その清楚系、パチカスにつき。   作:継続率3000倍

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ミドルかな?

「あるかないかと聞かれるとありそうなやつですねぇ」

「ランプは『絶唱』なので絶唱演出確定ですね。4割ぐらいでしたっけ?」

「45%かそこらあたりです。響の単独絶唱か全員での絶唱かでまた変わってきますが」

・『ちょい熱ぐらい』

・『普通に外れる』

・『チャンスアップに期待』

・『どうせノイズ』

・『まだ分からん』

 

 てがみランプは『絶唱』の赤い文字を示している。これにより本機一番の大当り占有率を誇る絶唱演出が確定した。

 絶唱演出の信頼度は45.4%が基本。主人公・立花響単独の絶唱演出か、響含む主要キャラクター六人の絶唱演出かにより、信頼度が大幅に変化する。

 

『たとえ万策尽きたとしても』

 

 変動が始まり、左に“3”の数字が降ってきた思ったら、響が力強く、腹の底からそんな言葉を発する。画面に大きく文字が刻まれ、響は言葉を続ける。

 

『1万と1つ目の手立てがきっと』

「これは発展しますね」

「キャラは響ね。テンパイがどこかによるねぇ」

「でも熱いのに変わりはありませんね――それっ」

『ここにあるッ!』

 

 発展煽りに成功、発展。

 『たとえ万策尽きたとしてもッ!予告』――なんの保留変化もない、至って普通の外れ変動時にも煽りがしばしば出現するが、大体ボタンを押しても通常画面に戻ってなにも起こらない。しかしたまに外れ変動で熱い先読み予告が発生するなどして、本予告が発展するときもある。肩透かしにもほどがあるが、度合いとしてはまだ優しい。デュランダルが突き刺さってフルーツ柄(メーカー柄とも。メーカーによって違い、その柄が出現したら大抵激熱だ)が出て外れたときの虚無感はこの世のものとは思えない。

 たとえ万策尽きたとしてもッ!予告の信頼度はトータル14%。発展煽り時のキャラクター、テンパイのタイミングによって信頼度が変化する。

 今回、発展煽り時のキャラクターは響一人だけ。信頼度は11.6%。六人全員なら92.5%となる。

 

『S2CAヘキサコンバージョン! 今度こそ、ガングニールで束ね!』

『アガートラームで制御、再配置する!』

『まさか…オレのぶっ放したフォニックゲインを使って…ッ!』

「さあすぐにピタッと! 止まってくださいっとああ止まらない!」

「大体奥まで行っちゃうやーつ。ていうか3かよ、縁起良いね」

 

 キャロル(シリーズのラスボスの一人)が放ったフォニックゲインを、響とマリアがどうにかしようとしている様子を眺めるパチカス二人。頭のなかには“当たれ”と“撮れ高”という斜め下な願いで渦巻いているが、撮れ高はともかく当選への熱望は誰だって抱くものだ。目の前にパチカスがいたとき、下品と思っても口に出さぬよう願いたい。

 

『うおおおお――!』

『ジェネレート――!』

『エクスゥゥゥドラァァァイヴゥウッ!!』

『そ、そんなッ…』

「はい3テン」

「えー、2段階目のテンパイは……お、聖詠」

 

 たとえ万策尽きたとしてもッ!予告でのテンパイタイミングは二つ。今回は2段階目でのテンパイで、信頼度は75.7%。1段階目では86.2%だったため、皆そこでのテンパイを願うのだ。でも大体2段階目。

 テンパイしてすぐ聖詠(せいえい)演出が発生。信頼度は40.2%。テンパイ図柄が3で、キャラクターは響だ。この演出のとき、キャラクターがキャロルまたは水着姿のクリスの場合、大当り濃厚だ。

 

「熱いな。割と」

「熱めですね。ただまだ足りない気がします」

「RADIANT FORCEじゃないだけマシですな」

「確かに。おっ手紙が……バルタン星人」

「いつもの」

・『まだ外れ』

・『微妙』

・『標高を下方修正しなくて済むな、ヨシ!』

・『行けなくはない』

・『クリスの水着姿を出せ』

 

