俺らでジオウを神作にする! 作:鳴滝の■■
剣崎はブレイドウォッチを渡してもライダーだった記憶と力を失わなかった。
「まぁ……僕のお陰だね。僕が近くにいる限りは問題なく変身出来ると思うよ」
「お、てことは~これからは俺もソウゴ達と一緒に戦えるのか!」
「え、協力してくれるの!?」
「先輩として夢を追う後輩を応援するのは当然の事だろ?それに今、特にやることもないしな!」
「……なら仕事探せよ」(ボソッ)
「キング。俺は無職じゃない。俺の職業は仮面ライダーだ」
「ならうちに来なよ!」
それで俺と一緒に戦ってくれることになって、俺の事務所で働くことにもなった。
「これから橘さんは……」
「俺は研究所に一度帰ろうと思う。施設の設備なら怪人現象について詳しく調べられるかもしれない。カードはこんなご時世だ。暫くお前たちに預けておく」
「俺は財団Xでもう暫くお世話になろうと思います。ただ財団を名乗って橘さんを襲った人達が居ることを忘れずに、そっちも調べていこうかと」
「俺は、そうだな。いい加減向き合う時期なのかもしれん。二人に俺の隠してきたことについて話そうと思う」
橘や睦月、相川始もその例には漏れず、暫く三人は各々の形で怪人発生の原因究明に動いていくらしい。
「と言うわけでこれからお世話になります。ほら、ゲイツ君も頭を下げて!」
「おいやめろ、お前は俺のお母さんか!」
ゲイツはあの戦いの後、カッシーン戦の時に攻撃してきたこと、勝手に居なくなったことを謝ってきて、未来に帰るつもりだと言った。
それでオーマジオウに挑むつもりだと……「こーんなんで勝てる訳ないじゃないですかやだー!」「な、何!!それをお前が言うのか!?」「ジオウ。こういう訳でしてゲイツ君は今の貴方ではなく未来の貴方を倒すことに決めたようです。ただ今のままだと天地がひっくり返っても勝てませんので、暫く貴方の元で鍛えさせてもらえませんかね?」
ゲイツ専用タイムマジーンのウォッチをファムは懐に仕舞い込んで頭を下げた。
誰かを鍛えるなんて経験なかったけど、因果とか、運命だとか、そういう体質を持つ俺の周りには厄介な存在が集まりやすいらしい。それらを相手していけば嫌でも強くなるだろうと二人も俺の会社の手伝いをすることになった。
俺としてもまたゲイツと一緒に戦えることは嬉しかった。ファムはどれだけ戦えるのかは分からないけど、うちは何でも屋であって傭兵集団ではない。戦いを強要するつもりはなかったし、仕事も軌道に乗り始めてちょうど人手を増やしたいと考えていたところだ。
「これから宜しくね!」
オーマの日。歴史では俺がオーマジオウになる筈だった日は過ぎてしまったが、あの未来は……変わったってことでいいのかな?
兎にも角にも、頼もしい仲間が増えてこれから楽しくなるぞー!と万々歳で今日を迎えればウォズがいなかった。
「あれ?」
最初は散歩にでも行ってるのかと思った。けどリビングに置き手紙があって、新しい魔王を探すと書いてあった。
……まぁそうだよね。
ウォズはオーマジオウを誕生させる為に未来から来た。これまで何度も歴史とは違うことをしてきて、オーマジオウにはならないと宣言していた俺の元から離れなかったのもオーマの日になれば嫌でもオーマジオウになるしかないと思っていたからだろう。
見限られて当然だ。出来れば彼とは分かり合いたかったが、オーマジオウに向ける彼の忠誠心は本物で、俺の目指す未来とはどうやっても交わる事がなかったんだ。
………………よし!
