名家のウマ娘   作:くうきよめない

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番外編です。一章と二章の間くらいの時系列と考えてください。


番外編:譲れないもの

 HRの終わりを告げるチャイムが流れ、私はクラスメイトに挨拶をして誰よりも早く教室を後にする。

 廊下は走るもの、という校則を守り、今日も今日とてトレーナー室への道のりを駆ける。

 

 最近学校が好きだ! と言わんばかりに、私の生活は充実している。

 キタちゃんとトレセン学園に入学して、マックイーンさんの走りを間近で見ることができ、そんな彼女と同じトレーナーさんの下で指導して貰えているのだ。充実しないはずがない。

 そのトレーナーさんはウマ娘のことを一番に考えてくれているということを、指導してもらい始めてからより強く感じる。

 

 そして何より、あの御二方と一緒にいると凄く居心地が良い。

 それはひとえにトレーナーさんとマックイーンさんの仲が良いというのもあるのだろうが、一番は彼等の人柄の良さが出ているからだと思う。

 

 マックイーンさんは常に私のことを気にかけてくれているし、トレーナーさんは夏合宿の時のように私がここに早く馴染めるような機会を作ってくださった。

 おかげで今ではすっかり学園にもトレーニングにも馴染むことができている。

 

 新しいお友達、憧れの先輩、優しいトレーナーさん。短いながらも、ここに来て色々の出会いがあり、色々な経験をしてきた。

 

 

 お父様、お母様。私、このチームに入って良かったです。

 今日もダイヤは、誰かの期待に応えるよう頑張ります! 

 

 

 今一度気合を入れていると、早いことにトレーナー室の前へと辿り着く。

 

 ふとトレーナー室の近くに大きな段ボールがあることに気がつく。

 中身は……空? でも段ボールには大きくトレーニング用品と書かれてある。

 きっとトレーナーさんが中身を出して移動させた後なのだろう。こういう見えないところで苦労しているトレーナーさんには頭が上がらない。

 

 ふふっ、今日のトレーニングメニューはなんだろう。基礎トレ? 併走? それともタイヤ引き? 

 マックイーンさんやトレーナーさんとトレーニングできるなら、なんでも楽しみだなぁ。

 

 あの仲の良い御二方のことを思い浮かべながら、トレーナー室のドアを開け……

 

 

 

 

 

 

「一体何を考えていますの!? 貴方がここまでの分からずやだと思っていませんでした!」

 

「はっ、マックイーンこそ何も分かってないね! 普段一過言あるとか言っときながら、底の『浅さ』、見えてるんじゃないの?」

 

「なんですってぇ……っ! 貴方こそ何も分かっていない癖に!」

 

「人のことよりまずは自分を見直すべきだな。胸に手を当てて考えてみるんだ。おっと、当てるだけの胸も無いか! 失敬失敬!」

 

「上等ですわ! 貴方は私を完全に怒らせました! 表に出なさい! 今からその舐めたことを叩く口を黙らせてあげま……」

 

 

 そっとドアを閉じて今の光景を見なかったことにした。

 

 

 

 ***

 

 

 

 あの後、いつまでも現実逃避を続けているわけにもいかないので、渋々険悪な雰囲気にあるトレーナー室へと入った。

 

 二人は私が来たのに気がつくと言い争いをやめたが、やはり部屋の雰囲気は最悪だ。

 先程までトレーニングが楽しみだとか言ってウキウキでトレーナー室に向かっていた自分を今すぐにでも引き留めたい。

 

 しかしこうなってしまっては仕方がない。トレーナーさんもマックイーンさんも頑固な性格をしているため、一度こうなってしまっては時間が解決してくれるとは思えない。

 私がなんとかしなくちゃ。この状況はなんとかできるのは私しかいない。

 

「あ、あの、何かあったんですか? 私で良ければ話くらいは聞きますけど……」

 

「マックイーンが!」

「トレーナーさんが!」

 

 あ、これ無理です。私には手が負えません。

 

 勇気を出して聞いてみたが、反応からするに互いが互いを悪いと思っているようで、とてもじゃないけど穏便に事を済ます方法がない事が分かってしまった。

 

「だいたい、マックイーンが悪いんだ。僕の前でよくもまああんなふざけた事が言えたもんだね」

 

「なっ、それはこっちのセリフですわ! そもそもトレーナーさんは大人気がありません! こんなか弱いウマ娘と言い争いなんて恥ずかしくないんですか?」

 

「うるせぇなぁ、大人には譲れない物ってのがあるんだよ! それに自分で自分のことか弱いって(笑)」

 

「もういいです! 貴方がこんなにも私と相容れない考えを持っているとは思いませんでした! 実家に帰らせていただきます!」

 

 待ってくださいマックイーンさん、それだとマックイーンさんとトレーナーさんが……け、結婚しているみたいな言い方ですけどいいんですか? 確かに普段のお二人はお似合いだと思いますけど……

