「チュン!チュンチュン!」
突如、一羽の雀が助けを求めるかのように飛んできた。
「そうか!わかった!何とかするから!」
炭治郎は雀の言いたい事を理解した。
「………よく理解できたな。こっちに来てから固定観念が壊されてばかりだな」
晶は雀の言いたい事が理解できなかった。
「何してるんだ道の真ん中で!その子は嫌がっているだろう!?そして雀を困らせるな!!」
(雀は良いんじゃないか──)
「あ、隊服!お前最終選別の時の!?」
「えっ?炭治郎の知り合いか?」
「知りません!こんな奴は知人に存在しませんよ!!」
「えーーーっ!?会っただろうが会っただろうが!お前の問題だよ記憶力のさ」
「さあ、早く家に帰ってください」
「もう大丈夫ですからね」
「ありがとうございました」
晶と炭治郎は金髪の少年を無視して、女性に帰宅を促す。
「おいーーっ!」
金髪の少年は飛び起きる。
「その子は俺と結婚するんだ!俺のこと好きなんだからな゛!?」
女性は金髪の少年の頬を思いっきり張った。
さらに執拗に金髪の少年をはたく。
「おい、炭治郎……」
「そろそろ止めましょう!」
晶と炭治郎は女性を落ちつかせる。
「いつあなたのことを好きだと言いましたか!?具合が悪そうに道ばたで蹲っていたから声をかけただけでしょう!!」
「え!?え!?俺のことが好きだから声をかけてくれたんじゃないの!?」
(どんな思考してるんだ、こいつ)
晶は金髪の少年の言葉に呆れた。
「私には結婚を約束した方がいるので絶対にあり得ません!!それだけ元気ならもう大丈夫ですね!!さようなら!!」
女性は去って行った。
「ま、待って……!」
「しつこいぞ、お前」
「さすがにあれはないぞ」
「うるせえええええっ!!何なんだよお前ら!!邪魔しやがって!!」
「「……………………」」
「なんだよその顔!!何で俺を別の生き物を見るような目で見てんだ!お前らのせいで結婚出来なかったんだからな!責任取れよ!!」」
「「……………………」」
「何か喋れよ!!」
(どうします?)
(このままじゃ埒が開かないな。とりあえず適当に流そう──)
「適当に流そうとすんなっ!!」
「「!?」」
小声で話していたことを当てられ、炭治郎と晶は驚く。
「な、何で分かったんだ!?」
「分かるよ!生まれてこの方ひそひそ話は聞き逃したことないんだ!」
「もしかして……」
晶は顎に手をやる。
「晶さん?」
「炭治郎の嗅覚が良いように、こいつは聴力、つまり耳が良いんじゃないか?」
「なるほど……」
炭治郎は納得した。
「え?え?え?」
金髪の少年は何が何だかわからなかった。
「俺は深町晶。こっちは竈門炭治郎」
「よろしくしたくないけどよろしく」
晶は名前を名乗ったが、炭治郎は若干むくれていた。
「俺は我妻善逸。二人も鬼狩りなんだろ?」
「いや、晶さんは違う。故あって、協力してもらってるんだ」
「協力って、一般人が?」
「言っとくが晶さんは俺より強い。群れた鬼だって相手にすらならないんだからな」
「おい炭治郎──」
「いいなぁいいなぁ!俺なんて……俺なんて!!」
善逸は駄々っ子のように地面をごろごろ転がる。
「善逸は何でそんなに弱気なんだ?どうして剣士になろうと思ったんだ?何でそんなに恥をさらすんだ?」
「女に騙されて借金こさえたんだよ!その借金の肩代わりをしてくれたジジイが育手だったんだよ!毎日毎日地獄のような特訓だよ死んだ方がマシってくらい!最終選別で死ねると思ったのにさ!運良く生き残るからいまだに地獄の日々だぜ!怖い怖い怖い怖い!」
「イィヤャャアアアアッ!!助けてぇえええっ!!」
善逸はのたうちまわっていた。
「………ここまでネガティブだと病気だな」
「ねがていぶ、ですか?」
「要するに消極的や内向的な人やことを指す言葉だよ。ちなみにネガティブの対義語はポジティブというんだ」