クヨクヨするのはこれで終わりと頬を叩く。
先ずは顔を洗って朝御飯を食べて、その後剣崎達を交えた初仕事の振り分けをしないと。
意気揚々と洗面所に立つソウゴの後ろに暗い冷気を漂わせる常磐順一郎が立つ。
「あ、ソウゴ君……おはよう……」
鏡で表情を見たが隈が酷く、頬も少しこけていた。
「何があったの!?」
「いや……ねぇ。依頼された時計の修理が終わらなくて……はは。今日取りに来るんだけど納期が遅れるって謝らないと」
「え?叔父さんが期限までに直せなかったって、そんなに急な仕事だったの?」
「いや、納期はたっぷり貰ってたんだけど、何で動かないのか僕にもサッパリで」
ソウゴは目を剥いて驚いた。
あの叔父さんが直せない時計があるだなんて。
ソウゴはまだ両親が生きていた幼少期、車に轢かれて粉々になったキャラクター時計の修理をメーカーから断られ、泣く泣く叔父さんに修理に出したことがあるが、3日ほどで新品同様になって帰ってきたことを未だに覚えている。
一緒に暮らすようになってたまに彼の仕事場を覗くこともあったが、どんなに無謀だろうと思えた壊れた時計の修理も難なくこなしてきたのを実際に見てきている。
それで直せないって、原型を留めていないのでは?
……いや、でも針だけ残った時計もこの前直してたし。
ソウゴは気になってその時計を見せてくれとせがんだ。
「うーん、まぁ見せるぐらいなら」
それで順一郎が取り出した時計と言うのは懐中時計であった。カチ、カチ、と一見動いているように見えたが、動いているのは秒針だけで、分針や時針は動かないらしい。
あれ?これって前に……と記憶を振り返りゴーストの力を継承した辺りで叔父さんがこんなにやりがいのある修理は久しぶりだと嬉しそうに依頼を受けていたことを思い出す。
だとすると、あれから4ヶ月ほど経っていた。確かにそれだけ期間があればたっぷり貰っていると言ってもいいだろう。わざわざ店に招かなくても電話で伝えれば良いんじゃないかと訊ねたが、電話番号は依頼された時に書いて貰ったが、途中でスマホを買い替えたりでもしたのか繋がらなくなっていたそうだ。
良く手入れされている懐中時計は鏡のように光沢があった。分解された状態の写真が横に張り付けてあったが、どれもサビや傷ひとつもない。
一体何が……ソウゴは無意識に手を伸ばす。
「すみませーん、依頼した時計を取りに来た鳴滝ですが」
「あ、はい!ようこそいらっしゃいました!!!ですが申し訳ありません。この常磐順一郎、全身全霊を以て掛からせていただいたのですが、どうにも原因が分からず!!!!」
「動いている!!!!!!」
「「え?」」
店の扉を潜ったフードの男。
彼はピシャリと背筋を伸ばして謝罪しようとする順一郎を無視して、ソウゴの手のひらを掴み取り、その中にある時計を見て叫んだ。
そんなバカな。ソウゴ達が時計の針を見ると、ピクリともしなかった分針がカチリと動いた。
「いやー!ここに頼んで良かった!!!まさかこの時計が動いている所を見れるだなんて!!!!」
ブンブンと腕を振って感謝を告げられる。何もしていないソウゴは曖昧な相づちを打つことしか出来ないが、彼の審眼からしても相当喜んでいるのが分かった。
よほど大切な時計なのだろう。依頼料は2倍、いや10倍出させてくれと分厚い財布を取り出した彼の懐から一枚の名刺が落ちる。
名刺の内容は、夢を追い越す男、『財団X』会長の鳴滝……財団Xの会長!!?
ソウゴの反応に気づいたのか、フードの男は服装を正し、フードを取って。その痛々しい傷を残した顔で自己紹介する。
「すまないね。このフードは顔の傷を見られないようにするためなんだが、最近では有名になりすぎて変装もかねているんだよ。私が財団Xの鳴滝だ。ここに来ていることは内密で頼むよ、こんなことで軍が動いては笑い話にもならないからね」
ニカッと笑うその男。
彼は数日後にこの国の王になることをソウゴはまだ知らない。
キング「ヒイッ!ここは何処だ!?俺はさっきまで公園で………剣崎!剣崎!助けてくれ!!!」
???「君は本当に運が良い。本来なら役目が終わった玩具は処分する所だが、ちょうどキーボードが打てて、感情豊かに話せる、消えても困らない人材が欲しかったところなんだよ」