 

 そんなことを考えていると、マックイーンさんはトレーナー室にある自分の荷物をまとめ出した。

 トレーナーさんもそれを止めようとしないところを見ると、事態は思った以上に深刻だということにようやく気がつく。

 

「ト、トレーナーさん! 何があったかは分かりませんが、マックイーンさん本気ですよ!? 止めなくていいんですか!?」

 

「いい。あいつが考えを改めない限り、僕から言えることは何も無いよ」

 

「そ、そんな……」

 

 トレーナーさんにマックイーンさんを止めてもらおうと促したが、彼はぶっきらぼうにそう答えた。マックイーンさんだけでなくトレーナーさんも本気だ。

 

 なんとかしなくてはならないとは思っているが、私では力不足だということを感じさせられる。

 せっかく最近調子付いて来たというのに、こんなところでチームが崩壊してしまうなんて思ってもいなかった。

 

 

 お願いします、神様。どうかこの状況をなんとかしてください……! 

 

 

 出来ることは神頼みくらいしかなく、天に向かって力強く願うと……

 

「アタシが神だあああああああああああああああああああああ!」

 

「きゃあああ!? ゴ、ゴルシさん!? どうして急に床から生えてきたんですか!?」

 

「おう、ちょうど今アタシ達ここの一個下の階の部屋を占領してんだよ。ナカヤマ達と賭け……んんっ、ちょっとした楽しいことをな」

 

「は、はぁ……」

 

 答えになっているようで答えになっていないゴルシさんの返答を聞き、私はさらに困惑してしまう。

 

「ゴールドシップ、貴方達がここの下で何をしていたのかは深くは聞きませんが、今は何故ここに来たのかということはお聞きしますわ」

 

「大した理由じゃなかったら床の弁償代しっかり払ってもらうからな?」

 

 マックイーンさんとトレーナーさんは怖い顔をしてゴルシさんに詰め寄る。喧嘩していてもこういう時は仲良いんですね。

 

「およ? アタシは上で面白そうな会話が聞こえてきたからここに来ただけだぜ? なんでも、『当てるだけの胸も無い』だの『実家に帰らせていただきます!』だの聞こえてきたら誰だって気になるだろ?」

 

「「……」」

 

 それが床から生えてくる理由にはなっていないが、ゴルシさんの正論に二人は黙ってしまう。こういう時も仲良いんですね。

 

「あ、あのゴルシさん。どうにかお二人を止める方法ってありませんか?」

 

 当たり前だが、ゴルシさんも二人が言い争っている理由を知らないようだ。

 でもどうにかして二人を仲直りさせたいと思い、ゴルシさんに相談を持ちかけてみる。

 

「ダイヤ、無駄だ。お前は正義の反対は何か知ってるか?」

 

「せ、正義の反対……? 悪……ですかね?」

 

「ふっ、甘いな、ダイヤは。正義の反対はまた別の正義。どちらか一方が己の正義を相手に認めさせることでしか事態は収束しないのさ」

 

 無駄に良い声でそんなことを言うゴルシさん。

 つまり話し合いでは解決できないということかな。でもそれじゃあ仲直りどころか、さらに二人の仲が悪くなってしまう。

 

「な、なんとかならないんですか……?」

 

「ゴルシちゃんに任せときな。こんな面白そうなこと、このアタシが見逃せるわけねぇっての! 必ずやなんとかしてみせるぜ!」

 

「今面白そうって言いました?」

 

「言ってない」

 

「言いましたよね?」

 

「言ってない。おうおうお二人さん、さっきから雰囲気最悪じゃねぇか。こんな時はスペリオル海の水引っこ抜いて落ち着こうぜ?」

 

 私の追求を無視してゴルシさんはマックイーンさんとトレーナーさんに話しかける。

 

「……僕達をおちょくりに来ただけならさっさと帰るんだな。誰かさんのせいで、今の僕はそんなに機嫌が良くない」

 

「同意見ですわね。もっとも、こんなことを言えるのもこれで最後になるわけですけども」

 

 いちいち言葉に棘を挟む二人。こんな状態からゴルシさんは本当になんとかできるのだろうか。

 

「そんなに互いが気に入らないなら、何か勝負すれば良いんじゃねぇか?」

 

「勝負?」

 

 ゴルシさんの一言に、トレーナーさんは短く反応する。マックイーンさんも耳がピクリと動いた。

 

「おう、勝負。勝った奴が負けた奴の言う事を聞く。シンプルだろ?」

 

 いや、流石にそんなことではお二人は釣られないと思うけど……

 

「乗った。考え無しのマックイーンに、いかに自分が愚かなことを言っていたか分からせてやる」

 

「望むところですわ! トレーナーさんが間違っていて私が正しいということを、思う存分その身に叩き込んであげます!」

 

