メイドラゴンの世界のモブだが、朝起きたら職場の先輩である小林さんが隣で寝ていた件について   作:風神・雷神

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カンナカムイは遊びたい2 中編

場所・某草原

 

「ひろーい」

 

「ここ……日本?」

 

「さあ、どうなんでしょうね。適当な広い草原があったので」

 

「いや、小林さん。どう考えても日本にある草原の広さじゃないですよ。これ」

 

トールさんに連れられて俺たちは、広大な草原にいた。周りを見ると、辺り一面緑に覆われ遠くには、小高い丘が不規則に見え、俺たち以外の人の姿は見当たらない。まるで、この地球に自分たちだけしかいないと錯覚するほどだった。

 

着いてすぐにトールさんに運んでもらった荷物を受け取り、荷物が無事か軽く確認をする。

 

汚れてたり、準備した家の時と変わらなかった。

 

来る途中特に揺れたりしなかったので、まあ大丈夫だろう。

 

「いやでも、ここに来るまでが大変でしたね。荷物もそうですけど小林さんは口で掴まれて、俺はトールさんの手で握られて飛んできたんですから。俺、あのまま握りつぶされるかもって思いましたよ」

 

それを聞いたトールさんが、ため息をついて答えた。

 

「また、背中の上であなたと小林さんにくっつかれたらたまりませんからね。あと、小林さんは兎も角、あなたは手で掴んでの移動で十分です。全く、あのまま握り潰すことが出来たらどれだけ楽か……」

 

「ト~ル?」

 

「じょ、冗談ですって小林さん!私がそんなことするわけないじゃないですか!ドラゴンジョークですよ!ジョークですって!ジョーク!」

 

トールさんは、慌てて冗談だと言って弁解していた。

 

個人的には、前半はいいとして後半の所は少し何かしらの感情が籠っていたような気がしたが、これ以上触れるのはやめておこう。

 

「ところで、それなんですか?私、何にも知らないんですけど」

 

トールさんが、気になったのか不思議そうに俺が持っている物について聞いてきた。

 

「これは……。今は教えられないですね。……まああれですって。後になればわかりますよ」

 

「やけにもったいぶりますね……。まあ、いいですけど」

 

持っていた荷物を背中に隠すと、トールさんは呆れた表情でこちらを見ていた。

 

「まあ、とにかく私は、デスマの疲れをとるため寝るから。遊びたい人は、遊んでどうぞ」

 

そう言うと、小林さんはゴロリと草原に寝転んだ。

 

「しょーがないですねー。じゃあ、私達だけで遊びますか。小田原さんもやりますか?」

 

「いや、正直俺も休みたいから……。それに、ドラゴン同士じゃないと出来ないこともあるだろうし」

 

彼女たちドラゴンは、人の姿で生活している訳で、今回は、近くには人もいないから思いっ切り羽を伸ばせるだろう。そんなところに俺が混ざってしまったら彼女たちに悪い。

 

「そうですか。では、カンナ。私たちはいきましょうか」

 

「トール様、早く行こ」

 

二人は少し離れたところで遊ぶらしく、何処か適当な場所へ歩いて行った。

 

その為、自然と小林さんと二人っきりになり、小林さんが寝ている隣に座る。

 

「それにしても、凄いですね。まだ、こんな場所あったんですね」

 

小林さんは、頭の後ろに手を組み寝ながら答えた。

 

「そうだねー。私もこんな広い草原初めてだよ。なんなら、こんな見晴らしのいい場所来たの、初めてかもしれないし」

 

「ええ、俺も初めて来ましたよ。こんな広いとこ……。本当に……」

 

「……初めて来ました」

 

心から思った事が言葉として出てしまった。

 

原っぱに太陽のあたたかな日差しが満遍なく注がれ、風が心地よく流れ、踊るように草が揺れる。

 

家の辺りの風とは全く別物で、気のせいか空気もおいしく感じる。場所が違うだけでこんなにも変わるなんて知らなかった。

 

自然に睡眠欲が掻き立てられ、思うままに寝転がり、景色を見ていた視線が、所々に綿あめのような雲が浮かぶ空に移る。

 

こんなところにいたら、眠くなるのは当然かもしれない。

 

更に、デスマの疲れをため込んでいる体の為か、うとうとして瞼が閉じそうになる。

 

「ねぇ?」

 

急に話しかけられ、閉じかけていた瞼を開き、隣に寝ている小林さんへ顔を向けた。

 

「本当に、良かったの?こんなことに付き合って。行こうと思えば私だけついてったし。疲れてるんじゃないの?」

 

