ラブライブ!ーschool idol produce- 作:AGRS
こ、更新遅れてすみませんすみません!(ペコペコ
リアルがマジで忙しいんです…頼んでもないのにw
それでは、どうぞー!
「なるほどね。あの夢神 桐葉の……」
西木野 真姫は自宅の自分の部屋で、パソコンの画面を食い入るように見つめながらそう呟いた。
彼女は土日の2日間、晴人についての事を徹底的に調べていた。あのプロデューサーとしての才能…どうしても気になった為、調べずにはいられなかった。
そのため、パソコンのインターネットで検索をかけていたのだ。デジタル化のこの時代、もっとも手っ取り早く情報が手に入る所だった。
当然の事、彼の名前を打ったところで何も分かるはずがない。しかし、"夢神"というキーワードにはすぐさま引っかかった。
「A-RISEの元リーダー、たった1年の活動でUTX学院の知名度を飛躍させた天才スクールアイドル…」
そのとき中学生だった真姫さえ、その存在は頭の片隅に残っていた。彼女のライブを改めて見返してみたが……やはり凄い、と言う他ない。
いや、凄いなんてものじゃない。その立ち振舞いは質が、次元が違った。見る人全てを魅了させるほどの実力を彼女は確かに持っていた。
決して現A-RISEが劣っているわけではないが……どうしても比べてしまうのは仕方がないと言えば仕方がない。
ともあれ、彼についての事は知れた。真姫はようやく心のモヤモヤが無くなったように思えて、パソコンの電源を落とした。
現在の時刻を確認する、午前1時30分。いけない、これは完全に明日のリハーサルに響くな、と真姫は嘆息した。
(でもまぁ、晴人についてははっきりしたんだし…)
夢神 晴人。音乃木坂学院唯一の男子のクラスメイトで、μ'sのプロデューサー。変わった者もいるものだ。アマチュアとはいえ、一介のスクールアイドルのプロデュースを手伝いたいなんてあまり思わないだろう。
(……そういえば、私もCDショップ行きたかったな)
金曜日のことりからの誘い。凛と花陽が断ったため、流れで自分も行かなかった。穂乃果から聞いた話だとA-RISEの新曲が出ていたらしい。少しばかり後悔が残る。
(それに……晴人ともっと話してみたかった……)
そんな事を不意に思った真姫は、慌てて首を振る。
(何を考えているの、私は)
彼はあくまでμ'sの活動を手伝ってくれる存在だ。プロデューサーとして、自分達と共にスクールアイドルの頂点に立とうと約束してくれただけだ。それ以上もそれ以下もない。
ではーー彼の事を考えると胸が締め付けられるような感覚に陥るのは何故なのだろうか?
「……!」
たまらず真姫はベッドに潜り込む。高級感を漂わせる綺麗なベッドは真姫を優しく受け入れた。
(違う……違う違う違う!)
目を閉じて、ただただ否定を繰り返す。……けれど、その否定に反応するように晴人の顔が浮かび上がってくる。
(そんなこと……あるわけない)
痛いくらいの感情を真姫は無理矢理胸の奥に押し込めた。
あるわけない……はずだ。
「う~ん、バッチリの仕上がりね!」
講堂でにこの声が響き渡る。明日の本番ライブに向けてたった今最後のリハーサルが終えた所だった。
みんな顔に汗を滲ませており、終了すると同時にそれぞれ自由にくつろいだ。
まだ明日への興奮が覚めてない様子のにこに労いの言葉をかける。
「お疲れ、にこ」
「ありがと。晴人もよくやってくれたわ」
「いや、みんなの頑張りの成果だよ」
「何よ~。にこ達のプロデューサーなら、俺が担当しているユニットだから当然だ! くらい言いなさいよ」
「そんなこと言ったら間違いなくお前に調子に乗んな、って足蹴りにされるだろうな」
「ちっ…バレたか」
にこ、その舌打ちは心の中でやってくれ……
「けど、明日は今日以上に頑張ってもらうけどな」
明日の放課後に行われる講堂ライブ。予定しているのは1曲だけだが、それでも十分な盛り上がりをみせるだろう。…それほどまでに彼女達μ'sの実力は進化している。
