鬼滅の規格外品   作:ボルトメン

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鬼滅の刃と強殖装甲ガイバーのクロスオーバーです。

書く人がいらっしゃらないみたいなので書いてみようと思いました。


第零話

西暦199X年

 

「おはよう!晶」

 

ボブカットの女子高生が前を歩いていた黒髪の男子高校生に声をかけた。

 

「ん?ああ、瑞紀か」

 

黒髪の男子高校生──深町晶は振り返り、女子高生の瀬川瑞紀を見た。

 

「朝から元気だな」

 

「そりゃそうよ。ようやく学校が再開されるんだから」

 

「学校、か」

 

晶は肩の後ろに触れる。

 

「晶……?」

 

「いや、何でもないよ。それより哲郎さんは?」

 

「おーい、待ってくれ~!」

 

遠くから眼鏡をかけた恰幅の良い男子高校生が走って来た。

 

「はあ…はあ…はあ……。や、やっと追いついた」

 

「兄貴、遅いわよ」

 

「瑞紀が早すぎるんだよ。まあ、無理もないか」

 

瑞紀の兄──瀬川哲郎は汗を拭いながら晶の隣に立った。

 

「そうですね。哲郎さんもなつきさんにまた会えるじゃないですか」

 

「なつきか……余計なことに首突っ込んでないといいけどな」

 

哲郎は後輩にあたる、多賀なつきのことを思い浮かべた。

 

「大丈夫ですよ。今のところ俺がガイバーだってことには気づいてないみたいですし。獣化兵(ゾアノイド)のことも集団幻覚か何かだと思われてるそうです」

 

「……本当に幻覚だったらいいのよ」

 

「え?」

 

「瑞紀?」

 

「何でもないっ!さあ、初日から遅刻なんてだめよ!」

 

瑞紀は晶と哲郎の背中を押す。

 

「ちょ、瑞紀!?」

 

「お、押すなよ!」

 

「いいからいいから!」

 

(晶……あなたはもう戦っちゃだめ。ガイバーなんてものに関わったせいで……お父さんまで喪っているのよ………)

 

 

 

「待っていたよ、晶君」

 

「巻島さん」

 

放課後、晶は学校の生徒会長を務める巻島顎人に屋上に呼ばれていた。

 

「超獣化兵(ハイパーゾアノイド)五人衆の襲撃からそれなりに経つが、無事に新学期を迎えられたな」

 

「ええ」

 

「思っていたよりも元気そうでなによりだ」

 

「……まだ夢に出てきますがね」

 

「気持ちは分かる。やむを得ないとはいえ、自らの手で父親を手にかけたのだからな」

 

「…………用件はなんですか?」

 

晶はまっすぐ顎人を見た。

 

「晶君、君は鬼というものを知っているかね?」

 

「鬼、ですか?おとぎ話に出てくる?」

 

「普通の人間の感性ならそう思うだろう。だが鬼とは実在した生物なのだ」

 

「ほ、本当なんですか……?」

 

「厳密に言えば、鬼の始祖とも言うべき生物が、だがな」

 

「鬼の始祖……?」

 

「あの戦いから、私はさらにクロノスの情報を集めていた。その過程で知ったのだが、大正時代にクロノス日本支部の前進的組織があったことが判明した」

 

「日本支部の前進が、大正時代に?」

 

「彼らは獣化兵の実験と平行して、ある生物に着目した」

 

「それが、鬼の始祖?どんな奴なんですか?」

 

「残念ながら記録には残されていなかった。だが重要なのはそこではない」

 

顎人は険しい表情を浮かべた。

 

「奴らは俺たちを倒すべく、新たな獣化兵(ゾアノイド)を生み出そうとしている。問題はその調製に鬼の始祖のデータが用いられようとしているようなのだ」

 

「なんですって!?」

 

晶は愕然となった。

 

「そこで、私はアメリカに飛ぶ。君は学生生活を全うしてくれ」

 

「なぜですか!俺も行きます!」

 

「だめだ」

 

顎人は晶を制した。

 

「アプトムを倒したとはいえ、君には以前ほどキレがない。足手まといは不要だ」

 

「巻島さん……」

 

「心配はいらない。君は自分の出来ることをしたまえ」

 

「…………………」

 

晶はうなだれ、屋上から立ち去った。

 

「フフ……」

 

顎人は薄ら笑いを浮かべた。

 

(深町晶の脳には確実に刷り込まれた。後は降臨者の遺跡に赴くだけだな。それにしても)

 

顎人は懐から赤黒い液体の入った小瓶を取り出した。

 

(かつて人類の繁栄の裏で蠢く鬼の軍団。その首魁たる、鬼舞辻無惨の血か。クロノス打倒のための秘策となりうるか)

 

 

 