「全然大丈夫ですよ。疲れてないですし来たかったまでありますよ。むしろ働きだす前に戻ったように元気ですよ」

 

「なにそれ?へんなの」

 

そう言って小林さんはクスクスと笑い、寝ながら体をずらしたりして、俺の横に移動してきた。

 

急な小林さんの行動に思わず聞いてしまった。

 

「急に、ど、どうしたんですか?小林さん。いきなり」

 

「いやさ、そんなに元気なら、腕枕でもして貰おうかなって」

 

小林さんは、俺の右腕を掴んで枕替わりにする。

 

腕枕と言ったが、小林さんは俺の右肩のあたりに頭を乗せ、体をピッタリとくっついてきた。

 

「もしかして、嫌だった?」

 

「とんでもないです。むしろ光栄と言いますか。ええっと……」

 

「じゃあいいじゃん。ごめん。ちょっとだけこのままでいさせて。ちょっとだけだからさ」

 

「……分かりました」

 

「……ありがと」

 

小林さんは、静かに目を閉じてスヤスヤと寝息をたてていた。

 

今思えば、こんなこと少し前まで夢にも思っていなかった。

 

これも、小林さんやトールさん達のおかげだろう。

 

彼女たちには、大きな借りが出来てしまった。

 

こんな俺だが、少しずつこの借りを返していけたらいいと思う。

 

そんなことを考え、俺も瞼を閉じゆっくりと意識が沈んでいく。

 

 

 

…………………

 

…………

 

……

 

だが、突然周囲に爆発音が響き、俺と小林さんは慌てて飛び起きてしまった。

 

「な、なに!」

 

急な、爆発音にびっくりしたのか、小林さんが腕を抱きしめているが、今はそれよりも音の原因である。

 

辺りを見回すと、まるでアクション映画のド派手な戦闘シーンのような戦いをトールさんとカンナちゃんが繰り広げていた。

 

その戦いは正に、命を懸けた戦いのような緊張感があり、とても遊んでいるようには思えなかった。

 

「待て待て待て待て待て」

 

小林さんは、慌てて二人がいる場所へ走って向かって行った。

 

付いて行こうと思ったが、トールさんも無意味にこんなことはしないだろうから、ここは小林さんに任せても問題ないだろう。

 

だが、付いて行かなかったのはそれだけが理由ではなかった。

 

「……いきなり過ぎますよ。小林さん……」

 

思い返すと、心臓の鼓動が早まり、顔に熱が集中する。

 

手で顔を覆って平常心を取り戻す為、深く深呼吸をする。

 

他の人が思えばそんなことだが、そんなことで心を乱されている自分が恥ずかしくて、小林さん達には見せられなかった……。

 

 

 

 

小林さんが、戻ってきてどうしてこんなことになったのか教えてもらったが、さっきの一連の戦いは、どうやらトールさんカンナちゃんドラゴンにとって、ただ遊んでいただけだったらしい。

 

ドラゴンのスケールの大きさに驚いてしまった。

 

小林さん曰く、『ドラゴン基準の遊びではなく人間基準の遊びをしろ』と言ったらしいのだが、戻ってきたトールさん達は、まるで映画などで出てくる腐りかけのゾンビのような歩き方をしていた。

 

話を聞くと、どうやら小林さんの真似をしていたらしく、何とも言えない気持ちになってしまった。

 

すみません。小林さん……。

 

悔しながら、ゾンビのようだと思ってしまいました。

 

声には出さず、心の中で小林さんに謝った。

 

そんな中、戻ってきたカンナちゃんが、丁度腹の虫を鳴かせていた。

 

「おなかすいたー」

 

「確かに、もういい時間ですね。お昼、どうしますか。小林さん」

 

「どうしよっか。来たばっかりだけど、流石にお昼ご飯食べたいしなー」

 

悩んでいる3人へ、この瞬間を待っていたと言わんばかりに、用意していたアレを原っぱへ置く。

 

「悩む必要なんてありませんよ皆さん!この小田原、この時の為に準備してきました」

 

話を聞いた3人が、意外そうに聞いてきた。

 

「え?お弁当作ってきてくれたの?」

 

「……意外ですね。小田原さん料理できたんですね」

 

「……」

 

「まあ、特別手が込んでいる物ではないですけどね。皆さん座って下さい。では、開けますね」

 

他の全員が座って、風呂敷に包まれていた重箱に注目する。

 

中に入っていた物を見て、様々な反応を見せてくれた中で、3人の中で一番なじみがある小林さんが一番に口を開いた。

 

「これって……おにぎり?」

 

 

 

 

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