メイドラゴンの世界のモブだが、朝起きたら職場の先輩である小林さんが隣で寝ていた件について   作:風神・雷神

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何回か書き直したけどこの方法しかなかった。


メイドラゴンの襲来 中編

トールさんが部屋を出た後、小林さんに気になっていたことを聞く。

 

本当に小林さんはこれでいいのかと。

 

酔っていたとはいえ、約束をそんな簡単に無理だと終わらせていいのかと。

 

「……小林さん。本当にこれで良かったんですか。話した感じだとトールさん、本当に小林さんの事が好きだったんですよ」

 

「どうしょうもないよ……。酔ってあの子に守れない約束した、私が悪い……」

 

小林さんは、唸り頭を抱えながら答える。

 

「本当にそれが本心なんですか。違うんじゃないですか?行くところがなくて、藁にもすがる思いで小林さんについて来たんですよ彼女は……」

 

「……きみ……だ」

 

「小林さん?今なんて……」

 

声が小さくて上手く聞き取れず、なんて言ったのか聞き返すが、帰って来たのは怒りの籠った気の立った目つきで、真っ直ぐにこちらを見てきた。

 

そして、その怒りが爆発したように質問に答える。

 

「……君が、私の何を分かるって言うんだ!君とこんな関係になったのだって、まだ一か月も経ってないじゃん!そんなので、私の気持ち分かったような気になんないでよ!」

 

「いや、俺はそんなつもりで言ったわけでは……」

 

「じゃあ、どうしろって言うんだ!雇ったりするの?私が!?できるわけないじゃん!」

 

「落ち着いて下さい、小林さん。冷静に話し合いましょう」

 

「私は、至って冷静だよ!」

 

小林さんは、テーブルをドンと思いきり叩きつけ立ち上がり、眉間にしわを寄せ、俺の顔を真っ直ぐに見て、自身の苛立ちをぶつけてきた。

 

小林さんが怒った姿を見たのはこれが初めてだったが、逆にこれはチャンスだと思った。

 

怒ったと言うことは、小林さんの中で今もトールさんの事で迷っているのかもしれない。

 

俺が今できることは、小林さんの本音を確かめるために引き出すこと。

 

多少、言い合いになってしまうが、許して下さい小林さん。

 

あなたが、後悔しないために……。

 

「でも、彼女はあなたを頼りにここまでついてきたんですよ。小林さんは、彼女に対して何にも思わないんですか!」

 

「さっきから、何が言いたいわけ?なんで、そこまでトールに固執するの?意味わかんない!」

 

「部屋出ていく時、トールさん泣いてましたよ。それに、まだ付き合い始めた俺にだって、小林さんの苦しそうな顔ぐらい分かりますよ!」

 

「言われなくても分かってるよ!無責任な事したって!自分でも思ってるに決まってんじゃん!でも……」

 

そう言う小林さんは、手は固く握りしめ、身震いしていた。

 

そして、小さい声で吐き捨てるように言う。

 

「……私一人じゃ……どうすることもできないじゃんか……」

 

一人じゃ何もできない……。

 

小林さん……。

 

なぜ、今のあなたがそれを言ってしまうのですか……。

 

どうして……。

 

話を聞いて胸のあたりがチクチクと痛み、それが苛立ちとして心に雪のよう積もっていく。

 

「……小林さん。俺は……あなたにとってなんなんですか?」

 

急な質問に、小林さんは驚きからなのか、目をパチクリさせていたが、直ぐに視線を泳がせてそわそわしながら答えた。

 

「え?そ、それは、会社の後輩で……私の……」

 

はっきりと言わない小林さんに、自分自身が思っている本心をぶつける。

 

「……俺は、あなたの彼氏です!切っ掛けがどうであれ俺は、あなたの彼氏なんですよ!どうして、一人なんて言うんですか!」

 

いきなり声を荒げでしまったからか、小林さんは、ビクッと体を震わせる。

 

「だから……。もっと俺を頼って下さい。小林さん!」

 

「……で、でも、それじゃあ、先輩としての威厳とか……小田原君に迷惑がかかるわけだからさ……」

 

ここまで言っても、どこか遠慮している様子で答えてくる。

 

まだ、そんなつまらないことで迷っているのか小林さんは……。

 

時間がないんですよ。

 

早くしないとトールさんの姿が追えなくなる。

 

多少強引になるが……これも、小林さんの為だと自分に言い聞かせる。

 

くびれた小林さんの胴のあたりを、自身の胸へ抱き寄せ、腕を背中に回しそのまま抱きしめる。

 

「え!?いきなりなに!?……ちょ、力強いっ……」

 

小林さんは、抜け出そうと抵抗するが、普段運動などしていないのか、力が弱いため拘束が解けないままだ。

 