数日後、晶は自宅に哲郎を呼び、顎人から聞かされた内容を話した。

 

「巻島がそんなことを……」

 

「どう思いますか?哲郎さん」

 

「ふーむ………」

 

哲郎は腕を組んだ。

 

「ん?」

 

何かを思い出した。

 

「哲郎さん?」

 

「いや、鬼という話で思い出したんだが……」

 

哲郎は顔を上げた。

 

「鬼殺隊って聞いたことあるか?」

 

「きさつたい?」

 

「読んで字のごとく、鬼を討伐することを目的とした組織らしいんだ。いつ、誰が創ったのかはわからないが、大正時代の半ば頃まで存在したとか」

 

「そんなの聞いたこともありませんよ。哲郎さんはなんで知っているんですか?」

 

「一年の頃、鬼狩り様について調べていたんだ。その過程で知ったんだ」

 

「鬼狩り様って、光る刀を持って病を祓う民俗信仰の?」

 

「でもよ、鬼狩り様と鬼殺隊って何となくリンクしないか?」

 

「うーん、どうでしょうね」

 

晶は関係はないと言った顔をした。

 

「だが鬼狩り様ってのは本当にいたらしい。取材をした89歳のてる子おばあちゃんは子どもの頃に会ったことがあるそうだ」

 

「にわかには信じられませんが。失礼ですけどそのおばあちゃん……」

 

「いや、妙にリアリティがあったんだけどな」

 

哲郎は取材当時の出来事を思い出していた。

 

「とにかく、クロノスのことは巻島に任せよう。あいつも晶と同じガイバーなんだ。簡単に死ぬような奴じゃない」

 

「そう、ですね」

 

晶は力なく微笑む。

 

「さあ、この話は終わりにしよう。ファミレスに飯でも食いに行かないか?」

 

哲郎は晶を立たせた。

 

「哲郎さん……」

 

「行こうぜ、晶」

 

「は、はい」

 

晶は哲郎と出かけた。

 

 

 

翌日、晶は哲郎と瑞紀と共に学校へと向かっていた。

 

「今日からやっと授業に入るわね」

 

「そうだな。再開されたと言っても、校長先生の話か警察の注意換気を聞くだけだったもんな」

 

「それでも再開されるだけマシだと思いますよ」

 

「晶……」

 

哲郎と瑞紀は心配そうに晶を見た。

 

「大丈夫だよ。それより行こう──」

 

晶が一歩踏み出した瞬間、晶の体は光に包まれる。

 

「晶!?」

 

「な、なんだこれ……!?」

 

晶は光とともに姿を消した。

 

「しょ、晶……?」

 

「消えた………」

 

瑞紀と哲郎は呆然となった。

 

(フフフ………)

 

その様子を陰から見ていた者がいた。

 

(後はお前次第だ。深町晶、いやガイバーⅠ)

 

見ていた者は黒い長髪を翻し、去って行った。

 

 

 

「はあ…はあ…はあ……!」

 

両耳に花札のような耳飾りと狐の面を付けた少年は山道をかけ上がっていた。

 

(そろそろ藤の花の園が途絶える。この先に鬼が……!)

 

少年は腰に差した刀を握りしめる。

 

すると、少年の視線の先に二体の鬼がいた。

 

「オイオイ、てめぇは向こうに行け!俺がコイツを喰うんだ!」

 

「いや、貴様が行け!」

 

「俺が見つけたから俺の獲物だっ!」

 

「黙れぇ!」

 

二体の鬼はどちらかが少年を喰うのか言い争っていた。

 

(いきなり二人……やれるだろうか!?)

 

少年は刀に手を置き、構える。

 

「仕方ねぇ……!」

 

「こうなれば……!」

 

「「先に殺った方が喰らってやる!!」」

 

二体の鬼は少年めがけて襲いかかった。

 

だが少年に恐れはなかった。

 

(全集中・水の呼吸……!)

 

少年は息を吸い、二体の鬼を見やる。

 

少年の視線と鬼の頭部が一歩の糸で繋がる。

 

「肆ノ型・打ち潮!」

 

少年の刀は水のような軌跡を描いて、鬼の頸をはねる。

 

二体の鬼は声を上げる間もなく、絶命した。

 

(斬れた……!)

 

少年は自らの右手を見つめる。

 

(ちゃんと身についている。鍛練は……無駄じゃなかったんだ……!)

 

少年は零れる涙を拭き、鬼の方に目をやった。

 

鬼は既に消滅していた。

 

(鱗滝さんにもらった刀で頸を斬られた鬼は骨すら残さないのか………どうか成仏してください)

 

少年は鬼が身に着けていた衣に手を合わせた。

 

「行こう……!」

 

少年はさらに山道をかけ上る。

 

 

 

「………うっ……!」

 

晶は目を覚ました。

 

「こ、ここは……?」

 

晶は周りを見渡し、先ほどと風景が違っていたことに気づいた。

 

(どうなっているんだ………俺は確かに瑞紀や哲郎さんと……そうだっ!)

