ラブライブ!ーschool idol produce-   作:AGRS

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ハァ~イ、AGRSでーす。

アニメ、終わっちゃいましたね。シクシク…

しかし! 劇場版決定という事でテンション上がりまくりです! この勢いで更新速めるぞー! おおー!


あ、更新遅れてスミマソw

ではでは、どうぞ~


第21話 Fの共鳴/軋む世界

 

 

 

希咲 菊理。

 

 

 

二年前、UTX学院のスクールアイドル『A-RISE』として、夢神 桐葉、染谷 結月と共にA-RISEの一時代を築き上げた人。…そして、三人の中で最も"スクールアイドル"というものを理解していた人だ。

 

 

 

低めの身長には不釣り合いな豊満な胸。見るだけで触りたくなるような桃色のストレートの髪。大きなたれ目の瞳は、気を抜けばすぐにでも吸い込まれそうだ。

 

 

仮にもトップスクールアイドルになった身。二年経った今でも、その貫禄は健在だった。

 

 

 

「少し会わない間に大きくなって…立派になりましたね」

 

 

 

喫茶店の一角で、俺と菊理さんは互いに向き合いながら話していた。外は暗くなりかけているのでまた今度にしようと言ったのだが、「迎えの者を呼ばせますから」と了承させられてしまった。

 

 

 

彼女は都内有数の企業グループの娘であり、正真正銘のお嬢様だ。それが原因で、両親からスクールアイドルをすることを禁止させられていたが、彼女の必死の説得もあり、何とか認められた。最も、彼女はお嬢様であることを鼻にもかけず、誰であろうと分け隔てなく接していたけど。

 

 

 

「そんなことないですよ。変わった所と言えば身長くらいです」

 

 

 

自分を褒める声にむず痒くなり、俺は苦笑した。

 

 

 

「ふふ、そうですね。謙遜しやすいところだけは変わりませんね」

 

 

 

我が意を得たとばかりに彼女は柔和に微笑む。かなわないな、と内心呟きながら重々しい溜め息をついた。

 

 

 

「…そうでした。晴人さん、聞いた話によるとスクールアイドルのプロデューサーを引き受けているとか」

 

 

 

オレンジジュースを飲もうと、ストローに口をつけた所で俺の動きは止まった。

 

 

 

「桐葉…じゃないですね。もしかして…結月さん?」

 

 

「ええ、あの子は何かあればすぐに連絡をくれますから」

 

 

 

やっぱりか…。思えば彼女達のアイ活を手伝っていた時もそうだった。どこから仕入れてきたのか、俺達姉弟の些細な出来事の情報を他人に聞かせてはからかい、笑っていた。今回のプロデューサーの件も結月さんが独自で調べたんだろう…。どうやって知ったんだよ。いや、マジで。

 

 

 

「それで、事実なのですか?」

 

 

「…はい。音ノ木坂学院の…μ'sって言うスクールアイドルです」

 

 

「ふむ。晴人さんが自ら希望して?」

 

 

「いや…まあ、なりゆきで」

 

 

 

ほぼ強引にだったけど、最終的には自分で決めたんだから自ら希望したと言えるのかな?

 

 

 

「大方、その子達のアイドル活動に好奇心で首を突っ込み、目を付けられたのではありませんか?」

 

 

 

何か俺の周りには勘の鋭い人が多いような気がする、としみじみ思う。力無く「そうです…」と答えると菊理さんはコーヒーカップに砂糖を加えながら目を閉じた。

 

 

 

 

「自分の才能を無駄にすることなく、再び活用している……真、良きことです」

 

 

 

 

それは、慈愛に満ちた一言。それを聞いた俺は、躊躇ったものの自分の悩みを吐露することにした。

 

 

 

 

「だといいんですけどね…。先日、その中の子が一人倒れちゃいまして…」

 

 

 

 

菊理さんは驚いたように目を開けた。しかし、俺はその仕草を無視して言葉を続けた。

 

 

 

 

「他の子達からは気にする必要ないって言われたんですけど…どうしても責任を感じるんです」

 

 

 

 

