「魔法界行きたい! 行きたい行きたい行きたい!!」
ぴゃあああああと泣きじゃくるミミナナ。
トランクの中で、俺は色々と準備をしていた。
津美紀は涙目だし、恵は無言で訴えている。行きたいと。
灰原は楽しそうで、七海もちらちら見てくるのが隠せていない。
「危険だからだーめ」
そういって、プロテゴのお守りを一つ二つ。
そして、いそいそと準備する男が2人。
「いっぱいお土産買ってくるからね」
「なんでいく気満々なのかな、傑、甚爾」
「そんな……! 連れて行ってくれないのかい!?」
「ゼッテーついていく」
「罠の可能性もあるんだし、ダメに決まってるだろ……」
「ずるいぞ連れてって(罠ならなおさら)!」
「本音と建前逆ですが? ……本格的に犯罪者だとわかってさ。しかも、犯罪者と敵対してて、今も俺の思想は犯罪者より。仕方ないだろ」
「仕方なくない! 私は自分の身は自分で守れるよ、君が心配なんだ!」
「ドラゴンよりは弱いんだろ、魔法使いの奴ら」
はああ。
「まじで邪魔するなよ?」
ということで、2人を連れて魔法界に向かった。
いざ、ショッピングである。
欲しい物は色々ある。
目を輝かせながら、あと、2人に注意しながら店を回っていると。
「クィディッチのチケットが販売、だと……?」
……欲しいものは、色々ある。
「行けー! がんばれー!」
「わあああ! がんばれー! がんばれー!」
「猛虎チームに百ガリオン!」
箒が、ボールが激しく飛び交うのを応援する。
魔法界の観光といったらやっぱりこれだよね! クィディッチ万歳!!
傑も甚爾さんも楽しんでくれている。
100ガリオンの資金源は後で問い詰めておかないと。
散々騒いで、バタービールを飲み、たっぷり魔法界の軽食を食べた。
大満足でクィディッチ会場を後にした。
ところで、お分かりだろうか。
クィディッチは場合によっては三日もかかる競技である。
お分かりだろうか。
「夏油様あああああああ!」
「夏油様、心配しましたああああ!」
「戦闘でもあったのですか?」
「治療薬出しときました!」
泣きついてくる子供達。睡眠不足で目を真っ赤にした大人。俺は静かに土下座した。
さて、悟も心配していたそうなので、お土産持って高専に任務をもらいに行きますかね。
高専に入ると、授業中に関わらず、悟が転移してきた。
「梟! 傑と大人の階段登ったってマジで!? 俺は? 俺は!?」
「人聞きの悪いこと言うな!! 泡たっぷりのノンアルコールビールで酒盛りしただけだから!! 大人って泡が髭みたいになっただけだから!」
「だから俺は!??」
「はぁ……。悟と硝子の分はちゃんと用意してあるか「これ!?」」
手提げカバンに手を入れると、そのカバンごと強奪された。
「ちゃんと補助監督と先生方にも分け「わかってる!!」」
「はいはい」
「せんせー! 俺らもノンアルビール欲しいでーす! ヒゲはやして大人の階段登りたーい!」
「お、おい」
元気な生徒が窓から顔を出して声を上げる。それを別の生徒が止めている。
俺は笑顔でそれに応えた。
「おー! 飲め飲め、いっぱいあるから! ただし放課後な! 安心しろよ、本当にアルコールないから」
「あ“?」
「あ“? 何威嚇してんだよ、まさかお前生徒を怖がらせてないよね? ちゃんと可愛がってやってる?」
悟が生徒を威嚇したので頭ホールドしてさらに威嚇する。
「ちょうどいいから、授業参観していってやんよ」
「ああ? みてろよ、俺の完璧な授業っぷりを」
そうだ。悟の成長イベント潰しちゃってるんだから、気をつけるべきだったな。
ズカズカと乗り込んで、教室で見学。
うん。
うん。
いい先生してるじゃん。安心した。生徒が戸惑ってるように見えるけど、気のせいだろう。
「さすがだな! 超いい先生じゃん!」
「僕、最強だから」
ふふんと笑う悟。
放課後、一年生の教室に続々と生徒達が集まった。
準備のいいことに、つまみを持ってきてくれた。
悟は鼻歌を歌いながら、バタービールと魔法界のお菓子で常識的なものを出していく。
「ん、これだけ?」
「それは高専と五条家に配る用。悟と硝子にはまた別に、な」
関係各所にお世話になっていると、気を使うのだ。
「体がぽかぽかするー」
「せんせー。ヒゲがwww」
「ほんっとお前勇気あるな!」
「大人の階段登ってしまいましたね」
「梟さん、毎日授業参観に来てください」
「お願いします」
「そんなことしなくても、悟は毎日優しい良い先生だよな?」
「え?」
「これから傑と交代でしょっちゅう遊びに来ようかな。生徒に悟先生の話聞きに」
「がん、ばる」
悟がいう。当初と比べたら、まー可愛くなっちゃって。
お守りや回復薬筆頭に魔法グッズの効果すごいな!
「でもご褒美欲しいなー」
「今年の連休、硝子と傑と悟と俺で、すっごいとこ連れてってやる」
「絶対だぞ! 仲間外れは許さないかんな!」
硝子と悟が両側から身を乗り出す。
がしゃんと音がして、開き掛けたドアの隙間から傑が荷物を落としたのが見えた。
「わ、私を抜きにして梟が悟と硝子とラブラブしてる……?」
「あーもー。傑も来い来い」
そして同級生ハーレムが完成する。
愛の妙薬は使ってないからね? ドラゴン様様である。俺がいないとドラゴンとかとも会えないからね。
「梟さんって何者……?」
「術式なくて呪力が少ない人の希望みたいな人です。ちなみに一級ですが、実際に倒しているのは天与呪縛で呪力がない甚爾さんって人です。いっそ補助監督になりませんかってラブコールは送ってるのですが」
まあ、応じないよね。
キラキラした目で伊地知に見らているが、ごめん。俺、その代わり魔法が使えるんです。