本日二回目の投稿です。
「傑はそういうことするタイプじゃないし、タイプだったとしてもこんなオタクに手を出すなんてありえないよ。断言していい、傑はあの子を知らない。あの子はただの傑のストーカーだよ」
「こんなオタクって、好きだったんじゃろう? そんな言い方……」
「記憶が戻ったのですか?」
「何も覚えてない。覚えてないけど。この世で俺だけは、そいつをそんな奴って言っていいんだよ」
そう言って、写真を撫でる。自分でも、優しい目をしているのがわかる。
「二度目の一目惚れか。そうじゃろ? そうなんじゃろ!?」
「そういうのじゃないけど……。何があったのかは、予想つくよ。ああ、見えるようだ」
きっと、出会った時から、彼女は夏油だ五条だとキャーキャー言ってたに違いない。腐女子だったのかも。それも十分にありえるな。うん。そこに、恋愛はなかったに違いない。でも、強烈な仲間意識はきっとあった。
「きっと、俺は彼女に振り回されてた。好きな子とか、話し合って。秘密を打ち明けて」
『私、オリ主なの! だから夏油様を救わなきゃ!』『じゃあ俺は理子ちゃんかな。俺もオリ主だし』
『あんた呪力ないでしょ』『でもハリポタ魔法使えるぜ』『ファーw 何それチート!』
そうやって、ふざけ合って、たまに、転生した不安や弱音を共有してたに違いない。
「これ、小鳥の目なんだな。いろんな物、いっぱい見ないとな。術式引き継げなくてごめんな」
何故だろう。涙が、ポロポロと溢れてくる。
「ああ、梟! 梟、妾が夏油をぶっ飛ばしてやる! 天誅じゃ!」
「だから、傑は関係あるけど、全く関係ないって」
そうだ。これはきっと、俺と彼女の物語。
だから、終わらせよう。彼女を火葬して。綺麗なままで終わらせてしまおう。
物語はめでたしめでたしで終わらせねばならない。
「傑には、百鬼夜行の迎撃を頼まないとだし、怒るの禁止。傑の予定は?」
「夏油さんと五条さんと甚爾さんは三日ほどノンストップで依頼です」
「手が空いておるのはお主ぐらいじゃぞ」
「最近、恵くんだけでなく甚爾さんも返却を求められているくらいですから」
……やれやれ。呪術界って、本当にブラックである。
三日は準備と株取引と書類整理でもやっておくかな。
その日、夢を見た。
『だから、クリスマスに2人の愛は完成するの! それ以降は全て蛇足なの! それはそれで素晴らしいラブストーリーだと思うけど、プラスウルトラ! 私はプラスウルトラが見たいわけよ! わかる!?』
『うん、腐ったものは大事に蓋して隠しておけ?』
『そう、あなたならそう言ってくれると思ったわ!! ラブイズ世界を救う!』
『今のなんて訳したの?』
『五条先生と夏油先生のラブを隅っこから見守る……これが私のジャスティス!!!』
『どんな正義だ』
『そういうことで、作戦を考えたのよ! まず虎杖母を襲うでしょ……』
『へっぽこなお前がメロンパン様を倒せるというならやってみろよ』
『そこは尾田がいるでしょ』
『呪霊見えませんが?』
ああ、やっぱり。奇跡って、あるんだな。
枕は涙でびしょびしょだったが、これ以上なく爽快な気分で俺は目覚める。
「さ、やりますか!」
「ということで、傑が梟の女を寝取ってた件について!」
「私に心当たりはないよ!?」
そう言いながらも、ハラハラしている様子である。
「この人です」
黒井さんが、ペラりと写真を見せる。
「ちょっ やめて差し上げろ」
俺は写真を取り戻す。夏油はびっくりした顔をしていた。
「小鳥ちゃん?」
「は?」
「傑まじで?」
「よく分からない理由で、手ひどく振られちゃったんだよね。その後、行方不明になっちゃって……。そっか。魔法使いの争いに巻き込まれて亡くなっちゃったのか。守ってあげられたら……」
「あ? 俺は死体はちゃんと……ちゃんと、なんだ? 覚えてない」
ぞわり、と体が震える。なんだ。なんだこれ。
そうだ。俺が魔法チートなんだから、あいつが術式チートでもおかしくない。
「っもしも、もしもメロンパンに死体が奪われてたとしたら、俺はっ……」
「術式は? あー。記憶がねーのか。注意しといたほうがいいかもな」
「そ、そうじゃ! 傑を振ったと言うことは、本命はお主かもしれんぞ!」
「ないわー」
俺は迷わず断言する。あいつにあっても俺はない。そして、同じようにあいつもないだろう。
だってお互いネクラオタクだもの。
「どうして振られたんだ?」
「あー。女に現を抜かす夏油様は解釈違いです、ないです。眺めるのは好きでも眺められるのは嫌いなので見ないでください、だって」
「ファーwww そういう所ありそう。あるわ絶対www」
「本当に記憶ないんだよな?」
「魂の友だからな。それぐらい、記憶がなくてもわかるわ」
「ラブラブじゃん」
「負けたなぁ。ね、小鳥ちゃんの目、見せて」
「それ、俺も気づかなかった。確かに、言われてみれば違和感あるかも」
イケメン2人が俺の目を見る。目が! 小鳥の目が眩しさに潰れてしまうからやめてさしあげろ!
「でだ。甚爾さん。傑。俺がなんとか小細工するから、百鬼夜行の対応を頼みたい。ドラゴンは甚爾さんに一番懐いているし、大勢を相手にするなら傑は外せない。悟は根回しをお願いする。呪術規定については、全て魔法だということで呪術の存在は誤魔化す方向でいきたい。悟には説得の為にボガートを渡す」
「「「わかった」」」
見てろよ、小鳥。
楽しい楽しいお祭りを、お前の瞳に余すことなく映してやるから。