 なんてチョロいんだこの人達は。

 

 そういえば、トレーナーさんもマックイーンさんも超が付くほどの負けず嫌い。譲れないものを賭けての勝負と聞いて黙っていられなくなったのか。

 

 でも勝負と言っても、実力が絡むもの、運が絡むもの、そのどちらも要求されるもの等、ここでは語り尽くせないほど色々ある。

 

「ゴルシさん、勝負って何をするんですか? あんまり手応えがなかったらお二人は納得しないと思うんですけど……‥」

 

「お、おう、意外とノリノリだな、ダイヤ。でも、良い質問だ! ここはトレセン学園! 実力派揃いのウマ娘が集う場所! 後はもう分かるな?」

 

 私達ウマ娘が何を目指してここに来るかというと勝負内容は……

 

「レースですわね! 良い考えだと思いますわ! さあトレーナーさん、ターフへと参りますわよ! 距離は3200mで構いませんわよね?」

 

「ふざけんな! こちとら普通の人間だぞ! 勝てるわけねぇだろ!」

 

「あら、そんなこと承知で言っていますわ。人間がウマ娘に勝てるわけがありませんもの」

 

「こんの性悪令嬢……ッ!」

 

「ああもう! マックイーンさんもトレーナーさんもすぐに喧嘩しないでください!」

 

 話が進まないので、無理矢理マックイーンさん達を黙らせる。

 喧嘩するほど仲が良いとは言うが限度があるだろう。

 

「それで、ゴールドシップ。勝負内容はレースですよね? レースですわね。ジャージに着替えて来ますわ」

 

「そんな焦んなよ、マックイーン。あたしは一度もレースなんて言ってないぜ?」

 

「は? レースじゃないなら何を……」

 

「アタシ達の使命は走ること! だが、何もレースに限った話じゃねぇってことだ! というわけで、お前達にはこれから制限時間付きの鬼ごっこをしてもらう!」

 

 おにごっこ、というといわゆる追いかけっこというものだろうか。

 実際にやったことはないので聞いた話でしか私は考えることができない。

 

「ゴールドシップ、なんでもってまた鬼ごっこなんだ?」

 

「んなもんアタシが面白ぇからに決まってんだろ。それともなんだ、やっぱりレースにしとくか?」

 

 トレーナーさんは至極当然な疑問をゴルシさんにぶつけると、彼女はついに自分が面白がってることを隠そうとしなくなった。

 そして彼女のレースに変えるかという問いに、トレーナーさんは少し考え込み口角を上げてニヤリと笑う。

 

「…………いや、それでいい。でも僕が不利なことは変わらない。ゴールドシップ、ある程度条件をつけさせてもらうがいいか?」

 

「無理ない内容なら構わないぜ」

 

「なら……まず制限時間は三十分、最初に逃げる時間は三分だ。次に、範囲はトレセン学園全体。相手から逃げる、相手を捕まえるなら犯罪行為以外何をしてもOK。そして逃げる側は僕だ」

 

「構いませんわ。むしろまともな提案が出てきて驚いてすらいますわね」

 

「まともな提案してなかった奴が言えたセリフじゃないなぁ」

 

 マックイーンさんの言う通り、トレーナーさんの提案はどちらか一方が極端に不利になるような内容ではなかった。

 でもいいのだろうか。条件は公平なものだけど、ウマ娘と人間とでは基礎体力が違いすぎる。

 マックイーンさんではないが、この条件で人間がウマ娘に敵うとはとても思えない。

 

「トレーナーさんが条件を付けるなら、私も条件を付ける権利はありますわよね? では鬼側の私はダイヤさんを仲間に引き入れますわ」

 

「ええっ!? マックイーンさん!? 流石にそれは……」

 

「問題ない。むしろなんでもありのルールだ。これくらい想定内だよ」

 

「トレーナーさん!?」

 

 まさか自分が巻き込まれるとは思っていなかった。

 どちらかに肩入れするような形になるのは私としても不本意なのだけれど……

 

「ようし、決まったな! んじゃ、三十分経ったらここに戻ってくるって事で、アンタが部屋を出て三分後にスタートな?」

 

 ゴルシさんが音頭を取り、ようやく話が進む。私はもう始まる前からお腹いっぱいだ。

 

「あ、後予備のパソコン貸してくれよ。あたしは学園の監視カメラハッキングしてここで見てるからよ」

 

「……足付かないようにしろよ?」

 

 そう言ってトレーナーさんは渋々予備のノートパソコンを取り出す。

 ゴルシさんが堂々とハッキングするとか言い出したことに誰も突っ込んでいないのは異常なのだろうか。

 

 トレーナーさんは軽く準備運動をしてから部屋を出ようとする。

 

「ト、トレーナーさん……私は……」

 

「巻き込んじゃって悪いな、ダイヤ。でもこれは……これだけは譲れないんだ」

 

