俺が戦車道をするのは間違っていない   作:武田光璃

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1話

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比企谷家、それは戦車道の中でも無名の家系だった。しかし、そこの長男である比企谷八幡は戦車道に興味を持ち、色々と調べていた。だが、戦車道とは乙女の嗜み、つまり女の子だけしかしていないのだ。八幡はその事を知らずに5歳の時から戦車道について調べたり一人でボードゲームなどをしていた。それを見かけた両親が八幡をある場所に連れて行った。

八幡「??お父さん、ここは?」

父「ここはお父さんの友達の家だよ。」

母「小町は私と一緒に居るから行ってきなさい。」

八幡「う、うん。」

八幡が居る場所は大きな屋敷で父親について行くと2人の女の子と一人の女性がいた。

父「久しぶりだな、しほ。」

しほ「全く、いつも唐突に来ますね。」

父がしほと呼んでいるのは戦車道の名家、西住家の当主だった。戦車道をしている人達の中では知らない人はいないほどの名家であり、当然八幡も西住家のことは調べていた。

八幡「?」

しかし目の前の人が西住家の人とは思っていなかったのでその後ろに居る二人を見ていた。1人はあんまり感情が読めない女の子でもう1人はその女の子の後ろに居て恥ずかしそうに顔を俯かせていた。

父「それで頼みを聞いてくれるか?」

しほ「まずはどれぐらいまで理解しているのか教えて欲しいのですが?」

父「じゃあボードゲームでもしてみるか?言っとくけど八幡は相当強いぞ?」

しほ「まほ、行けますか?」

まほ「はい、お母様。」

無表情の女の子が前に出てきて、八幡が持っていたボードゲームをし始めた。このボードゲームはチェスを応用したもので戦車を動かす操縦手、玉を込める装填手、弾を打つ砲手の3つに分けておりそれを交互に動かしながら相手の戦車を全滅させた方が勝ちという、大人でも難しい遊びなのだ。

そして西住家の長女、まほは大人相手にでも勝てるほどの実力を持っていた。しほはまほが勝つと確信していたのだが

八幡「………えっと…………まだする?」

まほ「頼んでいいか?」

結果は惨敗。八幡の変幻自在な動きに対応することが出来ずに負けていた。

しほ「まほが負けるなんて…………」

父「八幡って1人でよくあれしてるんだけど、見てるだけでも異常さが分かるんだよな。」

??「凄い…………!」

しほ「みほ?」

まほの後ろに隠れていた女の子、西住家の次女のみほがまこの隣で盤面を見ながらそう呟いた。みほの中ではお姉ちゃんがいちばん強いと思っていたのだがそれを倒す、ましてや男の子が現れたのだ。興味を持つのは当然と言えるだろう。

