俺が戦車道をするのは間違っていない   作:武田光璃

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第2話

 

比企谷八幡

青春とは嘘であり惡である。

青春を謳歌せし者たちは常に自己と周囲を欺き、自らを取り巻く環境のすべてを肯定的にとらえる。

彼らは青春の二文字の前ならばどんな一般的な解釈も社会通念も捻じ曲げて見せる。

彼らにかかれば嘘も秘密も罪科も失敗さえも青春のスパイスでしかないのだ。

仮に失敗することが青春のあかしであるのなら、友達作りに失敗した人間もまた青春のど真ん中でなければおかしいではないか。

しかし彼らはそれを認めないだろう。全ては彼らのご都合主義でしかない。

結論を言おう。青春を楽しむ愚か者ども砕け散れ!

 

??「あはは!!本当に面白いねこの作文!」

八幡「……………勘弁してくれませんか?」

八幡は今、生徒会室に来ていた。戦車道を辞めてから約8年経ち、八幡は高校2年生になっていた。そして八幡が通っている大洗学園には戦車道が無いことからわざわざ選んで来たのだ。そして八幡の作文を読み上げていたのはこの学園の生徒会長、角谷杏だった。その周りに河嶋桃、小山柚子といった生徒会メンバーも揃っていた。

柚子「その、この作文の題材は?」

八幡「高校生活を振り返ってですかね。」

桃「何故テロリストのような作文になってるんだ!」

八幡「これが俺の気持ちとしか……………」

杏「あー、笑った…………私的には全然ありなんだけどね。先生達がダメって言うから書き直してくれない?」

八幡「はぁ…………それぐらいなら。」

八幡が作文を受け取ろうとすると杏は渡さないようにして

杏「まさか罰がこれだけと思ってないよね?」

八幡「へ?今、会長はこれでもいいって言ってくれましたよね?」

杏「それはそれ、これはこれだよ。」

杏はそう言い、八幡にとって一番聞きたくない言葉を放った。

杏「今年から戦車道を復活させるから手伝いをよろしくね〜。」

八幡「!?」

八幡はそれを聞いた瞬間に昔のことがフラッシュバックした。そして

八幡「……………すいません。それだけは出来ないです。」

柚子「比企谷君………………?」

桃「比企谷、貴様会長の命令を無視するつもりーーー」

柚子「桃ちゃん。」

桃「なんだーーー」

桃も気付いてしまった。八幡が少し震えていることに。

杏「…………どうして無理なの?」

八幡「……………俺に戦車道をさせるのは駄目なんです………もうあんな光景は見たくありません。」

杏「………………でもね。戦車道をしないといけない理由もあるんだ。だから少しでいいから考えてくれないかな?」

八幡「…………わか………りました。」

八幡はそう言い生徒会室を出て行った。

杏「あれは相当なトラウマだね。」

桃「しかし会長、あの口振りからするに比企谷は…………」

杏「うん。やっぱり戦車道をしてたみたいだね。噂は本当だったわけだ。」

噂とは西住流、島田流。その双璧を倒して2つの戦術を学び、最年少ながらプロチームを倒した男の子が居るという話だった。しかしそれは数年前の話と言われて都市伝説扱いだったのだが

柚子「それにしてもよく比企谷君が戦車道をしてるってわかりましたね。」

杏「まぁたまたまだけどね。」

八幡と生徒会が出会った理由、それは入学式にあった。八幡は学校に向かう途中で轢かれそうになっていたうさぎを庇って跳ねられたのだ。それで入院することになり初めてお見舞いに来たのだ生徒会だった。そして杏が八幡が戦車道をしているのを気が付いたのは、八幡が入院している時に杏が一人でお見舞いに行くと八幡はあのボードゲームをしていたのだ。

杏「プロチームを倒した後から姿を消したって聞いてたけど何があったんだろうね。」

 

八幡「………………」

八幡は戦車道の話をされて教室に帰る気にもなれずいつも昼ごはんを食べている場所に行き寝っ転がった。

八幡「…………俺だって戦車道をやりたいよ。でもあんな顔を見たら俺が異常って嫌でもわかんだろ…………!」

あの日から八幡は戦車に乗っていなく、心を塞いでしまっていた。それを支えていたのは愛里寿と小町であり二人がいなければ八幡はとっくに壊れていただろう。

八幡「戦車道をしなくていいと思ったんだけどなぁ………………」

八幡の戦車は島田家に預けており、千代がいつでも使えるようにしていた。そしてみほやまほとはあれ以来会っていなかった。

八幡「元気にしてるかね……………今の俺に会う資格なんて無いし……………」

八幡の父はよく会いに行くか聞いていたが八幡はいつも断っていた。やはり戦車道辞めてしまってから合わす顔がなかったのだ。そこで昼休みの終了のチャイムが鳴っていたが八幡は動くつもりは無かった。

八幡「……………寝るか。」

八幡はそのまま草むらの上で目を瞑り、眠った。

 

