鬼滅の規格外品   作:ボルトメン

12 / 36
第拾壱話

【くらえっ!】

 

ガイバーⅠは汚れた髪の鬼に高周波ブレードで斬りかかる。

 

「ふしゅるるる……!」

 

汚れた髪の鬼は長い腕を奮い、ガイバーⅠの行く手を阻もうとした。

 

だがガイバーⅠの高周波ブレードの前では意味をなさなかった。

 

「ぐぐ……おのれぇ!」

 

汚れた髪の鬼は斬られた両腕を広げ、鋭く尖った肋骨を放射状に出す。

 

そして脚に全力を込め、ガイバーⅠめがけて突進した。

 

【何のっ!】

 

ガイバーⅠは汚れた髪の鬼の肋骨を掴み、突進の勢いを利用して投げ飛ばした。

 

「!?」

 

投げ飛ばした先には木があり、汚れた髪の鬼は木の幹に叩きつけられた。

 

【これでっ!】

 

ガイバーⅠは鬼の頸を後ろの木もろとも斬った。

 

汚れた髪の鬼は消滅した。

 

 

 

「くかかか。油断禁物──」

 

【そっちがな】

 

ガイバーⅠは剃髪の鬼の奇襲を難なく見抜き、腹部をぶち抜いた。

 

「ぐわっ………はっはっは!かかったな!」

 

剃髪の鬼はガイバーⅠの腕を掴んだ。

 

【!?】

 

その瞬間、ガイバーⅠは腕に嫌な感覚を覚えた。

 

【これは……!】

 

「くかかか。このままどろどろに溶かしてくれる!」

 

【はああああっ!!】

 

ガイバーⅠは左手に小型ワームホールを生成、剃髪の鬼の下半身を粉々に吹き飛ばした。

 

「ぐうう……!」

 

想定外の反撃に剃髪の鬼は無防備をさらす。

 

【そこだっ!】

 

ガイバーⅠは高周波ブレードを斬り上げ、剃髪の鬼の頸をはねる。

 

「み、道連れに……!」

 

剃髪の鬼は最期のあがきに、胃酸のようなものを吐き出す。

 

【っ!】

 

ガイバーⅠは瞬時にかわした。

 

「ああ………」

 

最期の策も失敗に終わり、剃髪の鬼は消滅した。

 

 

 

「遅いわ!!」

 

【!?】

 

二体の鬼を倒したガイバーⅠは背後から奇襲を受けた。

 

「ほほほほ。まぐれもここまでよ」

 

ガイバーⅠの首を締め付けていたのは、長髪の女鬼の髪の毛だった。

 

【っ!離せ!】

 

ガイバーⅠはヘッドビームを長髪の女鬼の顔面に当てる。

 

「ぎゃっ!?」

 

髪の毛の拘束が解かれた。

 

「ぐっ……おのれ!」

 

長髪の女鬼は髪の毛を鞭のように振り回す。

 

【何っ!?】

 

ガイバーⅠは体勢を低くして回避するが、肩が斬り裂かれた。

 

【これは、ソニックブームというやつか……】

 

「ほほほほ!」

 

長髪の女鬼は髪の毛を何度も振り回す。

 

ガイバーⅠはその都度かわすが身体は傷だらけになり、片膝を付いた。

 

「下拵えは十分。死ねい!」

 

長髪の女鬼は髪の毛を束ね、必殺の一撃を放った。

 

【それを……待ってた!】

 

ガイバーⅠは紙一重でかわし、接近した。

 

「ちいっ!ならば……!」

 

長髪の女鬼は束ねた髪を解き、防御壁を作る。

 

【っ!】

 

ガイバーⅠは高くジャンプし、落下の速度で斬り込む。

 

「ば、ばかな………」

 

長髪の女鬼は首をはねられ、消滅した。

 

「見事だ」

 

外套を纏った鬼はガイバーⅠの強さに笑みを浮かべる。

 

【…………………】

 

ガイバーⅠは最後に残った鬼と対峙する。

 

 

 

「素晴らしい。それぞれ異能を持つ鬼ではあったが、悉く撃ち破るとは」

 

