ラブライブ!ーschool idol produce-   作:AGRS

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はーい、AGRSですごめんなさい。

今回投稿おそくなったので語尾にごめんなさいつけますごめんなさい。

その代わりいつもよりちょっと多めですごめんなさい。

では、どうぞっ! …ごめんなさい。


第16話 Gの戦慄/並び立つ変貌者

 

 

 

 

「……って訳なんだけど…」

 

 

 

「…………」

 

 

 

 

マンションの玄関で事情を説明した俺を、桐葉は静かに見つめていた。普段から近寄り難い雰囲気を出している桐葉だが、今はそれがさらに濃く現れていた。

 

 

 

 

 

その原因と言うのもーーー

 

 

 

 

 

 

「初めまして! 晴人君のお姉さん! 私、音ノ木坂学院2年生の高坂 穂乃果です!」

 

 

 

 

俺の前に出て、元気よく自己紹介する穂乃果。こいつが原因だった…。

 

 

 

穂乃果と一緒に帰っていた所、俺に勉強を教えて欲しいと頼み込まれたのだ。それも、俺の部屋で。

 

 

勿論、俺は拒んだ。いくら共にアイ活を行っていき、信頼しているとは言え男の、異性の部屋に招くなどーーー

 

 

しかし、穂乃果はそんな俺に言ってきた。

 

 

 

 

「別にいいでしょ? "勉強する"だけなんだから」

 

 

 

 

……ひょっとしたら俺は押しに弱いかもしれない。結果、穂乃果の頼みを了承し、現在に至る。

 

 

 

一連の事情を聞いた桐葉は俺から目を反らし、穂乃果と向き合う。

 

 

「……あなた、2年生でしょう? 1年の晴人には何も教える事が出来ないと思うんだけど」

 

 

もっともな事を桐葉は言う。だが、その言葉は俺が穂乃果の頼みを断ろうとした時に言ったものと同じだった。

 

 

「私…頭そんなに良くなくて…1年生の基礎とかもぶっちゃけ分かってないんです!」

 

 

恥ずかしがる様子もなく、穂乃果は言ってのける。それを聞いて、桐葉は額に手をおく。無理もない。桐葉としてもあまりの穂乃果の態度の天晴れさに頭が痛いのだろう。

 

 

少しの間の後、顔を上げた桐葉が俺に訪ねる。

 

 

 

 

「勉強するだけ、なのよね?」

 

 

 

 

確認するように桐葉は言ってくる。それ以外にする事があるのか、と俺は思うが言葉には出さず、桐葉に返答した。

 

 

 

「勿論。勉強以外何もしないよ」

 

 

 

それを聞いた穂乃果が僅かに表情を曇らせたが、桐葉は納得してくれた。

 

 

 

 

「……いいでしょう。けれど、あまり遅くならないようにね」

 

 

 

 

お茶でも用意するわ、と言って桐葉はリビングの方に向かって行った。それを見た俺は安堵の溜め息をつく。

 

 

 

「桐葉さん? だっけ、凄く美人だね!」

 

 

 

興味津々と言った感じで穂乃果が俺に聞いてくる。こいつは…俺が今のでどんだけメンタル磨り減らしてると思ってるんだ。

 

 

 

「まぁな、自慢の姉だよ。そんなことより俺の部屋に行くぞ。ああ言った手前、みっちり勉強しないと」

 

 

 

外は既に闇に覆われたように真っ暗だ。穂乃果の親の方には友達の家でテスト勉強すると連絡してある。……男の友達とは言っていないみたいだが。

 

 

 

 

「はーい、晴人君の部屋楽しみ~♪」

 

 

 

 

愉快な足取りで穂乃果は俺の後をついてくる。ちゃんと勉強はかどるだろうか、と不安を覚えながらも、俺は自室のドアノブに手をかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かくして穂乃果との勉強が始まったがーーー

 

 

 

「わぁ! 晴人君こんな漫画読んでるんだ。穂乃果も読んでみよーっと」

 

 

……おい。

 

 

「これが晴人君の机かぁ。疲れたりしたら晴人君はここで頬をあてて寝たりするのかな~」

 

 

……おいおい。

 

 

「あー! 晴人君のベッドだ! 大きーい。ん~、晴人君に包まれてるみたいでこれならすぐに熟睡できそうだよ~」

 

 

……おいおいおい!

 

 

 

 

 

「穂乃果! 勉強しろーー!」

 

 

 

 

俺は穂乃果に怒鳴り散らした。勉強を開始してからかれこれ30分弱。俺が不安になっていたことが見事に的中した。解くつもりで開いた問題集は1問たりもと解答していない。

 

 

穂乃果は俺のベッドに顔をうずめたまま、不満を含んだ声で言い返してくる。

 

 

 

「だって~…男の子の部屋って初めて入るんだもん。色々気になるんだよ~」

 

 

 

穂乃果の言い訳に俺は若干たじろぐ。あ……

 

 

 

「そういえば俺も……女子を自分の部屋に入れたのは初めてかも…」

 

 

 

ボソッと言ったつもりなのに穂乃果にはバッチリ聞こえていたのか、目を光らせる。

 

