モブウマ娘side
レース
それはウマ娘が己の力を示すもの。
これまでの努力を全て出し切り、一位という名の栄冠を掴む為にあるもの。
皆、望んでいるものは一位のみ。
あるのは1人の勝者と大勢の敗者。
それは模擬レースでもそうだ。
誰もが勝ちたい、勝ちたいと心に熱い炎を滾らせ戦場を見ている。
今回、私は観戦する側であるにも関わらず、観戦席にもビリビリと伝わるオーラのぶつかり合い。
「今日こそいいウマ娘をスカウトし、チームを安泰させるぞ。」
私のトレーナーもこの模擬レースをチーム存続の為に自分の知識と今まで培ってきた目でいいウマ娘を見つけようと緊張している。
『只今より2000mの中距離レースを開始します。レース出走者は準備をお願いします。』
さあ、レースが始まる。
◇◆◇
モブウマ娘(出走者)side
遂に……遂に来た。
年に二回の模擬レース。
私の人生をかけたこのレース。
私は今年でどうにかしてスカウトされなければ高校生になってしまう。そこまで行ってしまうとスカウトされる確率は大幅に減ってしまう。
もし、もしだ。このレースでスカウトされなければ私は何も出来ずに終わる可能性が強くなる。
嫌だ!それだけは絶対に!
家族に誓った。
絶対に中央で活躍してみせると。
こんなところで絶対終われない。
震える身体を叩き、喝を入れ直す。
『中距離第三レース出走者の方々!準備をお願いします!』
遂に呼ばれた。
準備しなければ……。
立ち上がった私の目の前を誰かが通った。気になった私はそちらに目を向ける。それには小柄で華奢な黒髪の少女。
最近、トレセンで噂の少女『ノワールエクレール』だ。地方では全勝を貫いていたみたいだが、ここでは関係ない。その全勝の記録に敗北という名のキズをつけようと思ったくらいに闘志は燃えていた。
それにしてもこのレース、中学三年生が多く組まれたその中に一人、一年生が入れられるとは、彼女もついてない。
しかし、将来有望であるとは言われているから次の模擬レースに期待か。
内心、私は彼女をバカにしていた。
_____バカなのかと過去の私に問いたい
レースはつい先程始まった。
ついさっきだ。
なのに
なのになんでここまで離されているんだ!?
おかしいだろう!?なぜお前は私たちから四バ身、五バ身も離しているんだ。
逃げウマとは聞いていたが、ここまでスタートダッシュが速いとは聞いていない!
待て。私、冷静になれ。
ここまでのスピードだ。絶対に終盤で体力が無くなり、減速するだろう。
そこだ、そこを狙うんだ。
案の定、着々と距離を詰めていくことが出来た。三バ身……二バ身……と少しづつだが差せる場所まで這い上がる。
最後の直線、ここからが正念場。
なんとしてもここで巻き上げなければ!
彼女の隣に着き、追い抜こうとしたその時だった。
ボソリ、と
隣から聞こえてきた
聞こえてしまった。
「……すごいね、先輩。」
______けど、これで終わり
私は横を向いた。
その時には彼女の姿はなかった。
急いで前を向き直るが、見えたのは遥か先にある黒髪を靡かせながら走る少女。
少しでも、少しでも速く足を動かそうとしてもスピードは落ちるばかり。彼女に追いつく為に足を溜める余裕がなかったのだ。
目に映るはただただ遠くなる背中のみ
本当にあっという間だった。
私達よりも先にレースを終えた少女
その顔には
微かに笑った少女が
_______楽しかったよ
こちらを血のような赤い眼で見つめ、ただ一言ぽつりと呟いた。
その光景に震える腕を掴むと信じられない程の鳥肌が立っていた。
私は一体、どんな『化け物』とレースをしていたんだろう。
◇◆◇
ノエルside
ノエルちゃん大勝利!
やっぱり中央は全然違ったよ。
最後まで諦めず、闘志を絶やさず、虎視眈々と勝利を狙う。
これ、これだよ!
私が求めていたのはこんなレースなんだ!
今もテンションのギアが上がりまくってるせいでまた走りたいと思えるほど絶好調だ!
よし!終わったし帰って外周へ……
「あっ、いた!」
「邪魔だどけ!」
「私が先よ!」
へ?
なんか騒がしい……。
おかしいなぁ……目の前にすごい人混みが迫ってくるんだけど。
「「「ぜひ君をスカウトさせてくれ!」」」
ヒィ!?私目当てのトレーナーの群れだァ!?
咄嗟のことに反応出来ず、私はトレーナーの波に呑み込まれて行った。
トレーナーに呑み込まれた陰キャ
遂にノエルちゃんの弱点が顕に……。
待て次回!
『安価』ノエルちゃんどこのチームに入って欲しい
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奇天烈なスピカ
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優秀無敵なリギル
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和み担当カノープス
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カオスたっぷりオリチーム