ラブライブ!ーschool idol produce-   作:AGRS

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どうも、AGRSです。

今週からマジで亀投稿になりそうです(泣

なんとか書けるよう…なんとか…!

それではどうぞ。


第11話 Eの在処/それでも日々は過ぎ去って

『ひっさしぶり~! きりきり~♪』

 

 

「…その呼び方は止めなさい、結月」

 

 

 

携帯越しからの甲高い声に、桐葉は顔をしかめながらそう指摘した。

 

 

『つれないな~。私ときりきりの中でしょー?』

 

 

「同じスクールアイドルユニットのメンバーというだけで、何も築けてないじゃない…」

 

 

 

そう、桐葉はかつての旧友と電話で通話していた。

 

 

 

電話の相手は染谷 結月(そめや ゆつき)。

かつてUTX学院のスクールアイドルユニット、A-RISEとして共にUTXに貢献していた元メンバーだ。

 

 

 

彼女は桐葉ほどまでとは行かなくとも、スクールアイドルとしては充分過ぎるほどのスペックを持っていた。

桐葉がA-RISEに入ったのは3年生の時なので、それまでは彼女がA-RISEを仕切っていたと言っても間違いにはならないだろう。

 

 

お気楽家で、捉えどころがない性格だが、一度ステージに立てば本物のスクールアイドルに変わる。

 

 

さながらプロのアイドルのようにーー…それは桐葉も同じなのだが。

 

 

 

透き通るような青い髪に、綺麗に整った顔立ちは見る人全てに幻想的な雰囲気を感じさせた。2年前のA-RISEの成果は桐葉によるものが大きいが、結月の存在も決して忘れられるものではない。

 

 

卒業を迎え、会う機会もめっきり減ったそんな彼女と桐葉は他愛もない話を展開していた。

 

 

『どう? 仕事の方は』

 

 

「まあまあよ。楽しいと言えば嘘になるけど…人付き合いはどうも苦手ね」

 

 

 

『人付き合い云々の前に、その人間嫌いをどうにかするべきだと思うな!』

 

 

「ほっときなさい」

 

 

桐葉は口を尖らせながら子供じみた返答する。

 

 

『その様子だと男の話とかも皆無みたいだね~?』

 

 

「要らないわ、そんなもの」

 

 

『何言ってんの。男は大事だよ~? 子供を作る為にはどうしても男が必要なんだからー。愛の結晶を残したいとは思わないの~?』

 

 

「ふぅん。そこまで言うのなら結月、あなたは見つけたというわけかしら?」

 

 

『おおう、それ聞く!? あまりのいい男の居なさに結月ちゃんのメンタルは超絶賛下降中なのに! 』

 

 

成人を迎えた彼女でも、未だに自分のお眼鏡にかなう人物はいないらしい。悲痛な叫びが携帯から届き、桐葉はまたもや顔をしかめた。

 

 

 

 

「そんなどうでもいい事より…」

 

 

 

『どうでもいいって…きりきり~』

 

 

 

結月は抗議の文句を言おうとしていたが彼女の次の言葉に耳を傾けた。

 

 

 

「結月、以前頼んでいた件だけど……」

 

 

 

『ん? あぁ、完成品は急ピッチで製造中だよ。多分、2週間後くらいには届けられると思う。防水機能に万が一のジャミング対策、広範囲に及ぶ音声収集…ご要望の事は最大限叶えたつもり~』

 

 

 

「ありがとう」

 

 

結月の言葉に桐葉は感謝の声を漏らす。卒業した後でも彼女と連絡を取り合っていたのはこれのためでもあったのだ。

 

 

 

 

『試作品を1つ送っておいたけど…どうだった~?』

 

 

 

「……たいしたものね」

 

 

 

桐葉は右手に携帯、左手には小型の機器を持っている。その左手の機器は、現在進行形でその性能を発揮していた。

 

 

『……ここまでするのもどうかと思うけどね』

 

 

「…? 何故?」

 

 

『何故って…そりゃあ、一歩間違えたら只のストーカーなんだよ?』

 

 

「……」

 

 

桐葉は答えない。結月の言葉に多少なりとも自分のしている事についての問題さに気付いたのだろうか。沈黙の時間が続く。

 

 

 

『ま、だからって結月ちゃんは止めたりしないけどね! それ相応のお金はたんまり貰ってるわけだし~』

 

 

 

弟君には気の毒だけどね、と付け足して結月はケラケラと笑う。桐葉も固い表情を崩して僅かながら微笑んだ。

 

 

『でも、興味深いな~。一体、弟君のなにが"桐葉をそこまで駆り出させる"のか』

 

 

再び、沈黙。しかし、先程とは違い、それに対しては桐葉はすぐさま答えた。

 

 

「そうね…強いて言うのなら…」

 

 

聞く人全てを惑わすような声色で桐葉は答える。

 

 

 

 

 

 

 

「……全部、ね」

 

 

桐葉の言葉に結月は自分が興奮しているのを感じられずにはいられなかった。

 

 

『ふ、ふふふ、アハハハ! 面白い。やっぱり面白いよ、きりきりは!惚れちゃいそうだよ。』

 

 

「悪いけど、私にその気は微塵もないわ」

 

 

