知らない天井だ。
っていうか、覗き込んでくる顔も、自分の名前も、何も知らない。
「誰? っていうか俺が誰?」
「記憶喪失かよ、雑魚な上に面倒くせぇな」
「悟。そういう事は思っていても言うものではないよ」
「君の名前は小鳥 梟。ここ、東京都立呪術高等専門学校の生徒だよ」
「……?」
「ああもう、本当に面倒だな!」
その後、色々と説明を受けた。
とりあえず、部屋に連れて行かれる。
全く覚えがない。
携帯も当たり前のように開けられない。
色々見ていると、押し入れにトランクが見つかった。
トランクを開けると、普通の中身。なんとなくダイヤルをいじってまた開けると、中に階段があった。
質量保存の法則とは一体。
いろんな薬品や道具や本が保管してあったけど、これ全部見るの?
肩を落として、トランクを出る。
これから、訓練である。
なんだか不安だ。
俺は杖を持って訓練の場へと向かった。
「じゃあ、軽く戦うぞ。なんだその棒っきれ」
「武器がないとって思って」
「呪具?」
「いや。違う。単なる棒だ」
悟と傑はゲラゲラ笑う。
「あーもう、ほんっとう雑魚。お前、なんで呪術師やってんだよ」
「知らない」
「そうか、記憶喪失だもんな。やめたら?」
「そんな事言われても、何が何だかわからないし。状況をもっと把握してからにする」
「そっか。そうだよな。じゃあ、状況を教えてやるよ!」
「プロテゴ!!」
バックステップで避けつつ蹴りを防御呪文で防ぐ。
しっかりと杖を握って、動かして。口は勝手に動いていた。
「は?」
「は?」
「次はこちらから行くぞ!」
「ちょ、ちょっと待てよ!」
「ステューピファイ!!」
杖を振って、光が悟に向かって走り……止まった。なるほど、やるな!
「無言呪文とは、さすがだな! そっちからは呪いを掛けてこないのか?」
「さっきの術、呪力を感じなかった。六眼がそれは呪術じゃないって言ってる。なんだそれ」
「魔法に決まってるだろ。呪力とか六眼とかなんだよ」
「「……」」
悟達と距離が遠い。3人でボソボソと感じ良くないぞ。
「とりあえず、どんな魔法が使えるの? 梟」
「箒とか乗れんのか?」
傑と硝子が質問する。
「箒なんて魔法学校で一年生から習うじゃないか。当然乗れる。覚えている魔法か? プロテゴとエクスペリアームズは問題なく使える。悪霊の火はうろ覚えだ。後はナメクジをゲップの代わりに吐き出させる呪いと、ステューピファイと、魔法貴族の嗜みとして閉心術もできるぞ」
「マホウガッコウ」
「魔法貴族」
「そのナメクジゲップ魔法、傑にやってみて」
「硝子、鬼かな?」
「そう言えば、小鳥 梟は戸籍がないと言っていて用意してやったな。……なんで見えるだけの相手に用意したんだ……? 覚えがない……」
夜蛾が頭を押さえる。
「ウケる。夜蛾セン、洗脳されてんじゃん」
俺は、ムー、と考えた。
「君らは、魔法使いではないのか?」
「ち「いや。魔法使いだ。梟がどこまで覚えているか知りたいから、出来ることを一覧にしてくれ」」
そんなこと言って、嘘じゃない? 俺が戸惑っていると、夜蛾先生は人形を操った。
なるほど魔法使いだ!!
ほっとした俺は、でも念の為当たり障りのない呪文と効果を一生懸命書き綴った。
同級生三人と先生が覗く。
「色々できるんだな」
「すご」
「等級違いの呪霊が相手できたの、これか」
嫌な予感がした俺は、傑に聞いた。
「傑はどこまで魔法が使えるの?」
「いや、使えないよ? 私は呪術師だしね。魔法使いのスパイさん♪」
「?? ……ええええええ!!! スパイなの俺!?」
「どう見てもスパイだろ」
「任務教えろ」
「とりあえず報告してくる」
夜蛾先生は行ってしまう。そんな〜!
「ってことで、荷物チェックしようぜ!」
「私は携帯の中身チェックをするよ。パスはわかるしね」
なんでやねん。
そして、任務の書籍が見つかった。
『マグル界に逃げ出した魔法生物の討伐の為のマグル学校侵入指示書』
「おおー! 格好いい!」
「仕方ない、協力してあげるよ」
「でも呪霊倒すのも手伝えよ!」
こうして、俺は所属バレしたスパイをする事となったのだった……。
ところで呪霊って何?
謎は多い。