【バラバラで来てくれたおかげさ。本当に四体がかりで来られたらヤバかった】

 

「我々鬼は平等ではいられない。足の引っ張り合いはどうしても避けられぬ」

 

【わかってて来なかったのか】

 

「そなたの力量を見抜けなかった三人が愚かなのだ。まあ、稀血に引かれて来ただけだろうが」

 

【さっきも言っていたが、稀血とはなんだ?】

 

「人間の中には世にも珍しい血を宿す個体が現れるらしい。その血は常人の数倍、否数十倍の効能があるという」

 

【稀血……珍しい血液型のことか】

 

ガイバーⅠは外套を纏った鬼の話から、血液型のことだと予想する。

 

「だが、稀血を得てもそなたには及ばぬな」

 

【何?】

 

「更なる修練を積むとしよう。それならばあの方も納得されよう。それまで死ぬでないぞ」

 

外套を纏った鬼はガイバーⅠに背を向けた。

 

【待て】

 

ガイバーⅠは呼び止めた。

 

「?」

 

【あんたは何者だ】

 

「……我が名は焔龍。あの方に深手を負わせた強者よ。また会おう」

 

外套を纏った鬼──焔龍は去って行った。

 

【フーーーッ!】

 

ガイバーⅠは緊張から解放された。

 

【もし、戦っていたら本当にヤバかった。何者だったんだ……】

 

 

 

「………………………」

 

一方、焔龍はどこかの城の中で鬼舞辻無惨から叱責を受けていた。

 

「焔龍よ………」

 

「………………………」

 

「貴様はどこまで私を失望させれば気が済むのだ?」

 

「……弁解は致しませぬ。如何様にでもお裁き下され」

 

「チッ!もういい。かつての上弦の肆も堕ちたものだ」

 

「………………………」

 

「この役立たずが」

 

鬼舞辻無惨は去って行った。

 

「………………………」

 

焔龍は鬼舞辻無惨が去ったのを見計らい、頭を上げた。

 

「災難だったねえ~~、焔龍殿」

 

「……童魔か」

 

焔龍の背後からきらびやかに着飾った鬼が現れた。

 

「気にすることはないよ。手柄を立てればまた上弦に引き上げてくれるさ」

 

「だと良いがな。それより童魔、そなたの言っていた黒い魔物の件だが、似たような者を見かけた」

 

「………へえ?」

 

童魔と呼ばれた鬼は狂気的な笑みを浮かべる。

 

 

 

【とりあえず、他に鬼はいなさそうだ。そろそろ元に──】

 

「ヒイィィヤアァァァッ!!」

 

【!?】

 

突如として聞こえた汚い声にガイバーⅠは振り向いた。

 

そこには気絶した善逸がいた。

 

【なんだ、善逸か】

 

すると、善逸がむくりと立ち上がる。

 

【善逸?】

 

ガイバーⅠは踏みとどまる。

 

「………………………」

 

善逸は居合いの構えをとる。

 

【おい!善逸!】

 

「全集中・雷の呼吸 壱ノ型・霹靂一閃!!」

 

善逸の姿が消えた。

 

【うおっ!?】

 

ガイバーⅠは横っ飛びでかろうじて避けた。

 

「………………………」

 

善逸は再び霹靂一閃を放つ。

 

【み、見えない……!】

 

善逸の踏み込みの速さに、ガイバーⅠは後手に回っていた。

 

そして六度目の霹靂一閃の構えをとった。

 

【仕方ない……!】

 

ガイバーⅠは覚悟を決めた。

 

「壱ノ型・霹靂一閃!!」

 

【っ!!】

 

ガイバーⅠは突っ込んで来た善逸に胴タックルを仕掛けた。

 

日輪刀は間一髪で当たらず、胴タックルで善逸を

押さえ込んだ。

 

タックルの衝撃で善逸は背中を打ち付けた。

 

ガイバーⅠは賭けに勝った。

 

 

 

【善逸、大丈夫か】

 

ガイバーⅠは気がついた善逸に話しかける。

 

「ヒキャアァァァァァァッ!!ななななななんで俺の名前ををををを!?」

 

【この姿じゃわからないか。俺だよ、晶だ】

 