 

「瑞紀!哲郎さん!いないのかっ!?」

 

晶は必死に呼び掛けるが、晶の声だけが虚しく響く。

 

「……とにかく、一度山を下りた方がいいな。月明かりが見えないから慎重に……」

 

晶は木につかまりながら山道を下ろうとした。

 

「キヒヒ……見つけたぁ……♪」

 

「!?」

 

突如、背後から甘ったるい声がし、晶は足を踏み外した。

 

「わあっ!」

 

晶は崖下に転げ落ちた。

 

「キヒヒ……生きてるよなぁ……死んだ肉なんざ喰えたもんじゃあねぇ……」

 

甘ったるい声の主は晶を追って崖下に下りる。

 

「くっ……!」

 

崖下に転げ落ちた晶は痛みをこらえ、ゆっくりと立ち上がった。幸い体を打っただけだった。

 

「キヒヒ……いたいたぁ……♪」

 

「なっ!?」

 

月明かりが射し込み、晶は甘ったるい声の主を目の当たりにして呆然となった。

 

頭から角のような突起物が生え、上半身のあちこちから腕の生えた異形の怪物が目の前にいた。

 

「獣化兵かっ!?」

 

「ぞあのいど~?可哀想に……頭がイカレちゃったんだねぇ……」

 

(獣化兵じゃないのか?ならコイツは一体……)

 

「キヒヒ……久しぶりの肉だぁ……」

 

「肉、だと?」

 

「キヒヒ……そうさ……人間を喰ってもっともっと強くなるんだぁ……♪」

 

「コイツっ!」

 

晶は身構えた。

 

「キヒヒ……いただきまぁ──」

 

「壱ノ型・水面斬り!」

 

異形の怪物の背後から花札のような耳飾りを付けた少年が真横に頸をはねた。

 

「……あ…………」

 

異形の怪物は自分が何をされたのかわからないまま消滅した。

 

(骨も残さず消えた……獣化兵とも違うようだがそれより)

 

晶は少年を見た。

 

(刀、だよな?)

 

「あの……大丈夫ですか?」

 

少年は心配そうに晶を見る。

 

「あ、ああ……」

 

晶は少年に近づいた。

 

「助けてくれてありがとう」

 

「いえ、無事で良かったです。えっと……」

 

「ああ。まずは自己紹介だよな。俺は晶、深町晶だ」

 

「晶さんですね。俺、竈門炭治郎っていいます」

 

少年──炭治郎は刀を納めた。

 

「えっと、それで竈門君──」

 

「炭治郎で良いですよ。見たところ、晶さんの方が年上みたいですし」

 

「良いのか?」

 

「もちろんです。長幼の秩ですから」

 

「む、難しい言葉を知ってるんだな……」

 

晶は頬を掻いた。

 

「あれ?晶さん、刀はどうしたんです?」

 

「そんなの持ってるわけないだろ?それはそうと、なんで炭治郎は刀なんか持ってるんだ?」

 

「え……?鬼狩りの最終選抜を受けに来たんじゃ?」

 

「鬼狩り?最終選抜?」

 

炭治郎と晶は互いを見つめ合った。

 

 

 

「それじゃ晶さんは全くの無関係なんですか!?」

 

「ああ。気づいたらこの山にいたんだ」

 

炭治郎と晶は倒れていた木に座り、それぞれ話し合った。

 

「本当にひどいことをしますね。この藤襲山は鬼がたくさんいるっていうのに」

 

「鬼?あれが鬼なのか?」

 

「はい。でもあんなに腕が生えたのは初めて見ました」

 

(巻島さんや哲郎さんの言ってたことは本当のことだったんだ。あれ?まてよ……)

 

晶はあることに気づいた。

 

「なあ、炭治郎」

 

「なんですか?」

 

「今年って何年だ?」

 

「今年ですか?大正四年ですが」

 

炭治郎は淀みなく口にした。

 

「た、大正……!?(どういうことだ!?まさか俺は時間を遡ったとでも!?)」

 

「しょ、晶さん!?(晶さんから本気で狼狽えている匂いがする)」

 

炭治郎の鼻は晶の動揺を嗅ぎ取った。

 

(それにしても晶さんから、全然違う匂いがするのはなんでだろう?)

 

そして、晶の中に眠るもうひとつの存在についても。

 




次回、降臨者が忘れたprogramが動き出す。



鬼滅の規格外品こそこそ話

晶と対峙した腕がたくさん生えた鬼は意外と見掛け倒しだぞ!
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