鬼滅の規格外品   作:ボルトメン

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炭治郎と禰豆子は原作通り、晶ことガイバーⅠは半オリジナルの強敵と戦います。

終盤はグロいかもしれません。


第捌話

「キャハハ!矢琶羽の言うとおりじゃ。何もなかった場所に建物が現れよったぞ」

 

毬を手に持った女の鬼は無邪気で残虐な笑みを浮かべる。

 

「巧妙に物を隠す血鬼術が使われておったようじゃ。しかし……これは珍妙な。鬼狩りと鬼が一緒におる」

 

両手に目がある矢琶羽と呼ばれた鬼はハテと思案する。

 

「鬼が二体……!」

 

「いえ、さらにいるようです」

 

珠世の言うとおり、男女の鬼の後ろには複数の鬼たちがいた。

 

「さあお主ら、奴らを喰ってこい」

 

「俺に命令するな!面白そうなものが見れると聞いたから来たんだ!てめえに指図される謂れはねぇっ!!」

 

「ほほう………」

 

女の鬼は口応えした鬼に毬を投げつけた。

 

「ぐぎゃぐげぶ……!!」

 

鬼は肉塊と化した。

 

「十二鬼月たるこのわしに楯突くか?ん?」

 

「ぐ……!」

 

鬼は元の体に戻りつつあった。

 

「何しとる。さっさと行かぬか」

 

『う……うおおおおおっ!!』

 

恐怖に駆られた鬼たちは診療所へと駆け出す。

 

「朱紗丸、お主は乱雑が過ぎる。着物に塵と肉片が付いたではないか。ああ、穢らわしい」

 

矢琶羽は神経質そうに着物払う。

 

「うるさいのう。私の毬のお蔭ですぐ見つかったならそれで良いではないか。たくさん遊べるしのう。それに着物は汚れてなどおらぬぞ。神経質めが」

 

朱紗丸は全く問題にしていなかった。

 

 

 

「………炭治郎」

 

晶は顔を上げた。

 

「ここは任せても大丈夫か?」

 

「晶さん………ええ!もちろんです!」

 

「片付けたらすぐに戻る」

 

「晶さん!」

 

「大丈夫です。それより面の皮、くれぐれも奪われないように!」

 

「は、はいっ!」

 

(あいつ……!珠世様に向かって……!!)

 

晶は表に飛び出し、森の方へと走り出した。

 

「これは好機ぞ。彼奴らはわしらがやる。お主らは逃げた人間を追え!」

 

『うおおおおおっ!!』

 

矢琶羽の命を受けた五体の鬼たちは晶を追って行った。

 

「(そろそろいいか)ガイバァァァッ!!」

 

ある程度森に引き寄せた晶はガイバーⅠに殖装した。

 

『!?』

 

鬼たちは驚き、とまどった。

 

【いくぞっ!】

 

ガイバーⅠは鬼たちに真っ向から挑んだ。

 

 

 

「キャハハ!」

 

朱紗丸は毬を投げつけた。

 

毬は縦横無尽に跳ね回り、壁や床を破壊した。

 

「!」

 

愈史郎は珠世を庇いつつ、毬を避けようとした。

 

「愈史郎さん!?」

 

毬は空中で突然軌道を変え、愈史郎の頭部を直撃した。

 

「キャハハ!殺した殺したぁ!」

 

朱紗丸は歓喜した。

 

「んん~?キャハ、見つけた見つけた。花札のような耳飾りの鬼狩りじゃあ!」

 

朱紗丸は炭治郎を見て目を輝かせる。

 

(俺を追って来たのか?ならこいつらは!)

 

「珠世さん!この二人は鬼舞辻無惨の!?」

 

「おそらくは」

 

「キャハハ。そのとおりじゃ。この朱紗丸は十二鬼月じゃぞ」

 

「十二鬼月?」

 

「鬼舞辻の血を濃く多く与えられた、言わば鬼舞辻直属の配下の鬼のことです。その力はそこいらの鬼と一線を画します」

 

「そんな奴が……」

 

炭治郎は日輪刀を構える。

 

(避けてもあの毬は曲がってくる。なら!)

 

「全集中・水の呼吸 漆ノ型・雫波紋突き・曲!!」

 

炭治郎は水の呼吸の中で最速の突きを放つ。

 

日輪刀は毬を正確に捉えた。

 

だが毬はなおも動き、炭治郎の額に当たってくる。

 

(!? なぜ動くんだ?愈史郎さんに当たった時も不自然な曲がり方をしていた。特別な回り方をしているわけじゃないのに……)

 

「珠世様!!」

 

頭部が五割ほど復元した愈史郎は叫んだ。

 

「俺は、言いましたよね!鬼狩りなんかに関わるのはやめましょうと最初から!!俺の目隠しの術も完璧じゃないんだ!貴女にもわかっていたことでしょう!」

 

「……………………」

 

珠世は悲しげに目を伏せる。

 

「建物や人の気配や匂いは隠せるが存在自体を消せるわけではない!人数が増えるほど痕跡が残り、鬼舞辻に見つかる確率も増える!」

 

