ラブライブ!ーschool idol produce- 作:AGRS
…この前書きの挨拶も微妙に変わってます。
え、知ってた? そかそかw
土日くらいしか更新する暇がない~うぅー…。
では、どーぞ~
「お、終わったにゃーーー!!!」
1年生の教室に高らかに凛の声が響き渡る。
何人かは驚いて凛の方を振り向いたが特に何か言ってくる事もなく、帰り支度を始めた。
「ああ…終わった、な」
凛が叫んだ言葉に俺も遅れて同意した。
たった今、テストの全日程が終了し、その解放感に身を浸らせている。まさに地獄から抜け出た気分だった。何と言っても最終日に俺の大っ嫌いな数学を持って来やがったせいだ。いくら真姫から教えて貰ったとは言え最終日に、しかも最後の時間に持ってこられたらそりゃあ、覚えてた事も忘れるっての。
しかも問題も鬼難だったし……クソッ! あの数学教師、学内に同性愛説でも流してやろうか…。
「わあ…ラーメンが空を飛んでるにゃ…あははー…」
凛が遠い目をしながら空を見ている。ちょっと? 凛さん? 多分あなたに見えてるのはまやかしだよ?
因みに、数学の前は凛の苦手な英語だった。テスト中、凛の様子をチョロっと見たけど凛の顔がみるみる歪んでいくのはなんとも傑作だった。
まぁ、そんな事本人の前じゃ言えないけど。
「しっかりしなさい、凛」
真姫が凛の目を覚ますように肩を揺する。すると凛は少しは元に戻ったのか、真姫と向き合う。
「教えた所、ちゃんと出てたでしょう?」
「うん…あれがなかったら正直危なかったにゃ…」
「解けたのならいいわ。過ぎたことなんだし、元気出しなさいよ」
どうやら真姫は俺のみに限らず、凛とかにも勉強を教えていたみたいだ。自分の勉強もあっただろうに…頼りになりすぎるよ、真姫。
「うぅ…お腹減ったにゃ…」
凛の呟きに俺は現在の時刻を確認する。
11時50分。テスト期間ということもあり、学校は午前中で終了する。クラスメイトの子達は「どこか行くー?」などと言いながら教室を出ていく。半日休みがあるようなものだからな、テストの結果の事なんか忘れて羽目を外したいのだろう。
μ'sの活動も週が明けてから再開する事になっている。それならーーー
「それなら皆で何か食べに行かない?」
俺の心を読んだように花陽が口にした。
「お、奇遇だな花陽。俺もそう考えていたんだ」
「そうなの? えへへ、以心伝心だね」
花陽はそう言って微笑む。穂乃果とは違い、幼さがよりはっきり目立つような笑みだ。
「え!? それ、大賛成にゃーーー!凛、お腹ペコペコなんだにゃ!」
「いつかの晴人に奢って貰う件、これで晴らしてくれるのかしら?」
「あー……」
そう言えば講堂ライブが終了したら皆に好きなの奢るって約束してたっけ…。色々あったからすっかり忘れてたわ。
「そうだな…じゃ、今回は俺が全部もつよ」
俺の言葉に3人の表情が明るくなる。凛などはテストの結果の憂鬱さなど消し飛んでしまったようだ。
「そうだ、どうせなら他の皆も誘って…」
テストは全学年行われていたんだ。当然、穂乃果達や絵里達も今頃帰り支度を始めているだろう。まとめて奢るのには丁度いいし、ちゃんと手持ちもある。なにより人数は多い方が楽しーーー
「ううん。今日はこの4人で食べに行こうよ。もしかしたら穂乃果ちゃん達、予定あるかもしれないし」
「え…?」
俺が言いかけた言葉を即座に花陽が切り返す。珍しい、と思う。あまり自己主張しない彼女がそんな事を言ってくるなんて…。
「どう、かな?」
「あ、ああ。2人がそれでいいなら構わないけど…」
俺は凛と真姫の方を向く。
「凛は美味しいものが食べられるならなんでもいいにゃ!」
「そうね…。にこちゃんとか誘いたかったけど、たまにはこの4人で行くのも良いわね」
共に首肯。……どうやら問題ないみたいだな。
「……ほんとは2人で行きたいんだけどなぁ」
ボソッと花陽が何か言ったように聞こえたので尋ねたのだが、「なんでもないよ」と返してきたので気にしない事にした。
「なら、早速食べに行くか!」
自分の鞄を持ち、先陣を切るように廊下に出る。後から凛が並び、真姫、花陽と後ろに続く。
「それなら晴人君! まずはラーメ…」
「ラーメンは無し、で」
「うぅー……」
不満があるように凛が唸る。冗談じゃない。前に凛とラーメン食いに行ったことあるけど、もう嫌になるくらい食わされたんだ。二の舞は御免だ。
ふと、視線を感じたので後ろを振り返る。そこには俺に笑みを浮かべる花陽。
……以前、穂乃果から感じた違和感があったんだが…気のせいだろうか?