 

 

「おお! 初めて同士だね!」

 

 

 

……やめてくれ、端から聞いたら確実に誤解される発言だぞ。

 

 

 

「とりあえず、俺のベッドから降りろ」

 

 

 

ベッドに寝転がっている穂乃果を降ろそうとするため、俺は立ち上がる。

 

 

 

 

「ん~、晴人君の匂い~♪」

 

 

 

 

俺の言葉を意に返さず、穂乃果はひたすら枕に顔をうずめる。何がそんなに心地良いのか、足を思い切りばたつかせていた。

 

 

「ほら、降りろって…」

 

 

「やだやだ~! 穂乃果ずっとこのままがいい!」

 

 

「それだと俺が夜寝れないだろ…」

 

 

「なら、晴人君も一緒に寝るといいよ!」

 

 

「無茶言うな!」

 

 

ギャーギャー言い合いながら穂乃果をベッドから引き剥がす。しかし、穂乃果も絶対に離れないとベッドにしがみつく。

 

 

格闘は数分続いたが、穂乃果が突然バランスを崩し、彼女を引っ張っていた俺が反動で覆い被さるような形になった。

 

 

 

目と目が合う。穂乃果はまっすぐと俺の目を見据えていた。

 

 

 

 

……やばい、吸い込まれる。

 

 

 

 

「あ…悪い、穂乃果」

 

 

 

謝りながら体をどけようとする。しかし、穂乃果は俺の服を掴み、その体制のままに押し止める。

 

 

 

 

「何でどこうとするの?」

 

 

 

 

「何でって…迷惑だろ?」

 

 

 

 

「私、気にしないよ?」

 

 

 

 

そこは気にしてくれーーと言おうとしたら穂乃果が顔を近付けてきた。

 

 

 

「な、に、を」

 

 

 

 

 

「えへへ…晴人くぅん」

 

 

 

 

俺と穂乃果の顔の距離は数センチの所まで近付いていた。俺は穂乃果の目に抗う事ができず、その体制のまま動けない。

 

 

吐息があたる。小さく顔を擽るようなその感覚に、俺は何とも言えない不気味さを感じた。

 

 

穂乃果が聞く人全てを蕩けさせるような甘い声で、俺に囁きかけてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「このまま……しちゃおっか?」

 

 

 

 

言ってる意味が分からない。何をするって言うんだ。分かるのはそれが確実に勉強ではない事と、穂乃果から感じる明確な恐怖ーーー!

 

 

 

 

「ねぇ……晴人く…」

 

 

 

 

ガチャッ

 

 

 

 

部屋の扉が開く。そこから入ってきた桐葉は俺達を見ると、怪しく思ったのか聞いてきた。

 

 

 

 

 

「……何をしているの?」

 

 

 

 

 

いつの間にか穂乃果はベッドから降りており、用意した座布団にちょこんと座っていた。

 

 

 

「別に、何でもないですよ? ねぇ、晴人君」

 

 

「あ、ああ…」

 

 

 

穂乃果の同意を求める言葉に俺も慌てて頷き返す。

桐葉は異様に鋭い。変に感づかれると後々厄介になるかもしれない。だからこそ、何でもないように振る舞う。

 

 

 

「……まあいいけど」

 

 

 

とりあえず納得したように桐葉は俺に近寄る。右手で手渡してきたのはーーー食材の書いたメモ用紙?

 

 

 

「そこに書いてあるのを買って来なさい。…もう夕飯時だからね、折角だし食べてって貰いましょう」

 

 

確かに時刻は7時を回っている。ついでにここで夕飯を済ませた方がいいかもしれないな。

 

 

「分かったよ。穂乃果、ちょっと待っててくれ」

 

 

代金を手渡され、靴を履く。穂乃果は「行ってらっしゃーい!」と俺に向かって手を振っていた。それを見て桐葉が「さっさと行きなさい」と急かしてくる。

 

 

 

何もない……よな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……心遣い、ありがとうございます。お姉さん」

 

 

「礼なんかいらないわ。それより…何か聞きたい事でもあるんじゃない?」

 

 

 

晴人が買い出しに行った後、桐葉と穂乃果は互いを睨み据えていた。2人の瞳から光は既に失われている。

 

 

 

 

「あ、分かります? 私、とっても聞きたい事があるんです! 聞いてもいいですか?」

 

 

 

 

普段となんら変わりない声で穂乃果は言う。彼女をよく知っている者ならば何も疑問を持たないだろう。ーーーその瞳を除けば。

 

 

 

「…ええ、どうぞ。答えられる範囲ならね」

 

 

 

あくまで冷静さを貫き通す桐葉。しかし、その胸の内は言葉に表せないほど負の感情に満ちていた。

 

 

 

 

「じゃあ、聞かせて貰いますね」

 

 

 

穂乃果はそこで1拍おく。

 

 

 

「お姉さんってーーー」

 

 

 

お姉さんと呼ぶな、と言うように桐葉はさらに強く睨みつける。だが、穂乃果はそれを涼しげに受け流し、その続きを口にした。

 

 

 