「その通りです。私にも譲れないものがあります」

 

「……マックイーン、君が何を言おうと、僕の考えは変わらない。例えそれが僕らの袂を分かつものだったとしても」

 

「その言葉、そっくりそのままお返ししますわ」

 

 マックイーンさんとトレーナーさんとの間で一瞬火花が散る。私はそれを黙って見ていることしか出来なかった。

 

 永遠にも感じられたその時間は終わりを告げ、トレーナーさんは黙って部屋を出て行く。

 

「お、あいつ行ったか。なら三分後、お前らが出て行ってからスタートな?」

 

 ゴルシさんは物凄い早さでタイピングを行いながら手元のストップウォッチを手にする。

 

「……最初に逃げる時間がたったの三分って大丈夫なんでしょうか? いくら広いトレセン学園といえども、それだけの時間であれば私達がすぐ追いついちゃいますよね?」

 

「心配無用ですわ、腐ってもあの方は頭が良いです。何か考えがあるのでしょう。ですが、私にはトレーナーさんの考えなんて手に取るように分かります。三十分どころか五分で捕まえてみせますわ」

 

 いつもならさすがマックイーンさん! と言っている所なのだが、なぜかもうダメな気しかしない。

 どうして今日のマックイーンさんはこんなにも頼り無く見えるのだろうか。

 

「それにしても、全く。トレーナーさんは私のことを分かってくださると思っていましたのに、あんな方とは思いませんでしたわ」

 

 マックイーンさんはトレーナーさんが出て行って少しすると彼のことを愚痴る。

 確かにトレーナーさんはマックイーンさんのイエスマンになることが多い。そのため、あんなにマックイーンさん相手に堂々と対立するトレーナーさんはなんだか新鮮だった。

 

「あはは、トレーナーさんも言ってましたけど、誰にでも譲れないものはありますからね」

 

「むぅ……」

 

 マックイーンさんは頬を膨らませる。

 この反応を見るに、実家に帰るだのなんだの言っていたが、結局のところ彼女はトレーナーさんのことが大好きなのだ。早く仲直りしてほしい。

 

「そういえば、お二人があんなに言い争うなんて何かあったんですか?」

 

「そう、聞いてください! トレーナーさんったら……」

 

「おーいお前らー、そろそろ三分経つぞー。準備しろー」

 

 事の元凶を聞こうとした瞬間、ゴルシさんが開始の合図を知らせる。

 

「あ、行きますわよ、ダイヤさん! さっさとトレーナーさんを捕まえてごめんなさいを言わせるのです!」

 

「ええっ!? ちょっと待ってくださいよ、マックイーンさん!」

 

 結局何を理由に争っているのか聞けないまま、私は部屋を飛び出したマックイーンさんを追いかけた。

 

 

 

 ***

 

 

 

 鬼ごっこ開始五分後

 

 

「……マックイーンさん、ここは?」

 

「トレーナーさんはこう考えています。『捕まらなければ負けじゃない』」

 

「は、はぁ、それでトレーナー室から一番近い男性用のお手洗いと」

 

「間違いありませんわ。普段姑息で卑怯なトレーナーさんですもの。私達が行けないような場所で隠れているに決まっています」

 

 トレーナーさんがいないのをいいことに彼のことを口悪く罵るマックイーンさん。

 

 しかし、彼女の考えは正しいかもしれない。

 トレーナーさんが部屋を出てからの短い時間で行ける範囲は限られている。それも、私達が絶対に入れないような場所と言えば自ずと答えは絞れる。

 

「でもマックイーンさん、どうやってここに入るんですか? 男性用ですし、私達じゃあ入れませんよ?」

 

「お任せください。こんなこともあろうかと鬼ごっこ開始直後にとある人物に連絡を入れてますので。そろそろ来てもいい頃なのですが……っと、来ましたわね」

 

 マックイーンさんが目を向ける方向を見ると、そこにはテイオーさんと〈スピカ〉のトレーナーさん、沖野さん……でしたっけ? その二人がいた。

 

「ったく、いきなりテイオーに引っ張られたかと思ったら、メジロマックイーンの呼び出しだなんてどんな風の吹き回しだ?」

 

「マックイーン、言われた通りトレーナー連れてきたけど、どうしたの?」

 

 テイオーさんも〈スピカ〉のトレーナーさんも何がなんだか分からないようだ。むしろ分かってたら怖い。

 

「テイオー、連れてきてくれてありがとうございます。〈スピカ〉のトレーナーさん、お手数をお掛けして申し訳ありません。少し貴方に頼みたい事がありまして」

 

「俺に?」

 

「ええ、あそこにいるであろう私達のトレーナーさんを捕まえてきてほしいんですの」

 

「トレーナーって、あいつか。なんだ、またあいつはなんかやったのか?」

 