にこは俺の言葉に刺激されたようで
「もっちろんにこ! このにこにーの実力、しかと見せてあげるんだから目を逸らしたりなんかしたら許さないわよ!」
にこが突き出す拳に俺も自分の拳を合わせる。
いつかの指切りみたいだな、と言ったら、にこが顔を赤らめて「忘れろーー!!」と怒鳴ってきたのでその場を離れた。何をそんなに怒る必要があるんだよ…
それにしても……
「真姫、大丈夫か?」
少し顔色が悪い真姫の体調を心配して声をかける。
「……え!? は、晴人…べ、別に大丈夫よ…。心配しないで」
…ううん。どうにも無理しているように見えるな。ちょっと練習がキツすぎたか? みんなのコンディションは把握していたつもりだったけど…心配だ。
「ならいいけど、何かあったら俺に相談してくれ。何でも聞くからさ」
「……」
(誰のせいだと……)
真姫は俺の言葉を聞いて顔をしかめる。な、なんで? 心配しての気遣いのつもりなのに。
「と、とにかく! 大丈夫だから! 私、先に部室に戻…」
俺の横を通って去ろうとした真姫は、急にバランスを崩し倒れる。……のを俺が咄嗟に真姫の体を支えて防いだ。
「あ…ご、ごめん、晴人……」
「……真姫、ちょっと保健室行こう」
「だ、大丈夫だって言ってるでしょ!」
「うん、今後からお前の『大丈夫』は信用しないことにする」
「何よそれ……ちょ、何でわざわざ背負うのよ! 普通に歩けるわよ! お、下ろしなさい! 聞いてるの!? 晴人! お、お願いだから下ろしてーー!」
真姫をおんぶする形で、保健室に向かうべくステージを降りる。それほど深刻な事ではないと思うが、診てもらうに越したことはない。
駄々をこねながら背中をポカポカ叩いてくる真姫を無視して、講堂を後にした。
「ふー……」
穂乃果は練習でかいた汗をタオルで拭きながら大きく深呼吸した。ある程度拭き終えると、海未が近付いてきた。
「お疲れ様です、穂乃果」
「うん! 海未ちゃんもね~」
海未が差し出してきたスポーツドリンクを受け取り、キャップを開けて中身を喉に流す。すぐに喉は潤い、生き返ったような感覚になった。
「体調の方はどうですか?」
「問題ないよ! 昨日だっていっぱい寝たし、穂乃果ちゃんはいつだって元気100倍なんです!」
「フフ、そうですね。元気だけが取り柄のリーダーですから、ね」
「う、海未ちゃん……」
それはあんまりだよ…と言う穂乃果の目に、海未はクスクス笑う。
「ちょっとした冗談です。けれどそこまで元気なら…明日のライブは大丈夫そうですね」
「……うん!」
「絶対に、成功させましょう」
「うん! ファンの皆に、音乃木坂の皆に、生まれ変わったμ'sを見てもらうんだ!」
絶対に成功させる。
自分のせいで取りこぼした前回の"ラブライブ!"を今度こそ獲るため、その第一歩として、この講堂ライブは素晴らしいものにしたいと穂乃果は思っていた。
何よりーー自分達のために精一杯頑張ってくれた、晴人の努力に報いるために……。
彼の、ために……
「真姫、大丈夫でしょうか……」
「え…?」
海未の視線が向いている方に目をやると、晴人が真姫をおんぶしているのが見える。体調を崩してしまった真姫を保健室に運んでいるみたいだった。
「確かに練習前から顔色は良くなかったですが…心配ですね。ねぇ、穂乃、果……」
海未は自分の目を疑った。
何故ならそこには、鬼のような形相で晴人と真姫を見ている自分の親友の姿があったからだ。
普段の純粋無垢な瞳ではなく、深い闇に染まりきったような瞳ーーそんなたとえが正しく似合った。
「…あそこまでする必要あるかなぁ?」
ーーー晴人君に、触るな
「ほ、穂乃果?」
「…ん?どうしたの? 海未ちゃん 」
次の瞬間、穂乃果を覆っていた闇は消えていた。見間違いか、と海未は思ったがどうにも胸騒ぎが収まらない。
「い、いえ、様子が少し変だったので…」
「……別に」
穂乃果は低い言葉で呟く。
「おかしな所なんて、何一つないよ?」
その言葉に、海未はまたもや穂乃果から発せられる"恐怖"のようなものを痛感した……