 手紙の中身はバルタン星人もといアルカノイズ(大)で、10.8%。これ単体で期待してはいけない。

 「3テンってなんかありましたっけ?」「響対応なんで装者リーチの強パターンに行けば割と期待できますねー」などと話していると、すぐにギアペンダントギミックが落下。通常はこれにより抜剣リーチが確定、後の絶唱煽りに成功すれば絶唱リーチに発展する。今回はてがみランプが示唆した通り、絶唱演出に発展する。

 

『この衝動に塗りつぶされて』

『な』

『る』

『も』

『の』

『かッ!』

 

 星田がボタンを押し、絶唱の大きな文字が画面いっぱいに現れ、ブラックアウト。

 響の口元が映される。紡がれるのは『始まりの歌(バベル)』。暗い背景の手前で、響は目を閉じている。

 

「歌いきれ!」

「なかなかいかんでしょー」

 

 響が歌の途中の節目で目を開くと、通常は『70億の絶唱リーチ』に発展。ほかの装者五人も集結して絶唱した場合、『繋ぐこの手がわたしのアームドギアだッ!リーチ』に発展。前者のトータル信頼度は45.4%で、後者は75.4%だ。響単体の演出で歌を途中で止めずに完唱した場合は、大当り濃厚となる。

 今回は完唱せず、70億の絶唱リーチに発展となった。

 

「まあチャンスアップに期待ですねー」

「完唱を生で見たい……」

 

 作動したアームドギアギミックが収まる。二人は画面を凝視し、チャンスアップに注目する。

 

『6人じゃない』

『わたしが束ねるこの歌は…』

「……」

「来るか?」

『70億の絶唱――ッ!』

「来た来た」

「これでえぇっと……55%ですね」

 

 “70億の絶唱”の文字が金に染まっている。タイトル色金は約55%の信頼度。当たるときは当たるが外すときは外す――ただ、ようやく土俵に立ったとも言える。

 六人が歌――『始まりの歌』を歌う。歌詞のテロップは白で、チャンスアップなし。

 

何億の愛を重ね 我らは時を重ねて

 

「なーんか、やな予感」

「怖いですねこれは」

・『これでもガンガン外す』

・『あっ』

・『キツイ』

・『恐い』

・『信じよう』

 

 この時点で、二人と視聴者は大当りの期待は持ってはいたものの、チャンスアップの具合から期待が一気に諦めに早変わり。一応歌唱中にもう二つほどチャンスアップがあるが、それも発生しなさそうだった。

 

奇跡はやがて歴史へと

 

 が、最後まで分からないのがパチンコというもの。

 最後の一節が歌われようとした、そのとき――、

 

『ゴールド――ッ!』

 

 絶唱ゴールド演出が発生。画面全体のなにもかもが金色に染まる。

 大当り濃厚。

 

「ほあああああああああああっ!?」

「へあっ!?」

 

 お前そんな声出せたの?

 演出に驚く星田と、星田に驚く北山。

 そして画面中央に大きく、ガングニールデバイスが現れ――、

 

 

 

 

 

 

『シンフォギアァァ――!!』

「当たったぁ!! やったー!」

・『おおおおおおおおお』

・『キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!』

・『おおおおおお』

・『ないすー』

・『なおまだスタート地点』

 

 

 

 シンフォギア2は、いわゆる突破型と言われるスペックであり、大当り後に突入するステージ内でまた当たりを発生させることで、初めて大きな出玉契機となるステージに突入する。ゆえに突破型だ。このスペックはパチンコそのものの種類に起因する。

 

「では最終決戦が始まったので、手短にこのパチンコの仕組みを解説しましょうかね」

「キャロルちゃんが『最終決戦開幕』と言うので、開幕の“か”で打ち始めてください。私の実践値では100%なのでこれは完全な攻略法です」

「完全なオカルトなので騙されないでください。で、このシンフォ2はパチンコ的には『1種2種混合機』と呼ばれるものです。1種は、通常時での大当りを想像してくれれば問題ありません。2種とは特定領域――V入賞口に玉が入ることで大当りが発生します。シンフォギア2はこの二つを組み合わせ、確変機よりスピーディーな勝負と爽快な出玉が実現できているわけですね」