『じょーうーだーんー。悪かったから切らないで~』

 

 

本気で終了ボタンを押そうとしていた桐葉を、慌てて結月が止める。

 

 

 

 

『んもう…あ、でも待って。これってもしかたら~…私が弟君を奪っちゃったらもっと面白いことになっちゃうかも?』

 

 

桐葉は躊躇いなく通話終了ボタンを押した。

携帯の向こうでは結月が「冗談なのに~」と愚痴をこぼしているが、彼女に知る由もない。

 

疲れた様子でベッドに倒れ込む。ここ最近、あの夢のせいもあってまともに寝れていない。座っているのでさえ苦痛に感じた。

 

 

 

それにしても、と桐葉は思う。

 

 

 

先程の結月の言った言葉。

私がストーカー? 酷く心外だ。

 

 

私は只、見守っているだけ。姉として、弟の動向をちゃんと知っておくのは当然のことではなくて?

 

 

 

 

「……せめて、過保護と言ってくれないかしら」

 

 

 

誰に対しての言葉でもなく、桐葉は横の晴人の部屋を壁越しに一瞥した後、天井を少し見つめて静かに眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……凛! テンポ遅れてる!」

 

「わ、わかってるにゃ~!」

 

 

 

放課後の屋上に、絵里の声が響き渡る。

 

 

いよいよ来週に控えたμ'sの講堂ライブに向けて、ダンスの特訓をしている所だ。

 

曲の方は問題ない。海未、真姫の協力もあって予想通り、いや、予想以上の仕上がりをみせた。やっぱり1人で考えるよりも複数で考えた方が効率がいいな。

 

 

衣装の方も問題はない。ことりが作り慣れている事もあり、予定していたよりも早いで時間で申し分無い出来映えをみせた。ひたすらことりに感謝だ。

 

 

で、最後のダンスの振り付けの特訓をしている訳なのだが……

 

 

「つ、づかれた~…」

 

「だらしないですよ穂乃果。…無理もありませんが」

 

「み、皆まだまだね! にこにーはこれくらい、なんともないわよ!」

 

「にこちゃん、足にキテるみたいだけど?」

 

 

死屍累々とした状況だった。

 

 

ダンスを覚える場合、実際に体を動かす為かどうしても疲労感が伴う。遊びのダンスならいいけど、アイドルユニットのように統一された動きとなると負担は倍増だろう。

 

 

 

「うーん…いつもながらダンスを覚えるのはやっぱり大変だにゃ~…」

 

 

 

凛がそんなことをこぼす。確かに如何に運動神経がいい凛でも、一朝一夕にはいかない。

 

 

「そうだな…」

 

俺は制服の上着を脱いだ。そしてさっきの曲の再生を花陽に頼む。

 

 

「花陽、もう一度流してくれ」

 

 

「え? あ、はい!」

 

 

イントロが流れだし、休憩しているμ'sの面々に声をかける。

 

 

「ちょっと俺が踊ってみるから皆見ててくれ」

 

 

絵里とダンスの振り付けが完成した日に俺は自宅で何度もチェックしていた。そのためか動作はすべて頭の中に入っている。

 

協調の変わり目に軽やかにステップを刻む。呼吸を崩さす力強く踊りきった。

 

気づけば汗びっしょりだったが、そんな事をまるで気にしないような大きい拍手が俺に向けて送られた。

 

 

「す、すごいね、晴人君! あんな簡単に踊れちゃうなんて!」

 

「…ホント、スクールアイドル関係の事になると何でも出来るのよねぇ」

 

「ふ、ふん! まあまあね! にこにーには遠く及ばないけどね!」

 

「にこちゃん…ジュース持ってる手が震えてるよ…」

 

皆の言葉に頬が少し緩む。苦労して考えたダンスを踊り、褒めてもらうのに悪い気がするわけがない。

 

真姫が「やっぱりただ者じゃない…」と言っていたのは聞こえない事にした。

 

 

「晴人君、ほんとに凄いにゃ~! はい、これ!」

 

 

 

凛が俺に近寄ってジュースを差し出してくる。

 

 

「あ、あんま寄らない方が…」

 

 

「? どうしてにゃ~?」

 

 

「いや、匂いがさ…」

 

 

今俺はひとダンス踊り終えた後だ。汗がシャツに染み込んで気持ち悪い。女子は男子の汗臭い匂いなど特に嫌うだろう。そう思っての言葉だった。

 

 

「匂い~?」

 

 

凛は何を勘違いしたのか自分の腕や脇を嗅ぎ出した。

……チラチラ見える鎖骨が眩しい。

 

 

「…凛、そんなに汗臭いかにゃ?」

 

 

「いや、凛じゃなくて、俺…」

 

 

「そんなの気にしないにゃ~」

 

 

凛はいつも通りの笑顔でその場をクルクル回り、俺に向き直って言った。

 

 

 

 

 

「晴人君がどんな匂いでも、凛達が嫌うなんてこと、絶対ないにゃ! だって晴人君は凛達に沢山、スクールアイドルの事を教えてくれるんだから!」

 

 

 

 

嘘をついている様子など全く感じさせない、とびきりの笑顔で凛は俺にジュースを手渡した。

 

 

 

 

 

 

 

 

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