(そうか。鬼がここまで来ていたのに攻撃されるまで何の臭いもしなかったのは、愈史郎さんの血鬼術だったのか………)

 

「おまけに俺の目隠しの術を掻い潜り、鬼舞辻から面の皮を持ってきた奴まで来てしまった!」

 

愈史郎の頭部はほぼ完全に復元した。

 

「貴女と二人で過ごす時間を邪魔する奴を俺は嫌いだ。大嫌いだ!許せない!!」

 

「キャハハッ!何か吠えておる。面白いのう、楽しいのう」

 

朱紗丸は上着を脱いだ。

 

「遊び続けよう。朝日が上るまで!命尽きるまで!」

 

朱紗丸の背中から腕が四本生え、計六本になった。

 

「腕が増えた……!」

 

「キャハハハハ!受けてみよ!!」

 

朱紗丸は六つの毬を投げつけた。

 

「くっ!」

 

炭治郎は毬を斬りつけて回転と威力を殺いでいく。

 

だが毬は依然として炭治郎に向かって行く。

 

(血の臭いは二種類。鬼は二人いる。どこにいるのかは臭いで分かるのに……行かせてくれない!)

 

(くそっ!どうすればいいんだ……!)

 

「おい!間抜けの鬼狩り!」

 

愈史郎が叫んだ。

 

「矢印を見れば方向が分かるんだよ!矢印を避けろ!」

 

(矢印!?)

 

「俺の視覚を貸してやる!そうすれば毬女の頸くらい斬れるだろう!」

 

愈史郎はピンで刺した札を炭治郎の額に投げる。

 

「これは……!」

 

炭治郎の目には黒い矢印が毬の軌道を操っているのが見えた。

 

「愈史郎さん!ありがとうございます!禰豆子、木の上だ!」

 

「!」

 

兄の指令を受けた禰豆子は木の上に隠れていた矢琶羽に攻撃を仕掛ける。

 

「キャハハハハハハ!!」

 

朱紗丸は気にも留めず、激しい攻撃を続ける。

 

「全集中・水の呼吸 陸ノ型・流々舞い!!」

 

炭治郎の流れるような斬撃は毬を全て叩き落とした。

 

「珠世さん!この二人から必ず血をとってみせます!」

 

炭治郎の反撃が始まる。

 

 

 

一方、森の中──

 

「はあ…はあ…はあ……あ、あり得ねぇ………」

 

【………………………】

 

五体いた鬼の内、四体はガイバーⅠに頸を斬られた。

 

最後に残った鬼は追いつめられていた。

 

【お前に聞きたいことがある】

 

ガイバーⅠは鬼の頭部をむんずと掴む。

 

【お前を鬼に変えた奴はどこにいる?】

 

「し、知るものかよっ!」

 

【………………………】

 

ガイバーⅠは掴んだ手の力を強める。

 

「あ、がっ!?」

 

【このままお前の頭を握り潰す。お前ら鬼は頸を斬られないと死なないんだろう?なら頭を潰されたくらいじゃなんともないんだよな?】

 

「ま、待ってくれ!本当に知らないんだ!俺が街で浮浪屋をしてたら時にふらっと現れたんだ。その後俺は人間じゃなくなったんだ!」

 

【ふらっと、か。じゃあ、お前はそいつが何者なのかはわからないんだな?】

 

「そ、そうだ!俺は知らないって言ってるだろう!」

 

【ふっ。なんてことはない。お前を鬼に変えた奴は人を鬼にしておいて肝心な時に隠れてばかりの意気地無しの臆病者だったということか】

 

「て、てめえ無惨様に向かって…………あ」

 

鬼舞辻無惨の名を呼んだ鬼に異変が起きた。

 

【!?】

 

異変を感じたガイバーⅠは思わず離した。

 

「た、たしゅけ……!」

 

鬼の口から腕が飛び出し、鬼を容赦なく破壊した。

 

【…………………………】

 

その光景に、ガイバーⅠは一歩も動けなかった。

 

【なんだ………これは…………】

 

「あの方の名を呼ぶことは許されない」

 

【!?】

 

ガイバーⅠが振り返ると、男が立っていた。

 

 

 

【鬼、だな?】

 

「いかにも。もっとも、ただの鬼ではないがな」

 

男は顔を上げた。

 

男の右目には下弦陸とあった。

 

【目に数字がある鬼、十二鬼月とやらか】

 

「そうだ。私は十二鬼月が一人、下弦の陸釜鵺。貴様があの方が殺せと言った化け物か」

 

【どうだろうな】

 

「ふふふ。貴様があの方と何があったのかは知らないが、命令は果たさせてもらうぞ」

 

【こいつ……俺と鬼舞辻無惨とのやり取りを知らないのか?】

 

ガイバーⅠは疑問を覚えつつも構える。

 

「くくく……かあっ!!」

 

釜鵺が咆哮を張り上げる。

 

【!?】

 

その瞬間、ガイバーⅠの全身が斬り刻まれた。

 

【ぐ……!】

 

「ほう?加減したとはいえ、私の血鬼術を受けて持ちこたえるか」

 

【い、今のは、鎌鼬……?】

 