・『確変とは違うんだ』

・『パチンコってホント多彩よな』

・『小当たりの説明も加え入れろ』

・『海物語の確変ループが一番安心する』

・『なるほど、分からん』

「1種2種混合機は1種の確変機のように大当り確率を変えられないんです。なので1種2種の右打ちの抽選では、二つの当たりを抽選しています。一つは1種の当たりです。右打ちでも1種の重い確率を抽選しているんですね。もう一つは、小当りです。大当りではありませんよ。小当りの確率は自由に設定でき、例えばこの台の右打ち中小当り確率は……えっと、どのくらいだっけ」

「あぁー! “準備完了”が赤色になりましたよ!」

「はい信頼度70パー超えです。ていうか振動タイプかよ」

()()は二の次です」

「数字より脳汁を選んだか……失礼、確率を思い出しました。1/7.9です。それに1種の1/199.8を合わせ、右打ち中の実質的な大当り確率は約1/7.6になります。で、小当りが発生するとどうなるのかというと、一定時間アタッカーが開きます。アタッカーが開くと同時に、その下にあるV入賞口も開きます。そのV入賞口に玉を入れて、始めて大当りが確定します。留意点ですが、その仕様上一定時間内にV入賞させないと大当りの権利が消失――パンクするので注意が必要ですね。玉詰まってパンクさせたときはもうそのホールはトイレ以外では入店しないようにしましょう。……で、どうよ」

「1回転目は外れです」

 

 通常大当り後に突入する、最終決戦――時短1回転と、残保留4回転。5回転以内に当て、シンフォギアチャンスGXに突入する確率は約50.7%。

 最終決戦にはモード選択で、バトルタイプと振動タイプの二つが選べる。

 バトルタイプは前作《CRF戦機絶唱シンフォギア》にあったものと同じように、1回転ごとにキャロルとの戦闘が発生。対峙するキャラクター、チャンスアップの有無、キャラクターの構成によって信頼度が変わってくる。配信のことを考えると、絵面的にこれを選んだほうがいい。

 もう一つは振動タイプ。1回転ごとにガングニールデバイスを押し、デバブル(レバブルとも。レバーやデバイスが振るえること。通常時発生したら大体熱い)が発生したら大当り濃厚というシンプルなタイプ。演出の少なさゆえにバトルタイプが選ばれがちだが――デバブルという刹那の快感を求める人には相性がいいはずだ。私はいついかなるときでもこっちを選ぶ。

 

「頼みますよー……『切り刻むデスッ!』」

「しかも6テン」

 

 振動タイプの変動開始時、出てくるキャラクターによって信頼度が変化する。1回転目も2回転目も、イガリマの装者である暁切歌しか出てこなかった。信頼度は約8.1%。チャンスアップはなく、図柄も偶数。

 デバイスを押しているものの、一向に振るえる気配がない。

 

「まあ来ないね」

「気を取り直して3回転目いきますよー」

 

 3回転目。キャラクターは切歌と、シュルシャガナの装者の月読調。信頼度は約11.4%。テンパイ図柄は2。チャンスアップなし。

 

「はい駄目」

「の、残り2回転でなんとか」

 

 結果、外れ。

 4回転目。キャラは切歌のみ。図柄は1で、信頼度は約34%。チャンスアップなし。

 

「1! 働いて! 1!」

「1なら隣の家の犬が振り回してたよ」

 

 外れ。

 5回転目。キャラは切歌、調と、アガートラームの装者のマリア。信頼度は約50.8%。図柄は4。チャンスアップなし。

 

「3か7でテンパってよおぉ」

「おしめぇだ」

・『ダメみたいですね』

・『キチィ~~~~』

・『いつもの』

・『パチ屋でよく見る光景』

・『データランプに並ぶ“単”の文字』

 

 外れ。

 結果、最終決戦終了。風鳴翼の『不承不承ながら左打ちしましょう』の声がやたら耳に響いた。

 終了したため、パチンコは通常時へ戻り、振出からやり直しとなった。

 