八幡「……………………」

まほ「……………………」

二人は真剣に盤面を見合い、交互に打っていたのだがまほの手がどんどんと遅くなっているのに対して八幡は全く躊躇なく打っていき、最終的には八幡が勝っていた。

しほ「………………婿養子にどうかしら?」

父「いや、まだそんなこと決めるには早すぎんだろ。それにまだ連れてく所もあるしな。」

しほ「千代の所でしょ。」

父「まぁな。でもしばらくはここに泊めさせてくれないか?八幡って友達が出来てないみたいだしな…………」

しほ「それぐらいなら構わないわ。」

2人が話しているとみほが八幡の所に近付いて

みほ「あの…………名前を教えて欲しいな。」

八幡「?比企谷八幡だよ。」

みほ「八幡君……………よろしくね八幡君!私は西住みほって言うの!」

八幡「……………ん?」

まほ「私は西住まほだ。よろしく頼む。」

八幡「えっと、西住ってあの西住?」

みほ「?他に西住って苗字の人が居るの?」

八幡「す、凄い!!戦車道の名家の人達と会えるなんて!!………………ご、ごめん!そんなこと知らずに手を抜いちゃって………」

父「!?八幡、今ので手を抜いていたのか!?」

八幡「え、えっと…………あんまりいじめたらダメだと思ってたから…………」

八幡は申し訳なさそうに顔を伏せるとまほが

まほ「なら次は本気でしてくれ。」

八幡「いいの…………?」

まほ「もちろんだ。私だけが本気でやっているのがバカらしくなるだろう。」

八幡「じゃあ……………」

2人が始めると八幡の動きが先程とは違う動きになり、完膚無きまで倒された。

まほ「これほどとはな……………」

八幡「その、やり過ぎたかな…………」

まほ「どうしてそこまで強くなったんだ?」

八幡「どうしてだろうね…………僕、本気ですると相手の動きとか予測出来るんだ。ほとんどがその通りに動いてくるからそれに対して最善な打ち方が出来るだけで………」

しほ「私達とは全く違う攻め方ね。」

父「八幡はどちらかと言うと島田流じゃないか?」

しほ「ならこれから西住流のやり方を教えるだけよ。」

父「随分とやる気だな?」

しほ「えぇ。独学で、あんなに小さな子供が西住家を倒したんですもの。まだまだ強くなりますからね。」

それから八幡は西住家に住むことになった。八幡は最初は戸惑ったりしたが数日が経つ頃には慣れていてみほやまほと仲良く遊んでいた。そして家政婦の菊代さんと会って小町も一緒に住むことになった。

母「小町がお兄ちゃんと一緒がいいって言うからね。それに小町も戦車道をしたいって言ってるし。」

八幡「でもまだ乗れないよね?」

母「そうね。でももし乗れるようになったら八幡が教えてあげるのよ?」

八幡「勿論!」

それから4人でよく遊び、みほは八幡にくっ付いて離れないことにまほは拗ねて、八幡がまほのことを宥めたり、小町と一緒に戦車の中に入ってテンションが上がったりと楽しく過ごして行った。そして八幡が楽しみにしていたのが西住家の戦車道を学ぶ事だった。自分の戦略とは全く違う戦術を聞くことが出来て喜んでいた。

しほ「八幡君、貴方の中での戦車道とはなんですか?」

八幡「カッコイイものです!自分達が考えた作戦をしたり、勝負に勝っても負けても経験になると思います!」

しほ「そうですか。西住流は撃てば必中 守りは固く 進む姿は乱れ無し 鉄の掟 鋼の心 を鉄則としています。これが王道の戦車道の戦い方です。」

八幡「でもそれじゃあ戦車の強いのと弱いのではすぐに決着が着くと思います。」

しほ「えぇ。私たち西住流はドイツ車を使っているので。」

八幡「ドイツ車って確か重量車でしたよね?」

八幡はそこまで言って考える仕草をすると

八幡「僕だったら王道に頼らないで臨機応変に対応すると思います。」

しほ「……………やっぱり才能を持ってるのでしょうね。」

八幡「???」

しほは八幡がその回答をするとは思っていなかったが、5歳児がここまで考える事が出来るのは天性の才能としか言えなかった。それから2年後、八幡とまほ、みほは戦車に乗って操縦することが出来た。小町は八幡の後ろに座ってみているだけだったが楽しそうにしていた。そしてしほから課題を出されたのだ。

しほ「みほとまほには課題を出します。この1年間の間に八幡君を倒してみなさい。八幡君が1年間倒されなかったは一度、ここを離れてもう1つの流派に行ってもらいます。」

みほ「え………………?」

八幡「それってわざと負けたらどうなるんですか?」

しほ「その時はすぐに行ってもらうことになります。」

八幡「……………わかりました。二人とも頑張って倒してくれ。」

まほ「任せろ。」

みほ「うん!八幡君のことを倒したらまだ一緒に居れるんだよね!」

それから1週間に一度、八幡VSまほ、みほで戦っていた。しかし八幡は1度も攻撃に当たることが無く、みほとまほはやられていた。本来、装填手と砲手が必要になる戦車だが八幡の戦車はかなりの魔改造をされていた。一人で全てが出来るようにされており、デメリットとしては砲弾の数が通常よりも少なくなることだけであった。八幡はそんなデメリットを気にせず、まるで相手の動きが見えているかのように倒していたのだ。そして1年後、