「当たりです。声の高さに比例して鎌鼬を生成できる。これが私の血鬼術」

 

【やっかいな……!】

 

「ではもう少し音量を上げて……かああっ!!」

 

先ほどよりも威力の高い鎌鼬がガイバーⅠに襲いかかる。

 

【くっ!】

 

ガイバーⅠは鎌鼬の射線から急いで離れた。

 

「考えることは一緒ですねぇ!きぃえぇぇっ!!」

 

釜鵺は鎌鼬を纏った手刀を振り下ろす。

 

【!?!?!?】

 

ガイバーⅠの右腕は斬り落とされた。

 

「くくく、これでぇぇぇっ!!」

 

釜鵺は範囲を広げた鎌鼬を放つ。

 

【こおおぉぉぉぉっ!!】

 

ガイバーⅠはソニック・バスターを放った。

 

「!?!?!?」

 

ソニック・バスターの振動波は鎌鼬を掻き消し、釜鵺は蹲らせた。

 

「ぐっ……ががが!?や、止めろ……!」

 

【うおおおおおっ!!】

 

ガイバーⅠは一瞬の隙を突き、釜鵺の頸を高周波ブレードで斬った。

 

「ばかな……十二鬼月であるこの……私が………!」

 

釜鵺は敗北を信じられないまま、消滅した。

 

【あ、危なかった。これが十二鬼月か……!】

 

ガイバーⅠは十二鬼月の恐ろしさを身を持って知った。

 

【今のは下弦の陸。あれで最下位だってのか……?】

 

ガイバーⅠは落ちた右腕を拾おうとした。

 

「ふふふ。釜鵺、相変わらず詰めが甘いのね」

 

【!?】

 

突如響いた女の声に、ガイバーⅠは辺りを見渡した。

 

「ふふふふ………そしてあなたもね、怪物さん」

 

【っ!そこか!】

 

ガイバーⅠは近くの木にヘッドビームを放つ。

 

だがそこには誰もいなかった。

 

【どこだ!】

 

「こっちよ」

 

【!?】

 

右腕に違和感を感じたガイバーⅠは振り返った。

 

 

 

そこには、斬られた右腕から体内に侵入しようとする、女の鬼がいた。

 

女の鬼の目には下弦肆とあった。

 

【じゅ、十二鬼月!】

 

「ご名答。十二鬼月は下弦の肆、零余子。やるじゃない、釜鵺を倒すだなんて」

 

【お前、何、を……】

 

「私の血鬼術は獲物の体内に入ること。そして中から血肉を食べるのよ。安心して。皮は食べないから】

 

【く……や、止めろ……!】

 

「だ~め」

 

零余子はガイバーⅠの体内に完全に侵入した。

 

(ふふふ。いただくわ………ん!?)

 

零余子は不快感を感じた。

 

(呆れた。こんなに不味いなんて。この失望は高くつくわよ)

 

零余子は暴れ出した。

 

【ぐ……あああああっ!!】

 

ガイバーⅠは激痛にのたうち回る。

 

(苦しみなさい。そして死になさい。これで私も上弦に………)

 

零余子は恍惚に浸る。

 

故に気づかなかった。

 

(!?)

 

自身の異変に。

 

(何!?なんなのこれは!?)

 

零余子は自身の肉体が溶けていくのがはっきり感じ取れた。

 

(そ、そんな!?あり得ない!?あり得ない!?わ、私が……………)

 

(い、いや………いやぁぁぁっ……………)

 

零余子は肉体も意識も完全に溶けてなくなった。

 

 

 

【……………………………………………………】

 

ガイバーⅠは蹲った。

 

【なんて………ことだ…………】

 

ガイバーⅠは自身の体を見つめる。

 

 

 

【ガイバーが鬼を……喰った………】

 

 

 

ガイバーⅠは、零余子を完全に吸収した感覚があった。

 

その証拠に、ガイバーⅠの右腕は斬られた部分から生え、完全に復元した。

 

【は、ははははは……………】

 

ガイバーⅠの頭に、しのぶの前で殖装した時の場面が呼び起こされた。

 

【あの時は……自虐の意味も籠めて言ったつもりだったけど……これじゃ本当に………】

 

【化け物じゃないか……!】

 

ガイバーⅠは両手をつき、絶望した。

 

【ごめん……父さん………】

 

ガイバーⅠは、額のコントロール・メタルに触れた。

 

自身の日常を狂わせた元凶を葬るべく、指先に力を入れようとした。

 

【これで………】

 

ドーーーーーン!!!

 

【!?】

 

診療所の方から爆発するような音が響く。

 

【あれは……炭治郎か!?】

 

ガイバーⅠは顔を上げ、友のことを思い浮かべた。

 

【そうだ。まだ終わってない……!】

 

【炭治郎のことも、元の時代に帰ることも、何一つ終わってない!!】

 

ガイバーⅠは悲しみを押し込め、走り出した。

 




次回、決着&超ネガティブ剣士と出会います。



鬼滅の規格外品こそこそ話

朱紗丸と矢琶羽に集められた鬼たちは鬼になって日が浅い者ばかりだぞ!
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