ラブライブ!ーschool idol produce- 作:AGRS
とりあえず早く出来たんで出します。
次話も明日には出せると思います。
それと基本、晴人がいない時は三人称視点です(今更
ではどうぞ!
「ーーーー海未!」
「え?…あ、は、はい!」
2時限目が終わった休み時間。俺は1つ年上の先輩の
名前を2学年の廊下で呼んだ。海未は最初戸惑った顔をしていたが、即座に切り替え俺に向かって近づいてきた。
しかし、早く見つかって良かった。
2年生は合計2クラス。他の学校と比べると明らかに少ない方だが、女子しかいない分見つけづらい。
しかも、海未たちのクラスを聞いていなかった為、発見は困難かと思った。
しかし、その心配は無駄に終わった。
仮にもスクールアイドルをやっている身、無意識に発せられるオーラとも呼ぶべきものが、他の女子生徒とは比べものにならない雰囲気を醸し出していた。
彼女だけに限らず、既に顔を合わせた他のμ'sのメンバーも同様だ。俺が彼女らに惹かれた一端もそれが関係してると言っても過言じゃない。
「っと…悪い。流石にこう女子の周りだと名前で呼ぶべきじゃなかったかな?」
今更ながらにして気付く。今この学校の男子は俺1人である。そいつが女子のーーましてや1つ上の先輩を名前で呼び捨てなんて目立つに決まっている。
現に、廊下にいる何人かの女子には好奇の目で見られていた。
「いえ…。男の人に名前で呼ばれるのはあまり慣れていないので…。少し驚いただけです」
そう言って海未は少し微笑んだ。しかし、すぐさま普段の真剣な表情に変わる。
「それで、私に何か用が?」
「ああ、次の新譜の事なんだけど…」
手に持っていた楽譜を広げて海未に見せる。
俺がμ'sのプロデューサー(仮)になって1週間。
彼女らスクールアイドルの活動を一通り見せてもらった後、早速俺もサポートを開始していた。
そして、μ'sの曲の作詞を担当しているのが海未だと聞いたので、作曲が完成した楽譜を真姫から預かり、海未に相談を持ちかけていた。
ちなみに、同じ学年である凛、花陽、真姫のことも当然のように名前で呼ぶようになった。
穂乃果やにこを名前で呼んでたら「凛達だけ名前で読んでくれないなんて不公平だにゃ!」と怒られ、呼ばされる羽目に。花陽などは迷惑がられると思っていたのだが、「私も名前で呼んでるわけだし…」と了承してくれた。
それにしても最近、花陽からやけに視線を感じるようになったのは気のせいだろうか?
「晴人?」
「ああ、ごめん」
そんな考えをすぐさま追い払う。
そうだ、今は新譜の話だったんだ。
「ホントは部活の時にゆっくり聞きたかったんだけど…待ちきれなくてな。単刀直入に聞くよ。海未はこの曲をどんな風に表したい?」
「私は…そうですね。やはりサビの所で歌詞を込めて強調したい…です」
「……確かにそれだと良くはなるだろうな。けど」
「けど?」
「海未、サビだけじゃなくて全体をよく見よう。確かに曲にとってサビは花だ。だけど、そこばかりに感情を込めていたら他のところが薄っぺらくなる。全体としてアンバランスな曲だとそれは曲であっても曲じゃないんだ」
人間が対話するにあたって効率的なのは言葉だ。
言葉でするのには必ずしも意味がある。言葉を放ち、相手に語りかけることで内面を見せ、理解することへと繋がっていく。
歌にしてもそうだ。
その言葉1つ1つが何を意味するか。何を表すか。
その歌を聞く人によってその情感を、情景を感じとってもらうーーー。
"作詞"としての完成形はそこにある。
「海未が今まで作詞してきた曲を聞いてみて改めて気づいたんだ、やっぱり歌には"気持ち"が大事なんだって事を」
「気持ち…」
「勿論、そんなのは目に見えない。見えないものは言葉で表現するしかない。となるとやっぱり歌詞を作る人は言葉1つ1つをちゃんと理解しなきゃならないんだ」
楽譜を折り畳み、海未を真っ直ぐ見据える。
「μ'sにとっては…それは海未にしか出来ないことだから…勿論、、手助けがいるんなら俺も手伝う。どうしてもわかんないんなら俺も一緒に考える。そのために俺はμ'sにいる」
にこと交わした約束。裏切らないし、見捨てない。
それは俺の彼女らに対する1つの覚悟の表れだ。
どんなに辛くても、苦しくても、逆境に立たされても俺は…μ'sと共にスクールアイドルの頂点に立つ。
内心そんなことを考えてると、暫し考えこんでいた海未はクスリと笑う。
「…変わった人です。出会って1週間の人が何をそんなに真剣に考える必要があるのですか」
「スクールアイドルのことになるとどうも熱くなりすぎるみたいなんだ、許してくれ」
「いいえ、許しません」
