快傑!ヒーローアカデミア!!   作:ムジョー555

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勢いで書いた
反省はしてない


入試にやって来た渡り鳥

〜雄英高校一般入試 実技試験会場〜

 

ドーン!

 

大地を揺らす轟音と共に、大きな影が現れる。

 

「なんだあれ……!?」

 

「あれが0ポイントの……!」

 

0ポイントの巨大仮想ヴィラン。

推定身長30m。

周囲のビル以上の高さを誇る巨大な鋼の身体は、ただ歩くだけで厄災になる。

 

「なんということだ……」

 

その猛威を目の当たりにした『飯田天哉』は、他の受験者たちと同様にその存在から逃げ始める。

 

そんなときだった。

 

♫チャラララ チャラララ チャラ ラ ラ チャラララ

♫チャララ ラ ララララ チャララ チャラララ

 

戦場に似つかわしくないギターの音色が鳴り響く。

その奏では、飯田の前方からやって来た。

 

巨大ヴィランから逃げる他の受験生の雑踏を意に介さず、それに逆らうよう、非常にゆっくりとマイペースに。

 

まるでカウボーイかのような、ある種時代錯誤な風来坊のごとき出で立ちの男が、ギターを弾きながら、歩み寄ってきた。

 

「おい、君!何をしている!あれが見えないのか。早く逃げたまえ!?」

 

飯田の主張を聞いているのか、いないのか。

男はこちらへ向かってくる。

 

「……なるほど。あれは噂通りのデカブツだな」

 

男は口笛混じりに巨大ヴィランを見上げる。

 

「君、あれを知ってるのか!?」

 

「あぁ、0ポイントの巨大仮想ヴィラン……雄英高校の入試定番のお邪魔ギミック。ビルを軽々と薙ぎ倒すほどの圧倒的戦闘力。ただし、この会場じゃあ二番目だ」

 

「何だって!?あれよりも強い奴がいるのか……いったいどこに!?」

 

男はヒュウと口笛を鳴らすと、チッチッチッと舌打ちしながら人差し指を左右に振ってノーサインを出す。

そして、その指でカウボーイハットのつばをぐっと持ち上げると、その下にある自分の顔をゆっくりと指し、ハッハッハッ!と自信満々に笑ってみせる。

 

「なっ……!?」

 

飯田は驚きのあまり言葉を失う。

この男は、あの巨大ヴィランを前にして何故こんな態度がとれるのか……?

 

そんな二人の耳に、小さな声が聞こえた。

 

「痛い……」

 

それは、少女のか細く小さな声だった。

 

巨大ヴィランの侵攻による建物の崩落に巻き込まれたのだろうか。

声の方を見やると、瓦礫で足をくじいた少女の姿があった。

 

次の瞬間、飯田の目の前から男の姿が消えた。

 

気がつくと、男はいつの間にか女子の元にいた。

そして男は瓦礫に足をとられていた女子を横抱きに担ぎ上げる。

 

「お嬢さん、怪我はないかい?」

 

「あ、足を軽くひねったぐらい……」

 

「そうか、どれどれ……骨は大丈夫そうだな」

 

男が少女の足の様子をチェックしていると、背後から巨大ヴィランが迫りつつあった。

 

「ちょっ、後ろ!?」

 

抱きかかえられた少女は思わず声を上げる。

 

ヒュウ

 

だが、男は軽く口笛を鳴らすと、背後から迫りくる鉄の拳をノールックで、少女を抱き抱えたまま横っ飛びして回避する。

 

「……たしかに身体は大きいが、動きは単調。所詮はただの鉄クズのお人形さ」

 

そう言いながら、男は巨大ヴィランの追撃も、降り注ぐ瓦礫も、一瞥することなく難なくすり抜け、様子を飯田見守っていた飯田の元へと戻ってきた。

 

「そこのナイスな眼鏡の君。俺はちょっと鉄クズを片付けてくるから、この娘は任せたよ?」

 

男は少女を飯田に預けると、再び巨大ヴィランの元へと駆けていく。

巨大ヴィランが崩したビルの壁を蹴り、三角跳びの要領で空を舞う。

そして、巨大ヴィランの頭上にたどり着くと男は拳を握る。

 

「受験生の皆に贈る……」

 

巨大ヴィランの脳天を殴りつけると、男は宙返りをして見事に着地。

 

ピギッ

 

その瞬間、巨大ヴィランの頭にヒビが走る。

 

そして、そのヒビはやがて全身に広がり、鋼の巨体が崩れていく。

 

驚愕すべきは、その崩れ去った残骸。

 

「バカなっ!?」

 

「ウソやろ!?」

 

飯田も少女も思わず叫ぶ。

 

遠くから一部始終を眺めていた受験生たちの目に映ったのは

 

 合 格 祈 願

 

ヴィランの残骸によって象られたその4文字

 

「力任せにただ壊すだけってのは、少々味気ないもんで……」

 

男はカウボーイハットを整え直すと、他の受験生たちへ一礼した。

 

『終了〜』

 

試験終了を告げるアナウンスが鳴り響く。

 

「あの巨大なヴィランを粉砕するだけに留まらず、その破片と落下位置の全てを制御しなければ……あんな芸当できはしない。彼はいったい……」

 

あまりの桁外れの所業に呆然とするしかない飯田。

 

♫チャラララ チャラララ チャラ ラ ラ チャラララ

♫チャララ ラ ララララ チャララ チャラララ

 

男は周りの視線を気にも留めず、再びギターをかき鳴らす。

 

そして、まだ昼間のはずなのに何故か出てきた夕陽に向かって、ゆっくりと去っていくのだった。

 

― 彼の名前は『早川健』 

 

これは、既に『日本一』の男が、ただその腕前を披露するだけの物語だ。

 

 




続く……のか?
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