【急募】父親を中二病から解放する方法    作:Pekky

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まず一言

ごめんなさい!!

いつもの掲示板形式ではなく、その後の出来事的な幕間です

さっさと次のスレ行けや! という方にはガッカリさせて申し訳ない。

加えて、かなり賛否分かれる内容かと思います。

なんだったら、今回の話は無かったことにして次回から読んでもらっても構いません。

この小説は作者のクソ下らない妄想を垂れ流すものだとご理解いただいた上で楽しんでもらえれば幸いです。


幕間  揺れ動く社会! 戦慄の隔離病室!?

 その日、世界が震撼した。

 

 誰もが知るNO.1ヒーロー。平和の象徴と称えられる社会の柱。

 

 オールマイト――――墜つ。

 

 絶対の正義。最強の力。犯罪の抑止力。

 

 様々な偉業と共に語られる彼の不敗神話の終わりは、多くの人々が絶望した。

 

 誰もが思っていた。

 

 オールマイトがいれば大丈夫。オールマイトは負けないと。

 

 どんなヴィランが現れても。どんな犯罪が行われようとも。

 

 彼さえいれば、自分たちは無事に明日を迎えられるのだと。

 

 そんな輝かしき幻想が、音を立てて崩れ去った。

 

 日陰の者たちは歓喜した。

 

 どれだけ社会に不満を持とうと、燻る想いを抱えても耐えてきた。

 

 どうせ自分たちが立ち上がったところで、何も出来ずに終わるのだと。

 

 全ては彼が――――オールマイトの存在があったからこそ。

 

 絶対に勝てない。絶対に倒せない。

 

 神格化と言っても差し支えない程の確信。

 

 どんな闇も搔き消してしまう究極の光。

 

 彼がいる限り、惨めに這いつくばっているしかないのだと思っていた。

 

 だが違った。

 

 あったのだ。光すら呑み込む無明の闇が。

 

 平和の象徴すら打ち砕く恐怖の権化が。

 

 彼に続け。俺達だってやれるのだ。何かを成して見せるのだ。

 

 歪んだ奮起は伝染病の如く広がり、暗く大きく膨れていく。

 

 人々は叫んだ

 

「オールマイトはどこだ!?」

 

 ヴィラン達は叫んだ

 

「オールフォーワン万歳!!」

 

 各々が信じる象徴を胸に、社会は揺れ続ける。

 

「政府はオールフォーワンの存在を認知していたのでしょうか!?」

 

「なぜ他のヒーローの支援がなかったのですか!」

 

「例の掲示板と配信に対してなんの対応も出来なかったのでしょうか!!」

 

「オールフォーワンの娘という人物について分かっている事は!?」

 

「オールマイトは――――」

 

「オールフォーワンは――――」

 

 彼らは今、何処にいるのか?

 

 全てのカギを握るのは、ハンドルネーム「スーパー娘」。

 

 ただの掲示板スレッドから社会崩壊一歩手前まで演じて見せた悪魔。

 

 オールマイトもオールフォーワンも彼女に持ち去られ行方知らず。

 

 誰もが知りたがっている。彼らの安否を。

 

 オールマイトは死んだのか? オールフォーワンは生きているのか?

 

 警察もヒーローも、血眼になって彼等を探した。

 

 社会の混乱の対処に追われながら、いまだ希望に縋るように。

 

 ヴィランであってもそれは変わらない。

 

 今度は自分たちが絶対の象徴の元、大手を振って生を謳歌するのだと。

 

 どこだ

 

 どこだ

 

 どこだ

 

 どこだ

 

 オールマイトは

 

 オールフォーワンは

 

 彼等はいったいどこだ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここぉ!!」

 

 そこは窓一つない部屋だった。

 

 消毒液の匂いが染みついた清潔な空間。

 

 某県某市。某病院の地下に存在する隔離施設。

 

 病床が20は並べられそうな広い場所に、たった二つのベッドが向い合せに置かれていた。

 

「…………」

 

「…………」

 

「お、切れずにむけた!」

 

 ベッドとベッドの中間。そこで椅子に座る一人の少女。

 

 ナイフでリンゴをむき、綺麗な球体を作り上げていた。

 

 己を挟んで殺気を向け合う象徴共などお構いなしだった。

 

「……どういうつもりだ? オールフォーワン」

 

「どう、とは? 悪いが質問は正確に頼むよオールマイト」

 

「兎が一羽~兎が二羽~」

 

 病衣を纏い、全身を包帯に包んだミイラの如き風貌だが、その眼力は衰え知らず。

 

 視線で人を殺すどころか、今にも目からビームでも出そうな域の圧だ。

 