「ええ、私にとってとてつもなく許せないことを言い放ったので」

 

 それはこの喧嘩の原因だろうか、それともトレーナーさんがマックイーンさんのコンプレックスをイジったからだろうか。

 

「でもなあ、ここであいつの反感買ったら今後奢ってくれなくなるかもしれねぇしなぁ」

 

「もし見つけてくださったら、カフェテリアで食事をするときに奢って差し上げますわ……トレーナーさんが」

 

「よし、俺に任せろ!」

 

 〈スピカ〉のトレーナーさんはマックイーンさんの言葉を聞くや否や勢い良くお手洗いに飛び込む。

 げ、現金な方だなぁ……。

 

 すると、トレーナーを連れてこいと言われたであろうテイオーさんは不思議そうな表情で私に近づいてくる。

 

「ねぇダイヤちゃん。マックイーンとトレーナー、なんかあったの?」

 

「実はですね……」

 

 私はこれまでの経緯をテイオーさんに話すと、彼女の不思議そうな表情は驚愕のものに変わった。

 

「ええ!? あの二人が!? あんなに仲良しだったのに!?」

 

「私にも何がなんだか……」

 

「そっか、ダイヤちゃんも苦労人だね……。でもどうしてこんなことになったんだろう」

 

「さぁ、私もまだ聞き出せてなくて……」

 

「こんな時は本人に聞くのが一番だよね。ねぇ、マックイーン、なんでこんなことに……」

 

 

「トレーナーさん! 今すぐ出てくるのであれば、スイーツ食べ放題一年分とスポーツ観戦のチケット、メジロ家への挨拶で許してあげますわ!」

 

 

 マックイーンさんは〈スピカ〉のトレーナーさんが中々戻ってこないことに苛立ちを覚えたらしく、大声でそんなことを言う。

 その姿はまるで、立て篭もり事件の犯人に投降を促す警察のようだった。

 

「……ダイヤちゃん、あれはダメだね。正気じゃ無い」

 

 わかります。

 

「トレーナーさん! いい加減出てきて……って、貴方一人ですか、トレーナーさんは?」

 

 ようやく〈スピカ〉のトレーナーさんが出てきたが、彼は私達のトレーナーさんを連れておらず、一人でマックイーンさんの下に戻ってきた。

 

「いや、誰もいなかったぞ。代わりにこんなものが……」

 

「は? これは……張り紙?」

 

 そして、その後渡された一枚の張り紙を見て、彼女は顔を真っ赤にして紙をぐしゃくしゃに丸め、地面に叩きつける。

 

「なんですかこんなもの! ダイヤさん、次に行きますわよ!!」

 

「え、ちょ、あてはあるんですか!?」

 

「そんなものありません! こうなったら全校生徒かき集めてでもあの男を見つけ出してとっちめ無いと気が済まないんです!」

 

 マックイーンさんは冷静さを欠いている。一息つけるといいのですが、という実況が今にも聞こえてきそうだ。

 そのまま彼女はずんずんと熊のように歩き出す。

 

 一体全体さっきの張り紙に何が書かれてあったのか気になり、マックイーンさんが丸めたそれを広げてみると……

 

 

『残念でした、お見通し^^』

 

 

 と、トレーナーさんの文字で大きく書かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 鬼ごっこ開始十五分後

 

 

 

「見つかりませんわね……」

 

「見つかりませんね……」

 

 開始から半分経ったにも関わらず、まだ手がかりのての字も見つけられていない。

 分かっていたことだが、トレーナーさんは頭がキレる。それも悪い方向に。

 

「すれ違った皆さんには手当たり次第に『見つけてくれたらトレーナーさんがスイーツ食べ放題を奢る』と声をかけていますので、そろそろ連絡の一つくらい入ってもいい頃なんですが……」

 

「本当になんでもありですよね……」

 

 ここまで来るとトレーナーさんが可哀想だ。今日だけはマックイーンさんじゃなくて彼の味方をしたい。

 

「そこのポニーちゃん達、下を向いて歩いていると危ないよ」

 

 私達が下を向いて廊下を歩いていると、突然後ろから注意された。

 この声は確か……

 

「す、すみません、フジキセキ先輩。私達、少し今取り込み中でして……」

 

「フジで構わないよ。それにしても、取り込み中って一体何かあったのかい? どうにも学園が騒がしい気がするんだけど、それも関係あるのかな?」

 

 スイーツ食べ放題がそんなに影響力あるんですか? ま、まあ、カフェテリアでいつも正気とは思えない量の食事を摂っているスペシャルウィーク先輩やオグリキャップ先輩なら分からなくもないですけど……

 

「フジ先輩、私達は今トレーナーさんを探しています。どこにいるか存じませんか?」

 

「君達のトレーナーというと……ああ、あの人か。見たところ、随分焦っているようだし時間の余裕は無さそうだね」

 

「はい、なので何か手がかりだけでも……」

 

 マックイーンさんは懇願するようにフジ先輩に尋ねるが、当のフジ先輩の顔は明るいものではない。

 

「うーん……申し訳ないけど、私も彼を見た覚えは無いな。トレーナーは立ち入りが禁止されている栗東寮にはいるわけないし、生徒会室にもいなかった。職員室でも見かけなかったし……あっ、そういえばまだあそこがあったな」

 

「そ、それはどちらに……」

 

「うん、地下牢」

 

「……え?」

 

 フジ先輩は今なんて言った? 

