メイドラゴンの世界のモブだが、朝起きたら職場の先輩である小林さんが隣で寝ていた件について   作:風神・雷神

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カンナカムイは遊びたい 前編

小林さん達と生活しだして数日が過ぎようとしていた。

 

引っ越しの準備やら昔、小林さんが買ってそのままクローゼットの奥に眠っていたメイド服があったりで色々と問題があったりもしたが、無事引っ越しを終え、どうにか一週間を乗り切ったが……。

 

今、ソファーに疲労で死にかけながら座っていた。

 

「し……死ぬってマジで……死ぬ……」

 

今週は、納期ギリギリでミスが発覚し、しかもそれは、俺が受け持っていた案件だったこともあり、修正し遅れを取り戻す為に、死ぬ気で働いてどうにか間に合ったには間に合ったが、代償としていつもの倍以上の疲労が体を襲っていた。

 

仕事の方は、終わったからいいのだが問題はこっちだ。

 

正直、まだカンナちゃんと少し距離を感じている。

 

警戒心からか、朝に会って挨拶をしても、返さずにトールさんや小林さんの後ろへ隠れられてしまったり、話しかけるとサッと逃げられてしまう。

 

こんな関係では、この家の居心地が悪いし、カンナちゃん自身にも悪い影響を与えているに違いないため、早急に何とかするしかない。

 

無理して信じなくていいといった手前、どうにかして俺を信頼してもらわないといけない。

 

そう思っていたら、時間だけが過ぎていく。

 

何かいい手はないだろうか。

 

すると、カンナちゃんはゲーム機の電源を落として、トールさん達が座っている机の方へ向かっていった。

 

「遊びたーい!」

 

「ゲームは?」

 

「飽きちゃった」

 

横から会話を聞いてみると、どうやらカンナちゃんはゲームばかりで飽きてしまったようだ。

 

ここに来てから、余り外に出ないでゲームばかりしていたのが原因だろう。

 

「カンナは子供ですからね。思いっきり体を動かしたいんですよ」

 

「私は、子供の頃でもテレビゲームの毎日だったが……」

 

不服なのか小林さんが、ジト目でトールさんへため息と一緒に言った。

 

「それじゃあ、今日は私と……と言いたいところですが、もう日も暮れて夜なので、今日は無理ですね」

 

「やだ!遊びたい!遊びたい!」

 

「カンナ。あんまり我がまま言わないで下さい。……なら、明日ではどうです?」

 

「トール様がそう言うなら……分かった」

 

トールさんに言われ、今日いけないと分かったのか、しゅんとして顔を俯かせていた。

 

「小林さん明日は休みですよね。小林さんも来ますか?いや、来て下さい!あ、あとついでに小田原さんも来たければ連れて行きますけど。どうします?」

 

「俺は、ついでなんですね……」

 

小林さんを誘った興奮が抑えられず声に出てしまうような時の声とは違い、落ち着いた普段通りの声に変わり聞かれる。

 

すると、小林さんが続けて口を開いた。

 

「えー。運動やだー。あと、仕事の疲れ取んなきゃだしさ……。そこで死にかけてる小田原君も何か言ってやってよ」

 

机に突っ伏し、顔をこちらに向けた小林さんに急に聞かれた。

 

もしかしたら、小林さんは俺が行くかで自分が行くか決めようとしているのだろうか。

 

だとしても、何処へ行くかぐらい聞いてから決めようと考え、トールさんに聞いてみることにした。

 

「ち……ちなみに、何処行くんですか?運動なら近くの公園とかです…か?」

 

「いえ。前に見つけた、人が近くにいない広い草原に行きます。あそこなら、思いっきり動けますから」

 

「草原ですか……あ!」

 

いいアイデアを思いついて思わず声が出てしまった。

 

草原……これはチャンスなのかもしれない。

 

「……分かりました。行きましょう」

 

「え?行くの?」

 

行かないと思っていたのか、小林さんが驚いた顔でこちらを見てくる。

 

「まあ、いい機会ですし。いいじゃないですか。あと、草原とか何気に行ったことないかもしれないんですよね」

 

「へぇー。じゃあ、私も行こうかな。気分転換にもなるし」

 

「分かりました!では、早速計画を……」

 

「あの……」

 

トールさんの話の腰を折ってしまったが、一応聞いてみなければならない。

 

「……すいません。カンナちゃん。トールさん。草原明日行くんじゃなくて明後日でもいいですか?折角だし、ちょっとやってみたいことがあるんですよ……」

 

「私は、いいですけど……カンナはどうですか?」

 

「私も、大丈夫」

 

どうやら、行く日時をずらしてくれるそうだ。

 

「小田原君、準備って何するの?」

 

俺のやる事が気になったのか、小林さんが不思議そうに聞いてきた。

 

「それは……明後日のお楽しみの為教えられませんね。申し訳ないですけど」

 

「随分もったいぶるじゃん。凄く気になってきたんだけど」

 

「別に私は構いませんけど、くれぐれも小林さんに迷惑をかけないで下さいね」

 

「……」

 

カンナちゃんは気になったのか言葉にはしなかったがジッとこちらを見てくる。

 

それに、応えるように今できる最大の笑顔で答えた。

 

「大丈夫ですって。別に変なことはしませんから」

 

「では、明後日の9時頃に行きましょうか」

 

こうして、草原へ行く日程が決まった。

 

ここで上手いこと、カンナちゃんの信頼を得なければならない。

 

だが、どうせなら他の二人にも楽しんでもらいたい。

 

疲れているが、ここはどうにかして成功させる。

 

決意を固め、必要なものを紙に書いていく。

 

どうやら明日は、忙しくなりそうだ。

 

 

 

 

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