 

 

 

 

「晴人君の事、好きですよね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……だったら何だと言うの」

 

 

言葉には出さないが桐葉は内心動揺していた。まさに図星ーーーそれをあっさり言い当てられたからだ。

 

 

 

「やっぱりそうなんだ! 」

 

 

穂乃果は安堵するかのように笑う。その態度に疑問を持った桐葉は彼女に訪ねる。

 

 

「あなたは……好きではないの?」

 

 

「え? 勿論大好きですよ? だってあんなカッコいい人、好きにならないわけないじゃないですか!」

 

 

 

穂乃果はそう言ってまた笑う。

 

 

 

「大丈夫ですよ。誰にも言うつもりありません」

 

 

桐葉の不安を取り除くように穂乃果は呟く。もっとも、桐葉にとっての一番の不安要素は目の前にいる少女なのだが。

 

 

 

 

「でも」

 

 

 

穂乃果は酷く低い声で言う。

 

 

 

 

「晴人君が誰を好きになろうと」

 

 

 

 

それは悪魔が囁きかけるようで

 

 

 

 

「それは」

 

 

 

 

聞く者を幻惑させるようで

 

 

 

 

「晴人君の」

 

 

 

 

桐葉にとっては

 

 

 

 

「自由だよね?」

 

 

 

 

穂乃果に殺意を抱かせるには十分だった。

 

 

 

「……そう、ね」

 

 

だが、桐葉はその衝動を抑えた。

 

 

ここで穂乃果を殺したところで自分が人殺しの汚名を着せられるだけであり、賢い考え方とは言えない。無論、邪魔者がいなくなるという点では莫大なメリットではあるがーーー

 

 

「フフ……」

 

 

「えへへ……」

 

 

 

2人は笑う。けれど、お互い相手の目は見ていない。

 

 

 

「あ! 私、晴人君の買い物手伝っていますね!」

 

 

穂乃果がこの雰囲気を断ち切るように言う。桐葉は気に留める様子もなく、頷いた。

 

 

「ええ、それじゃお願いしようかしら」

 

 

「はい! じゃあ行ってきまーす」

 

 

玄関から出ていく穂乃果を静かに見送る。

 

 

 

結局、桐葉は1度たりとも"穂乃果"という名前を呼ぶことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妙な事になったものだ、と帰り道を歩きながら俺は嘆息した。

 

 

いつもだったら自室でくつろいでいる時間なのに…穂乃果と会うとどうにも調子が狂うな。

 

 

とりあえず、この材料をさっさとマンションに……

 

 

 

「晴人くーん!」

 

 

 

顔を上げると俺に向かって穂乃果が駆け寄って来た。

 

 

 

「穂乃果? 何で…」

 

 

「えへへ……ちょっと、ね」

 

 

穂乃果は頬をかきながら照れたように笑う。もしかして手伝いに来てくれたのかな?

 

 

「ねぇ、晴人君にとってμ'sの皆は大切?」

 

 

穂乃果は突然そんな事を聞いてきた。

 

 

「そりゃあ…勿論」

 

 

「じゃあ私は? 私のことどう思う?」

 

 

間髪入れずに聞いてくる穂乃果。……なんか目が据わってないか? とはいえ、聞かれた質問に対して俺は答えた。

 

 

「……穂乃果も勿論大切だよ。なんたって、俺の大事な友達で仲間だからな」

 

「……えへへ」

 

 

穂乃果は幸せそうに顔を赤らめる。普通のことを言ったつもりだけど…。

 

 

 

「じゃあ、私帰るね!」

 

 

 

……はぁ!?

 

 

 

「おいおい、折角材料買ったってのに…」

 

 

「うーん、正直食べたいけど、また別の機会にお願いするよ!」

 

 

そう言うと穂乃果は風のようにその場を去る。何だったんだ……。女の子を1人で帰らせるのは心配だけど、すぐ近くみたいだから大丈夫だろう。

 

 

「ほんと…嵐みたいな奴だな」

 

 

溜め息をつき、俺は微笑む。そして、桐葉が待っているであろうマンションに向かって歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーやっぱり、やっぱりだ。

 

 

彼は私を必要としてくれる。私をかけがえのない人だと思ってくれてる。

 

 

だって彼は私を大切だと言ってくれた。

 

 

だって彼は私を大事だと言ってくれた。

 

 

だって彼は私の頭を撫でてくれた。

 

 

 

 

「…えへへ、えへへへへへへへへへへ…」

 

 

 

手足が羽のように軽い。最高の気分だ。誰かを好きになるということが、こんなにも素敵だなんて。

 

 

 

「晴人君……大好き」

 

 

 

穂乃果は虚ろな瞳で夜の道を歩く。今の彼女を見れば誰しもこう思うだろう、『狂っている』と。

 

 

 

彼女を照らす月の光が、その不気味さを一層際立たせていたーーー

 

 

 

 

 

 




サブタイのGは"girl"
『少女』という訳です。
誰かは…まぁ、言わずもがなですね。

遅れて本当にすみませんでした!(ペコペコ

それでは、検定行って参りますッッ!!
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