 

「ダ、ダイヤさん、私の耳がおかしくなかったら、今フジ先輩の口から地下牢という単語が飛び出てきた気がするのですが……」

 

「わ、私もそう聞こえました……。フ、フジ先輩、ここって地下牢あるんですか?」

 

 私とマックイーンさんは震えながらフジ先輩に質問すると、彼女はなんとも言えない笑みを返してきた。

 

「ああ、そうそう。その地下牢からは時たま何か怨霊のようなものが発見されるとかされないとか……」

 

「「し、失礼しましたあああ!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 鬼ごっこ開始二十五分後

 

 

「まずいですまずいですまずいです……このままでは私達の負けが決まってしまいます……」

 

「マックイーンさん落ち着いて。トレーナーさんが考えそうなことをもう一度考えてみましょう?」

 

 これまでかなり多くの人に声を掛けたが、一つも目撃情報が寄せられていない。ここまで誰も見ていないとなると逆に違和感を感じる。

 

 残り時間が少なくなり慌てふためくマックイーンさんを落ち着かせていると、一つの人影が近づいてくる。

 

「よぉ、メジロマックイーン。探したぜ?」

 

「あ、貴方は……ナカヤマフェスタさん!? なぜ私を……」

 

「単刀直入に言う。私はアンタらが欲しいと思っている情報を持っている。そしてそれを教えてやらんでもない」

 

 私達が欲しい情報というと……やはりトレーナーさんの居所だろうか。それだったら願ったり叶ったりだ。

 

 でも、相手はナカヤマフェスタさん。そう簡単に教えてくれるとは思えない。

 

「……どうすれば教えてくれるんですの?」

 

「ふっ、ちっと、私と簡単な賭けをしようじゃないか。アンタらが勝ったら私の持ってる情報を渡す。私が勝ったら、アンタは年齢にそぐわない赤子が着るようなフリッフリの衣装を着て学園を引きずり回しにされる」

 

 い、嫌な罰ゲームですね……。私だったら死んでもやりたくないし、そもそもこんな賭けには乗らない。

 

「どうだ、乗るか? それともやめとくか?」

 

「……分かりました。その賭け、受けて立ちます」

 

「マックイーンさん!? 負けたらどうなるか分かってるんですか!?」

 

「ええ。ここで負けると、トレーナーさんを見つけられない上に、私はとんでもない辱めを受けることになります。でもこれが最後の希望なんです! この賭けにも、トレーナーさんにも負けられないんです!」

 

「それほどまでの覚悟で……。マックイーンさん、健闘を祈ります」

 

 私の激励に、マックイーンさんはサムズアップで応える。その姿は、先程までの情けないマックイーンさんではない、私の憧れの『メジロマックイーン』だった。

 

「それで、ナカヤマさん。賭けの内容はなんなんですの?」

 

「難しいことは言わねェ。簡易的なインディアンポーカーの一本勝負だ」

 

 いんでぃあんぽーかーとはなんだろうか。私ははスマホでルールを確認する。

 

 トランプを一枚引き、自分で見ないようにしながら相手に見えるようにおでこの上に掲げる。

 自分に見えているカードと自分のカードが見えている相手の反応を参考にして自分のカードが相手のカードよりも強いかどうかを考える、至ってシンプルなゲームだ。

 勝てると判断すれば賭け金を増やし、勝てないと判断すれば賭け金を減らすといった駆け引きが求められるらしい。

 

「私達は賭けるもんがねェから、それぞれこの五枚のチップを賭けの対象にしよう。参加料は一枚、これがゼロになったら負けだ」

 

「なるほど、理解しましたわ」

 

「ならカードを一枚選びな。デコに掲げんのは同時にだぜ?」

 

 マックイーンさんはナカヤマさんの言われた通りに裏向きのカードを一枚選び、それに続いてナカヤマさんも一枚選ぶ。

 そして二人はいっせいにカードをおでこに掲げる。

 

 ナカヤマさんの数字は3、これはルールによれば二番目に弱い数字だ。

 いける、これならマックイーンさんに勝機がある! 