「まあ――パチンコって大体こうだよってことで、ここは一つ」

「どうして……このオカルトの成功率は100%のはず」

「もう自分で言いやがった」

 

 

 

 ホールでの撮影は現場入りから撤収、全体を通して2時間を予定している。準備は技術班が速やかに行い、タレントの二人も段取りを全てインプットしてでの実践だった。

 少ない回転での大当りを勝ち取り――ここまで順調、予定通り。

 しかし、パチンコは融通が利かない。人間が望む展開に発展するのは珍しいことだ。

 だからこそ、それすらも想定して、企画を煮詰めるのだ。

 1時を過ぎた。現在二人はというと……、

 

「もともとこの店で働いていたんですよ。オーナーと縁があって、それでじゃあ受けようかなと」

「ではお店がここではなかった場合は」

「受けなかったと思います」

 

 両者ともに大ハマり。北山にいたっては閉店前の前任者のハマり分もあり、回転数は1000を大きく過ぎていた。星田は通常時の当たりを2回ほどだしたが、しかし最終決戦の突破はならず。

 撮れ高なんてものは存在しない。うんともすんとも言わず、ただただ恵まれた釘を持って外れ変動を引き当てるVTuberの二人が、そこにはあった。

 

「家パチとか家スロとかしてみたいのですが、どんなものがおすすめとかありますか? 私はジャグラーが気になっているのですが」

「ジャグラーはよしたほうがいいですよ。すぐに飽きるんで。スロットだとリーチ目マシン……アクロス系や版権のやつがおすすめです。仮に配信するってなったとき、タイアップ機や騒がしいのだと人が増えるので」

・『ジャグラーwww』

・『つまらなさすぎる』

・『ディスクアップもおすすめ』

・『スーパーミラクルジャグラー買ったけれど一週間で飽きた』

・『チバリヨをば』

「パチンコだと……配信するなら、版権のがいいですね。パチンコとしての人気ではなく、版権に人気があるパチンコなら問題ないかと。自分が好きで打ちたいって話ならなんでもいいと思います。ただサミーの真焔枠とか最新のアリアや超電磁砲、慶次、京楽といった筐体の枠が巨大なものは気をつけたほうがいいですよ。特に京楽は要注意です。重いし、部屋のスペースを取られます」

・『重量減らせ(パチ店員並感)』

・『禁書も』

・『ニューギン、信じてたのに……』

・『配信でスーパーコンビ使う奴の言葉じゃない』

・『海物語見習って、どうぞ』

 

 二人はこれまで暇な時間を、フリートークで繫いできた。配信慣れして話の引き出しも豊富な北山と、学生時代に趣味が全く違う人との間で培ったトークスキルを武器に、時々チャット欄のコメントも交え、配信がつまらなくならないよう、ともすれば配信界隈に爪痕を残せるように、場を保ってきた。

 一方が質問して返し、また一方が質問して返す。他愛のない雑談から、界隈の少し深いところの話まで。二人の会話は淀みなかった。

 さて、二人とも大ハマり中。いつ当たるか分からないシンフォギア2。時間内にこれまでよりいい撮れ高を獲得するには、なにが必要か。

 ――不意に北山が上半身を仰け反らし、島の向こう側を窺う。そこで、目が見開いた。

 あの枠……豊丸、新台の札……。

 

「よし」

 

 パンッと手を叩いた北山が、星田に向いて言う。

 

「休憩がてら、台移動で」

「もう当たる気配なさそうですしね……。どこ行きますか?」

「あれ。あの新台」

 

 北山が指差す先。星田も仰け反り、目を凝らす。

 

「あれは――、高須クリニック?」

 




 高須クリニックの部分ってハーメルンの規約的にどうなんですかね。問題があれば伏せるか消します。
 あと『押せ』で小賢しいことやって申し訳ない。一度やってみたかったんです。


 パチンコの描写が書いていてクソほど疲れるので、しばらくはノーマルタイプのスロットが続くと思います(マジで本当勘弁)。
 誤字があれば誤字報告願います。
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