「しょ、晶さん!?あれ、でもこの声はたしかに……」

 

【わかってもらえたか?】

 

「で、でもももも!でもなんでそんな姿に!?まさか鬼!?」

 

【……鬼だったら太陽の下は歩けないだろ。今殖装を………っ!】

 

ガイバーⅠのヘッド・サーチは何かの反応を捉えた。

 

【善逸!離れろ!】

 

「は、はいいいいいいっ!!」

 

善逸は禰豆子の入った背負い箱付近に離れた。

 

「がははは!見つけた見つけたあーー!化け物を見つけたあ!」

 

「ヒッ!!」

 

【何だ?】

 

ガイバーⅠの目の前には、猪の頭を被った半裸の男だった。

 

猪頭は両手に刃こぼれした日輪刀を持っていた。

 

「おい化け物!おれの糧になりやがれ!!」

 

【いきなりだな。とりあえず落ち着け。俺はお前と争うつもりは──】

 

「戦わねぇなら大人しく踏み台になりやがれぇ!!」

 

【無視か!】

 

猪頭はガイバーⅠに突進する。

 

【っ!】

 

ガイバーⅠは横に飛んでかわす。

 

「ちいっ!」

 

【まるで獣だな。こうなったら武装を使わずに大人しくさせる!】

 

ガイバーⅠと猪頭は対峙した。

 

 

 

「我流・獣の呼吸 参ノ牙・喰い裂き!」

 

猪頭は日輪刀を交差させて突っ込む。

 

【はっ!】

 

ガイバーⅠは回避に専念した。

 

「この野郎!」

 

猪頭は日輪刀を滅茶苦茶に振り回すも、当のガイバーⅠはジャンプで猪頭の背後に飛び越す。

 

「大人しく斬られろ!」

 

猪頭はジャンプして日輪刀を振り下ろす。

 

【隙だらけだ】

 

ガイバーⅠはさらに背後に回り、猪頭の背中に手加減しつつ前蹴りを放つ。

 

「ぐっ!?」

 

猪頭は前に倒れた。

 

【どうした?】

 

ガイバーⅠは余裕綽々といったポーズをした。

 

「なめやがって!!」

 

猪頭は体勢をさらに低くしてガイバーⅠに突進した。

 

「我流・獣の呼吸 壱ノ型・穿ち抜き!!」

 

【それなら!】

 

ガイバーⅠはジャンプと同時にグラビティ・コントロールを起動させ、緩やかにいなす。

 

「なっ!?」

 

【そらっ!】

 

ガイバーⅠは猪頭を背中から抱え上げ、後方に投げ飛ばした。

 

「ぐはっ!?」

 

ガイバーⅠのバックドロップがきれいに決まった。

 

【手加減はしたから死んではいないはずだ】

 

「ぐぐぐ………うがあぁぁぁっ!!」

 

猪頭は立ち上がり吠えた。

 

【呆れたタフさだな】

 

「ぶっ殺す!!」

 

猪頭は再びガイバーⅠに突進する。

 

だが、ダメージは抜けきっていなかった。

 

【っ!】

 

ガイバーⅠはふらついた猪頭の後ろに悠々と回り、首筋に手刀で当て身を入れた。

 

「へひゅっ!?」

 

猪頭は失神し、前のめりに倒れた。

 

【とりあえずこれで……】

 

ガイバーⅠは殖装を解いた。

 

「ヒギャアアァァァァァァッ!!人が出てきたあぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

善逸は汚い叫び声を上げた。

 

 

 

「………というわけなんだ」

 

猪頭を紐で縛り終えた晶は善逸に自身のことを話した。

 

「がいばぁ……そんなもんがあるんすか………」

 

「やっぱり鬼に見えるもんなのか?」

 

「遠目から見れば、まあ」

 

「そっか……」

 

「でも、晶さんだと分かればもう大丈夫ですよ」

 

「ありがとな、善逸」

 

晶は礼を言った。

 

「そういえば、善逸」

 

「はい?」

 

「霹靂一閃、だっけか?なんでそれ以外の技を使わないんだ?」

 

「……使わないんじゃないんです。それ以外使えないんです………」

 

「え……?」

 

