が歪み始め、数秒もすると歪みは大きな穴へと変貌した。

刀璽は、穴へと近付きその中へと消えていく。刀璽が完全に穴の中へ入ると穴は塞がり始め、すぐにもとの景色へと戻ってしまった。

 

「はぁ…。姉貴の方だけでも大概やのに弟まで参戦て、流石に藍染が可哀想になるわ。…いや、ざまぁやな。」

 

刀璽の消えた空間を眺めながら、男こと平子真子はそう呟き、廃ビルの中へと入って行った。

刀璽が真面目にケリを付けて帰って来るとも思えず、とりあえず腕は錆びつかせない様にしないといけないと考えながら。

 

 

刀璽が霊力を展開し始めた頃

 

場所は変わり、とある駄菓子屋の前。

帽子を目深に被り杖を突き、下駄を履いた男が空を見上げながら呟く。

 

「あなたの事だ、直接藍染をどうこうしようとは、しない筈ですが万が一がありますからね。気を付けて下さいね。刀璽さん。」

 

男はゆっくりと駄菓子屋、浦原商店の中へと消えて行った。

 

 

 

尸魂界

 

 

罪人朽木ルキア処刑の為、護廷十三隊隊長格で出席出来るものは刑場となる双極の丘へと来ていた。

 

刑の執行に伴い、刑状の読み上げが行われ朽木ルキアが磔架へ拘束される。

それと時を同じくして双極が解放され、その形状を大きな火の鳥、燬鷇王へと変えていく。

辺りにいた者はその姿、霊圧に息を飲む。

 

そして燬鷇王へと姿を変えた双極の矛が罪人を貫こうと勢い良く朽木ルキア目掛けて空を飛ぶ。

 

辺りにいた者たちがどの様な想いであっても終わったと思ったその時

 

「よう」

 

斬魄刀百万本の威力に匹敵する燬鷇王の一撃を斬魄刀一本で受け止めた死神がいた。

その死神はオレンジ色の頭髪、双極を受け止めている斬魄刀は身の丈ほどの出歯包丁のような形状をしており、白いマントの様なものを身に纏い、その身体の至る所に包帯が巻かれていた。

 

自身の攻撃を受け止められた燬鷇王は再度距離をとり、確殺を図るが

護廷十三隊十三番隊隊長、浮竹十四郎が大きな荷物を持って到着する。

浮竹の荷物から長い帯の様なものが伸び、燬鷇王の首元へ巻き付き地面へと突き刺さり、控えていた八番隊隊長京楽春水が駆け寄る。

 

「よう、この色男。随分待たせてくれるじゃないの。」

 

自身の笠に手を掛けながら親友浮竹へ声をかける京楽。

辺りの者もいきなりのことで動く事は出来なかった。

 

「すまん。開放に手間取った。だが、これでいける。」

 

京楽に対し、そう口にする浮竹。

その様子を見て二番隊隊長砕蜂が大きく声を張ったその瞬間、燬鷇王の頭上の空間が歪み穴が開く。

 

「姉貴もいるし、懐かしい顔もチラホラ見えるな。」

 

 

 

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