何か貧乏神拾ったんだが 作:隣の家に晩飯凸する止まらないゴルシ
えー今日はね、誕生日ですけどね(ガチ)、プレゼントが少なかったです(泣き)
暗い、暗い日々を過ごしていた。
親は「早く働け」だの、「育ててやってるんだから恩を必ず返せ」だの、言ってきた。
俺は嫌だった、そうやって、可能性を制限されてゆくのが、嫌だった。
だから、家を出た。
寺小屋で必死に雑用と勉強をこなし、とにかく努力した。
だから、今の俺がある。
地面を這いつくばって、泥水を啜って生きてる奴を嘲笑う気は無い。
だが、助ける気もない。俺は、慈善事業をしてるんじゃない。だから助けない。その程度の事で自分の財産を減らす気は毛頭ない。
なのに、彼女を助けたのは、一体どうしてだろう?
くしゃみをする。今は12月、
だが生憎ここは幻想郷である。進んだ科学技術が標準的な訳ではなく、比較的、原始的な生き方をしていた(とは言っても、社会と言うもの自体は確立しているし、どちらかと言うと室町時代の様な生き方だが。因みに河童は例外である)。
空から、白い物体が降ってくる。
雪だ。
このただでさえクソ寒い時期に雪である。
「…まるで…クソだな…」
既に道には数センチの雪が積もっており、化学が全ての世界からすれば正に幻想的なのだろう。
だがそう考えるのは、外の住人だけである。
現地の住人からすれば、まずそもそも冬と言うもの自体がちょっとした脅威なのである。と言うのもここは幻想郷、勿論、妖怪どころか神様さえいる世界である。
冬は夜が早くやってくる。と言うことはつまり妖怪に喰われたりもする時間が早くやってくるのである。
まぁそんな事をするのは一部の野良妖怪に限るが。
とは言え、可能性をゼロパーセントに出来ない以上、脅威は何時もそこにあるとして、行動しなければならない。
そうする内に、疑心暗鬼になって住人同士の喧嘩が起こりやすくなるのだ。
そこで、つい最近から、住人と親しい温厚的な妖怪主導の、『冬祭り』が始まる様になった。
彼────
トボトボと一人で真っ白な道を歩く。
見たところ、ボッチなのだろうかと考えがちだが、実のところそうではなく、これが平常運転なのだ(つまりボッチである)。
「あ…明日香霖のとこ行かないと…だりぃ……その後また準備だし…兎に角だりぃ…」
ぶつぶつと、愚痴を口から吐く。
吐いたところで楽になるわけではいが、兎に角吐きたいから吐いているのだろう。道ゆく人は近づいたらいけないと言わんばかりに道の端によってゆく。
ふと、目に止まる物体があった。
本当にふとした事で視界に入った物体は、『ダンボール』と言う物で頭と身体をすっぽりと覆っており、寒そうにガタガタと震えていた。
だから、何だ。
俺がアイツを助けたところで俺に利益は返ってこない、
だが不意に、本当にそれで良いのかい?と囁かれた気がした。
無論、それは幻聴
(俺はいつだって自分の事だけ考えてる、他人はどうでも良い、そうだ、だからこれは、俺の気分をこれ以上悪くさせないための、合理的行動だ)
そう誤魔化し言い聞かせ、うずくまっている物体に向き、しゃがみ込む。
「お前、名前は?」
「…依神、紫苑」
「……わかった、依神。俺の家に来い、服と、飯を与えてやる。代わりに、俺が仕事に行ってる間、俺の家で留守番をしろ。これが呑み込めるなら、俺の家に住まわせてやる」
「………」
「沈黙は肯定と受け取らせてもらうぞ、来い」
無言のままぴくりとも動かない依神の手を掴み、半ば引きずりながら帰宅を再開する。
こうやって、日常の錆びた歯車が、新しくなろうとしていた。