俺らでジオウを神作にする! 作:鳴滝の■■
アナザーファントムの心
「ダメだぁぁぁぁぁ!!!!!」
その日、ついに限界が訪れた。
何の限界かと言えば、ワイの頭の。具体的に言えば怪人制作の技術面におけるもの。
「何度作っても!"心"が作れない!」
ワイの目の前には、次の回で使うアナザーファントムが鎮座していた。
「心っても、今まで通り命令したら動けるんだろ?何でそんなのに拘ってやがる」
叫ぶワイを見かねてか、おやつのプリンを食べながらのフータロス先輩。
「いや!これが全然違うんすよ!今まで、ワイの意図しない所で心が芽生えたアナザーファントムは何体かいましたが……これが、ありとなしとじゃあスペックが違う!!!!」
ゼロワンでいうシンギュラリティとでも言えばいいのだろうか。ある一定以上成長し、心を獲得したアナザーファントムは急激なパワーアップを果たす。
強くなる原因は分かっていた。ワイが混ぜたネビュラガスのせいだ。これにより感情が高まれば高まるほど、肉体は限界を超えた力を発揮する。
ただどうやって心を獲得したのか、これが分からない。
これまで何とか意図的にこれを引き起こそうとしてきたが、上手くいかない。
ならばと前回のアナザーユートピアのように中身を人間にしようにも、逆に弱くなってしまう始末だ。
「チクショォォォォ!!!!今の気分はクリムの才能に嫉妬する蛮野天十郎だぁぁぁぁ!!!!!」
ガッデム。次の回のテーマは初恋と罪の味。
故に心の獲得は何よりも最優先事項であるというのに……出来ない。あらゆる世界から怪人の資料を集めて、研究しても……それこそ人間をコピーする
「確か、次はゲイツとかいうガキの梃入れ回だったか。はぁぁん、初恋と罪の味ねぇ……また趣味の悪そうな事を考えやがる」
そこで二つ目のプリンに手を伸ばしたフータロス先輩。
「おっと、プリンは一日一個までだぞ?フータロス先輩」
それを取り上げたのは青白いワイ……ではなくY。ワイが緊急の用事で席を外す時に実況を変わってもらう為に作ったコピーである。
「何だよ……別にいいじゃねえか。固いこと言うなって」
「ダメですよー、オリジナルは先輩に甘いからつい許しちゃうかもしれないですけど、食料の備蓄管理はYが担当してるんですから。勝手に食べられると在庫が狂って大変なんです」
彼はワイのコピーであるというのに、フータロス先輩に少し厳しい。仮面ライダーについてもどこか冷めている。
かなり初期に作ったから、考え方も変わってしまったのだろうか。何となく今ではコピーというよりメンバーの一人として扱っている。
「そう言えば貴方もですよ、オリジナル。この前勝手に倉庫からアイテム持ち出しましたね?魔改造したヤミーに人体蘇生アイテムなんて何に使ったんですか?」
「……そ、それは……ちょっと古い知り合いが『復活のコアメダルを神作へ!』って言うから売ってあげて……」
「復活のコアメダルは干渉しないのでは?」
「ワイはしないつもりだけど……それはそうと、いつかの明日が見たかったんよ」
「はぁぁぁ……分かりました」
ワイ、どうにもY氏が苦手らしい。
両親関係ではろくな思い出がないけど、最近のY氏はお母さんみたいに思えてくる。
「それで、研究に行き詰まっているようですが……いっそのこと心があると錯覚するぐらい高度なAIを載せてみれば?どうせ貴方のことです。初恋と罪の味というならには……最終的に破壊されることが目的なのでしょう。ならば強化など二の次で騙すことに重きをおけばよろしい。
それで、万が一アナザーファントムが感情を得たとしても、それはそれで御の字という話。正直心を私物化しようとするのは小物化、死亡フラグですのであまりオススメは致しませんな」
「成る程……高度なAIか」
Y氏の提案にそれもありかと納得する。
確かに人を騙す程度のAIなら作成可能だ。AIだから強化はされないが今回のテーマには沿っている。
問題は先送りになってしまうが、納期まで時間がない。
「よしゃ!なら早速作ってくるでー!」
そうと決まれば善は急げ。ワイはラボへと駆け込んだ。
「あ、そういや今回からスウォルツ氏と本格的に敵対する予定だからヨロ!」
最後にそんな伝言を残して。