みほ「ぐす……………うぅぅぅ……………」

まほ「……………………ッッ。」

八幡が1年間経っても倒されなかった為、他の流派に行くことになってしまったのだ。みほとまほは泣きながら八幡の見送りをしていた。

八幡「二人とも泣かないで。」

みほ「だってぇ……………」

八幡「必ず会えるから!お父さんに頼んだら連れてきてもらえると思うし!」

まほ「……………いつ会えるんだ………?」

八幡「えっと…………分かんないけど会える日まで待ってて。」

父「八幡ーー。」

しほ「さ、行きなさい。」

菊代「2人のことは任せてください。」

八幡「……………この3年間、とっても楽しかったです。今までお世話になりました。」

八幡はそう言ってみほとまほの手を握って

八幡「絶対に会うから!待ってて!」

そう言い、自身の戦車に乗っていった。

みほ「お姉ちゃん……いつ会えるかな。」

まほ「八幡が約束してくれたんだ。私達は待ってれば必ず来る。」

 

八幡「お父さん。どうしてみほ達と居れないの?」

父「別に俺は居ても良かったんだぞ。でもしほのやつが早く連れていった方が良いって言うからな。」

小町「次はどこに行くの?」

父「もう1つの流派って聞いてるだろ?」

小町「もしかして…………島田流?」

父「そうだ。」

八幡「でも西住流と島田流って仲が悪いんじゃないの?」

父「まぁ表向きはな。これは他の奴らに言うなよ?じゃないと父さんが怒られちまうからな。」

八幡「それはいいけど…………」

八幡はやはり友達になれたみほやまほの事が気になっていた。

父「ま、会いたい時には連れて行ってやるから安心しろ。それにしても随分と改造したな?」

八幡「うん!一人で乗れるように頑張ったから!」

八幡が乗っている戦車は日本製の10式戦車という物だった。これは本来なら試作品段階の物だが八幡がこれがいいと聞かず、仕方なく一つだけ試作品をしっかりと作ったのだ。そして本来なら4人乗りの戦車だが中では八幡が作った装置があり、ボタン一つで弾を発射する物、上にある紐を引っ張ると弾が装填される仕組み、そして横にあるレバーを引くことで上にある機関銃が放たれる仕組みになっていた。