「私を生かすだけでなく治療するなど、どういう企みなのかと聞いているんだ」

 

「僕に聞かれても困るな。むしろ訳を聞きたいのは僕の方なんだぜ?」

 

「兎軍団完成!」

 

「「おい」」

 

 期せずして、オールマイトとオールフォーワンの呼びかけが被った。

 

 その事実が不快で仕方ないとばかりに互いをギンッと睨んでから、再び件の少女に目を向ける。

 

「君は工場で会った少女だね? いったいどういうつもりなんだ」

 

「不本意だが同感だよ。そろそろ説明してくれないかい――――(はふり)

 

 オールフォーワンが彼女を葬と呼んだ、そこに込められた確かな親しみ。

 

 二人が旧知の間柄だと察すには十分だ。

 

「やはりお前の部下なのか。こんな子供まで利用するなんて……ッ」

 

「部下……部下だって? はははっ。オールマイト、それはとんだ勘違いだ」

 

 オールマイトの憤りを、魔王は一笑に付した

 

「葬。NO.1ヒーロー様にご挨拶してあげなさい」

 

「はーい」

 

 兎を二つの皿に取り分けた少女――――葬が立ち上がった。

 

 髪と同じ白のワンピースの裾をつまんで、気取った様子でカーテシーをして見せる。

 

「初めましてオールマイト。あたしは死柄木(しがらき)(はふり)。あなたがオールフォーワンと呼ぶ彼の――――娘です」

 

「なっ……!」

 

 オールマイトの衝撃は如何程だったか。

 

 しかし改めて見れば、納得せざるを得ない。

 

 髪も目も同じ色。母親似なのか顔立ちは違うが、取り繕ったような笑みには血筋を感じさせた。

 

 自分の生涯をかけてでも打ち倒すと誓った怨敵。

 

 それが一児の親だったことも十二分な衝撃だったが――――

 

「あぁ……良い顔じゃないかオールマイト。理解したかな? この子の存在が意味することを」

 

「ッ……」

 

 オールフォーワンは鼻から上を包帯で包まれているが、歪みきった口だけで事足りた。

 

 そう。娘……つまり言い換えるならば――――

 

「そう――――僕を倒しただけじゃあ終わらないよ。僕の娘がいる限りね」

 

 すなわち、後継。

 

 元凶を倒せば終わるという希望を、真正面から砕く次の絶望だ。

 

 オールマイトは握り潰さんばかりに拳に力を入れた。

 

「貴様はっ――――!! どこまで悪意をまき散らせば気が済むんだ!?」

 

「どこまで? おかしな事を聞くなよオールマイト。もちろん――――どこまでもさ」

 

「オールフォーワンッッ!!!!」

 

 その答えに、オールマイトの理性が振り切れた。

 

 おそらく敵の拠点だという警戒も、自身が万全時の4割にも満たない事も頭から消え去った。

 

 憤怒に突き動かされるままに宿敵へと飛び掛からんとして――――

 

「はいストップ」

 

 その娘に苦も無く押さえつけられた。

 

「な、ぁ……!?」

 

 自分の腕の半分よりもさらに細い。白く華奢な腕。

 

 両肩を抑え込むようにベッドに押し倒され、そのまま動けなかった。

 

 全力の半分も出せない。決戦の消耗も色濃く残っている。怒りで視野が狭くなっていた。

 

 たとえそうだったとしても――――

 

「ハッハッハ! ずいぶんと無様な姿じゃあないかオールマイト? 平和の象徴ともあろう者が、僅か14歳の子供に手も足も出ないとは」

 

「くっ……!」

 

 反論できない事実に歯噛みするが、それ以上に驚きが勝っていた。

 

 かつてヒーローとしてアメリカで経験を積み、満を持して日本に帰ってきてから連戦連勝を重ねてきた。

 

 とりわけパワーで後れを取った事など一度もなく。オールフォーワンを除けばどんなヴィランも、オールマイトの半分の力にも対抗出来なかった。

 

 それがまさか、オールマイトからすれば幼いとさえ言える子供に抑えられる日が来ようとは。

 

「全力の時ならともかく、今の貴方ならあたしでも負けないよーだ」

 

「ぐっ……むぅ……!!」

 

 動けない。押し返せない。

 

 この事実が痛感させる。目の前の少女が、紛れもなくオールフォーワンの娘なのだと。

 

「さてオールマイト。自分の置かれた状況が十分に理解出来ただろう? せっかく助かった命だが、苦しむ時間が延びただけだったねぇ」

 

 オールフォーワンの言うとおりだった。

 

 相打つのが精一杯だった宿敵と、今の自分を平気で抑え込む葬。

 

 この状況で戦えば、どちらが屍を晒すかなど火を見るより明らかだ。

 

「葬、そのまま抑えつけておくんだよ。オールマイトの首は僕が落とす」

 

 バキリッゴキリッ!!