「へえ、ぽじていぶですか」
炭治郎はまた一つ利口になった。
「何こいつ!外国語が分かるの!?」
「こいつなんて言うな!お前何歳だ!?」
「十六だよ!文句あるか!」
「じゃあ、晶さんの方が年上なんだ」
「す、すいまっせんでしたあぁぁぁっ!!」
善逸は土下座した。
「もういいから。話が進まない」
晶は呆れるしかなかった。
晶と炭治郎は善逸と共に少しばかり歩き、休憩できそうな場所を見つけた。
善逸は炭治郎のおにぎりを頬張っていた。
「善逸の気持ちも分かるけど、雀を困らせちゃだめだ」
「へ?困ってた雀?なんで分かるんだ?」
「いや、善逸がそんな風だから仕事にも行かないし、女の子にすぐちょっかい出す上にいびきもうるさくて困ってるって言ってるぞ」
(よくそこまで理解出来たな………)
「は?雀の言葉が分かるの?」
「うん」
「嘘だ!そうやって俺を騙そうとしてるんだ!」
「松衛門」
善逸の雀と何か話していた松衛門は晶の右腕にとまる。
「カアッ!駆ケ足!駆ケ足!急ゲ炭治郎、善逸走レ!共ニ向カエ次ノ場所ニ!」
「ギャアアアアアッ!烏が喋ったあぁぁっ!」
善逸は腰を抜かした。
「俺は好きにして良いんだな?」
「カアッ!晶ハ引キ続キ好キニシテイイッ!鬼ヲ討ツノモヨシ!炭治郎ト善逸ノ手助ケシテモヨシ!」
「わかった」
「晶ぉさぁ~~ん!一生のお願いだあぁぁぁっ!俺の代わりに鬼と戦ってくれえぇえええっ!!
「いや、お前は本職の鬼狩りだろ。ただ眼球に数字がある鬼がいたら教えてくれ」
「そうだぞ善逸。晶さんにばっかり頼っていたらいつまでたっても馬鹿にされることになるぞ」
「う、ううう…………」
善逸はたじろいだ。
「そろそろ出発しましょう」
「そうだな」
炭治郎と晶は鎹烏とともに向かう。
「置いてかないでおくれぇぇえええっ!!」
善逸は雀とともに二人を追いかけた。
三人と二羽は大きな屋敷の前にやって来た。
「ここか」
「鬼の臭いがしますね」
「ひ、ヒイィィイイッ!」
善逸は突然怯えた。
「何だよ」
「炭治郎の話を聞いてビビったか?」
「ち、違うよ!そこからガサッて音が……」
「音?」
「鬼の臭いはしないが…〟」
晶と炭治郎が善逸の言う方向を見ると、兄妹と思わしき二人が怯えていた。
「もしかして……」
「この屋敷の住人だった方でしょうか」
「「っ!?」」
晶と炭治郎と目が合った二人は震え上がる。
「だいぶ怯えているようだな」
「俺に任せてください」
炭治郎は兄妹の前に出る。
「じゃーん!手乗り雀だ!可愛いだろう?」
「「…………………」」
緊張の糸が切れたのか、兄妹はへなへなと崩れ落ちた。
「大丈夫か?」
「えーっと、怯えたような音は聞こえなくなりました……」
「音……(やっぱり善逸はかなり耳が良いというよりすごいんだな。なんでこんなにネガティブなんだろう)」
晶は感情すらも音として捉える善逸に疑問を抱いた。
「何かあったのか?ここは二人のお家?」
「ちがう……ちがう……。化け物の……家だ………」
男の子は震えながら答えた。
「夜道を歩いていたら、兄ちゃんが連れていかれた。俺たちには目もくれずに」
「お兄さんだけ?」
晶は引っかかるようなものを覚えた。
「あの家にの中に入って行ったんだな?」
「うん……うん……」
女の子は頷く。
「二人で後をつけたんだな?怖かったろうに、偉いぞ」
「血の跡をたどったんだ……」
「だって……兄ちゃん怪我してたから……」
「もう大丈夫だ。お兄ちゃんたちが絶対に助けてやるからな」
「もう怖い思いはしなくていいんだぞ──」
「なあ。晶さんに炭治郎……」
善逸が呼び掛ける。
「さっきから聞こえる気持ち悪いこの音はなんなんだ?鼓か?これ」
「鼓?」
「何も聞こえないが………!?」
突如、家の二階から血まみれの男が勢いよく飛んできた。
「「!?」」