八幡「けど、これを動かすのってかなり疲れるんだよね。」

父「この仕掛けは男ならではってとこもあるからな。」

欠点なのがかなりの筋力を使うため女子にはほぼ動かすことが出来ないのだ。一度小町にさせたが動かすこと以外何も出来なくて文句を言われたことがある。

八幡「……………ねぇお父さん、やっぱり男が戦車道に興味を持つのはおかしいのかな?」

父「どうしてそう思う?」

八幡「だって学校とかで馬鹿にされるし………」

八幡は学校でも戦車道の戦術を考えたりしているため、周りの生徒からからかわれていたのだ。

父「八幡、戦車道は楽しいか?」

八幡「?勿論だよ。」

父「なら良いじゃないか。どれだけ周りにバカにされても最後にそれを覆せるような功績を残すことが出来ればその子達だって何も言わなくなるよ。」

小町「それに小町もやるもん!兄妹揃って戦車道で有名になればいいじゃん!」

八幡「…………そうだね。それと狭くてごめんな。」

小町「もう気にしてないから!」

父「もう着くぞ。」

八幡達が次に住む場所が見えてきた。西住家と双璧を成す島田家。ここは八幡が一度来てみたいと言っていた場所でもあった。

八幡「ここが……………」

??「お久しぶりね。」

父「ん、千代も元気そうだな?」

千代「その子が貴方が言っていた子ね?」

父「おう。正直に言うとこのまま成長させたら西住家も島田家も勝てなくなるくらい強くなるぞ?」

千代「なら婿養子に取ればいいだけよ。」

父「お前はしほと同じことを言うな………」

八幡「よろしくお願いします。」

小町「よろしくお願いします!」

千代「よろしくね。愛里寿、挨拶しなさい。」

千代がそう言うと後ろから小さな女の子が現れた。その子は手に包帯を巻かれているクマのぬいぐるみを持っていて、八幡と小町はそれに見覚えがあった。

八幡「……………ボコ?」

小町「みほさんが好きだったぬいぐるみだよね?」

愛里寿「ぼ、ボコを知ってるの!?」

八幡がボコの名前を呟いたのを聞いて、愛里寿は近付いてきた。

八幡「お、おう。えっと愛里寿でいいのか?」

愛里寿「島田愛里寿です。よろしくお願いします。それよりも貴方もボコが好きなの?」

八幡「気に入ってはいるぞ。」

小町「小町もボコのことは好きだよ!」

愛里寿「ボコ仲間が増えた〜!」

愛里寿はよほど嬉しかったのか飛び上がりながら喜んでいた。それを八幡は見ていたのだが、視線を感じて辺りを見渡すと一人の女の子がいた。

八幡「(誰だろう?)」

千代「?どうかしたの?」

八幡「いえ、女の子の姿が見えたので。」

千代「!」

父「?島田流後継者は1人じゃないのか?」

千代「そうね、確かに一人よ。」

小町「何処にいるの?」

八幡「え、あそこに……………ってあれ?」

八幡がもう一度見るともう姿がなかった。

父「見間違えじゃないか?」

八幡「おかしいな…………」

愛里寿「早く行こお兄ちゃん!」

八幡「へ?」

愛里寿は八幡の手を引いて家に入っていった。

小町「あ!小町のお兄ちゃんだぞ〜!取るなんて許さないから〜!」

その後をすぐに小町が追っていった。

父「ここにも3年くらい居させて欲しいんだがいいか?」

千代「ちょうどいいわ。その頃には愛里寿も海外に行く予定だったから。」

父「ん〜、八幡に懐きそうだよな……………大丈夫か?」

千代「それはちょっと分からないわね……」

八幡は愛里寿の部屋に連れてこられてボコのぬいぐるみなどを見せられていた。そして小町もそこに突撃しに来て、愛里寿と小町がボコで遊んでいる隙に八幡は家の中を歩いていると

??「やぁ。」

八幡「あ、やっぱりいた。」

先程見かけた女の子が居たのだ。

八幡「君も島田流後継者かな?」

??「そうだね。だけどまだ公表はしてないよ。」

八幡「どうして?」

??「何故って?それは私が島田流を受け継ぐか決めてないからね。私は風の気持ちを聞くよ。」

八幡「ん〜、よく分からん。けど無理矢理しろって言うのもおかしいからね。」

??「君は面白いね。名前は?」

八幡「比企谷八幡だよ。」

??「八幡か。私のことはミカって呼んでくれ。」

八幡「うん。」

ミカ「それじゃあ八幡。また会おう。」

ミカは持っていたカンテレを弾きながら歩いて行った。

八幡「なんかよく分からない人ばっかりと会うなぁ。」

それから八幡達はパーティーに誘われて、島田家で色々とご馳走になった。その時から愛里寿は八幡の隣に座っており、離れようとしなかった。千代はそれを見ていて寂しそうにしていたが、他の人達から宥められて平常運転していた。

八幡「島田流か……………」

愛里寿「お兄ちゃん、このボードゲーム出来る?」

八幡「出来るけど?」

千代「愛里寿、やってみなさい。(どうせ愛里寿が勝つから。)」

小町「お兄ちゃん、本気でやったらダメだよ?」

八幡「うーん………愛里寿、手を抜かれるのと本気でさせるの、どっちがいい?」

愛里寿「本気でやってみて?」

八幡「……………分かった。」

二人のゲームが始まると周りにいた島田家の親戚の人達も見ていた。そして驚愕していた。

愛里寿「………………うぅ…………」

八幡「ご、ごめんな!?泣くとは思ってなかった!」

愛里寿がボコボコにされていたのだ。この中で愛里寿に勝てたものは1人も居ない。つまりこのボードゲームで今、いちばん強いのは八幡なのだ。

八幡「よしよし。よく頑張ったな。」

愛里寿「ふええぇぇん………………」

八幡は愛里寿の頭を撫でて宥めていたが千代はそれどころじゃなく

千代「(しほが彼を婿養子にしようとした理由が分かったわ。私も冗談だったけどこれなら…………)」

本気で八幡を愛里寿の婿養子にしようと考えていたのだ。次の日から八幡に島田流の戦い方を教え始めた千代。それに対して八幡の発想は驚かされていた。島田流は臨機応変、変幻自在な動きをしておりニンジャ戦法と呼ばれていたのだが、八幡の戦術はそれに似ているものの全くの別物だった。八幡の作戦は基本的に相手の動きを掌で動かしている所から始まる。そこまでは島田流と同じ。しかし次は殲滅ではなく一つずつ確実に減らしていき、最終的には相手に降伏を要求するものだった。何故こんな作戦を考えたのか聞くと