ここに来て、改めて自分がしようとしている事の重大さを認識させられる。俺が背負っているのはμ'sの夢。九人の少女達の夢。ーーースクールアイドルの頂点。

 

 

 

 

「俺、怖いんです。彼女達を…また無理させて壊してしまうかもしれないって…」

 

 

 

 

今回は過労で済んだが、次に誰かが倒れた時はもっと深刻な病状かもしれない。取り返しのつかない病状かもしれない。その事態が、その可能性が、何よりそんな事を考えてしまう自分自身がただただ怖かった。

 

 

 

 

しばらくすると、俺の両手が突然握られた。

 

 

 

 

「え……?」

 

 

 

俯いていた顔を上げると、菊理さんが真剣な顔つきで俺を見据えていた。

 

 

 

 

「晴人さん、アイドルとプロデューサーとは切っても切れぬ関係。プロデューサーはアイドルを栄光へと導き、アイドルは導かれる。プロであろうと、未熟者(アマチュア)であろうと、それが何ら違えることはありません」

 

 

 

 

真に迫る感じで菊理さんは静かに言葉を紡ぐ。

 

 

 

 

「不安に思うのは仕方なき事です。貴方が達成しようとしているのは、数多いるスクールアイドルの夢。生半可な覚悟では達成し得ない、遥かな望み。ですが…」

 

 

 

 

握られた手に力が込められる。

 

 

 

 

「だからこそ、強き心が必要なのです。立場が違えど、貴方はその夢を一度は叶えてくれたではありませんか。あの時の想いを、その子達に分け与えてやらないのですか?…最後まで信じてやらないのですか」

 

 

 

 

自分の中で何かが弾けた。全くもって馬鹿馬鹿しい。何をウジウジ悩んでんだよ、俺は。そもそも前提が間違ってるんだ。

 

 

 

 

 

ーーーその夢は、自分自身などの為ではなく。

 

 

 

 

 

ーーーその夢は、彼女達を栄光に導く為ではなく。

 

 

 

 

 

ーーーただ、彼女達を、μ'sという"スクールアイドル"の在り方を、一つの奇跡として確立させる為。

 

 

 

 

 

地位や名声の為ではない。彼女達の存在が確かに"在った"と胸を張って言える為だ。それだけは、見間違えてはいけない。

 

 

 

 

 

「…どうやら、もう大丈夫そうですね」

 

 

「はい。ありがとう、菊理さん」

 

 

「お礼を言われるような事は何も。…これが人生の先輩としての務めですから」

 

 

 

そう言って彼女はやはり笑う。安らぎをもたらすようなその笑みは、何度見ても飽きることはない。

 

 

 

 

「…まあ、もうこんな時間。丁度迎えも来たみたいですのでそろそろ出ましょうか」

 

 

 

 

菊理さんと店を出ると、すぐ目の前に黒塗りのリムジンが佇んでいた。

 

 

 

「お送りします。どうぞ、お乗りになって」

 

 

 

後部座席を勧められ、俺はおそれ多くも乗り込む。

 

 

 

「そう言えば…リムジンって初めて乗ります」

 

 

 

桐葉や結月さんなら乗った事もあるだろう。だが、如何せん俺はただの一般人。彼女達とは体験していることのスケールが違う。

 

 

 

「そうなのですか? 機会があればまた乗せてあげますよ」

 

 

 

いや、それは結構です、と思った瞬間。エンジンがかかり、薄暗くなった空の下、リムジンが走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……どういうことかな」

 

 

 

今日の活動を終えたアイドル研究部部室。μ'sのメンバーがほとんど帰った中、小泉 花陽と絢瀬 絵里は静寂の部室内で互いに睨み据えていた。

 

 

 

「聞こえなかったかしら?」

 

 

 

絵里はパイプ椅子に座る花陽を睥睨していた。さほど高低差があるわけではないが、見下すには十分だった。

 

 

 

 

「晴人に必要以上の接触をしないで、と言ったの」

 

 

 

 

花陽の目がつり上がる。当然の事、その言葉の意味は理解している。だが、

 

 

 

「…どうして絵里ちゃんにそんなこと言われなきゃいけないの?」

 

 

