メイドラゴンの世界のモブだが、朝起きたら職場の先輩である小林さんが隣で寝ていた件について   作:風神・雷神

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やる気が続く限り書きます

力尽きたらごめんね



状況の整理

俺は最低な奴だ。

 

どうやらヤらかしてしまったらしい。

 

状況から考えて、酒に酔った勢いで職場の先輩である小林さんと一線を越えてしまったのかもしれない……。

 

いや、まだあきらめるな。

 

人間というのはどんな絶望的状況に陥っても、希望を見出す事ができる。

 

それが、今まさに体現したのか自然と考えついた。

 

まだ一線を越えたと確定したわけではない……。

 

まだ現段階では納得できない点がある。

 

全然、記憶にない。

 

つまりは、何らかの行為に及ぶ前に泥酔して、寝てしまったのではないだろうか。

 

それこそが、俺が持つ希望だ。

 

このままでは、訴えられて酒に酔った職場の先輩を無理やり〇した性犯罪者として警察に捕まり、社会的に死んでしまうだろう。

 

そうならないためにも、本当に何もなかったのだと本人から直接聞こう。

 

そう思い声をかけようとするも、目が覚めたのか小林さんは二日酔いなのか頭を押さえながら起き上がった。

 

「頭いったぁ……」

 

小林さんは、ゆっくりと体を起こすと隣にいた俺と目が合う。

 

「え……?」

 

「ええっと……。おはようございます……」

 

「うん……おはよう……」

 

まだ意識が曖昧なのか、気の抜けた挨拶が帰ってきた。

 

気だるそうに眼鏡を掛けると、今の異常さに気が付いたのか、凄いスピードでこちらをみて目を見開いていた。

 

「……って!?え!?なんで小田原くんが此処にいるの!?てか、何で服着てないの!?てか私も服着てないじゃん!?」

 

小林さんは、パニックになっているのか布団を自分の体に巻き付け、めちゃくちゃ慌てている。

 

今の状態じゃ話し合うのは無理そうだな。

 

「後で話し合うとして……。取り敢えず、ベランダ借りていいですか……」

 

 

 

 

状況の整理の為に後で話し合うことになり、小林さんに許可を取ってベランダで気持ちを落ち着かせるために一服している。

 

まさか、こんなことになるとは思いもしなかったな。

 

今は昨日着ていたスーツを着ている。流石に全裸では出れないし、何より小林さんがいる手前、そんなことは出来なかった。

 

……いつも通りなら、今頃貴重で偉大な日曜日に感謝して、2度寝してたんだろうな。

 

そんなことを考えても意味がないが、これからのことを思うと逃げるように考えてしまう。

 

手持ちのラスト1本を吸い終わり、携帯灰皿に吸い殻を入れ、ポケットに入れる。

 

大きく深呼吸をして、肺に残っている煙を全部吐き出すように息を吐く。

 

……よし。

 

 

 

 

 

窓を開けて中に戻ると、テーブルに両肘をついて二日酔いからか顔は青ざめ、頭を抱えて座っている小林さんがいた。

 

何も言わずにただ座っている小林さんを見て、自然に反対側の席に座る。

 

まるで、時間が止まったように思うほどの静けさが数秒続くと、急に小林さんが聞いてきた。

 

「……覚えてる?」

 

ただ一言。

 

だが、その一言だけでこちらには十分に伝わった。

 

「いや何にも……」

 

覚えていませんと続けてようと思ったのだがよく考えれば、もしヤることヤって何にも覚えてませんはまずいと思い言葉を濁す。

 

これは、保険だ。

 

「……すべて覚えてるわけではないんですけど。断片的には……はい…」

 

「そっか……」

 

再び部屋が沈黙に包まれるが直ぐに小林さんにより破られた。

 

「んあああああああ。後輩相手にヤっちゃったよ。んもおおおおおおおおお。何してんの私いいいいいいいい」

 

そう言うと小林さんは勢いよく立ち上がり、顔を真っ赤にして頭をかきむしり始めた。

 

「落ち着いてください、小林さん。まだそうと決まった訳じゃ……」

 

「これが落ち着いていられるか!昨日あんなことまでシといて……」

 

「取り敢えず、お互いの情報が正しいのか整合性を確認しましょう。まずは小林さんが覚えていることを教えて下さい」

 

大丈夫だ。最後に何か気になることを言ってたが大丈夫……。

 

 

……………………………

 

……………………

 

……………

 

 

小林さんの話を聞いた上での、小林家に上がるまでの会話の再現(行動や仕草などはご想像で補って下さい)

 

 

小林「……なんか飲み足りねーな。オイ!小田原ァ!もう一軒行くぞ!」

 

小田原「大丈夫ですか?飲み過ぎですって。もうやめときましょうよ小林さん……」

 

小林「なに!?オマエ私との酒が飲めないって言うのか!?あぁん!?」

 

小田原「小林さん。その絡み方ダルイっすよ……。別に俺はいいですけど。明日休みですし……」

 

小林「じゃあ決まりねー。じゃあすぐにこの辺の適当な店で……てこの辺店ねぇーじゃんか!」

 