八幡「えっと、基本的に僕は一人で動かしてるんです。殲滅することは簡単ですけど集中力がかなり持っていかれるから降伏してくれたらありがいなぁ〜って。」

つまりだ。八幡はあまり余計なことをしたくなくてこんな作戦を考えたのだ。これには千代も絶句した。何せまだ10歳にもなっていない、しかも男の子が簡単に殲滅出来るというのだ。それを試す為に1ヶ月後に千代が用意した10両の戦車にプロレベルの面子を集めたのだ。それを見た八幡は目を輝かせて

八幡「凄い!!こんなに強い人たちと戦えるなんて!」

そう言った。千代は何を言っているのか理解出来なかった。相手はプロ。それも10両の戦車、ほとんどが重量車で一人で勝てるなんて土台無理な話だ。しかし八幡は

八幡「千代さん!フィールドの地図を貰っていいですか?」

千代から地図を貰って何かの目印を何ヶ所か付けた。

愛里寿「お兄ちゃん、それは?」

八幡「ん〜?この場所を覚えてたら分かるよ。」

小町「頑張ってねー!」

八幡「おう!」

それから試合が始まった瞬間、八幡は一気に駆け出してまずは1両の戦車を撃破した。しかし突っ込んできただけなので他の9両の戦車から攻撃をされた。それを読んでいて八幡は車体を斜めにして砲口をぐるりと回すと車体が浮き上がり攻撃を回避して、更に2両の戦車を撃破した。それまでで約2分も掛からない出来事で相手チームが固まっていると、八幡はそのまま元の場所に戻って行った。そして3両が追いかけて来て残りの4両は分断して回り道をしていると突然横から砲撃されて1両が吹き飛び、その横にいた戦車の砲口に当たって攻撃不可能になった。分断していた他の2両が八幡の戦車を追いかけていた人達に状況を聞くと、追い掛けた時には既に居なかったと言う。それは本来なら不可能なのだ。戦車にもスピードがあり八幡の戦車も重量車なら他のとあまり大差ないはず。しかし八幡の戦車を見失ってしまった。なら答えは一つだけ。八幡の戦車はスピード、攻撃に特化しているのだ。八幡自身の要望で装甲を薄くしてスピードが出るように頼んでいたのだ。故に重量車でも中量車ぐらいのスピードが出るようになった。そんなことを知らない相手チームはパニックに陥ってどうするか話していると回り道していた2両の戦車の方に八幡が現れて砲弾を撃ってきた。しかしそれは外れて、チャンスと思ったのだろう。相手チームが2両とも撃ってきた。いや、撃ってしまった。八幡はわざと砲弾を外して注意を自分に引き付けていたのだ。"既に"撃っている砲弾に気付かせない為。撃たれた砲弾は、砲口を近くにある木にぶつけて折り、それに当てて回避して空から降ってきた砲弾を2両は受けた。これで3対1になり八幡は砲弾をセットしに行った。そして3両となった戦車達は固まっていた方がいいと判断して丸い円になって様子を見ていた。しかし八幡はそこまで読んでおり高い丘に登るとその3両に目掛けて砲弾を撃った。先程説明した通り八幡の戦車は紐とボタン一つで撃てるので一気に3発撃つことも出来るのだ。そして砲撃をもろに食らった3両も白旗を上げて試合が終了した。

八幡「…………ふぃ〜…………」

八幡は戦車から顔を出してやり切った感を出していた。楽しかったという気持ちがあったが相手チームの顔を見てそれが無くなってしまった。相手チームは皆、怖がっていたのだ。八幡の運転技術、作戦、砲撃の正確さ、全てがプロレベル。そしてまだ幼いのにだ。八幡はショックだった。自分が見てきた戦車道はみほとまほだけとしかしてこなくて、あの二人は負けても諦めなかった。しかしあの人達は心が折れてしまったと感じ取ることが出来てしまったのだ。

それから八幡は戦車を乗ることが無くなってしまった。あの日までは。

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