 そしてマックイーンさんの数字は2…………あ……。

 

「……くくっ、アンタ、中々酷いカードしてんなあ?」 

 

「あら、ナカヤマさん、貴方の自信はどこから来るんですの? もっと自分を客観視するよう鍛えるべきですわね」

 

 ナカヤマさんも大概弱い札ですが、それ全部ブーメランですよマックイーンさん。

 

 あまりにも残念発言が多いマックイーンさんに涙が出てくる。

 

「で、アンタは何枚賭けるんだ? アタシは当然全部だぜ」

 

「それなら私も全部賭けさせてもらいますわ!」

 

 終わった、もうダメだ。

 

「ならカードを場に晒すんだな。私は……3か」

 

「私の勝ちですわね! そんな弱いカードでは貴方に勝ち目はありません! さあ、参加料の一枚と賭けた一枚を私に……え、2?」

 

 マックイーンさんは自分のカードの数字を見て完全に固まる。

 それはそうだろう、勝ちを確信し後にこれなのだから。

 

「え、私が2でナカヤマさんが3……ってことは……」

 

「私の勝ち、だな。この賭け自体も私の勝ちだ」

 

 ニヤアと口角を歪めて計十枚のチップを手にするナカヤマさんと対照的に、先程まで勝ち誇っていたマックイーンさんの表情は絶望のものへと変わっていく。

 

「そ、そんな……も、もう一回! もう一回ですわ! もう一回やれば次は……」

 

「マックイーンさん、もう諦めましょう?」

 

「なぜ止めるのですかダイヤさん! 諦めたらそこで試合終了と安西先生も言っていたましたわ!」

 

「でもマックイーンさん、もうちょうどタイムアップの時間ですよ?」

 

「……え?」

 

 私が時計を見せると、それは制限時間ぴったりだった。

 つまり、マックイーンさんの負け。

 

「そ、そんな……私が負けるなんて……」

 

「残念だったな。ま、私に勝っても制限時間とやらまでにアンタのトレーナーのところまで行けてたかは怪しかったけど」

 

「……ナカヤマさん、もうこの際教えてくださいまし。トレーナーさんはどこにいるんですの?」

 

「おいおい、終わったとはいえ、そう簡単に教えちゃあ面白くねェだろ。敢えてヒントを言うならば、『灯台下暗し』ってとこかな」

 

「灯台……」

 

「下暗し……」

 

 私とマックイーンさんはそれぞれヒントを呟くと……

 

「「あ!」」

 

 私達は同時に思いついた場所へと駆け出す。

 

 

 

 ***

 

 

 

「やあ、遅かったじゃないか」

 

 目的地へと到着して最初に目に映ったのは、トレーナーさんのニヤけ顔だった。

 なんともまあ腹の立つ顔だ。マックイーンさんなんて今にも殴りかかりそうな勢いである。

 

 そんなトレーナーさんがいた場所は、私達の予想の斜め上の場所だった。

 聞き込みをしても学園の誰もトレーナーさんの居場所を知らなかったこと、なぜかナカヤマさんがトレーナーさんの居場所を知っていたこと、思い返せば不自然な事が多い。

 前者はトレーナーさんのいた場所が場所なだけにそこから動いてない彼の目撃情報なんてあるはずがない。後者はゴルシさんが穴を開けた場所のすぐ下にナカヤマさんがいた。

 

 極め付けはナカヤマさんのヒントである『灯台下暗し』という諺。

 

 そこから導き出される答えはただ一つ。

 

「ず、ずるいですわよ! 最初からトレーナー室にいただなんて! これでは学園を走り回ってた私達がバカみたいではないですか!」

 

 そう、トレーナーさんはどこに逃げるわけでもなく隠れるわけでもなく、私達がトレーナー室を出てからずっとここにいたのだ。そんなの分かるわけない。

 

「おっと、ずるいとは人聞きの悪い。僕は何も反則行為なんて犯してないぜ? 正々堂々、ルールの穴、ズルはしてない、勝つのは氷帝。というわけでこの勝負、僕の勝ちだ。なあ、ゴールドシップ?」

 

「あー……おう、そうだな」

 

 トレーナーさんの性格の悪さに、まさかのゴールドシップさんも引いている。

 これには私も苦笑いするしか無いが、一つ引っかかる点があった。

 

「でもトレーナーさん、どうやって私達と入れ替わる形で部屋に戻ったんですか?」

 

「ああ、それはあれだよ。外に段ボールあったろ? それに隠れてた」

 

「お前……まさか伝説の傭兵だったのか……!」

 

 ゴルシさんの言う伝説の傭兵については分からないけど、これも予想の斜め上……いや、斜め下かな? とにかく、見破れなかったのが少し悔しい。

 

「で、おーい、マックイーンさーん? そろそろ負けを認める気になりましたかー?」

 

「くっ、認められません! 私は認めるわけにはいかないのです!」

 

 大人気なく煽るように囃し立てるトレーナーさんに対し、マックイーンさんは負けを認めることができず拳を握りしめている。

 

「おいおいマックちゃん、素直に負けを認めろよ。武士の風上にもおけねーぞ」

 

「ですが……ですが……!」

 

 ゴルシさんが珍しく正論を言ってもマックイーンさんは聞く耳を持たない。

 

 そしてマックイーンさんは唇を噛み締め……

 

 

 

 

 

 

 

「たい焼きは普通、頭から食べるものでしょう!?」

 

 

 

 

 

 

 

 ……たいやき? 