??「ほら早く行かないと言われちゃう!」

??「急ぎましょう。」

??「う、うん。」

3人の少女達が急いで教室に戻ろうとしているとその近くに居た八幡を見掛けた。

??「あそこで寝てる人がいる!」

??「起こしますか?」

??「え………………?」

??「どうしたの?あ、男の子だから嫌だとか?」

??「は、八幡君………………!!」

??「?知り合いなのですか西住さん。」

みほ「八幡君!!!」

八幡「?(幻聴まで聞こえてきてるな。そんなにみほに会いたいのかよ俺は。)」

八幡は名前を呼ばれたがこの呼び方はみほしかしないため、ありえないと思っていると、お腹に衝撃が来た。

八幡「ぐは!?」

八幡は目を開けてお腹辺りを見ると、見覚えのある顔があった。

八幡「……………みほ?」

みほ「うん……………!うん!そうだよ!」

八幡「なんでここに…………?」

みほ「八幡君こそ、どうして会いに来てくれなかったの?お姉ちゃんも待ってるのに……………」

八幡「それはーーー」

??「そこ二人!早く教室に行かないと授業に遅れちゃうよ!」

??「みほさん、急ぎましょう!」

八幡「……………また会ったら話してやるよ。だから行ってこい。」

みほ「……………絶対だよ?」

八幡「あぁ。」

みほはそう言うとそのまま教室に戻って行った。

八幡「(何でみほがここに?黒森峰女学園に行くと思ってたんだが…………それに1年の時から居るならもっと早い時点で会ってるはず。)」

八幡は気になり携帯で黒森峰女学園のことを調べると

八幡「……………そういう事か。みほも俺と同じ感じだな。」

みほが仲間を庇ったせいで黒森峰女学園の10連覇が途絶えてしまって色々と言われていたのだ。

八幡「さて…………授業もサボっちまったしなぁ。久しぶりに走るかな。」

八幡はそのまま学園の周りを走って体力作りをしていると

「え〜、全校生徒の皆さんは至急体育館に集まってください。」

八幡「(どうせ戦車道のムービーでも流すんだろ。俺は行かなくていいや。)」

「尚、比企谷ちゃん。来なかった場合、どうなるか分かるよね?」

八幡「……………脅迫してるよな?」

八幡は何をされるか分からないので渋々体育館に向かった。そして後ろの方でムービーを見ており、昔の気持ちが蘇ってきた。

八幡「(あの頃は純粋に楽しかったんだよな…………あの人達の顔を見てから俺は戦車に乗ると人を怖がらせてしまうって思い始めて……………)」

八幡はそう思うと視線を外してしまった。

八幡「(やっぱりまだ駄目か…………何とかしたいんだけどな…………)」

しばらくしてムービーも終わり杏が

杏「必修選択科目で戦車道を復活させるから。もし選んでくれたら特典を付けるよ〜。単位3倍とか遅刻200日免除とかね〜。」

八幡「……………これで選ぶ奴は居ないだろ。」

八幡はさっさと帰ろうとすると

桃「比企谷!お前は何故帰ろとしている?」

八幡「オリエンテーションと終わったんですよね?なら帰っていいはずです。」

桃が呼び掛けたせいで皆から注目を浴びてしまった。

杏「比企谷ちゃん、本当に戦車道しないの?後悔してるんじゃないの?」

八幡「…………戦車道は乙女の嗜みなんでしょ?なんでそんなに俺にこだわるんですか。」

みほ「八幡君…………戦車道、辞めたの?」

みほの発言で八幡が戦車道をしていたことが周りに知れ渡ったが、八幡は気にすることもなく

八幡「…………あぁ。だからみほ達に合わせる顔が無くてな…………ずっと会えなかった。」

みほ「でもどうして…………?八幡君、あんなに好きだったのに。」

八幡「……………そうだな。はっきりと言えば俺が戦車道をすると怖がらせてしまう。8年前、みほ達以外と試合を初めてして思ったんだ。その人達が俺を見る目は恐怖だった。」

八幡はそこまで言い、杏の元まで行くと

八幡「俺はこれ以上、戦車道で人を怖がらせたくない。」

杏「戦車道は嫌いかな?」

八幡「好きだよ。好きだからこそ俺が運転することで怖がって辞めてしまう人達が出るのが嫌なんだ。」

杏「ふーん……………だから8年前突然消えたわけだね。」

八幡「?俺と会ったことありましたか?」

杏「いんや?でも噂は聞いてるでしょ。」

八幡「………………もういいですか?これ以上話すことは無いです。」

杏「本当に戦車道が好きなら一度負けたぐらいで辞めたりしないと思うよ。比企谷ちゃんは背負い込みすぎだね。」

八幡「…………失礼します。」

八幡はそう言って体育館を出て行った。

みほ「八幡君……………」

??「みほ、あの男の子と知り合ったのっていつなの?」

みほ「初めて会ったのは11年前かな…………3年間一緒に住んでたの。」

??「まぁ、そのような事が。しかしどうして離れ離れに?」

みほ「…………二人にも説明したけど戦車道の家元って言ったよね。私にはお姉ちゃんが居るんだけど、戦車が乗れるようになってからお母さんに課題を出されたんだ。1年間の間に二人で八幡君を倒してみてって。出来ないと他の家元に送るって。」

??「じゃあさっき再会したって事は……」

みほ「私たち二人でも勝てなかったんだ。八幡君は本気でしないと他の家元にすぐに連れていかれるって言われてたから。」

??「じゃあ比企谷さんは西住さん達と離れてすぐに辞めてしまったのですか。」

みほ「8年前ならそうだと思う。でも八幡君は本当に戦車道が大好きだったんだ。女の子だけしてるって聞いても必死に勉強してて…………」

 

八幡「……………分かったような口を聞きやがって………………!」

八幡は近くにあった木を殴り付けて

八幡「……………上等だ。1度だけやってやるよ。俺一人で戦車道を始めた全員を倒してから……………あの人達が思った気持ちを味合わせてやる。」

八幡はそう呟き、ある場所に電話した。

八幡「もしもし。」

千代「……………八幡君?」

八幡「お久しぶりです、千代さん。」

千代「私に電話をしてきたってことは、そういう事かしら?」

八幡「えぇ。久しぶりに一度だけすることにしました。俺の戦車、大洗学園に送って貰えますか?」

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