海未はまた柔和に微笑む。
「そこまで言ってもらった以上、卒業までみっちりと付き合ってもらわなければ許す訳にはいきません」
わー…過労でぶっ倒れるかも。
「やはり穂乃果の言った事は間違っていなかったのですね…」
「ん?なんだって?」
「あなたをμ'sのプロデューサーにして良かったということですよ」
…そんなこと言われると余計頑張りたいと思ってしまう。しかも、あまり笑顔を見せない海未が笑いながら言ってくるとなると尚更だ。
「じゃあ、次の授業も始まるし…俺、行くな」
「ええ、また放課後に」
手を振りながら、海未と別れた。
遠ざかっていく背中を見つめつつ海未は考えていた。
彼は、どこまで私達と進んでくれるのだろう。
彼の言うスクールアイドルの頂点、それを目にする時まで共にいてくれるのだろうか。
否、いて欲しいと思った。共にその想像も出来ない光景を見てみたいとまで思った。
「晴人…」
最早見えなくなってしまった少年の後ろ姿を思いながら海未はその名前を呟いた。
俺は頭を抱えていた。
その理由は、新譜のことでもなく、ダンスの振り付けのことなどでもない。
というか、アイドル関係のことではない。
目の前の方程式についてだ。
現在3限目、数学。俺がもっとも苦手とする教科の内の1つの授業中だった。担当の先生が黒板に書き込んで解説しているみたいだが、正直さっぱりわからない。
特例での転入とはいえ、授業速度がかなり違うというのも問題の1つだ。
てかなんでXとかYとか文字が混ざってくるんだ?
数学だろ?数字だけ使えよ。
なんて自分でも無駄な言い訳だな、と思いながら黒板の方程式と睨め合った。
そんな晴人を真剣な表情で見つめている1人の少女、
小泉花陽。
晴人から右下で廊下側の席である彼女はこの数学の時間だけに限らず、1・2時限目から彼に視線を送っていた。
彼女は気になっていた。彼の存在を。
自分たちのアイドル活動を手伝ってくれている彼を。
気になっていると言っても、彼女がもっとも気になっているのは彼の名前ーーというより名字だった。
(夢神…………)
そう、何処かで聞いたことがある。
しかもそう遠くない過去。自分がそんなに気になっているということはアイドル関係の事と考えて間違いないと花陽のアイドルセンサーは告げていた。
引っ掛かってはいる。引っ掛かってはいるのだ。
しかし、"それ"が一体何なのかを頭の中に思い描くことが出来ないのである。
(聞きたい…!けど聞く勇気がないよ~…)
小泉花陽は引っ込み思案である。
そもそも彼女がμ'sに入ったのも凛などによる後押しがあったからだ。スクールアイドルの活動でその性格が多少なりとも改善されてきているとあっても、男子生徒に1人で話しかけるという行為を選ぶことが出来ない。
頭の中で懊脳している彼女に、黒板に書かれている問題を解く余裕があるはずもなかった。
一方で晴人に興味ありげな視線を向けているもう1人の女子がいた。西木野真姫である。
彼女はこの1週間で彼の実力を評価していた。
真姫が作曲した楽譜を事細かに見ていき、小さなミスを適格に指摘した。、また、衣装担当であることりにもデザインについて様々なアドバイスをしていた。
先程、海未にも、作詞の事について話しに行っていたみたいだが、おそらくそこでも才能の片鱗をみせていたのだろう。
真姫は純粋に晴人の才能に興味を持っていた。
だからこそ知りたかった。それが天性のものなのか、
もしくは、"誰か"から教わったものなのか。
しかしそこには1つ問題があった。
西木野真姫はどちらかと言うと素直な性格ではない。
穂乃果や凛のように自由奔放でなく、にこのような猪突猛進さもない。
彼女は視野に長け、聡明さと要領の良さを兼ね備えた少女である。
故に彼女は考える。どうきっかけを作るべきか、と。
既に方程式を解き終えたノートをシャーペンで叩きながら、真姫は思案していた。
やがて、2人は結論に達する。
(躊躇っちゃだめだ、私…。聞きたい事ははっきり言わないと…!)
花陽にしては、珍しく自分自身を強く勇気づけた。
(そうよ…。ただちょっと尋ねるだけなんだから気負う必要なんてないじゃない)
そして真姫も自分に対して決心する。
(よ~し…なら早く聞いた方がいいな…)
花陽は内心思う。
(善は急げね。問題はいつ聞くかだけど…)
真姫は内心呟く。
((チャンスは、昼休み…!!))
2人のスクールアイドルは未だに黒板の方程式と悪戦苦闘している晴人を見ながらシャーペンを握る手に力を込めた。
一方、このクラスの3人目のスクールアイドルである
星空凛は、窓際の陽がよく差す席で気持ち良さそうに寝ていた。
ちなみに作者は数学大得意ですw