「……二人なら、何とかなりませんか?」

 

「……え?」

 

「小林さん……。トールさんと一緒に暮らしたいなら協力しますよ。俺の事もっと頼って下さいよ。」

 

「…!?」

 

抜け出そうとジタバタと抵抗していたが、話を聞いた途端に動くのをやめて、ただ抱きしめられるるよう、こちらに身を任せた。

 

「……いいの?」

 

「はい。俺は小林さんの幸せの為なら喜んでやりますよ」

 

背中へ腕が回され、少し強めの力で締め付けられる感覚に包まれる。

 

「……でも、小田原君はいいの?さっきトールに結構キツイこと言われてたけど。その……怒ってないの?」

 

「はい。全く問題ないですよ。あんなので、しょぼくれたりしませんよ俺は。でも……正直言うと、死ぬほど疲れてるときに課長の人間性を否定される説教という名のパワハラの方がよっぽど辛いですからね。あれは、マジで頭に死の文字が出てきますから」

 

「……そうだね。確かに、言えてる」

 

少しの隙間もないほどお互いの体を密着させる。

 

鼓動が、いつもよりもうるさい。だが、自然と不快にはならず、むしろ心地よいと思ってしまう。

 

小林さんの顔を見てみると、リンゴのように顔が赤みをおびていた。

 

「小林さん……。小林さんはどうしたいんです?トールさんと話してた時、凄く楽しそうでしたよ。本当は一緒に暮らしたいと思っているんじゃないんですか?」

 

「……実はさ、トールと山で合った時の記憶なんだけど薄っすらとだけど覚えてたんだ。けど、急に怖くなって変な言い方しちゃった。それでね、その記憶に残っている、私とトールがさ。凄く楽しそうにお酒を飲んでたんだよね。それが、どうしても気になってるんだ……」

 

「……やっぱり、一緒にいたいんじゃないですか」

 

「私も、……できればこんなことはしたくない。でも、正直トールとやっていけるか心配なんだよね」

 

「……そうですか。でも、大丈夫ですよ。俺も、全力でサポートします。あと、もう飲み過ぎには気を付けて下さいよ」

 

「……はいはい。分かりました」

 

抱きしめる腕の力が更に強くなる。

 

「……小田原君……ごめん。……私さ……やっぱりね……」

 

小林さんは、はっきりと、もう間違えずに、自分の本心を言う。

 

「……私、こんな別れ方は……嫌だ…」

 

「……分かりました。……じゃあ、早くトールさんを追いかけましょう。まだ間に合いますよ」

 

 

 

 

 

玄関から飛び出し急いで階段を下り、道路に出で辺りを見渡すと、約50メートルほどにトールさんの後ろ姿を確認する。

 

良かった。まだ、追いつける。

 

小林さんが、先にトールさんに向かって走り出す。

 

「いた!ねえ!トール!」

 

「!?え?小林さん!?」

 

小林さんの呼び声に気付き、立ち止まり声が聞こえた後ろを振り向く。トールさんの所まで走ったので息が上がっているが、それでも小林さんは呼吸を整えずに話し出した。

 

「はあはあ……。トール!家来なよ!行く宛てないんでしょ!」

 

「え?いいんですか……。でも、さっき……」

 

家で、小林さん本人から告げられたことを考えているのか、さっきとは逆の意見にトールさん自身も困惑している様に見えたが……まあ、大丈夫でしょう。

 

「私が、悪かった!だから、家に来てよ!トール!」

 

息も絶え絶えに膝に左手を突き、トールさんの目の前に右手を差し出した。

 

「!?もちろんです!小林さんが良ければ、このトール!全力で、小林さんの力になります!」

 

そう言うと、差し出された右手をトールさんは涙ぐみながら両手でしっかりと握り交わした。

 

幸せそうな二人を見て、ほっと息が零れる。

 

良かった。

 

これでいいんだ。

 

ふと、今の時間が気になり携帯を確認すると、絶望的な現実がすぐ目の前にまで来ていることにやっと気づいた。

 

「小林さん。今気づいたんですけど……まずいです……」

 

「小田原君。どうしたのって……。まさか……」

 

察した小林さんは、ゆっくりとスマホを見る。

 

8:51分 (始業:9:00)

 

「うわああああ。遅刻!?」

 

小林さん、もう遅いですって。

 

今からだと、電車でも、バスでも間に合わない。

 

これは、どうやっても遅刻確定だ。

 

今のうちに、遅刻の言い訳でも考えておこう。

 

どうせ課長に遅刻を理由に、説教される未来が見える。

 

ここから9分で会社まで行く方法なんて、空でも飛んで行くぐらいしかない……。

 

「!そうだ!トール!お願いがあるんだけど……」

 

 

 

 

「…飛べる?」

 

 




トールちゃんつよすぎ
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