「可笑しな事言うのね。真姫も言っていたでしょ? スクールアイドルである以上、自分達の行動を自重すべきだと」

 

 

 

実際には穂乃果に向けられた言葉なのだがーーー他の面々にも勿論適用される。

 

 

 

いかにアマチュアであれど、恋愛絡みのスキャンダルで人気が下降したスクールアイドルも少なくない。

 

 

 

そんな事情は分かっている。花陽が引っ掛かったのは、その言葉の裏に隠された絵里の真意だ。

 

 

 

「それだけじゃないよね? …言いたい事があるならはっきり言ってよ」

 

 

「…ああ、そうね。この際はっきり言わせて貰おうかしら。先輩として、"晴人を狙う者同士"として」

 

 

 

 

しばしの間、絵里は目を伏せた。嘆息すると、冷たく言い放つ。

 

 

 

「花陽、貴方は邪魔よ。同じクラスという事にかこつけて晴人と親しくなっているみたいだけど……穂乃果のようになりたくなければ身を引くことをオススメするわ」

 

 

「……!」

 

 

 

 

おかしいとは思っていた。あんなにも突然に、そして都合よく、"記憶だけが消えている"なんて誰かが意図的に行わなければあり得ない事だ。しかし、それがまさか絵里だとはーーー

 

 

 

信じられないという驚愕と、絵里に対する敵意が徐々に花陽の中で膨らんでいく。そして…

 

 

 

 

「それにね、花陽。…"叶わない事"はさっさと諦めるべきよ」

 

 

 

 

その一言で、花陽の雰囲気は一変した。

椅子から立ち上がり、懐から取り出したナイフを迷いなく絵里の顔めがけて投擲した。

 

 

 

間一髪、絵里は横に飛んでそれをかわしきる。前髪を少し切ったナイフはそのまま壁に突き刺さった。ギィィィンという不協和音が部室内に鳴り響く。

 

 

 

絵里は自分に対して投げつけられたナイフを一瞥すると、もう一度花陽の方を向いた。

 

 

 

 

「…確かに私はダメダメだけど」

 

 

 

瞳から光を消した少女は淡々と言う。

 

 

 

「皆の足を引っ張ってばかりだけど」

 

 

 

呪文を唱えるような、低く静かな声で。

 

 

 

「そんな私でも、初めて好きになろうと思った人なの。一緒にいたいと思った人なの。いくら絵里ちゃんでも、これだけは譲れない……!」

 

 

 

心の底からの本心だった。引っ込み思案なこんな自分を切り捨てようとも考えず、常に背中を押してくれた。好きになるには十分な理由だった。

 

 

 

 

絵里は花陽の烈々たる意志の強さに、僅かながらも戦慄した。

 

 

 

……怖い怖い。

 

 

 

くるり、と花陽に背を向けると、絵里は出口のドアに向かって歩き出す。

 

 

 

「なるほどなるほど。…なら、ひとまず一時休戦としときましょうか。お互いそうした方がいいでしょうし、ね」

 

 

 

たちまち花陽の敵意が薄れる。彼女としても、正面からやるのは流石に勝ち目があるとは言えない。花陽は自分の非力さを自覚していた。

 

 

 

「ああ、それとーーー」

 

 

 

部室を出ようとしていた絵里は振り返りーーー

 

 

 

「今回は多目に見るけど、次にあんな事をしてきたらーーー私もとるべき対処をさせて貰うわ」

 

 

 

 

ーーー覚悟することね。

 

 

 

 

バタン、部室のドアが閉まる。

 

 

 

花陽はその場にへたりこんだ。虚偽ではない。あの言葉に込められていたのは紛れもない"自分に対する殺意"だった。凡人ならば恐怖に耐えられず、発狂するほどだろう。

 

 

 

 

しかし花陽はーーー不敵に笑う。

 

 

 

 

「あはは……いいよ、いいよ…」

 

 

 

こちらとしても、戻れないところまで来ている。ならば、たとえ全員が敵に回ろうが大したことじゃない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「誰が一番正常(まとも)か……教えてあげる……!」

 

 

 

 

可愛らしくも狂気を孕んだその声に、部室内の空気が怯えたような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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