小田原「ホントっすね。じゃあ今日はもうはムリっすねー」

 

小林「でもさぁ……あ、そうだよ!てか、もうすぐで家じゃん!家で飲めばいいんだよ!天才じゃん私!」

 

小田原「そっすか…。じゃあ、俺はこれで……」

 

小林「何逃げようっとしてんだよ!小田原ァ!私を一人で飲ませる気か!?最後まで付き合えよ!」

 

小田原「いや、流石に家はまずいですって。いろいろと……」

 

小林「何がまずいんだよ。いいから来いって!」

 

小田原「ちょ。引っ張らないで下さいよ……。え……。でも……まあ、いっかぁ。寄ってきますよ」

 

小林「よし。じゃあ今から飲み直すぞ!ついてこい!小田原ァ!」

 

 

……………………………

 

……………………

 

……………

 

 

 

 

「……あの。小林さん……これは一体どうゆう事ですか。話を再現するとなんか結構強引に誘われてるんですけど……。」

 

聞いてみると小林さんは、机の上に突っ伏して顔を伏せながら答えた。

 

「……ごめん」

 

「いや……。まあ、最終的に家に上がっちゃてるんでこっちもダメなんですけどね」

 

そう答えると、小林さんは伏せてた頭を少し上げ、ジッとこちらの顔を覗いていた。その魚のような目には、会社で見てきた力強さは感じられずどこか弱弱しく感じる。

 

それよりも、個人的にはその後のことの方が気になっている。

 

「薄っすらとしか覚えてないので単刀直入に聞きますけど……その……俺たち……ヤっちゃいました?」

 

「……私の記憶だと……ヤったと思う」

 

話を聞いて動揺してしまう。きっと今自分の姿を鏡で見たら驚くほど血の気が引いていることだろう。

 

「……じゃあ、寝ていた部屋に使用済みのゴ……避妊具が無かったのって……まさか……」

 

「……うん。多分そうゆう事だと思う。家には置いてなかったし……」

 

「…マジかよ……」

 

唯一の希望であった肉体関係はないと言う心の支えは無くなり、更には避妊もせずに関係を持ってしまった自分自身が嫌いになりそうになり頭を抱える。

 

思った以上にとんでもないことになっていた。人としてなんて最低な事をしてしまったのだろう……。

 

俺は、散々お世話になった先輩に対してなんてことをしてしまったんだ……。

 

前を見ると、体を起こした小林さんがこっちを真っ直ぐに見ながら、話し出した。

 

「……あのさ。一つ提案なんだけどさ……今回の事は互いに忘れるってのはどうかな?」

 

「え……。それは一体どうゆう……」

 

今の発言に頭を抱えるのをやめ、小林さんの顔を見ながら、言っていることが理解できずに呆然としてしまう。

 

正直、しでかしたことを考えれば、殴られても仕方ないと思って覚悟していたが、当の本人はそんなものは必要ないと言ってきた。

 

「言葉の通りだよ。責任とか深く考えないでいいから。気軽に家に入れた私にも非があるからさ」

 

「いや、でも……」

 

「それに話してる感じ、小田原君覚えてないでしょ?」

 

「……すいません。紛らわしいこと言ってしまって」

 

「……じゃあ、昨日私に言ってくれた言葉も覚えてないよね?」

 

「……え?」

 

言葉?昨日の夜俺は小林さんになんて言ったんだ……。ダメだ。全然思い出せない。

 

「そっか……。昨日のアレは酔った私が勝手に見た幻だったのかな……」

 

小林さんはそう言うと、どこか悲しそうに自分の右手を見ながら、もう片方の左手でぎゅっと握っていた。

 

「小田原くんも嫌でしょ。仕事しか取り柄のない私みたいな可愛くない女は……」

 

「いや。俺は……」

 

言葉を言おうとするも、小林さんによって断ち切られ言葉が続かない。

 

「兎に角、この話はまた今度しよう。私この後病院行って……あ、今日日曜じゃんか。どうしよう……」

 

小林さんはテーブルに手をついて立ち上がろうとする。その光景を目の前で見ていた時、時間がゆっくりと進んでいる感覚を覚える。

 

小林さんは、なんて凄い人なんだろう。責任を全部俺に押し付けてもおかしくないのに、この人は俺に迷惑にならないよう全て自分の責任にして終わらそうとしている。

 

それに比べて俺はどうだろうか。覚えていない、保険をかけとく、殴られてもいい。全て自分自身を守ろうとして、小林さんの事を何も考えていなかった。

 

このまま終わってもいいのだろうか。いや、そんなはずはない。自分の気持ちを正直に伝えよう。こちらにも非はあるんだ。小林さんだけが背負う必要はない。

 

ここで終わらせてはいけない。

 

気付けば、立ち上がろうとしていた小林さんの手を掴んでいた。

 

 




これは友達の友達が体験した話なんですが、そいつが一人で店で飲んでた時にたまたま隣に座っていたおっさんと仲良くなり、いい気になって飲みまくって、気付いたらそのおっさんの家で寝ていて、その家の奥さんとお子さんに起こされて朝食ごちそうになって帰った話があったそうです。

お酒の飲み過ぎには気をつけましょう
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