 

「……お、おい待てよマックイーン。ここまで喧嘩の原因聞いてこなかったアタシも悪いんだけどよ、まさかこうなった理由って……」

 

「そうですのよ! トレーナーさんったらたい焼きは尻尾から食べるものだと仰るんですのよ!? あんこが多く入っている頭から食べた方が美味しいに決まっていますわ!」

 

 恐る恐る聞くゴルシさんに、マックイーンさんは食いつくように己が正しいことを主張する。

 

「はあ? 何言ってるんですかぁ? 頭にあんこが多く入ってるからこそ、最後に取って置くようにしっぽから食べるんだろうが! それとも何か? そんなならあんこの部分食べるのが待ちきれないんすか? 食い意地張ってますねぇ!」

 

「この男!」

 

 またしてもギャーギャーと騒ぎ出す二人。

 そんな二人を見て、ゴルシさんはやれやれと呆れるように見る。

 

「はぁ、なんかこんなことに付き合ってたアタシ達がバカみてぇだな。行こうぜ、ダイヤ。帰りにたい焼き奢ってやるよ」

 

「……あの、ゴルシさん」

 

「ん、どした? まさかお前もあいつらのところに混ざるって言うんじゃ……」

 

「たいやき、って何ですか?」

 

 私が素直な疑問を口に出すと、ゴルシさんを始め、口煩く喧嘩をしていたトレーナーさんとマックイーンさんも言葉を失った。

 

 ……え、私そんなに変なことを言いましたか? 

 

「……そういえばダイヤは生粋の箱入り娘だったか」

 

「え、ええ。まさかたい焼きをご存じないとは思いませんでしたけど……。トレーナーさん、確かたい焼きの余りがありましたよね?」

 

「……そういうことか。ダイヤ、ちょっとこのお菓子を食べてもらっていいか?」

 

 トレーナーさんとマックイーンさんはヒソヒソと会話をし終えると、トレーナーさんは冷蔵庫からお魚の形をしたお菓子を取り出した。

 あれがたいやきというものなのかな? 

 

「食べるって……いいんですか? こんなの貰っちゃっても?」

 

「ああ、しっかり食え」

 

「おかわりもいいですわよ!」

 

 初めて食べるお菓子に好奇心が抑えきれない。

『たいやき』という名なのだから、きっと中にはお魚の鯛が入っているのだろう。あ、でもさっきあんこがどうとか言っていたから、メロンソーダの時のように、このお菓子にはあんこは入っていないのかな……? 

 

「ダイヤ、食べる前に一つ忠告だ。一口目は深く考えず、直感で口にして欲しい」

 

「直感で……ですか?」

 

 そう言われても難しい。このお魚さんはどこから食べても美味しそうだけど……

 ですが、直感で食べろと言われたからにはそうするしかない。

 

 まずは一口……

 

「あむっ……あ、これ美味し」

 

「あああああ!? こいつ腹から食いやがった!」

 

「裏切り者ですわ! ここに裏切り者がいますわ!!」

 

「ええっ!? お腹から食べたら何かまずいことでもあるんですか?」

 

「うるせぇ! たい焼きと言えばしっぽから食べるのが定石なんだよ!」

 

「違います! 普通は頭から食べるものですわ!」

 

「お、お二人とも落ち着いてください! ゴルシさんも黙ってないで何か言って……ください……」

 

 私にはとても応対できずゴルシさんに助けを求めたが、そこに彼女はおらず代わりに『帰る』と書き置きされた紙切れだけが残されていた。

 

「もう我慢できねぇ! こうなったら食べ比べだ食べ比べ! 今日のトレーニングは中止! 今からたい焼き屋行くぞ!」

 

「望むところですわ! 貴方の食べ方と私の食べ方、どちらが美味しいか白黒つけようではありませんか!」

 

 そう言ってお二人は荷物を持って部屋を後にする。

 

 

 ……ああ、これ、ただたい焼き食べたいだけですね。

 

 

 私は先程貰ったたい焼きを口に押し込み、急いでマックイーンさん達の後を追った。

 

 

 

 

 

 

 

 マックイーンさんがナカヤマさんとの賭けに負けたため、赤ん坊がするような可愛らしいフリフリの衣装を着て学園を引き摺り回しにされたのはまた別のお話。

 

 

 

 




定期的にふざけた話を書かないと死ぬ病気を患っているので…
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