 

 オールフォーワンの右腕が歪な音を立てて変形した。

 

 肘から先が鋭利な刃と化し、照明の光を反射している。

 

「ようやくだオールマイト。もう君の目障りな笑顔を見なくて済むと思うと、とても晴れやかな気分だよ」

 

「くっ……オールフォーワン!!」

 

 必死に体をよじるオールマイトだが、葬が巌のごとく抑え込む。

 

 その様を味わうように見下し、オールフォーワンは起き上がった。

 

「さようならだ。精々、あの世で先代に許しを請うといい」

 

「あ、ちょっとパパ――――」

 

 不意に、葬がオールマイトからオールフォーワンへと注意を向けた。

 

 その好機を逃さず、オールマイトが力を振り絞る。

 

「あっ――――」

 

 失敗を悟った葬が振り返るが、時すでに遅し。

 

 追い詰められたヒーローから注意を逸らすなど言語道断。

 

 限界を超える事こそ、ヒーローの十八番と思い知るのだ。

 

「プルス――――」

 

 今こそ宿願を果たす時。

 

 亡き師との誓いを果たす時。

 

 ここが己の死地となったとしても――――

 

「ウルトラァァア!!」

 

 この命、今こそ燃やす時なのだ!!

 

「往生際の悪い男だ!」

 

「それが――――ヒーローだっ!!」

 

 平和の象徴、オールマイト。

 

 悪の帝王、オールフォーワン。

 

 その決着が、今度こそ果たされようと――――

 

 

 

 

 

 

「はいポチッとな」

 

 

「「ぐォォぉぉぉおおオオアアッッっ!!???」」

 

 

 

 

 

 しなかった!!

 

 葬が何処からともなく取り出したスイッチを押すと、二人の体を凄まじい痺れが襲ったのだ。

 

 ヒーローとして、ヴィランとして、最高峰に位置する二人は碌な反応も出来ずベッドに倒れ伏した。

 

 争いを止めるどころか、そのままトドメを刺さんばかりの超電流によって、二人の体から煙が立ち上っていた。

 

「まったくパパったら。なんのためにあたしが運んで治療してると思ってんの?」

 

 問いかけに、オールフォーワンは答えなかった。

 

 というか、オールマイト共々気絶していて答えられなかった。

 

「オールマイトもいい? ここにいる間は喧嘩は禁止! 大人しく療養しててよね!」

 

 指を突き付けて宣言するが、気絶していて(ry

 

「パパも耳をかっぽじってよく聞いて

 

 

 

 安価は、絶対

 

 

 

 守らないと後悔するんだからね!」

 

 その日から、きっかり二週間。

 

 オールマイトにとっても、オールフォーワンにとっても濃すぎる時間だった。

 

 互いに殺気ビームを撃ち合いながら、挑発し合って超電流にダブルKOされる毎日だった。

 

 治療してんだかゆっくり処刑してんだか分からない毎日を過ごし――――

 

 その後、平和の象徴は()()()()を果たした。

 

 その力に衰えはなく、むしろ戦いの日々の中で溜まっていた疲労が解消され、動きのキレが増してさえいた。

 

 民衆はその姿に涙し、舞い戻ったNO.1ヒーローに歓声を上げた。

 

 しかし、浮かれてばかりはいられない。

 

 オールフォーワンの生存も共に明かされ、触発された悪意が後を絶たない。

 

 加えて、その娘たる葬――――否、世間では「スーパー娘」として認知される存在。

 

 ネットではその模倣犯が続出し、名を騙って調和を乱す。

 

 脅威度こそ足元にも及ばない、ヴィラン犯罪とさえ言えない悪戯だ。

 

 だが確実に、その根を社会に食い込ませ始めている。

 

 それがどんな結果を生むのか……

 

 今はまだ、誰もわからない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃ、次は弔お兄ちゃんで遊ぼっかな!」




やっちまったぜ、という想いと

やり遂げたぜ、という想いが半々。

どうしてもな、こんな二人の掛け合いが書きたかったんや……

さて、ついに明かされたイッチことスーパー娘の本名

その名は 死柄木 葬(しがらき はふり)

え? 明らかに個性が完全記憶じゃねえだろって?

そっすね(開き直り)

そりゃあAFOの娘の個性が記憶力が良いなんてケチなもんな訳ないじゃないですかヤダー

次からは掲示板形式に戻ります。

次の標的は謎の兄貴(すっとぼけ)


狩人ニキの受難が、再び始まる(シリアス顔)
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