男はそのまま地面に激突した。
「見るなっ!」
炭治郎は兄妹の視線を遮る。
「大丈夫か!」
晶は男に駆け寄った。
「やっと……やっと出られたのに……………」
男は事切れた。
「くっ……!」
晶は歯ぎしりをした。
「グオオオオッ!!」
突然家の中から叫び声がした。
(どうやら大物がいるみたいだな)
晶は家の玄関を見つめる。
「ちがう………」
「どうかしたのか?」
「兄ちゃんじゃない。兄ちゃんは襲色の着物を着てるから……」
「ということは他にも捕まっている人たちがいるんだ。善逸!行こう!」
「………………」
善逸は怯えながら首を横に振る。
「………そうか、わかった。もう頼まない」
「ヒャーーッ!!行くよぉおおっ!!だからそんな般若みたいな顔をすんのやめてよぉおおっ!!」
「無理強いするつもりはない」
「行くってばさあああっ!!」
善逸は般若のような炭治郎にすがりつく。
「それと、晶さん」
「どうした、炭治郎」
「晶さんは二人と禰豆子をお願いできますか?」
「良いけど、二人で大丈夫なのか?」
「はい。必ず戻ってきます!」
「ちょ!?待てぇい!!」
善逸が炭治郎の胸ぐらを掴んだ。
「今度は何だよ」
「お前バカなの!?強い人になんで留守役なんかさせてんの!?」
「晶さんに頼りっぱなしじゃいつまで経っても腕が上がらないだろ」
「今じゃなくない!?」
「今しかないんだよ」
炭治郎は善逸を振り払い、兄妹の元に行く。
「もしもの時のためにこれを置いて行く。何かあった場合、このお兄さんと一緒に二人を守ってくれるから」
「任せておいてくれ」
晶は笑みを浮かべる。
「じゃあ、行ってくる!」
「うううう………」
炭治郎と善逸は屋敷の中に足を踏み入れた。
「猪突猛進!猪突猛進!」
炭治郎たちが突入する少し前、屋敷の中では何かが暴れまわっていた。
「猪突猛進!猪突猛進!」
炭治郎たちが屋敷に入ってから五分が経とうとした。
「あのお兄ちゃんたち、大丈夫なんですか?」
「心配はいらない。あの二人は立派な鬼狩りなんだ。きっとお兄さんを連れて戻ってくるさ」
「晶さん……」
緊張もほぐれてきたのか、兄の正一は晶と話をしていた。
「あ!」
突然、妹が声を上げた。
「どうした?てる子」
(てる子?どこかで聞いたような……)
「兄ちゃんが!」
「何だって!?」
正一は顔を上げた。
…………ごとっ!……………
「「きゃああああっ!!」」
炭治郎の置いていった箱から音が鳴り、正一とてる子は無我夢中で屋敷の中に駆け込む。
「ちょ!?待ってくれ!」
晶は追いかけようとしたが、正一とてる子は一瞬で消えた。
「なっ!?」
晶はかろうじて踏みとどまる。
「姿が消えた!おそらく中にいる鬼の…………っ!」
晶が振り返ると、そこに鬼が全部で四体いた。
「ふしゅるるる……ここにいるのか………」
「くかかか……〝稀血〟の気配だ」
「ほほほほ。さぞや喰い応えがあろうな」
「十二鬼月に欠員が出た今、名を揚げる好機よ」
四体の鬼は一斉に笑みを浮かべる。
「こんな時に鬼かよ!」
晶は身構える。
「人間……前座にはちょうどいい」
「喰らってくれようぞ」
汚れた髪の鬼と剃髪の鬼は牙を光らせる。
「落ち着け。あの人間、なかなか腕がたちそうだ……」
「ほほほほ、買いかぶりも程々にのう……」
外套を纏った鬼は晶の強さを見抜くが、長髪の女鬼が馬鹿にしたように嗤う。
「屋敷の中にはまだ多くの人が捕まっている。ここは通さない!」
晶は構えた。
「ガイバアアアアッ!!」
晶はガイバーⅠに殖装した。
【ここで倒す!】
戦いは始まった。
次回、ガイバーⅠが鬼と猪頭と連戦します。
鬼滅の規格外品こそこそ話
後にてる子は語り部として鬼狩り様を語り継いでいくが、ほぼ炭治郎のことだ!
終盤に出てきた四体の鬼の見た目はとあるゲームのボスがモデルになってるぞ!