俺は少し頭を振り、忘れるように凛に他に何が食べたいのかを尋ねるのだった。
園田 海未は自身の席に座り、考えていた。
既にテストは終えており、帰り支度も済ませてある。
「はぁ~、やっと終わったね~」
クラスメイトである高坂 穂乃果が鞄を片手に持って海未に話しかけてくる。海未は表情一つ変えず、穂乃果に言葉を返した。
「いえ、テスト結果が分かるまで気は抜けません」
「真面目だな~海未ちゃんは。もっと肩の力抜いた方がいいよ~」
「穂乃果は常に抜きすぎだと思いますが…」
海未の言葉に穂乃果は「そんな事ないもん!」とそっぽを向く。その態度に微かに微笑む海未だったが、その胸の内は不安感が占めていた。
……最近、穂乃果の様子がおかしい、ような気がする。
無論、アイ活の方に問題があるわけではない。むしろ最近はいつも通り、否、いつも以上に実力を出しているように見える。"ラブライブ!"に向けて意識が高まっている事もあるのだろうが、モチベーションが上がっているのは良いことだ。
彼女の不安はμ'sではなく、晴人の方にあった。
「ん~…お腹空いたな。…そうだ! 晴人君誘ってお昼ご飯でも食べに行こっか!」
ーーーこれだ。
穂乃果は晴人の話になると、人が変わったような雰囲気を出す。初めは気にならなかったが、こう何回も続くと流石に違和感を覚えた。
穂乃果が晴人に対して好意を持っている事は分かっていた。普段の彼女を様子を見ていれば誰しも気付くであろう。……晴人は気付いていないみたいだが。
その気持ちは分からなくもない。実際、海未も彼を一人の異性としてーーー無粋な考えだ、と海未はその思考を断ち切る。
何にせよ、穂乃果が晴人に淡い恋心を抱いているのはいいのだが……その振る舞いは明らかに異常だった。
彼女が話すのはほとんどが彼の話題。晴人がこうした、晴人がこんな事を言った、晴人が頭を撫でてくれた……などとまるで彼の事しか考えていないように思える。
さらに、彼を目にすると一目散に駆け寄って行き、自分の体を擦り付ける。自分の臭いを擦り付け、マーキングするかのように……。
「……そうですね。ですがたまには私達3人だけで行くのはどうですか? ねぇ、ことり」
「えー…? うーん、皆で行った方が楽しいとは思うけど…たまにはいいかなぁ?」
海未の提案にことりは戸惑いながらも了承する。それを見た穂乃果は途端に肩を落とした。
「そっかー…残念だなぁ…」
……考えすぎ、であって欲しいと思う。元々根拠のない事なのだ。自分の思い過ごしである事に越した事はない。だが……
「…………」
海未はどちらかというと直感を信じる方ではない。しかし、これだけは確実に言える。
ーーー"今、穂乃果を晴人に近付けるべきではない"
海未の全神経が、全細胞が、アラートを鳴らしながらその事を告げていた。
「…じゃあ、私先に行ってるよ」
穂乃果は元気とは言えない様子で教室から出ていく。それを見て海未はことりに話しかけた。
「ことり、最近の穂乃果を見て何か感じませんか?」
「何か、って?」
「……少し不気味に思えませんか」
海未は思い切って自分の胸の内を話した。ことりは最初は驚いていたものの、やがて真剣な表情で最後まで話を聞いた。
「私達、幼馴染みなのに…いつまでも変わらないと思っていたのに…今の穂乃果を見ていると…怖いんです」
「……気にする事ないよ、海未ちゃん」
ことりは優しく海未の頭を抱き締める。
「え…」
「穂乃果ちゃんはすぐに元に戻るよ。……だから、何も心配することなんてないよ」
「こと、り……」
さながら、海未にはことりが救いの女神のように見えた。海未は目元を拭い、凛々しい表情に変わる。
「…はい。私は穂乃果を最後まで信じる事にします」
「うん、……あ、私まだ荷物まとめてないから先に行ってていいよ」
わかりました、と言うと海未は力強い足取りで教室の扉を開けて穂乃果の後を追った。
南 ことりは教科書やら筆記具を鞄に詰めながら一人呟いた。
「気付くの遅いなぁ、海未ちゃん」
自分の生徒手帳に入っていた写真を取り出すと、それを愛しいように見つめながらことりは顔を歪ませる。
「……おかしくなってるのが穂乃果ちゃんだけとは限らないよ……ねぇ、晴人君?」
ことりはクスクス笑うと何事もなかったように普段の緩やかな顔に戻り、教室を出た……
その少女は一人のスクールアイドルをはるか後方より見つめていた。その瞳の先にいるのはーーー高坂 穂乃果。
ーーー本当に、邪魔な子
彼女を見つめる瞳はとても正常なものとは言い難い。
ーーーそろそろ彼女には
深く深くーー深淵よりも深いその瞳で
ーーー消えてもらおう
少女は踵を返して、音ノ木坂学院に戻って行った。
次話の投稿も遅れるかもです。
最近忙しい…学校が…w
さてさて、……次は誰を病ませようか?