「俺、育手の人の元で修行してたんですけど、結局修得できたのは基本的な壱ノ型だけで。弐から陸ノ型は使えないんです」

 

「あれで基本的な技!?」

 

晶は善逸の放った霹靂一閃の速さに言葉をなくした。

 

「そんな時に師匠……ジイちゃんは極めろと言って、俺は壱ノ型だけを鍛えたんです」

 

「そうだったのか……」

 

晶は腕組みをした。

 

「善逸は壱ノ型を極めたから、あんな速さが出せたんだな」

 

「いやでも……基本的な技………」

 

「対峙してわかったんだが、あの速さは敵にとって厄介極まりない」

 

「え……?」

 

「善逸を取り押さえたのだってほとんど賭けみたいなものだったしな。一歩間違えれば俺の首が飛んでいただろうし」

 

「すいまっせんでしたあぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

「なんで謝るんだよ。それだけすごいってことなのに」

 

「晶さん……」

 

「ガイバーでもあの速さは出せない。もっと自信を持って良いんだぜ」

 

晶は善逸の肩に触れる。

 

「ありがとう……ございます………(晶さん、すごく良い人だ。そんな音がする)」

 

善逸はほんの少しだけ笑った。

 

 

 

「晶さん!善逸!」

 

屋敷の中から炭治郎と三人が歩いて来た。

 

「あ!炭治郎!」

 

「そっちも無事だったんだな」

 

晶と善逸はようやく合流した。

 

「あの……お兄さん………」

 

「怪我はないか?」

 

「え……」

 

「怒ってないの……?」

 

「怒ってるさ。勝手に敵の巣に飛び込んで行くなんてな」

 

「「ご、ごめんなさい!」」

 

正一とてる子は頭を下げた。

 

「わかるか?お前らに何かあったらお兄さんに顔向けできなかったんだぞ?」

 

「晶さん……」

 

「本当に無事で良かった」

 

晶は微笑んだ。

 

「えっと……」

 

「ああ。もしかしてあなたが」

 

「あ、ああ。俺は清。弟と妹が世話になっちゃったみたいだな」

 

「いえ、よくご無事でしたね」

 

「うん。本当に」

 

清は頬を掻いた。

 

 

 

その後、三人は犠牲者を埋葬し、弔った。

 

稀血を宿す清をそのままにしておくのは危険極まりないとして、松衛門がわざわざ取って来た藤の花の匂袋を三人分持たせ、兄妹は帰路についた。

 

「さてと。問題は……」

 

三人は未だに起きない猪頭を見た。

 

「鬼殺隊士みたいだけど、二人は知らないのか?」

 

「いえ、見たこともないですよ」

 

「そもそも合格者って四人のはずじゃ……?」

 

「いや待て、鋼錢塚さんも言ってた。五人の合格者って」

 

「鋼錢塚さんて?」

 

「炭治郎の日輪刀を打った人だよ。それはともかく、こいつどうしよう?」

 

「とりあえず、この頭を取りましょう」

 

「え!?いいの?」

 

「こうでもしないとわからないだろ。よいしょっと」

 

炭治郎は猪頭をひっぺがした。

 

「こ、これは……」

 

「予想外だったな……」

 

(ムキムキの体の上が女の子みたいな面とか気持ち悪………)

 

猪頭の素顔は、かなり中性的だった。

 

「う……ううん………」

 

「起きるぞ」

 

「下がった方がよさそうだな」

 

三人は距離をとった。

 

「お、俺は何を………そうだっ!!」

 

「「「っ!!」」」

 

三人は身構えた。

 

「う、うう……なんてこった……負けちまった………!」

 

「「「え?」」」

 

中性的な少年は落ち込み、三人は呆気にとられた。

 

「うう……ちくしょう………」

 

(急に性格が変わったな……)

 

(晶さんに負けたこと、そんなに残念だったのか……)

 

(いったいなんなんだこいつ……)

 

屋敷の前に微妙な空気なしばし流れた。

 




次回、あのキャラクターが原作より先に登場します。



鬼滅の規格外品こそこそ話

屋敷は御館様の命令で隠によって焼き払われた後、神社として再建することになるそうだ!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。